かれこれエルフの少女であるリューと過ごし始めて数か月。
アーディとの戦闘訓練をして何故かシャクティにダンジョン攻略を半ば無理やり認めさせた我が眷属だが(やり方難ありだし詳しく教えてもらえなかったけど)、困ることというか気になることがある。いや別にご飯を作る腕が悉く無い事は問題だが、何故サンドイッチを作っただけで炭化すんの?しかし、今回はそんな事ではない。ふと気付いた事だ。
コイツ泣かないんだよなあ……………………。
そういえば、恥ずかしがった顔とか少しだけど笑う事はあれど(基本難しい顔してる)泣いた事ってあったか?と言う疑問をふと抱いた。まだ幼児位でしっかりした子だなぁ、と思っていたがそれにしても泣かなすぎでは無いか?まるで泣かないと決めてるみたいに泣かなくてこっちは逆に怖いんだけどなぁ。
泣くことは大事だと私は考えてる。感情の吐き口になるし逆に泣かないと色々しんどいと思う事があると思う。泣いたら気持ちすっきりすることもある。まあ考え方なんてそれぞれなんだけど。泣く=弱いとか思ってんのかな?と思ったりもした。聞かなかったけど。
そう言えばアーディとの間ではどうしてるんだろう?と思ってリュー本人に聞いてみたら
「ただダンジョンを探索してモンスターを倒してるだけですよ?」
うん、そんな事知ってんだよ!知りたいのはそこじゃない。楽しいとか面白いとかきついとか無いのか?と聞いても
「?え?……」
天然かよ、まさかとは思っていたけど天然か……………………。大丈夫かな、私の眷属?普通は楽しいとかやりたい事があるとか思うからダンジョンとかの冒険をしたがると思っていたのは私の勘違いか?確かにコイツの目的はかなり物騒だったし、詳しい事は教えてくれないけど。ほら色々あるじゃんオラリオに来る理由(金儲けとか名声とか)とかさ。今はこんなに治安悪いけどもしかしたら良くなって明るくなるかもしれないと思ってたんだけど
ヤバいぞコイツ
マジであの時の物騒な目的のためでしかここにきてないぞ、このままだと。確かにそれでも良いんだけどそれだとあまりに悲しいし寂しいじゃんか。娯楽的なの無いぞ。折角アーディとか仲良くなってるのにそれじゃあつまらない。主にこっちが!
たった一人の眷属だしな。ファミリアの主神がどのくらい干渉していいかはわからないが一肌脱ごうと決意した。
っとは言っても
「リュー、たまにはダンジョンに潜るだけじゃなくて私と遊ぼう!」
慣れていない遊びに誘うと
「いえ、私はいいです」
断られた。
「リュー、一緒に買い物行こう!」
親睦を深めようと武器を一緒に見ようと誘うと
「お金もありませんし、まだ使えるので大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
といっちょ前に断ってきた。
もうこうなったらと
「一緒に寝よう!」
「ネメシス様の寝る邪魔になるので遠慮します」
これを全部(しかも真剣な)真顔で言いやがった。正直一つ位乗ってくれても……とか思った。こっちのライフもうゼロよ?
正直信頼はしてくれていると思う。これは明らか。リュー自体は優しいし義理堅い、この都市にいるアストレアとか前に世話してもらっていたとある処女神とかに近い。まっすぐすぎる所があるが、それもリューの性格であり、いい所だ。困っている人を無視できないという所も美点だ。正直なんでこんないい子が私のファミリアに本気で入ったのか不明だが………。主従関係は悪くないと思う。
でも距離があるんだよなぁ。私だけではなく、他人にも。
まだアーディやシャクティとかはまだマシである。ひどいときは相手を背負い投げとかひねり上げるからこっちがヒヤヒヤする。エルフの慣習だとしてもやばいと思う。いつかやり返されそうだぞ、アレ。
自分の過去とか言わないから家族ともすごく仲良しという訳ではないだろう。前に里の事聞こうとしたら渋い顔された。リュミルアの森だと教えてくれたがそれ以外は教えてくれなかった。確かに全部話す必要ないけど少なすぎる。
そんなこんなで朝っぱらからダンジョンへ行った眷属見送ってホームで思案していると、そろそろオラリオの神々が集まる神の集会であるデナトゥスが開催されるそうだ。今オラリオ物騒だけどな、一応フレイアとロキそして、ガネーシャのファミリアから護衛がつくらしい。正直憂鬱なんだけどなぁ、休んでいいかな?仮病とか使えないのかな?……………………無理でしたね、そう言えばホームも登録してしまったからすぐにバレると感じたネメシスは憂鬱だが行くことにした。面倒臭いと思いつつでかい溜息を吐いた。
そして当日
「久しぶりやな、元気やったか?」
「ロキか……………………」
「おぉえらいテンション低いなぁ」
「ただ憂鬱なだけだろう?ただでさえ治安悪いのにわざわざ開く必要あったの?これ」
「う~~んせやなぁ、まぁええやんか、かわいい子供の為や」
「恥ずかしい名前を面白おかしく付けるだけだろ」
「それは言わんお約束や、それに情報交換としての場でもあるんやから文句は言わへん方がええで?」
「勝手にやっててよ」
正直もう面倒だ。まだ掃除とか洗濯とか終わってないんだけどな、とおもいながら集まった神々の面を見る。前にいた時とちょっと違う顔ぶれだが知り合いもいる。こっちからは接触しないけど。
そうしているとガネーシャが出て来た。
「よし!では始めるぞ!俺がガネーシャだ!」
「「「はやくやれ!」」」
神の声がはもった瞬間だった。
「ええではデナトゥスを始める。まずは今回から出席している神、ネメシスだ」
「どうも」
「うむ、テンションが低いぞ!」
「私の事はいいので本題へどうぞ」
「まぁコイツこんなもんだからはよ始めよかぁ」
こうして始まったデナトゥス。ランクアップした子供たちの二つ名を決めたりしていたがまだオラリオに来て日が浅い私がその子供について知っているわけなく傍観していた。つまりはボーっとしていただけである。神ってもの好きだなぁと思いながらぼーっとしていると名前付けがおっわたのか、情報交換に移っていた。
「さて二つ名はこの辺でいいな!次はイヴィルスの事だ。この頃というよりゼウス、ヘラのファミリアが黒龍に敗れて以来イヴィルスの活動は激化している」
「せやなぁ。前も襲撃されとったし」
「うむ!盗みも多発しているさらなる警邏が必要となる」
「ガネーシャの所だけで回ってるの?それ」
私が質問すると
「それがあまり回っていない!」
だろうな。いくら大派閥だと言っても人員なんぞたかが知れてる。それも第一級冒険者なんてロキとかフレイアとかのファミリアしかいない。ほとんど二級か三級だろう。他のファミリアからも見回りする子供たちがいたとしてもこれほど治安悪いと大変だなぁと思う。私の眷属も自分で進んでやってたからなぁ。それで「やり過ぎました」とか言って傷作って帰ってくるからなぁ。今日は……大丈夫だよな?
「子供たちも必死になって頑張っている!応援したいが神には見守ることしかできないからな」
「せやなぁ、うちらは子供たちが無事に帰ってくるのを祈るしか出来ひんかもしれんなぁ」
ロキは……丸くなった。天界にいた頃は悪戯ばかりで手を焼いていたイメージがあった。主に問題起きたらコイツのせいみたいなところがあった。それが自分のファミリアを持っていい方向に変わったようだ。元の悪戯好きなところとか頭の切れ具合は多分変わってないけどな。でなければロキのファミリアがここまで大きくはなってないだろう。
「そうねぇ、確かに大変よねぇ」
子供たちの本質を見抜くような目をしてバベルから見下ろしている女神、フレイアである。現在都市最強がいるところだ。猛者だったような気がする。それに加えて数多くの第二級以上の冒険者を有している。正直私はフレイア好きになれないんだけど好みの問題なので悪い奴では無いと思う。多分。だよな?まさか他のファミリアにちょっかい出したりしてないよな?まさかな。あの癖はもう無くなったと信じたい。
「そう言えば、ネメシスの所もファミリア作ったのでしょう?」
……なんでこっちに話を振るんですかね?
「ん?うん、ソウデス」
「なんで片言やねん」
だって探るような目をしてるんだもんあの女神。怖いでしょ。ちょっと不安だなぁ。まぁアイツはまだレベル低いし大丈夫だとは思うんだけど、あの女神の目は侮れない。収集癖が抜けてなさそうだ。しかもここにいる男神全部食べてるからなぁ。まさか女まで手は出さないよな?
「フレイアからすれば全然弱小なんだけどなぁ」
ぼそっとそう呟いた。
「あら?そうかしら?確かに人数も大切だけれど、一人で何人もの敵を返り討ちにしてしまう子供だっているんだもの。それに貴方は天界ではよく人間に罰を下していたから、ファミリアを作るのは意外だったのよ」
「あーなるほどやっぱそういうことなのね……」
やっぱり天界にいたときのことに起因していた。まぁ役目だったし、ちょっと人間たちの態度が荒くなっていた時期だったから罰を下していただけなんだけどな。そんなに怖いかな?私?
「まぁその話はここまでにしよう、とにかくこれからどうするの?みんなで警戒してもここまで被害があるというのはきついものだぞ?」
さらっと他の神の言う通りこのままではやはりまずいと思う。神は下界にて神威を使うことはできない。つまりは恩恵を刻んで、ステータスの更新をしてあげることぐらいしかできないのだ。だから冒険者が頑張るしかないのだが、やはり拙い。第一級冒険者が役に立っていない訳ではないが、行動を起こしてからのこちらの行動つまり後手に回る。今大きな襲撃があっても一応の対応ができると私は考えているが、どれほどの犠牲が出るかは分からない。これはロキのところの勇者しだいだが。頭の回転はこのオラリオでトップ指揮官としてもピカイチ。正直勇者の読みにも期待はしている。だが、それだけではもし、読みが外れたときにやばい、もちろん勇者のことだ、考えはいっぱいあるのだろう。だけど何だろう?
今のままだとなんかやばい気がする
変な勘が働いてその後の会議はほぼ聞いていなかった。
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「あーーやっぱりお前は無事に帰ってくることないよなぁ」
「すみません、やり過ぎました」
「うるせぇ、そう言えばなんでも済むと思ってるだろ?ポンコツ」
「ポンコツ?!」
そうだポンコツだろ、また厄介事に頭から突っ込みやがって……。何度傷つくってくんな!と言ったら理解するのやら。女の子なのに。綺麗な顔してんのに。いつも外では隠しているけど、致し方ない。人攫いだってあるのだ。用心に越したことはない。エルフはただでさえ容姿が整っているものが多いからなぁ。ってかポンコツに反応する?そこに反応するのかコイツ。不満そうな顔しているがそれは後回しだ。傷の手当てしないとな。
消毒と絆創膏を棚から取り出す。今回は腕とか足とかの切り傷が多い為ちょっとほっとした。まぁそれでも問題なのだが。前は……まぁ顔にこさえてきたからびっくりした。
「はーい染みるぞー」
「あの?ネメシス様自分でできます」
「いいのいいの、このくらいしか出来ないんだからやらせろよ」
半ば無理やり納得させて椅子に腰掛けさせた。やっぱりまだ小さい。考えてみたら、不思議なもんだ。まだ会って数か月なのに感情移入しているとは。自分がこれほどまで眷属を気にかけるとは思っていなかった。
なんとも不思議なもんだ。としみじみと思うなんて昔は考えなかったもんな。……なんかしゃくだな、ちょっと意地悪しよう。そして、消毒液をたっぷりつけて傷口に塗りたくった。ちょっと痛がってんな。
なんとも不器用な神である。素直に大切だと言えばいいのに。と周りに他の神がいたらほぼ全柱そう思うだろう。
慣れていないから仕方ないと言われればそれまでだが。
「ネメシス様、怒ってますか?」
「ん?ああまぁ眷属が全然言う事聞いてくれないからな。もうちょっと聞いてほしいとは思ってるよ。ねぇリュー?」
怒ってらっしゃる、そう感じたリューだったがどうすれば良いかわからず黙り込んだ。
その様子を察したネメシスは深い息をふぅぅぅぅぅぅぅと吐いた。もうこのポンコツが意思を曲げる事はないのかもしれないと末恐ろしい事も頭に入れた。しかし、ファミリアの子供の背中は主神が押してあげるもんだ、たとえどんな道行きになるとしても。
答えを教えてしまってはつまらない、子供たちの道は子供たちが決めることだ。私たち神はその道行きを見守るだけだ。少なくとも私はそれしかできない。だから
「思いっきり楽しめよ!」
「?」
こう言うしかなかった。そして、いつか教えろよ?お前の人生はどうだったのかを。そしてその顔が満面の笑顔だったらすごく嬉しいなぁと思った。
不思議そうな顔をした眷属と満足した顔をした主神がいた
読んでいただきありがとうございます。
シャクティに半ば無理やり上層までダンジョンに潜っていいという許可をもらっています。朝から夕方までリューさんとアーディで潜っています。本当は戦わせて認めさせようかな?という事も考えましたがシャクティにボロボロにされると思いやめました。その代わりといってはなんですがアーディとリューさんのコンビネーションが上がりました。シャクティは凄く渋い顔をしてました。
ネメシスは他の神様たちに対しては大体こんな感じです。考える頭が弱い自分が作戦会議とか参加していいの?とか思ってます。歴史的にも最近とか言われてるので。でも結構現実を見ていると思うのではないかと思います。しかし、作者が馬鹿なのでどうしようもなくなってます。すみません。
長いあとがきを読んでくださりありがとうございます。次話も読んでくれると嬉しいです。
それではまた。