それでも見ていただける方はどうぞ。
ネメシスを主神に構えるネメシスファミリア。
団員一人という零細ファミリアであり、一癖ある主神とエルフの少女が主と言うか全てだ。
そんなファミリア具体的に何をしているかと言ったら、ほぼ探索である。
オラリオにあるダンジョンに潜ってお金稼ぎや強くなるためにモンスターを倒す。簡単に言うとこんな感じだ。
治安が悪いオラリオなので実際はもっと複雑化している。ダンジョン内でのパスパレードとか酷いもんである。闇派閥もいるからさらに状況が悪化する。死亡者も多発していて、せめて治安が良くなるまでとは言っているがギルドの豚からも圧力が掛かり結局あんまり変わらない。悪循環である。まぁ豚が黙ればいいのだが、ダンジョンを管理しているのはギルドなのでこっちも協力しないといけない。バカバカしいがどうにもならないのだ。
まぁ詰まるところダンジョンがさらに危険度が上がった訳ではあるのだが。それを冒険するのが冒険者である。
さぁ今日も今日とてダンジョンに潜ろうとしているリューとアーディだが、今回は秘密裏に進めていることがあった。
それは上層エリア五階層の突破である。
流石に何日も何日もずっと同じところをグルグルグルグル回っていたらいくら我慢強くても飽きる。というか飽きた。その為二人はちょっと頑張ってシャクティが決めた5階層からちょっと下の六から七階層辺りを目指すことにした。結局シャクティの事は裏切っているがバレなきゃいいのだ。まだ幼い二人である。
この日のためにポーション類や武器などの手入れもこまめにやっていた。ヤバそうだったら流石に逃げるが、行けそうならそこら辺で経験値稼ぎである。なおネメシスも何か張り切っているなぁぐらいしか知らない。うまく隠してきた二人であった。
「よし、行きましょうか、アーディ」
「うん! 行こう!」
レッツゴーとダンジョンに向かった二人であった。
ダンジョンには上層、中層、下層、深層などに分かれている。詳細は省くがダンジョン内にもボス的なポジションである階層主がおり、逆に全くモンスターの発生しない安全地帯もある。
そのようなダンジョンではタカを括っているとすぐにやられるので二人は慎重に慎重行動していた。
常に周りに気を配りモンスターだけではなく人の気配も感じ取っていた。特にリューはこのような事は朝飯前である。何せ前はお尋ね者であった。アーディが疲れるからリューが基本的な気配を感じ取って進んでいく。このまま進めば予定より早くに5階層を超えられる。
まぁダンジョンではイレギュラーだらけなのだが。
ザシュッ! バギッ、
そう音を立ててアーディはゴブリンを倒した。自分が五体倒しているその間にもリューはもうゴブリンの群れを蹴散らしていた。正直もう差が開いている気がする。そんなに年齢変わらないし、オラリオに来たのは私の方が早いはずなんだけどなぁ。と疑問に思うアーディだが年二桁いってないのにゴブリンに対応できていたら十分化け物である。リューが規格外なだけで、アーディもかなりの使い手である。
「リオンはすごいなぁ」
「? いえ、アーディも見事な剣捌きだ。きっともっと強くなります」
「ありがとう」
リオンのこういうとこは無意識なんだろうなぁ。何だろう信頼が厚いというか掛け値なしの賞賛というかなんというか。こそばゆいものがある。
「ここら辺はもう出ませんね。では休憩した後早速六階層に行きます」
「いよいよだね」
ゴクリと唾を飲む音が妙に大きく聞こえた。それだけ緊張しているという事だ。それを察したリューが
「アーディ、無理していつも以上に頑張ろうとしないで下さい」
「ん? なんで?」
「そう気を張っているといつもより疲れるのが早くなりますし、何より動きが硬くなる。私も経験がありますから。頑張ろうとするのは良い事ですが、肩の力を抜いてください。大丈夫です、いつもの調子なら次の階層も抜けられます」
「……うん、分かった」
経験ってなんの? とか思ったけど何も言わないことにした。今の言葉のおかげで余分な力が抜けた気がする。何かリオンはこう断言するんだよなぁ。それが安心するから不思議だ。まるで歴戦の戦士みたい。
まぁ間違ってはいない予想を繰り広げているアーディであった。
「よっし! 行こう」
「はい!」
そう言って下って行った二人をとある冒険者が見ていた。
「あんな子供がダンジョン内に何でいるんだ?」
エルフ特有の長い耳と緑色の綺麗な長髪を後ろに束ねた。エルフの王族、リヴェリア・リヨス・アールヴ、二つ名は
「さぁ分からん。だが一人は儂どっかで見たことあるぞ?」
顔の半分を覆う髭を持つドワーフの男である。ドワーフの戦士であるガレス・ランドロック、二つ名は
「ガネーシャファミリアのシャクティの妹のアーディだね」
少年のような顔立ちをした好青年。小人族の復興を願いに掲げるフィン・ティムナ、二つ名は
「おお、そうじゃそうじゃ」
そう、ロキファミリアの最高幹部である。
では何故いるのか。
それはダンジョンで怪しげな行動をしている奴がいるから調べてこい、ついでにダンジョン内の治安を見てきてくれとギルドからの強制任務である。正直もっと他の方に集中したい。遠征とか。しかし、強制なので行くしかない。幸いこの3人ならいくら強力な敵が来てもどうにかなるだろうという事でこんな戦力の高いチームができあがってしまった。
まぁ戦力があることに越した事は無いし、この3人の連携はオラリオ随一だから、この3人で解決できないとなったらもうお手上げである。ギルドも必死である。
「うーんでも僕でも見た事ないなぁあの覆面の子はね」
「儂もじゃ、誰じゃ? あの覆面の子は?」
「耳がとんがっているのが見えたから恐らく同胞だ。というかそんなことよりだ。何故あのような年端の行かない子供たちがダンジョンにいるかだ。何故主神は止めていない」
主神の顔が見てみたいと零すリヴェリアである。その頃主神は薄寒さとくしゃみをこさえていることだろう。何か凍らされそうだとか思っているに違いない。
「さぁな色々あるんじゃろうて、なんじゃ他派閥の心配か? リヴェリア?」
「他派閥だろうが何だろうが、あのような子供をこんなところに来させていい訳ではない。少なくとももう少し待つべきだ」
「まぁリヴェリア、落ち着こう。多分だけれどあの子たちの独断ではないかな? ガネーシャやアーディの姉のシャクティがそう簡単に認めるはずはないと思うよ」
「しかし」
「そこまで気になるならちょっと様子を見て行こうか。何、もしかしたらターゲットが釣れるかもしれない。それに治安も見てこいとのことだからね。ちょうど良い」
親指が疼いているというフィンに首を縦に振るリヴェリアと、少しため息をついたドワーフがいた。そうして二人に気づかれないように付いていくことに決めた3人であった。
その頃リュー&アーディ
「やぁ! ハッ! てやぁぁぁぁ!」
だんっ! ザシュッ! バン! という音を立ててモンスターを倒していく。1階層下に行ったくらいだがモンスターの生まれる速度は上よりやはり早い。二人掛かりでコバルトやゴブリンを蹴散らしていく。
(凄い、リオンまだ早くなるんだ)
アーディはただただ驚いていた。何せ5階層の戦闘よりもリューの速さが上がっているし正確に魔石部分を壊していく。正確無慈悲と言えるほどだ。アーディも頑張って倒しているがまだそこまでには達してはいない。
「そろそろですか」
「えっ? 何が」
コバルトとゴブリンを蹴散らした辺りからリューがほぞっと何か言っていた。必死すぎて何も聞こえなかったけどそろそろって?
「アーディちょっと強敵がきます。いつものようにお願いします!」
「うっうん! 分かったよ!」
気合を入れ直す。リューがそこまで言うのなら凄い奴が来る。そう確信していた。何せずっと二人でダンジョンに潜ってきたのだ。今更疑う余地もない。
そして壁から影が生まれた。
「えっ! 何あれ?」
「アーディ、落ち着いて、あれはモンスターの一種です。一見影のように見えますがしっかり魔石部分もあります。いつものように動きを見て冷静に対処してください」
「了解! リオン!」
そう言うことならとまずは頭の方に剣を突き刺す。手応えはあったが恐らくかすっただけだ。すぐに剣を引き、距離を取る。チラッとリューの方に目を移すと速さで翻弄して魔石を一突きだ。流石! リオンとか思ったが影がその爪で攻撃してきたので前転して避ける。ちょっと腕にかすったなぁ。ピリッとした。
「ふっ!」
そして影の後ろに周り精一杯の力で影の体を縦に切り裂いた。よし! 次と標的を移す。そうしているうちにあらかた倒したのか影が居なくなっていた。必死すぎて見えてなかった。
「アーディ、お疲れ様でした。良い動きでした」
「……ふぅ、ふふん、でしよ! でもリオンすごいねまだ速くなるんだもん」
「まぁ速さは取り柄の一つですからね」
「うふふ、そうだね!」
そう言っているとリオンが包帯を取り出して私の腕に巻いた。
「怪我をしています、応急措置ですが」
「ありがとう! リオン」
忘れてた。というかリオンは無傷かぁやっぱ凄いなぁ。
「まぁ大丈夫ではないか?」
「あの歳で何であんな戦闘慣れているんだ?」
「うん、駆け引きも仲間のカバーもうまかったね」
そう話しているのはロキファミリアの幹部3人である。戦闘の一部始終を見ていた3人の感想がこれだ。アーディの方はまだ改善点はあるが六階層くらいなら潜れるくらいの戦闘能力はある。
覆面のエルフの方はすごく駆け引きも上手で、仲間のカバーもうまい。正直この子がいなければアーディの傷もあの程度ではなかっただろう。さりげなくアーディに向かって行ったモンスターを蹴散らしていたり、狙いやすくしていたりととにかく歳の割には色々うますぎるとしかいえなかった。
「あぁしかし、エルフの里にあんな戦闘民族みたいな一族は居なかったはずなのだがな?」
「まぁ外から来た場合もあるじゃろう?」
「二人共雑談はここまでだ何か来る」
その瞬間ダンジョンの地面が揺れた。
いや、正しくは何かを生んだ。
「えっ何?!」
「落ち着いて!」
そうして揺れが治まった時壁から無数のモンスターが発生した。
コロシアムである。
モンスターが無尽蔵に生まれる。いわばモンスターのごった煮状態。
見たものから殺していくいわば殺し合いの場。それがコロシアムである。
「おいおい、ここは六階層だそ? 何故コロシアムが発生しているんだ」
「ダンジョンだからね、イレギュラーぐらい起こって当然だけどこれはおかしいね?」
「とにかくあの二人を守る、詠唱に入るぞ!」
そうして詠唱に入るリヴェリア。その間に飛び出していたガレスは二人のもとに駆け寄る。フィンはリヴェリアに敵が行かないように足止め。六階層くらいのモンスターなら素手でも事足りる。
「おい! 大丈夫か?」
「えっ?! ガレスのおじちゃん」
「おじ……まぁ良いわい、そんなことよりここから逃げるぞ! お前たちではすぐにモンスターに殺されるわい」
「だよね! 行こうリオン?」
「……」
リューはその場から動かない。アーディが腕を引っ張ってもびくともしない。
「どうしたの? リオン?」
「おい! そこのエルフの子供早くせんか!」
「……来る」
「えっ?」
そして、壁から何か生まれた。身体中に茶色の毛が生えて目が赤い。そして、頭にツノがある、そうミノタウロスだ。
そして、さらに
緑色のモンスターが生まれた。芋虫みたいな体に赤い模様や黄色の模様が入った見たことも無いモンスターだった。
読んでいただきありがとうございます。
ソード・オラトリアのあの人がいつ頃からいたのか良く分かっていませんが、オラリオ暗黒期の頃には(死の七日間の頃)もういてレベルもある程度あったのでこの頃にはもういたのではないか?という作者の独断です。それでも芋虫がいるかどうかは五分五分ですが。