FGORPG ノンケがエンジョイプレイ   作:秋の自由研究

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ネロ・ジャンヌオルタサイド:余こそがローマである

「尊び、敬っていたのだ!」

「雄ォォォッ!」

「ローマの偉大なる神祖を! 余は! 間違いなく! しかし!」

 

 紅い隕鉄の輝きが、建国の槍と打ち合う。武器の格の差は、そのまま両者の格の差であるはず……しかし、それでも。決して、紅い少女は、建国の祖に押し負けていない。寧ろ勢いだけなら、彼女の方が上かも知れない。

 

「今、この時! 皇帝は! 余、唯一人! ローマは! 余が治めるローマ、唯一つである! 余は、そう吼えねばならぬ! 皇帝ゆえに! ならば余のローマを脅かし、偽りのローマを騙る不届き者は、例え神祖であろうと!」

「熱い。良い! それでこそ……!」

「我が手で、討ち果たすのみである!」

 

 薙ぎ払う剣の一撃を受け、一歩ロムルスが下がる。しかし、その一歩の隙を、もう一人は見逃さない。付け入る隙あらば、一瞬で彼女は食らいつく。卑怯卑劣、上等。それこそが彼女の戦い方だ。

 

「そっちの皇帝サマにしか興味ないって訳?」

「――これは、抜かったか」

「あんまり舐め腐ってると、内臓から燃やすわよ筋肉達磨!」

 

 降りぬかれた旗が、ロムルスのテンプルを捉えた。ガツン、と景気のいい音、しかしそれに満足せず、まるでバトンの様に旗を振りまわし、先端の刃で、徹底的にロムルスを切りつける。逃がさぬ、と言わんばかりに。

 

「ほらほらほらほらっ! 神祖風情が、私の前に立つんじゃないわよ!」

「お主! 風情とは何だ風情とは!」

「いやアンタさっきまで思いっきり切り付けてたじゃないの! どの口でそのセリフ吐いてんのかしら!?」

 

 サーヴァントとして、間違いなく格上の相手。しかし、二騎の動きは、ここに来て恐ろしいほどに噛み合っていた。片や負けん気、もう片方も負けん気。二重の負けん気が、螺旋を描き、巨大な壁を穿とうと回る。

 

「良い」

 

 しかし、それら全てを受け止めて尚、神祖ロムルスは健在。恐るべきは見た目にそぐわぬその、圧倒的なタフネス。雄々しい肉体は、決して飾りなどではない。

 

「良い。新しきローマの(ローマ)、真作に迫らんとする(ローマ)(ローマ)を、更に滾らせる。試す、唯それだけの積りが……ふふ、何時までも、続けたくなる。何と心地よき事か」

「呑気な事言ってんじゃない。アレだけ叩きこまれたってのに」

「油断するな。相手はローマを築いた建国の祖、まだまだ底は見えていないぞ」

「油断!? 此奴相手に!?」

 

 牽制とばかり放たれた焔を、槍で引き裂きながら更にロムルスは此方へ進んで来る。それを見て、思わず、と言った様子でオルタは舌打ちを一つ。

 

「する訳ないでしょうが! こっちは今の所、致命傷一つ与えられてないんだから!」

「ぐぬぬ、意気で負けてはおらぬとは言え、現実は厳しいか……避けろっ!」

 

 そして、其処に振り下ろされる建国の槍。焔を煙幕代わりに離脱しようと画策するオルタだが、その焔も瞬く間に一文字に裂かれ、更に一歩踏み込んでくる。

 

浪ォォォオオオ漫(ローマ)!」

「なっ」

「――だから、油断するなと言ったではないか!」

 

 そこに割り込むネロの一太刀。オルタに集中している今こそ好機と取ったが、しかしその一撃を、何と避ける事すらしない。その筋肉隆々の肉体で、受け止めて見せた。僅かに食い込み、血も滴っているものの、大きな痛手にはなって居ない。特別な逸話がある訳ではない。単純に、その肉体が鋼の如く極められているからこその離れ業。

 だがしかし、それはネロも承知の上。故に、その一撃の狙いは一瞬でも足止めして見せる事、その一瞬で続いて狙ったのは、足だ。

 

「やぁああっ!」

「舐めるなっ!」

 

 足に刻まれる一閃の傷。機動力を奪ったと見るや、オルタも続いて其処に、焔を思いきり叩き込む。特に切り裂かれた足の傷周りには、薬でも塗り込むかのように徹底的に。波の如く、更に焔が押し寄せる。

 

「ぬぅっ!」

「はっ、流石に効いてんじゃないの!? なら、もう一発!」

「畳みかけさせてもらうぞ!」

 

 ヒールも真っ青のダーティプレイに、さしものロムルスも、再び僅かな隙を晒す――というより、ここまでしなくては隙を晒さない、それこそが脅威ではあるが――そこに、ネロの隕鉄の剣の袈裟切り、オルタの旗の突きが、その肉体を更に切り裂いた。

 

「……どうだっ!?」

「――むぉおおおおっ! ローマであるゥ!」

「ええぃ、ダメかっ!?」

「此奴本当に人間!? いくら、サーヴァントって言ったって……!」

 

 だがそれでも、仕留められない、動きも止まらない。オルタからは、全てを踏み潰す重戦車の様にロムルスが見えてきている。

 

「怯むなっ! どれだけ怪物染みているとはいえ、形ある者だ! 不死身などと言う御伽噺がある訳がない!」

「そんなの分かってるわよ! けど倒せないなら不死身と同意でしょうが!」

「それを言うな!」

 

 そんな二人に対し、しかしロムルスは再び突っ込んで来る事はしなかった。寧ろ、その手に構えた槍を、砂地に向けて突き刺してしまう……と、同時だった。

 

「――っ!?」

「見事である。熱く滾る其方達のローマ、見せて貰った。故に、(ローマ)も出し惜しみをする訳にもいかぬ。見せよう、余の建国の槍、その全てを」

「マズいっ……宝具! 止めるわよ高慢皇帝!」

 

 解き放たれたのは、濃密な魔力。建国の槍が奇跡を起こさんと脈動する。サーヴァントについて、概要しか知らないネロとは違い、オルタは彼らの切り札足る宝具の恐ろしさを良く知っている。

 

「何だか知らぬが、分かった! やるぞ!」

「(つっても……間に合うかっ!?)」

 

 故に、オルタは宝具の多様性についても良く知っている。威力に特化している物。守りに重きの置かれた物。姿を欺く物、幻を見せ相手を騙す物、中には言葉に言い表すのが難しい奇妙な効果を持つものもあり……そして、速攻で撃てる様な、回転の早い宝具も存在している。常にその力を発動できるような宝具もある。

 

「(それだったら……この高慢皇帝と心中!? 冗談じゃない!)」

 

 救いなのは、いかに発動が早い宝具とは言え、ほぼノータイムで発動という訳ではない事である。それまでに霊核に致命傷を叩き込めるかが問われるが。それが出来るかどうかとなれば……ロムルスのタフネスは今さっきまで見せつけられたばかり。

 

「(くそっ、あと一手、一手何かあれば……!)」

 

 せめて、確実にロムルスの宝具発動をを止めるような、重たい一撃を叩き込む事が、出来れば……そう思った、その時だった。

 

 ――ドスンッ!

 

「ヌアッ!?」

 

 ロムルスの背後から飛んで来た何者かが、ロムルスの体に強かに叩きつけられた。飛んで来た方向を見れば……ちらりと見える、紫の髪。しかしそこからすぐに視線をロムルスに戻す。

 

「チャンスよ! 皇帝サマ!」

「承知した! ――余から行くぞ! 後から続け!」

 

 吠えるオルタに、応えてネロが動き出す。真っ直ぐに突っ込んで、肩に担ぐようにし渾身の力を込めて、衝撃で態勢を崩し、前につんのめったロムルスに向けて……一閃! 文字通り、真一文字に胸に大きな傷を作り出す。

 

「直撃だっ……」

「良くやりました! ――今度は、こっちの番よ!」

 

 そして、その一撃が入って、声も無く仰け反ったロムルスに向けて更に、オルタが向けるのは……腰から引き抜いた自らの剣。

 

「そこに居る奴とまとめて、焼き尽くしてやるから覚悟なさい……!」

 

 差し向ける剣に合わせ、焔が渦を巻き、その炎に気付いたネロが一歩下がったその直後にその焔が更に天へと巻き上がっていく。まるで、その中心に存在する二騎のサーヴァントを包囲し、逃がさぬとでも言わんばかりに。

 そして、その焔の中心からせりだして来るのは、黒い切っ先。

 

「これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮ぉお! 『吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)』!」

 

 先ず、焔がロムルスと白いサーヴァントを存分に焼いて見せる。容赦の無い足止めから、畳みかけるのは無数の槍。足を、胴を、肩を。容赦なく刺し貫き、その体を天へと捧げ、その姿を竜の魔女は嘲笑う。

 

「このまま焼き尽くして……っ!?」

 

 その直後、オルタの視界に入って来たのは、白い輝き。それが味方の宝具であることを悟ったオルタは……焔の出力をさらに跳ね上げた。

 

「上等じゃない。塵も残さず消し飛ばしてやるっての!」

 

 ――流星の如く天より落ちる天馬。地より敵対者を焼きつくす焔。二つが二騎のサーヴァントを確実に捉え……最大限迄膨れ上がり、白と赤が、混ざり合う事も無く、暴れ、爆ぜていく。

 そうして、後に残ったのは。

 

「――終わった、か?」

「アレだけやって、まだ生きてたらもうサーヴァントでもないなんかよ。見なさい。もう跡しか残ってない」

 

 天へと立ち上っていく、ほんの僅かな、黄金の輝きの欠片だけ。それを見て……少し、ネロは哀し気な表情を浮かべていた。

 

「神祖殿……余は、決して。皇帝として恥じぬ振る舞いを、これからも続けて行く。見て居て下され。ローマの栄光を。終わらぬ、栄光を」

 




ここだけの話、ロムルス陛下をこの二人だけでは削り切れないと思ったゆえのメドゥーサさんとの同時宝具です。私の想像力がローマの前に敗れ去ったのである。余りの情けなさにセプク案件。
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