FGORPG ノンケがエンジョイプレイ 作:秋の自由研究
「……エイリーク氏、結局追い詰めきれずかぁー。精神コマンド倍プッシュするべきだったのではー孔明氏?」
「いや、精神コマンドの無駄遣いは基本的に下策……では無くて。グンヒルド嬢の強化呪術を精神コマンド扱いするのは、流石にマズいだろうティーチ提督。如何に君とて戦闘継続とはいかんぞ」
「ホント奥様怖いでちゅよね。泣いちゃう」
――恐らくはもう手遅れで、背筋にハッキリとした悪寒が走ったのは、孔明には隠す事にした。恐ろしい、訳ではないが無駄に問題を拗らせるのも宜しくはない。自分がトップであればまだしも、今はそうではない。精々の如く傍若無人に振舞うのも悪くはないが、ある程度周りに合わせる知恵が無い訳ではないのである。
「とはいえ、彼女に協力を仰いだ試験運用は成功した。後は、実行に移すだけだ」
「というか、人理を救う戦いに旦那を投入して活躍させるっていう大義名分一つであそこ迄協力的になるとかエイリーク氏何というリア充……」
「その代わり、彼の呪われ具合は極まっているが。そうなりたいか?」
「いーやー何という愛情メガトンボム。ブラックホール生みそう」
「出来ない、と言い切れないのが彼女の恐ろしい所だが……いや、話題がズレたな。それでティーチ提督。どうだ。例の計画、実行に移せそうか?」
そう目の前の軍師に言われ、黒髭は今までの船の様子を思い出す。今までの兵士の性能を考えて、アレを基本として考えれば、確かに。
「いけますぞー。ホントにカタログスペック通りに出せるならですけどー」
「そうか。であるなら大丈夫だ。先ほどのエイリークの戦闘の記録から、いよいよひな形は完成した。後は出力するだけ。実物が出来上がらなければ……という心配もいらん。協力者からは太鼓判を押されている」
「……奥方も凄い事考えるでござるよなぁー。容赦が無いというか」
「先の海賊を強化して兵力として運用するのもここに繋がっているのだから、用意周到なのは間違いないだろう」
彼女曰く、人間を模したものを作るために、人間の動きをしっかりとトレースする必要がある。という事でアレですら実験の為に運用していたにすぎないのである。
「しっかりとモデリングしてる辺りモデラ―の鑑」
「評価点はそこなのか……?」
「トーゼンでしょ!! 形が伴わなきゃ中身も伴いませんぞー。健全な魂は南斗やらって言うじゃないのですの」
「……健全な肉体に宿る、だ」
「そーそーそれそれ。器をテキトーに作るとか言い出してたら即却下でしたぞー」
彼は、自分一人が居ればある程度は何とかなる、と思って居る類の者ではない。寧ろ自分の手足となって動くような人材がしっかりいた方が何かと楽に戦えるだろうというタイプの人間である。
故に今回の兵士の補充作戦、それなりの質の物だと分かって、正直ほっとしているというのが正直な所だ。あの残忍非道の黒髭様が何を言うか、というのは分かっているが。
「後は、船か……コレに関しても、改めて製造するしかない訳だが」
「拙者の船はー?」
「常時稼働に出来るレベルの魔力を搭載するにはもう少しかかる。とはいえ、量産型サーヴァントの生産体制が整って来たのだから、其方も直に整うだろう……新海賊島、ヴァイキング・トルトゥーガ島はもう完成間近だ」
「いやー、本当に見事ですわなー。この前まで唯の要塞だったのに」
目の前の軍師が整えたこの拠点も、それ相応に固い砦ではあったのだが……エイリークの素性を知ってから交渉を開始した相手と言うのが、想像以上の魔女であったのは間違いなく。大軍師と古き魔女の合作の要塞が、今や完成間近となっている。その完成度と比べれば、先の城塞も見劣りするというもの。
「しかし、量産体制、本当に大丈夫なんですかな?」
「グンヒルド嬢に協力を仰いで作り上げたこの城塞を余り舐めない方が良い。今は聖杯を用いずとも、量産するのは容易い」
「これは戦略ゲーやりこんだゲーマーの笑い」
「……まぁ、最上級ユニットを量産するのはやり込み要素の一つではあるが」
それは兎も角、と軍師は咳払いを一つ。
「戦力の立て直しが終わったら、今度は此方のターンだ。カルデア、島の魔神柱、二つの勢力を纏めて叩き潰す」
「つっても、その立て直し時間かかるんとちゃいますー?」
「完全な立て直し、となるとな。しかし質を上げた兵力と船も強化の目途は立っているのだから、数は最低限で十分だ」
その目が……当然ながら、自分の船も戦力として当てにしている、というのを言外に告げていたのである。そこまで強大な戦力として数えられるのも正直、面倒だと思わないでもない。自分の上司は、自分より圧倒的な力を持っているサーヴァントなのだから、そっちを主軸にすれば良いのではないかと思ってしまう。
「――ま、仕事任されてる分、最低限は働きますけどー。拙者は別に特異点がどうとかそうのには興味ないんで……そこ、分かってございます?」
「当然だとも。海賊にして、我々の水軍を率いる君に対する報酬は最大限に支払うさ」
「たのみますぞー。ありきたりな金銀宝石とか、もう拙者の目からはアウト・オブ・眼中ですからな」
とはいえ、報酬はある。それを受け取りさえすれば……軍師と、総大将のいう、人理修復の旅に付き合うのも、構わない。海賊流の荒っぽい略奪を許可してくれるのであればいう事はないが。
「――お主ら! ここにおったか! 探したぞ!」
「……ライダー……いきなり大声を出して入ってくるんじゃない! 耳が潰れる!」
「おぉっ? そうか? そこ迄大声を出した覚えは無いんだがのう……まぁ良い。残りの提督共も戻って来た。早速、軍議と行こうではないか! ほれほれ早く来い! ヌハハハハハハッ!!」
――確か、そいつ等は例の島の守りに回していたという話だったのを覚えているが。呼び戻した、という事はその島は取り敢えず放っておいていい、と言う結論になったのか。それとも。取り敢えず、今考えても仕方ないので、先ずは目の前で『仕方ない』と言った風に腰を上げた軍師についていく事にした。
「――これからのおおよその流れは、こんな感じになる。と言っても、全ては戦力の補充計画が済んでからだ。それまでは引き続き、今の任務に従事してくれ」
「閑職に回されたヘクトール氏物凄い可哀そう……」
「と言ってものう。陸地で、相手を足止めするのが有効だと分かったのだ」
「ヘクトールをあの島の鎮護に回すのは必然だとは思うが」
「それは正論」
あのエイリークの数少ない抑え役だったのだが。新規に補充される兵隊の屈強さに期待するしかないだろうか。最悪、膝撃ち抜いてでも……等と考えていたら、誰よりも真っ先に隣の二人が立ち上がった。
「おや? お二人共もう離席ですかな?」
「なんですの離席って……今言われた任務に就くだけですわ。先行で量産されていた者を見て、どんな感じなのか把握する必要がありますので」
「今までの奴らよりも荒くれだったりしたら扱いを気を付けないといけないから」
「――その辺りに関しては問題は無い。上の命令を順守するように調整はしてある」
それはそれで若干、物足りない所が無い気がしないでもない。少しくらい反骨心が有る奴の方が、火事場においては予想だにしないパワーを発揮する事もあるのだが。海と言うのは何処まで行っても荒れるのが確定している以上、画一的に指令を遂行するだけでは僅かに足りない部分が出てくる。
「そうですの? でしたらまぁ……」
「じゃあ猶更さっさと向かうよ。ここに居たらソイツのいやらしい目線に晒される事になるからね……全く、何時でも真面目にやって欲しいよね」
それは否定はしない。とはいえ、手を出す積りも無いが。幾らなんでも目の前の二人に手を出すとか難易度が高すぎる。そこの二人がそこら辺の輩よりも良い女であるのは、余りにも分かりやすいが。
「では二人共。カルデアの追討任務、任せるぞ」
「えぇ。お任せくださいな。何時までもそこの変態を筆頭、何て呼ばせていられませんから。さっ、行きましょうメアリー」
「オーケー、アン」
正直な所、自分が筆頭、等と呼ばれているのは、彼自身『何故だろう』とは思うのである。別にそこそこ海について知っていたのは確かだが……提督、等と言うのも少しこそばゆい。そう呼ばれるべきは……寧ろ……
「――すいません、拙者もちょっと離席―」
「お? 何だ、二人には負けておられん、とばかりやる気を出したか?」
「ん、まぁそんな所ですな。それでは」
――そんな
思い出してしまった。あの闘いを。自分の目の前で、あっさりと不利な状況を覆して見せた伝説を。自分とサシでやり合った伝説を。生きた、生きている、生き続けている、自分にとって、最高の……
そこまで考えて、ふと自分の掌から血が溢れているのに気が付く。少し興奮しすぎて、掌を破いてしまっていたらしい。
「いけなーい……
自分の番は未だ来ない。ならば、せめてその時まで……エドワード・ティーチは、牙を研ぎ続けるのだ。
黒髭氏を書くのが一番難しいと気が付いた今日この頃。
追記:明日はちょっと用事が有って投稿が出来ないゾ~。申し訳ナス!! 僕を死刑にしてください……!!(反省)