FGORPG ノンケがエンジョイプレイ 作:秋の自由研究
――被害はそこそこだと思いたかった。
実際船体だけで考えるなら、被害はそこまで大規模という訳ではない。だが致命的なのはそれ以外だ。海賊船として、必要な火力が、全くもって根こそぎやられている。ここまで徹底的だと、賞賛してやりたい位である。
「……こりゃあ、やられたねェ。派手に」
『どうですかキャプテン・ドレイク。航海に関して支障等は……』
「まぁアンタ等の仲間が一緒になって対処してくれたからね。それくらいは何とかなるけども……問題は武装面だ。全部やられちまってる」
砲台は徹底的に歪ませられ、弾薬庫の火薬は軒並み海行きだ。マトモに使えるのはどれだけ残っているかを考えるだけで、頭が痛くなってくるレベルだ。攻撃能力を失うだけで済んだ、と言いきれればどれだけ楽か。
「正直、この船の有様じゃあ、無理だね」
『無理というのは……』
「戦力を纏め次第、奴らに挑む計画を立てる積りだったんだろう? 正直、それ以前の状態になっちまったのは否めない」
『……そう、ですか。敵の船の装備を奪うというのは?』
「考えたけど、船に合わない装備を積みこんでも待ってるのは碌でもない結果だけだ」
船のバランスというのは本当に緻密なバランスの上に成り立っている。敵船の装備を奪って自分の船を立て直す、って言うやり方が通じるなら、海賊はもっと栄えていたかもしれない。基本的には船諸共鹵獲しなければ、その船の設備を使える事は先ずない。
「暫くは、海を進めるだけの棺桶だね、こりゃあ」
『……ここは、敵の領内と考えると』
「致命的、どころの騒ぎじゃないわね。だったら敵の船諸共奪う?」
「それが一番現実的だけど……敵も馬鹿じゃない。こっちに大人しく船渡してくれる訳もないだろう。最悪、火を放って逃げる位はするさ」
そんな愚かな真似、理性のある人間がするか? する、とドレイクは言い切るのに何のためらいも無かった。海賊、というロクデナシ共を相手にして来たからこそ。追い詰められた人間はそれこそ自壊に相手を巻き込む位の事は軽くするだろう。
しかし、だからと言ってこの棺桶に命を預けられるか、と言えば。と思って周りを見れば、周りにはとんでもない超人ばかり。
「……むしろこのまま棺桶で、アンタ等に攻撃担当して貰った方が普通に戦えるんじゃないかね、アタシら」
「いやいやいやいや船長、諦めないで」
「んー? 私、船の砲台よりは正確にビシビシって撃てるけどー?」
「おいアルテミス、アルテミス、そう言う問題じゃないんだよ」
いかんいかんと頭を振って考え直す。
「……って言ってもねぇ。船体は兎も角、武装に関しては替えが効くかって言う話なんだ。船に合う様な砲台を持って来ないと」
『んー……設計と作るだけなら私も出来るけど、量産となるとねぇ。材料がない』
「あぁ!? 作れはするのかい!? ったく、とんでもないねぇアンタ等の所は!」
『出来なきゃないのと変わらないさキャプテン・ドレイク』
それは全くもってそうだが。
「ロマニ、何とかならない? 修理とかできない?」
『いやぁ……無理なんじゃないかな。多分僕らに出来るのは、ドロドロに溶かすか、粉々に砕くか、ぺちゃんこにするかくらいだと思うよ』
「いやぁートドメ差したい訳じゃないからなぁ……」
その言葉を聞いて、黒い二人がなんか凄い顔をしていて、盾を持った少女が首を傾げているのが少し気になったが。ドレイクとしては其処に突っ込むのは正直藪蛇だったので取り敢えずスルーする事にした。
という事で、砲台に関しては、同じものを調達するのは先ず無理だという事は間違いないだろう。となれば、方法は限られている。
「船を調達するのは無理。となれば」
「新しい武器を調達するしかないって事かい船長。そうだな。武器を調達しないって言う選択肢はねぇからな」
言葉を継いだのは、禿げた男、ヤストモ。野郎共と同じ空気を感じる男が、バシッと拳を打ち鳴らしている。
「つってもよ相棒。そんな武器なんて何処にあるって言うんだ?」
「案外その辺りにでも転がってるんじゃねぇか? 特異点にサーヴァントが呼ばれるみたいにさ」
「あのなぁ……お前の頭みたくツルツルの弾丸はそう無いんだよ」
「おう俺の頭をツルツルと申したか。さては戦争か?」
……で、なんかいきなり取り合えずぶん殴りあいを始めた男子二人は置いておくとして。やはりあの禿げ頭は血の気の多い性質らしい。でもって、周りが特に何も言わないのは慣れている証拠だろうとデオンは判断した。
「マシュ、適当な所で仲裁に入っておけ」
「は、はい」
「あいや待たれヨ、マシュマロ娘。仲違いを破壊するのはキャットの役目なのだな」
「えっ?」
「まぁまぁ、キャットに任せておこう……それで、藤丸が言ってた事も間違いじゃないだろう。こんな砲台なんて、そう簡単に転がってる訳もないが。誰かありそうな場所を知っている人は居るかい?」
多分マシュの性格では仲裁が上手く行くかどうか微妙だったから変わったな、という辺りは、流石に付き合いの薄いドレイクにも分かった。
で、話を再開したデオンの言葉に……女神アルテミスは小首を傾げ、エウリュアレはハテナマークを浮かべるアステリオスの肩の上、明らかに興味がなさそうな顔で空を眺めている。ダビデ、アタランテの二人は黙って首を振って、メディアは申し訳なさそうに頭を下げた。
『んー、となれば色々巡ってみるしかないか。しかし、その間は常に敵の襲撃に気を張らないといけない訳で……きついかなぁ、やっぱり』
「最悪船自体の武装面は諦めると仮定して、時間制限を設けて探すのが良いと思う。そうじゃないといつまでも探し回って、無駄に消耗するだけだと思うし」
『うーん……キャプテン・ドレイク。何か意見は?』
「……まぁ、アンタ等が砲台の分の戦力になってくれるのは疑いようもないしね」
本音を言えば、自分の船だ。しっかりと武装迄整え直したい、という欲がないかと言えばウソになるが。しかし現状、それが難しい、というのはこの海を渡って来た彼女が一番よく知っている。
「――
「おやマスター。じゃれ合いの時間は終わったのかい?」
「揶揄うのは止してくれ。恥の感情くらいはあるんだ……で、話を聞いていた限り。真っ先に行かなきゃならん場所、見逃してる気がしないでも無いんだが?」
そんな空気に……どうやらあの猫っぽいのに制圧されたのか、ヤストモが口を挟む。言葉に全員が頭に疑問符を浮かべ……それを気にせず、彼は此方に視線を向けた。
「アタシかい?」
「そうだとも。なぁ船長。その胸の聖杯、確かポセイドンだか何だかを、ソイツの居た町諸共ぶっ潰して奪った。間違いないな?」
「ん? あぁ。そうだ」
思い出す。あの訳の分からん、海神を語る不届き者。十二神の復活だか何だかを掲げて暴れ回った。多少やっかいではあったが、最後には派手に海の底に沈めてやった。アトランティスとかいう町と一緒に。
「で、ソイツが居た場所は、紛いなりにも神様が居た町な訳だ。したら何かしらとんでもない武器の一つも眠ってるんじゃないかね」
――その言葉に、全員がはっ、と息を呑んだのが分かった。
「そっから奪ったのは、財宝とかだけな訳だし? 武器、奪った?」
「い、いや。それは……全く」
「んじゃあ現状、武器か何かが埋まってそうなのはその辺りしかなくないか? 海を割いたり天候を操ったり。そんなバカみたいなとか」
『――そこまでは無いかもしれないけど、確かに!』
神の都の武器。そう言われると、なんだか凄そうなものが埋まっている気がしないでもない。どうせ他に候補地も無いのだ。ドレイクの中で、既に向かうべき場所は決まった。久しぶりに海賊らしい事が出来るかもしれない。
「となれば、もう一回行くかい? ボンベ!」
「えぇっ!? い、いやアレとぶつかったのってどの辺りだったかなんざ……!」
「辿っていきゃあ思い出すだろ!」
目標は決まった。
ドレイクは、野郎共に指示を出しつつ……ふと、ハゲ頭の方を見た。誰も彼も忘れていたというのに、何故このタイミングで、しかもそのハゲ頭が思い出したというのか。自分ですら忘れていたというのに。
「あたた……けど、よく覚えてたな相棒。そんな事」
「んー、あー。いや、俺も別に覚えてた、って訳じゃないんだよ。覚えてたらさっき言ってただろうし」
「そりゃあそうか。じゃあなんで急に?」
「なんつうか、
「感じた?」
その彼は、髪の無い頭を、ガシガシと搔くばかりである。
「あぁ。なんか、海の向こうから。こう、首筋の辺りにビビビッと来た」
「……なんだそれ」
「なんか凄そうなもの埋まってる場所がないか、ってみんなが悩んでいるのを見て、
「いやそれヤバくね?」
「ヤバいかなぁ?」
能力を封じてもしっかりフラグは立てて行くスタイル。