FGORPG ノンケがエンジョイプレイ   作:秋の自由研究

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幕間:煮えたぎる海賊

 その光景、正に御前会議と言えるだろう。

ライダー、イスカンダルを中心に傍に控えるキャスター、諸葛孔明。そしてその前にずらりと並んだサーヴァント達。ライダー、アンとメアリーにその間に堂々と立つ黒髭。その後ろに、バーサーカーのエイリークと、ランサーのヘクトールが控える。

 そして、イスカンダルの後ろには……彼らが独自に作り上げた巨大な海図。そこに書き込まれている情報は、最早海図を別の絵画か何かに仕立て上げる程に多い。

 

「――さて、お主ら。いよいよ決戦の時だ!!」

「と言っても、度重なる襲撃と、我々の誇る二人の提督の強襲で、戦力はほぼそがれていると言っても良い。此方が有利に立っているのは、間違いない」

「ふふ」

「一歩リード、かな? 黒髭船長?」

 

 そう言ってメアリーに挑発されるが。肝心の黒髭はと言えば……呑気に鼻をほじって掘り出した中身を吹き飛ばすなどしている。完全にどこ吹く風、といった印象だ。

 

「……コイツは」

「が……油断をする事はしないで欲しい。未だ、向こうのサーヴァントは一人たりとて討ち取れていない状態なのは間違いない。それに、此方の最悪の懸念である、ダビデの宝具は未だ見つからないとなれば。巻き返される恐れは十分にある」

 

 その言葉に、少し顔を顰めていたメアリーも、改めて表情を引き締め直す。

 所詮サーヴァント風情、等と彼らは油断しない。故にこそ、こうしてわざわざ作戦会議の時間を設け、確実に詰ませる為の手立てを模索しているのだから。

 

「つってもー」

 

 そんな中……メアリーに代わって口を開いたのは、黒髭である。

 

「こっちの方が数的に圧倒的有利っしょ。負け筋なんてあるゥー?」

「ある。幾らでもあるとも。筆頭提督殿。その一つとして……」

 

 そう言って孔明が指し示したのは変生したイアソンが陣取る島。そこには、島のほぼ中心辺りに、バッテンが描かれている。他には、沿岸部にも様々な文言が書かれ、どれだけ彼らがその島を調べて居たか……一目瞭然だった。

 

「――ここに立て籠もられると、我々としては厳しい」

「立て籠もるゥ~? あんな島にでつか?」

「そうだ。アレは確かに動きもせず、しかし島に侵入した相手を徹底的に攻撃してはいるのだが……いうなればそれだけだ。島の端など、文字通り目の届かない位置には攻撃してこない。結局の所、アレも万能ではない」

 

 もし、アレから逃れられるような場所に立て籠もられたりすれば。自分達は二つの難敵を同時に相手にする事になる、と。眉間に皺を寄せた険しい顔を見れば、どれだけ厳しい事になるかは、凡そ想像もできるという者だ。

 

ほへ~

「……それに、相手は()()キャプテン・ドレイクだ」

 

 その孔明が。より、警戒しているのは。

 

「――あーうん、まぁそうっすね。BBAっすね」

「圧倒的有利に立った相手を覆す。そんな分かりやすい英雄譚を持ち合わせた英雄。生きた人物とはいえ、聖杯に選ばれた人物。それがどんな難行によって為されたかは、此方も把握しきれていないが……一度は、我々もしてやられた」

 

 やはり、敵の頭目の一人。されど、本来の最大の敵であるカルデアではなく現地人であるフランシス・ドレイクをこそ、警戒しているのだ。

 

「二度目もある、という事ですか?」

「そうだ、アン・ボニー。あの手の英雄は、二度三度と起こして来る。奇跡。」

「に、二度三度」

「そうだ。英雄と呼ばれるものは、常に奇跡の一つや二つや三つや四つ、起こしてこそだ。というより、常に奇跡の様な人生を送ってきているだろう、君達の様な輩は」

「んー、否定はしません♪」

 

 アン・ボニーとメアリー・リードの生き方は、正に波乱万丈と言うしかない。それを本人達も十分自覚しているからこそ。普通に何も言う事はせず、取り敢えず黙って撤退したのである。

 

「……だが、キャプテン・ドレイクに関しては、君達以上だ」

「へぇ」

「彼女は嘗て、イギリスの女王の元、スペイン艦隊を撃破した。一隻の船をではない。艦隊を、だ。数の暴力を、個人の資質が食い破った、史上でも類を見ない、伝説と呼んでいいだろう」

 

 ――当時のスペイン艦隊は、最強の名を欲しいままにしていた。

 オスマン帝国を破り、新大陸からの富を得て、圧倒的な数を誇っていたスペイン艦隊のその総数、空前絶後の百三十隻。装備は全て最新鋭。行くところ敵なしの、そんな艦隊を当時の周辺国は、『無敵艦隊』と呼んで恐れた。

 だが……その無敵艦隊を。たった一瞬の隙に付け入り、巧みな策で食い破って見せたイギリスに雇われた、海賊が一人。

 

「キャプテン・ドレイクは決して単騎で絶対的な力を持つ英雄ではない」

「……えぇ」

「……ふーん」

「だが、奇跡の様な人生にさらに()()()()()()()()生きている様な、そんな英雄だ。文字通りただの英雄よりも、一つ、二つも格上の英雄に間違いはないだろう」

 

 そこまで孔明は語り。ふと、先程から完全に黙り込んでしまった黒髭の方にすっと目を向けて。

 思考を、止めた。

 

「――よーするにBBAには油断しちゃいけないと。まぁ年寄りは基本的に悪知恵働きますからなー、死にゲーでも最後の詰めは重要、孔明の罠には気を付けろ!! 格言ですなぁ!!」

 

 言葉はするする、と回っていつも通り……に、見えるだけだ。

 口は裂けたかと思う程開かれ、三日月に開いた口から覗くその歯は獲物を食いちぎる食人鬼の如く。限界まで見開かれたその目は、完全に瞳孔が開き切って、一瞬睨まれているのかと錯覚する程。

 だが、恐ろしいのは見た目ではない。それだけの迫力のある顔を見せて置いて、だが彼は間違いなく『()()』に打ち震えているのだと、分かってしまう。

 

「船長、顔、顔」

「っといけないいけない……紳士フィルター全ッ開!!」

 

 本当に一瞬だけ……あっと言う間に何時もの顔に戻ったが。

 しかし、隣のアンは怪訝な表情を見せているし、メアリーは額に手を当ててヤレヤレと言った風に首を振っている。

 

「ティーチ提督? 些か血の気が昂り過ぎているのでは?」

「んー? いやぁ、楽しい楽しい略奪タイムが近いですからなぁ~、海賊としてはやっぱり胸も股間も躍るというか」

「いーよ誤魔化さなくて。ただ、本番でビビる様な事だけはやめてよ。提督」

 

 ――一瞬、交わる二つの視線。

 

「合点了解! 不詳黒髭、メアリーたんの為に、漢見せるでござる!! って事で拙者はここら辺で。作戦には無条件で白旗上げちゃうので」

「はいはい。というか、今の状態じゃ作戦云々なんてどうでもいいだけでしょ」

「そうともいう~……行きますぞーエイリーク殿。あ、先生はどうぞこのまま」

「はいはい」

 

 それを最後に、黒髭は会議室に背を向けて歩き出す。止めようとした孔明だが、イスカンダルの手に動きを制され、大きなため息一つを吐いてやめた。というより、孔明も元からポーズとして止めようとしただけであるが。

 

「全く、とんでもない狂犬! 故に頼りになるわあの男!」

「私は心配というしかない……本番、どんな事になるか不安だ」

「だが、故にこそドレイクにぶつけるのはあの男しかおるまい。余でも、其処な二人の提督ですら、役者不足よ」

「それに関しては否定しないよ」

 

 思わず、今更ながら首を孔明は撫でた……先ほどの黒髭からは、濃密な殺気すら感じられたのだ。落ちた、と錯覚しそうになるほどに。自分の主を、最高の王であると、彼は疑ってはいない。だが。

 この海において。あの海賊に敵う存在など、居るのだろうかと、思う事はあるのだ。

 

 

 

「――しねーよ立て籠もりなんて。じゃあ()か? それもあり得ねぇ、博打みたいな暗殺なんざ、あの女がする訳がねぇ……あるとすれば、真っ向勝負、の中に奇策を見出して来るだろうな」

 

 くつくつと、黒髭が笑う。根深く被っていた皮がはがれてしまう程……限界寸前だ。

 

「今はカルデアが指揮を執ってるが、そろそろBBAに指揮を預ける筈だ……今までは場当たり的な戦いに身を委ねて来たが、次はそうもいかねぇ。馬鹿じゃねぇなら、BBAに指揮を執らせるメリットの方がデカいと気が付くはずだ……!」

 

 そうなった時は。

 掌に力がこもる。胸が躍る。心が弾む。誰でも良いから、ドタマをぶち抜いてやりたくなってくる。この性根だけは死んでも治らなかったが……寧ろ治らなくて良かった、と彼は思って居た。

 

「奴を、殺る」

 

 この燃え滾る殺意は、きっと彼女にぶつけるに相応しい物だと思うから。

 




限界オタク、推しをブチ殺さんと奮起する。
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