ありふれた職業でも桜の勇者と共に   作:ぬがー

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友奈の見た目は一目連の浮かんでるパーツとかを普通の防具にした感じ。


ライセン大迷宮

「体調ヨシ! 食料ヨシ! アイテムヨシ! 準備万端ッ!」

 

「体調ヨシ! 装備ヨシ! 携帯食ヨシ! 準備万端ッ!」

 

 自分の体調を確認した後、ハジメは備品の、友奈は武具と非常食の確認をした。

 

 ライセン大峡谷で探索を続けることしばし、思ったより順調にハジメと友奈は迷宮の入り口を発見することが出来た。

 そしてこれから七大迷宮の一つ【ライセン大迷宮】への攻略を行う。どのような危険が待ち構えているか不明、しかも一度入ってから出ることが出来るかすらも不明な以上、出来る限りの準備をしてきた。今はその最終点検だ。

 

 ハジメは軽装で食料やアイテム、その材料などを背負い、友奈はハジメを庇うために防御重視の装備で身を固めていた。道具は現地調達で作れるかもしれないが、食料は作れないのでそっちを優先して持ち込んでいる。戦闘とそのサポートで完全に分業している態勢だ。

 

 二人とも準備に不備無しと確認を終え、いよいよ七大迷宮への挑戦が始まる。

 

「おお~、すごい迷宮って感じがするね!」

 

「……そうだね。色々仕掛けやすそうだ。意地の悪い迷宮だよこれ」

 

 迷宮に入った二人の目に飛び込んできたのは、規則性の伺えない混沌とした迷路だった。

 一階から伸びる階段が三階の通路に繋がっているかと思えば、その三階の通路は緩やかなスロープとなって一階の通路に繋がっていたり、二階から伸びる階段の先が何もないただの壁だったり、めちゃくちゃという他ない。迷路の攻略で定番となるマッピングも正確に示すのは困難だ。少なくとも紙面上では表現し切るのは無理そうだった。

 迷宮の入り口にあった石碑に刻まれた煽りもあって、直接戦闘系ではなく、搦め手や嫌がらせに偏った迷宮だという印象が沸く。

 事前にこれだけ警告しているのだ。半端ではないトラップが多数仕掛けてある前提で進まなくてはならないだろう。

 

「いきなりだけど予定変更。僕が前を進むから、敵が出たらカバーしてくれる?」

 

「わかった。気を付けてね」

 

 オルクス大迷宮でも騎士たちが使っていた罠感知の魔法具“フェアスコープ”をハジメが改良した魔法具を付け、技能全開で周辺警戒しながら進むハジメ。

 迷宮内が明るいのは“リン鉱石”なる光る鉱石が壁に混ざっているから、などの役に立つかわからない情報も収集しながら慎重に進む。しばらく進んだところで、ハジメが友奈を止め、迷宮探索用に長く改造した棒で床を叩いた。

 

 叩かれた床がガコンッと音を立てて沈み、左右の壁から巨大な丸ノコギリのようなものが高速回転しながら飛び出してくる。

 殺意溢れる丸ノコギリは目の前を通り過ぎると、何事もなかったかのように壁の中に消えていった。

 

「え? え? 今の何?」

 

「純粋な物理トラップだねー。魔力を見るスコープじゃ全く分からなかったよ。“鉱物系探査”で見たら奥に別の物質があるのわかったけど」

 

 カッカッと丸ノコギリが出てきた辺りを叩くハジメ。

 魔力が体外で使いづらいライセン大迷宮では、こういう物理トラップが主な障害となるようだ。迷宮の外では見たこともないような性質の物体を用いたトラップなので、まず初見では看破できないだろう。“錬成師”であるハジメでなければ、この最初のトラップで死んでいてもおかしくなかった。七大迷宮は攻略してほしいと思っているのは間違えていないと思うが、攻略者に求める水準をもっと高く想定しておく必要がありそうだ。

 

「魔力は温存したいし、ここから先は基本トラップは回避していくね。踏んだらマズい場所とか近づいたらマズい場所は指示するから、敵が出てもすぐに前には出ないで」

 

「わかった!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハジメが先導し、友奈と共に迷宮を進む。

 魔物は一体も現れないが、その分殺意と厭らしさに満ちたトラップが二人を襲った。仕掛けられたトラップを回避しても、迷宮の主の意思か、それとも見かけとは別の発動条件が設定されているのか、勝手に発動するのである。

 

 階段を歩いていれば急に段差が消えて坂になり、滑る液体があふれ出すトラップがあった。“錬成”で自分たちの足場は確保し先に進んだが、トラップに引っかかっていれば麻痺毒を持ったサソリが蠢く穴の中に放り出されていたと見せつけられた。単純な気持ち悪さに友奈のメンタルに大ダメージが入った。

 通路を歩いていると壁が迫り出して前後が塞がり、天井が落ちてくるトラップがあった。“錬成”で落ちる前の天井と壁を接着し、迫り出した壁も“錬成”で穴を開けて突き進む。

 スロープを下っていれば、お約束のように巨大な鉄球が転がってくるトラップがあった。“錬成”で床を持ち上げ、大玉を止めて放置。二つ目も転がってきたようだが、ルートは限られているため同じところで止まった。

 本来なら多数のトラップで余裕を削がれているだろう通路の先に、溶解液に満ちた落とし穴があった。友奈がハジメを担いで跳び越えた。

 

 途中で休憩をはさみながら進み、ついにいかにも何かありそうな部屋に辿りついた。

 

 その部屋は長方形型の奥行きがある大きな部屋だった。壁の両サイドには無数の窪みがあり騎士甲冑を纏い大剣と盾を装備した身長二メートルほどの像が並び立っている。部屋の一番奥には大きな階段があり、その先には祭壇のような場所と奥の壁に荘厳な扉があった。祭壇の上には菱形の黄色い水晶のようなものが設置されている。

 

「なんだか雰囲気ある部屋に出たね。ボス部屋かな?」

 

「まだトラップだね。でも近づいて来てるよ」

 

 友奈の目にはようやく現れた迷路らしくない部屋だが、“鉱物系鑑定”の技能を有するハジメには別の光景が見えていた。

 

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感応石

 

魔力を定着させる性質を持つ鉱石。同質の魔力が定着した二つ以上の感応石は、一方の鉱石に触れていることで、もう一方の鉱石及び定着魔力を遠隔操作することができる。

 

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 部屋に配置された騎士甲冑の材質がコレだ。床や壁も同じ材質である。騎士を壊しても即座に補充されるのだろう。

 遠隔操作するゴーレムで部屋に入った者を袋叩きにして殺すつもり満々のトラップだった。他とは違う綺麗な内装も、意識を逸らす偽装に過ぎない。

 

 だがこの部屋はこれまでのトラップとは違う。明確に「操作している誰か」がいる部屋だ。ここを調べれば、正確には感応石を“錬成”でいじって逆探知すれば、ハジメには操縦者がどこにいるか見つけることが出来ると直感的に確信していた。

 

「今からあの甲冑を操作させて逆探知する。その間警戒とか雑になっちゃうし足止めも厳しいから、戦闘は任せるね」

 

「おっけー! ここまでほとんど何もしてないしね。思いっきりやっちゃうよ!」

 

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