ありふれた職業でも桜の勇者と共に   作:ぬがー

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よく頑張りました

 コアを引っこ抜かれた巨大甲冑が、重力に引かれて落ちていく。

 友奈はそれを予測できていたので巻き込まれることもなく、コアを抱えて近くのブロックに飛び移った。

 

「これで試練はクリアだよね? 合ってる?」

 

「……合ってるけどさ~。ここはコア壊すとこまでやるもんなじゃいの? なんでコアだけ取って終わらせてるの?」

 

「え、だってこれからもココのラスボス続けるんでしょ? なら壊しちゃまずいかなって思ったんだ。手加減して相手してくれてるのに、そこまでやるのもどうかと思うしね」

 

 ミレディはなぜか不満げだが、友奈は当たり前だと思う返事をする。

 また言ってはいないが、手加減してくれてるのを『隙』と認識して殺しにかかるようなことをすれば、普通に手加減をやめて叩き潰され死ぬ。友奈もそのことは当然想定している。ここで最後まで攻撃するという選択肢は初めからなかったのだ。

 

「もう無理だしネタバレするけど、ミレディさんは倒されて「よくやった。あとは任せた」的なムーブした後、本体で出てきてドッキリ大成功! ってしたかったんだとと思うよ?

 それ、コアというか感応石に魔法発動機能追加したみたいな性能してるし」

 

 ただの石からなぜか不貞腐れたような雰囲気を発する中、登ってきたハジメが解説をする。浮かぶブロックを“錬成”したワイヤーで繋ぎ、もう一度“錬成”して巻き取ることで移動してきたのだ。

 

「あーもーっ! そこまで見抜かないでよつーまーんーなーいーーっ!!」

 

「すみません。戦闘中に解析してたら見えちゃって」

 

「ぐぬぬ……っ! 次の攻略者が来た時用に改良が必要かな…………とりあえずそれは置いておこう。作り直すのも面倒だし、遊べなかったのは残念だけど評価的にはプラスだし、うん。期待以上の大当たり引けたんだから、この程度は我慢我慢。

 ……よし切り替えた! じゃあ色々と話もしたいから奥に来てね! コアはこっちで回収するからその辺に捨てておいてくれればいいから!」

 

 言葉と共に、ハジメと友奈が乗っているブロックが動き出す。魔力の流れから見ても、言葉通り奥の部屋へと案内してくれているだけのようだ。

 光の壁を通り抜け、その先の通路を進むと小さなゴーレムが待っていた。

 

「やっほー、さっきぶり! ミレディちゃんだよ!」

 

「うわーかわいいね! 抱っこしていい?」

 

「自慢のメインボディだからね! かわいいのは当然! 抱っこはしてもいいけど硬いよ?」

 

 ミニ・ミレディは華奢なボディに乳白色の長いローブを身に纏い、ニコちゃんマークが書かれた白い仮面を付けている。細々とした動作すらウザいが、その辺が気にならない友奈はわーいと喜びながらミニ・ミレディを抱えた。

 そのままミレディが指示する方へ三人で進んでいく。

 

「大迷宮の試練を突破した報酬はね~、神代魔法の教授って決まってるんだ」

 

「魔法を教えてくれるの? でも私達、神代魔法の適性持ってないよ?」

 

「そこはミレディちゃんも神代魔法の使い手だからね~。適性も込みで体と魂に直接刻み込むの。副作用とか出ないようにするのに結構苦労したんだよ~」

 

「おおーすごいね!」

 

「ふふん! もっと褒めていいんだよ!」

 

 きゃいきゃいと女性陣で話しながら通路を進む。

 その会話の中で、友奈がかつてのハジメの考察をこぼした。

 

「それにしても、やっぱり大迷宮って教育用だったんだね。南雲くん、予想当たってたよ」

 

「そうだね。なら大目標の方も合ってたりするかも」

 

「……どういう理由で、何が目的だと思ったの?」

 

 急にミレディの雰囲気が変わる。

 嘘も誤魔化しも絶対に許さない、そんな空気だ。適当なことを言えば無理やりにでも聞き出すだろう。

 ハジメたちからすれば隠すほどの情報でもない。自分たちの出自とこの世界に来た経緯、大迷宮の創造主【反逆者】の言い伝えについて、そしてそこから神殺しを成せる人材育成を目的としていると推測したことを話した。

 

「なるほどね~。確かに私達は神と敵対してたし、信仰の広まっていない地から召喚された人間―――っていうか被害者だったから推測もできたんだね。こっちじゃ皆クソ神の信徒で、アレがクソだって想像もしないから見落としてたよ。

 あ、あと私たちは【反逆者】じゃなくて【解放者】ね。外で他人と話すときは【反逆者】でもいいけど、私と話すときに間違えたらぶっ飛ばすから」

 

「あ、はい。わかりました」

 

 釘を刺すミレディに、ハジメも真面目にうなずく。おちょくりとかで使おうものならマジでぶっ飛ばされる奴だと理解させられた。動作や表情、魔力の流れは全く変わっていないのに、ハジメとしては不思議でたまらない威圧感だった。

 

「まぁそこまでわかってるなら色々話しても問題ないかな。序盤から協力した方が余計な手間とか横槍は省けるし。

 一応確認するけど、わかって力集めてるんだから神殺しはやってくれる気あるんだよね?」

 

「僕たちの目的は元の世界への帰還なので、関わらずに済めば無視します。ただ何もなしに逃げられるとは思ってません。召喚された時点で目を付けられたようなものですし、たとえ逃げ切れても相手の手の届く範囲にいるままなのは変わらないですから。

 ……【解放者】の言い分が時代どころか世界の違う僕らには受け入れられず、エヒトの方には賛同出来たら行動も変えますけど」

 

「ははは、言ったなこいつめ! 流されるだけのやつじゃ神殺しとか全く期待できないから、そっちのほうがいいけどさ!

 

 ―――アレのことはよーく知ってる。君たちは間違いなく神殺しに挑むことになる。だから協力は惜しまないよ」

 

 ゾクリとするような冷たい声で、嫌な予言を告げるミレディ。

 その直後には元の軽い声色に戻って話を進めた。

 

「まずは神代魔法教えよっか。あそこの魔法陣に入れば自動で覚えられるよ。そこからの成長は君たち次第。それとも何日かここで練習していく? 色々と教えられると思うけど」

 

「どうする、高嶋さん? 僕は練習させてもらった方がいいと思うけど。一気に攻略したから食料はほぼ全部残ったままだし、報告書も誤魔化せる程度には前回までにデータも集まってるよ」

 

「じゃあお言葉に甘えようよ。教えてもらえた方が効率いいし、昔の話も聞いておきたいもん」

 

「なら決まり~♪ さっさと魔法習得済ませよう。久々の人間との会話でテンション上がってるミレディちゃんを楽しませるんだよほら早く!」

 

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