戦姫絶唱BLACK SHADOW 作:ロヒシ&かづ えい子しょうゆ味
なんか知らないうちに読者数が増えていたんで驚きました!
今回から光太郎視点の話に戻ります。
時系列としては、8話の辺りになります。
感想などいただけたら励みになります。
「光ちゃん、今日はもう上がりな」
「……はい、すみません」
オバさんが厳しい声色で戒めるように俺に告げる。その言葉に頷くことしかできなかった。
あの日。ビルゲニアの策略によって俺が仮面ライダーである事をクリスちゃんに知られてしまった。
ーーあたしに近寄るんじゃねぇバケモノ!
あの時のクリスちゃんの顔が頭から離れない。
この世界に来て初めてノイズと戦った時も人々からバケモノだと言われて恐れられた。
ノイズは普通の人間には触れる事もできない。
だが、改造人間である俺は埋め込まれたキングストーンの力でノイズと生身でも触れる事ができた。だから、バケモノと言われても仕方ない。
それに、俺は彼女とその家族を守る事ができなかったんだ。彼女が俺を憎んでいてもそれは仕方ない事だ。
ーー南さん、南さんはあのネフシュタンの少女の事を知っていたんですか?
戦いの後、翼ちゃんからそう問われて俺はクリスちゃん達の事を説明した。
すると、風鳴さんがクリスちゃんがバルベルデ軍に囚われていた時以降の事を話してくれた。
俺が、俺が彼女をあの時守れなかったから……
俺が守れていたらクリスちゃんはフィーネという敵の許にいる事も、ネフシュタンの鎧を纏う事も、響ちゃん達と敵対する事も、シンフォギアを纏う事も、戦う事もなかった筈だ。
ビルゲニアを責めたけどそんな資格は俺には無い。
クリスちゃんのあの優しくて温かい歌を悲しい歌に変えてしまったのは俺のせいだ……
クリスちゃんの事を考えていたせいで仕事にも精彩を欠いてしまった。
調理ミスをし、皿を大量に割り、会計ミスや注文を間違えたり、果ては何もないところで躓くなどと散々だった。
だからオバさんは厳しい言い方をしたんだと思う。今の俺では迷惑しかかけないから…
店を閉めるとオバさんは俺の部屋にやって来た。
明かりも点けずにいる俺の姿を見てため息を一つもらす。
「光ちゃん、何かあったのかい?今の光ちゃん、初めて会った時と同じ顔してるよ?」
あったかいものを出しながら尋ねるオバさん。その声はさっきまでと違いとても優しい声をしていた。
俺はオバさんにクリスちゃんの事を話した。
「そうかい。最近光ちゃんが忙しなく出かけていたのはその子を探すためだったんだね」
「はい……でも、今の俺には彼女にどうすれば良いのか分からないんです。彼女は俺を両親の仇だと思っていますし」
「でもそれは誤解なんだろう?」
「…いえ、俺が殺してしまったようなものです。あの子の家族を俺は守れなかった。改造人間なのに、仮面ライダーなのに、俺は以前の世界と同じで大切な家族を何一つ守れなかった!」
「光ちゃん、そんなに自分を責めるんじゃないよ。それに何もかも一人で背負い込もうなんてそれこそ奢った考えさ。光ちゃん、アンタは何も守れていないと言ったけど私はどうなんだい?以前の世界にいた杏子さんて子と克美さんて人はどうなんだい?光ちゃんは
俺の手にそっと手を添えるオバさんの言葉にハッとした。
「そのクリスちゃんて子の事を心配してるのはよく分かる。でもね光ちゃん、今のアンタはその子に対する罪の意識から周りが見えていなくなってるんだよ」
「周りが見えていない…?」
「あぁそうだよ。そんなんじゃ、そのクリスちゃんて子をホントに守れなくなっちまう。心を落ち着かせるのさ。大丈夫だよ。今は誤解されてるかもしれないけど、光ちゃんの想いはきっとその子に届くよ」
オバさんの言葉にスッと何か胸につかえていたモノが取れた気がした。
その日の朝、ロードセクターから警告音が鳴り響いた。
ノイズが現れた。それはつまりクリスちゃんやビルゲニアが近くにいる可能性が高い。俺は急いでロードセクターを駆った。しかし、現場にたどり着いた頃には事態は収束しており、二課職員達が忙しなく動き回っていた。
「南君」
「風鳴さん。ノイズ…ですか?」
「あぁ。恐らく…な」
妙に歯切れの悪い返答をする。
「ノイズと同じ何だが所々で少し違ったパターンが見受けられたんだ。未明という事もあって人的被害が無かったのが救いだが、ノイズと同時にイチイバルのパターンも検出された」
イチイバルというのは確かクリスちゃんのシンフォギアの名前だ……という事は、この近くにまだクリスちゃんがいるかもしれない。
クリスちゃんを探さないとという衝動に駆られそうになるが俺はそれを思い留まらせる。
まだどこかにノイズの残党がいるかもしれないからだ。
風鳴さんは被害は無かったと言っていたけど、二課が動き出したせいで今は現場には人集りができている。
ここで下手に俺が動いてノイズが再び現れた場合、対処できる人間がいなくなる。
「それと、もう一つ妙な事があったんだ。本当に微弱なんだが、キングストーンと似たパターンの波形が検出された」
「キングストーンと?」
その時、俺の耳にカシャン、カシャンという聞き覚えのある金属音が聴こえてきた。
思わず振り返ったが、そこには誰もいなかった。
「どうかしたのか?」
「あ、いえ、何も…」
風鳴さんの報告を聞いて俺はある一人の人物を思い浮かべた。
そうだ。あのビルゲニアも蘇っているのだ。
俺は言いようのない不安を覚えた。
その後、風鳴さんが自分達がいるからクリスちゃんを探して来いと送り出してくれた。
豪快な笑みでサムズアップするので俺は苦笑しながらもその言葉に甘えさせてもらった。
そして雨が上がり、曇天が晴れた頃街中に警報音が鳴り響いた。ノイズが現れた。
俺はロードセクターを駆って現場に向かう。
すると、ノイズと対峙するクリスちゃんと彼女を守ろうとする風鳴さん。そして2人に襲い掛かろうとしているノイズの姿を見つけた。
俺はロードセクターから跳び立ちノイズに蹴りを入れる。すると、ノイズは炭素崩壊する事なく後ろに吹き飛んだ。どういう事だ?いや、今はそんな事よりも2人の安全が最優先だ。
「風鳴さん、大丈夫ですか⁉︎」
「あぁ、すまない」
「風鳴さん、彼女を…クリスちゃんを頼みます!変…身ッ‼︎」
俺は風鳴さんにクリスちゃんを任せて変身する。
すると、蹴り飛ばしたノイズが立ち上がった。その姿を見て俺は驚く。こいつは、クロネコ怪人⁉︎かつて戦ったゴルゴムの怪人じゃないか!
俺が驚いていると、無数の弾丸が上空に舞った。
どうやら飛行ノイズが俺に襲い掛かろうとしていたようだ。それに気づいていなかった俺をクリスちゃんが助けてくれた。
「ッ⁉︎クリスちゃん!」
「……ザコはあたしが纏めて片付けてやる!」
「しかし…!」
「ノイズの相手をできねぇオッサンは黙って救助活動でもしてな!ついて来いザコ共‼︎」
そう言うと、クリスちゃんはノイズを町から引き離そうと飛びっていった。
もどかしい思いを感じながら俺はヤマネコ怪人と対峙する。
クリスちゃんの事も大事だけど、今はこいつらをどうにかするのが先決だ。
すると、不気味な笑い声と共にビルゲニアがその姿を現した。
「見たか仮面ライダー!こいつは俺が創り出したノイズとゴルゴム怪人の融合体。その名も『ゴルゴノイズ』だ!」
「ゴルゴノイズだと⁉︎」
「クククッ、こいつは今までの雑魚ノイズとはワケが違うぞ?」
ビルゲニアがソロモンの杖を翳すとそこから更に怪人の姿をしたノイズが現れた。
「ヤれッ‼︎」
ビルゲニアの声と共にゴルゴノイズが俺に襲いかかってくる。
どうやらこの新しいノイズはノイズの能力とゴルゴム怪人の姿と耐久力を併せ持ったノイズのようだ。
ノイズは触れた物を自身ごと炭素変換してしまうほど脆いが、このゴルゴノイズは触れた物だけを炭素変換させられるようだ。
こうなると、ノイズというよりはノイズの能力を持ったゴルゴム怪人というのがしっくりくる気がする。
通常のノイズはシンフォギアでも何とかなるが、このゴルゴノイズはそうもいかないと思う。ここで俺が対処しなければ……
だが、数体のゴルゴノイズを一人で対処しなければならないという焦りから俺は防戦一方になってしまっていた。
「どうした仮面ライダー、ゴルゴノイズの前ではさしもの貴様も手がでないか!そんな事では貴様の大切な人間が炭の塊になってしまうぞ?」
「ッ⁉︎どういう事だ!」
「クククッ、あの声が聴こえるか?」
と、俺のセンシティブイヤーに誰かの悲鳴が聴こえてきた。この声は……未来ちゃん⁉︎
「ゴルゴノイズとは別の特殊なノイズをけしかけてやったのさ。こいつは音に反応する性質を持っていてな。声を僅かにでも上げれば襲いかかる。そんなノイズを前に小娘はシンフォギアを纏う事ができるかな?」
そう言って下卑た高笑いをあげるビルゲニア。
奴の言うノイズが現れたのはクリスちゃんが飛び立ったのとは反対の方向だ。響ちゃんがギアを纏って駆けつけてくれているならなんとかなるかもしれないが、そうじゃなかったら……クソッ、何とかこのゴルゴノイズを倒して未来ちゃん達を助けに行かなければ!でも、どうしたら良いんだ⁉︎
気持ちだけが焦ってしまう。
ダメだダメだ!こんな時こそ心を落ち着かせるんだ。
「ロードセクターッ‼︎」
俺はロードセクターを呼んだ。スパークリングアタックでゴルゴノイズを一掃して未来ちゃん達を助けに行こうと考えた。
「させるか!ビルセイバー、ダークストームッ‼︎」
突風が俺とロードセクターに襲いかかる。
倒れた俺の元にゴルゴムノイズとビルゲニアがにじり寄ってくる。
クソッ、このままじゃ未来ちゃん達が……
《その時、不思議な事が起こった。未来達を助けに行かなければと思うライダーの手に光が集まった。そしてその光はあの時と同じように剣へと形を変えた》
「ば、バカな⁉︎それは…サタンサーベル!」
俺の手に現れた物を見てビルゲニアが驚愕の声を漏らす。
あの時と同じだ。デュランダルからクリスちゃんを守ろうとして俺の手に光が集まった。やはりあの時も現れたのはサタンサーベルだったんだ。でもどうして…?
いや、考えるのは後だ。俺は弧を描くようにしてサタンサーベルで周囲を斬る。
すると、俺の想いに応えるようにサタンサーベルは俺を囲っていたビルゲニアとゴルゴノイズを一瞬で蹴散らした。
ビルゲニアが倒れ、ゴルゴノイズが炎を上げて消滅すると、サタンサーベルはまた光となって消えてしまった。
何故サタンサーベルが現れたのか?そう考えるよりも先に俺はロードセクターを駆った。
次回予告
オバさんを探してロードセクターを駆るライダー。
そして響から未来が一人でノイズの囮になった事を聞かされる。
駆けろ、ロードセクター!
響と未来が再び手を繋ぎ合うかはお前にかかっている。
必殺、スパークリングアタック!
果たして、響と未来の運命は……?
次回、戦姫絶唱BLACKSHADOW
第11話 『夕陽の仲直り』お楽しみに!
現段階で光太郎がクリスと和解する際に、彼女に対して歌を歌うという展開を考えています(場面としては戦闘時)どれが良いかお答えいただけると嬉しいです
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仮面ライダーBLACK
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繋いだ手だけが紡ぐもの
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俺の青春
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歌わせる必要はない