戦姫絶唱BLACK SHADOW   作:ロヒシ&かづ えい子しょうゆ味

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コメントを送っていただけるととても励みになりますが、それで自分が調子に乗ってしまわないかが心配です。

今回は前後編になります。


第12話 防人の歌

ゴルゴノイズとの戦いから数日後の事だった。

朝、突然風鳴さんが店にやって来た。

 

「一度、君が作ったお好み焼きを食べてみたくてな。……んんっ⁉︎こいつは美味い!響君達が絶賛するわけだな!」

 

俺の焼いたお好み焼きを美味しそうに食べる風鳴さん。

 

「そうだ南君。一つ頼みがあるんだが、お好み焼きを一つテイクアウトできないか?」

 

「すいません。うち、テイクアウトはやってないんですよ」

 

申し訳ないと思いながら断ると

風鳴さんが真剣な面持ちを俺に向けていた。

 

「どうしても君の作ったお好み焼き(・・・・・・・・・・)を食べさせたい子がいるんだ。頼めないか?」

 

「風鳴さん、もしかして……」

 

風鳴さんの言葉に、俺はこの人が今から誰に会いに行こうとしているのかを察した。

すると、オバさんが奥からタッパーを持って来た。

 

「オバさん、良いの?」

 

「良いも悪いもお腹を空かせてる子がいるんだろう?光ちゃん、その子の為にとびきり美味しいのを作ってやりな。きっと、光ちゃんの気持ちは相手の子に通じるよ」

 

そう笑顔でオバさんが告げる。オバさんも何かを察したんだろう。

確かに、俺がついて行っても何もできない。

だから俺は、今自分ができる精一杯の事をやろう。彼女(・・)の為に美味いお好み焼きを作ろうと思った。響ちゃんと未来ちゃんのように、彼女と仲直りができるように。

 

 

その日の夕方、風鳴さんはまた店にやって来た。

申し訳なさそうな表情で「すまない」と言ってタッパーの入った袋を差し出した。

俺は袋の中を確認した後、風鳴さんに「大丈夫ですよ!」と返した。

何故なら、タッパーの中が空になっていたからだ。

 

「彼女、君のお好み焼きを美味いと言って食べていたよ」

 

「そうですか。ありがとうございます!」

 

彼女は俺の作ったお好み焼きを食べてくれた。そして、美味いとも言ってくれた。今の俺はそれだけで嬉しかった。

 

 

 

 

 

翌日の夕方、普段なら夕飯時で店が忙しくなる時間帯になるのだけど今日はお客さんは1人も来ていない。

その理由は……

 

「光太郎さん、こんばんわ〜!」

 

響ちゃんが元気な声を上げながら店に入ってきた。

その後ろで呆れたような表情の未来ちゃんと申し訳なさそうにしている翼ちゃんの姿があった。

そう。今日は翼ちゃんの為に店を貸切にしているのだ。

トップアーティストとして名高い翼ちゃんが店にいる事が知られたら、野次馬が押し寄せて大変なことになってしまうからだ。

昨日の夜、響ちゃんから連絡をもらいオバさんに相談したら快く許可してくれた。

 

「さぁさぁ翼さん、今日のデートの締めは光太郎さん特製のお好み焼きですよ〜!もうホンット美味してほっぺたとろけちゃうくらいなんですから!」

 

「もう響ったら…」

 

「そう言えば、以前立花が持ってくると言ってお預けになったままになっていたな。楽しみだ」

 

翼ちゃん、こんなに柔らかい表情をするようになったんだ。初めて会った時から印象がだいぶ変わってきた。これも、響ちゃん達の影響なんだろうか。

 

「今日は翼ちゃんの回復祝いだからお金の事は気にしなくて良いよ!」

 

「ホントですか⁉︎やったぁー!私、今日最高記録に挑戦しちゃうぞ〜!」

 

「まったく、響ったら……光太郎さん、すみません」

 

「フフッ、立花らしいな。南さん、本当に良いんですか?」

 

「大丈夫だよ。ここはOTONAに任せなさい!」

 

「おぉ、光太郎さんが師匠みたいな事言ってる!」

 

3人の為にお好み焼きを焼き上げる。

鉄板からジュージューと焼ける音と共に白い煙が上がる。片側が焼けたお好み焼きをひっくり返すと、翼ちゃんがまるでサーカスを見ているかのように「おおっ!」と言って目を輝かせていた。

それを見てクスリと笑いをこぼしつつ、焼き上がったお好み焼きを差し出す。

 

「んん〜っ、やっぱり光太郎さんのお好み焼きは世界一だなぁ〜!」

 

「ありがとう響ちゃん!」

 

「……本当に美味しい。こんなに美味しいのは初めて食べました」

 

翼ちゃんも気に入ってくれたようだ。

その後、今日はタダという事で響ちゃんが限界に挑戦しようとしてお腹を壊しかけた。

店の中に彼女達の楽しそうな声が木霊する。

3人を見てると、とても戦いの中に身を投じてるようには見えないな。

この子達がもう戦わなくて済むようにしなければ……

そんな事を考えていると、翼ちゃんが俺に一枚のチケットを差し出した。どうやら復帰ステージが決まったらしい。

 

「立花達にも、それから南さんにも是非観に来て欲しいんです」

 

「翼さん、此処って……」

 

「あぁ、立花にとっても辛い思い出のある会場だな」

 

どうやらライブが行われる会場は2人にとって何かあった場所のようだ。

少し影を落とした翼ちゃんに響ちゃんが明るく声をかけた。

 

「いくら辛くても過去は絶対に乗り越えていけます。そうですよね、翼さん!」

 

その言葉に翼ちゃんは柔らかな笑みを浮かべた。

過去は乗り越えられる…か。

俺も乗り越えていかないとな。クリスちゃんの事、バルベルデでの事、以前の世界の事、それから……信彦の事。

 

 

 

 

 

 

 

ライブ当日、翼ちゃんが俺だけでなくオバさんにもチケットを用意してくれたので店は臨時休業にして車で会場に向かっていた。

その途中で走っている響ちゃんと未来ちゃんの姿を見つけた。

どうやら響ちゃんが恒例の補習を受けてて遅くなってしまったらしい。

2人を乗せて会場に向かおうとした時、響ちゃんの携帯が鳴った。

相手は風鳴さんだった。どうやらノイズが現れたらしい。

それを聞き、俺は響ちゃんに携帯を渡してもらった。

 

「風鳴さん、南です」

 

『南君も一緒だったのか』

 

「はい。あの、お願いがあります。俺一人で行かせてもらえませんか?」

 

『ッ⁉︎』

 

「ダメですよ光太郎さん!」

 

「今日のライブは翼ちゃんにとって大切なものになるはずなんです。俺は今日、彼女に精一杯歌って欲しいんです」

 

あの日、2人の会話が少し気になった俺は過去に何が起きたのかを調べてみた。

すると2年前、あの場所で翼ちゃん達ツヴァイウィングのライブ中にノイズが現れて大勢の人が命を失った事があったのが分かった。

やり遂げられなかった2年前の歌をまたノイズなんかに邪魔させてはいけない。

だから俺は一人で行く。それに……

 

「響ちゃん達は翼ちゃんのライブを観ないとダメだよ。そうじゃないと、翼ちゃんが不安になるかもしれないじゃないか」

 

「だけど……」

 

『南君、本当に良いのか?』

 

「はい!俺は今度こそ彼女を取り戻します!」

 

現場にクリスちゃんがいる予感がした。

 

 

 

 

2人をオバさんに任せて俺はロードセクターを呼び現場へ向かった。

現場である港の方から爆発が上がる。

たぶん、クリスちゃんがノイズと戦っているんだ。

急ぐ為に俺は変身してロードセクターを加速させる。

すると、ノイズとゴルゴノイズと戦うクリスちゃんの姿を見つけた。

だが、ゴルゴノイズがいるせいで苦戦をしているようだ。

その時、デカいノイズの砲身がクリスちゃんを捉える。

 

「いけない!アタックシールドッ‼︎」

 

シールドを展開させ、スパークリングアタックで地上にいるノイズとデカいノイズを一掃する。

俺はロードセクターから降り、倒れているクリスちゃんに駆け寄った。

 

「クリスちゃん、大丈夫か⁉︎」

 

手を差し出す俺の手を彼女は顔を歪めて振り払った。

 

「うっせぇ!あたしは、あたしはお前なんかに守ってもらう必要なんかねぇんだ!あたしは一人ぼっちなんだ。死んだって誰も悲しまねぇ……だからあたしの事なんか……ッ⁉︎」

 

死んだって誰も悲しまない?

何でそんな事を言うんだ!

俺は彼女の頬を叩いてしまった。

自暴自棄になってる彼女が許せなかった。彼女をそんな風に変えてしまったのは他ならぬ俺だというのに……

でも、それでも俺は彼女にぶつかるしかなかった。思いの丈を思い切りぶつけるしかなかった。

 

「誰も悲しまないなんて…そんな事言うんじゃない!俺は、俺はもう二度と家族『家族』を失いたくないんだ!」

 

彼女の肩を掴んだ手に思わず力が入る。

だけど、話を続けようとした瞬間、背後からゴルゴノイズが俺達を襲おうとしていた。

俺は振り返りゴルゴノイズと交戦する。

ビルゲニアの配下ではなかったクモ怪人のゴルゴノイズだがこいつらは群れで行動するから数が多い。

俺が蜘蛛ゴルゴノイズと戦っていると、空中に弾丸の嵐が飛ぶ。

どうやら生き残っていた飛行ノイズが俺を狙っていたようだ。それをクリスちゃんが助けてくれた。

 

「クッ、これで貸し借りは無しだかんな!」

 

そう言って反論する彼女。

でも、俺は嬉しかった。今まで取り付く島もない感じだったクリスちゃんが俺を助けてくれた。

絶対にまた仲直りできる。俺はそう確信した。

 

「ライダーパンチッ‼︎」

 

クリスちゃんを助ける為、ライダーパンチで蜘蛛ゴルゴノイズを蹴散らしていく。

 

「ライダーキックッ‼︎」

 

そして、全てのゴルゴノイズを倒した時だった。

クリスちゃんが虚な目を俺に向けていた。

 

「……メロ……」

 

「クリス…ちゃん?」

 

「ヤ…メロ……アタシ…ヲ………ウアァァァァァァァッ‼︎」

 

クリスちゃんが悶え苦しみながら叫び声を上げる。

すると、黒いモヤのようなものが現れてクリスちゃんの身体を呑み込もうとする。

俺は彼女をモヤか引き剥がそうとするが、モヤが稲妻を発生させて近づけない。

 

「クリスちゃん!」

 

いったい彼女に何が起きたんだ⁉︎

すると、黒いモヤが人の形に姿を変える。

額の部分から不気味な光を放つ目玉のようなモノが現れるとモヤが殻を破るかのようにして剥がれ落ちる。

そこにいたのは、血走った目を吊り上げ、口元が裂ける程口角を上げ邪悪な笑みを浮かべるクリスちゃんだった。

纏っていたシンフォギアは漆黒の禍々しいモノへと変化し、両腕にガトリングが装着され、両肩には棘の鞭が装着された鎧のようなものが装着されている。

まるでネフシュタンの鎧とシンフォギアを融合したかのような禍々しい姿をしていた。

不気味なオーラを放ちながら、彼女は両腕にあるガトリングの砲身を俺に向けた。

 

「カメンライダー、テメェヲブッコロシテヤル‼︎」




次回予告

「アタシノタイセツナモノヲウバッタテメェヲ、ゼッタイニユルサネェ!」

悪魔の姿となってしまったクリス。
その力はキングストーンの光さえも届かず、光太郎は絶望の淵に陥る。
立て光太郎。クリスを助けられるのはお前しかいない!
その時、不思議な事が起こった。
光太郎の想いは…クリスの想いは…
想い出の歌が2人を繋ぎ合わせる。

変身、仮面ライダーBLACK!
次回、戦姫絶唱BLACK SHADOW
第13話 『想い紡ぐ歌』お楽しみに!

現段階で光太郎がクリスと和解する際に、彼女に対して歌を歌うという展開を考えています(場面としては戦闘時)どれが良いかお答えいただけると嬉しいです

  • 仮面ライダーBLACK
  • 繋いだ手だけが紡ぐもの
  • 俺の青春
  • 歌わせる必要はない
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