戦姫絶唱BLACK SHADOW   作:ロヒシ&かづ えい子しょうゆ味

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今回はクリス編の完結回になります。
ラストでクリスの立ち位置がどえらいことになってしまいますがご容赦ください。
それから、以前アンケートをした光太郎を歌わせるかどうかの結果ですが、結果の釈明については次回の前書きで書かせていただきます。(後書きは次回予告に使っているので……)

コメントなど送っていただけると励みになります。


第13話 想い紡ぐ歌

「カメンライダー、テメェヲブッコロシテヤル‼︎」

 

ネフシュタンの鎧とシンフォギアを融合したような姿へと変貌したクリスちゃんは目を血走りさせながら俺に向けて銃弾の雨を降らせる。

 

「クリスちゃん、止めてくれ!俺は君と戦いたくない!」

 

「シネェッ‼︎」

 

悪魔のような禍々しい笑みを浮かべながら引鉄を弾くクリスちゃん。

俺は彼女の攻撃をなんとか躱す。

クソッ、どうしてこんな事に……⁉︎いったい、彼女の身に何が起きたって言うんだ⁉︎

心の中で自問自答するが答えは見つからない。

俺はまた、大切な人と戦わなきゃいけないのか?

脳裏に以前の世界でのシャドームーンとの戦いが蘇る。

 

秋月 信彦ーー俺と兄弟同然に育ち、19歳を迎えたあの日、共にゴルゴムの世紀王となるべく改造手術を施された俺の親友。

ゴルゴムの世紀王シャドームーンとして覚醒し、創世王の座と世界の平和をかけて命懸けの戦いを繰り広げた。

その戦いの末に、俺は信彦を殺してしまった。

あの時の最後のシャドームーンの言葉は今でも俺の心に深く刻まれている。

 

ーーお前は一生苦しむことになるのだ……親友を…この、信彦を抹殺したんだからな………一生、後悔して生きていくのだ…!

 

俺はまた守れないままなのか…大切な人を、家族を守れず殺してしまうのか?

いや、まだだ。まだクリスちゃんを元に戻す方法があるはずだ。

その時、俺は不気味な光を発する彼女の額にある眼玉のような物を見つけた。

もしかしたら、あの眼玉を破壊すればクリスちゃんは元に戻るんじゃないか?

そう思った俺は彼女に少し痛い思いをさせてしまうことを心の中で謝る。

 

「パワーストライプス!」

 

首周り・手首・足首にある赤と黄のラインからキングストーンのエネルギーが全身に行き渡る。

身体能力が上昇し、弾丸の雨を躱しながら間合いを詰めながら彼女の隙を探る。

彼女の攻撃は両腕にあるガドリングによる銃撃だ。間合いを詰めれば攻撃は出来なくなる。

そして、一瞬の隙を突いて彼女の背後に回ることができた。

 

「ライダーキックッ‼︎」

 

「チョセェ!」

 

刹那、彼女の両肩から棘の鞭が生き物のように動き出し、俺の足を絡みとった。そして、そのまま俺を地面に叩きつける。

 

「モッテケダブルダ‼︎」

 

もう一度地面に叩きつけられ、全身に激痛が走る。

あの鞭は近距離攻撃をされない為の防御手段になっているみたいだ。

 

「オネンネニハマダハヤイゾ!ブットベッ‼︎」

 

鞭の先端にエネルギーが球状に収束されて放たれる。俺は何とかガードするがエネルギー弾に押されて弾き飛ばされてしまった。

どうする?遠距離も近距離も彼女を崩す事ができない……

そこでハッと思い立った。

そうだ。キングストーンフラッシュなら……

今のクリスちゃんはあの眼玉のような物に操られているんだ。だから、キングストーンフラッシュを浴びせればその洗脳を解く事ができるはず!

俺は立ち上がり、構えを取る。

 

「キングストーンフラッシュッ‼︎」

 

ベルトからキングストーンの力が閃光と放たれる。

その光を浴びてクリスちゃんが悶え出した。

よし、もう少しだ!

刹那、彼女の口元が邪悪に歪む。

 

「ナァンテナァ、ソンナヒカリガキクカヨ!」

 

鞭が俺の身体に絡みつき動きを封じられる。

すると、彼女の腰部から大量の小型ミサイルが放たれた。

爆撃が俺に襲いかかる。

バカな……クリスちゃんは操られてるはずじゃ……

 

「サァ、テメェノツミヲカゾエロ!」

 

変身が解け、地面に倒れた俺にクリスちゃんが憎悪に満ちた目でそう告げる。

そして、鞭が再び俺の身体を拘束し、そこから電流が流れ込んできた。

激痛で叫び声をあげる。

 

「アタシノタイセツナモノヲウバッタテメェヲ、ゼッタイニユルサネェ!」

 

そうか……俺は、そこまで彼女に恨まれていたのか……

無理もない。俺は、彼女の両親を殺し……彼女の歌まで変えてしまった……

痛みで朦朧とする中、彼女の歌が聴こえてくる。

楽しく優しい歌を歌っていた彼女が、全てを否定するような悲しい歌を口ずさんでいる。

彼女の歌を、彼女自身を変えてしまったのは俺だ。

ごめんよ…クリスちゃん……

 

 

 

その時、俺の耳に誰かの声が聴こえてきた。

 

『……太郎……南 光太郎』

 

誰だ?俺を呼ぶのは…?

 

『お前は諦めるのか?彼女を助けるのではなかったのか?お前はまた繰り返す(・・・・・・)つもりなのか?』

 

繰り返す?それは信彦の事を言ってるのか?

助けたかった……だけど、彼女は俺の助けなど求めていない。彼女は俺を殺したいほど憎んでいたんだ。

 

『お前には聴こえないのか?彼女の本当の声が』

 

本当の…声……?

 

『……けて…』

 

今の声は……クリスちゃん?

 

『助けて……光太…兄ちゃん……あたし…兄ちゃ……謝らないと……』

 

クリスちゃんの鳴きながら助けを求める声が聴こえてきた。

 

『彼女を助けられるのはお前だけだ南 光太郎』

 

でも、どうすれば…どうすれば彼女を助けられる?キングストーンの力でもダメだったのに……

 

『その方法をお前は知っているはずだ。人と人が心を通わせられる方法を…』

 

その時、脳裏に昔の出来事が過った。

 

 

ーーコウタロウ。私達夫婦の夢はね、歌で世界を救うことなの

 

ーー歌で、ですか?

 

ーーそう。言葉は通じ合わなくても、歌で人と人は心と手を繋ぎ合わせられると私達は信じてる。その未来をあの子にも見せたいの

 

ーークリスちゃんに…?

 

ーーえぇ。夢は必ず叶う。未来は無限に広がっているってね。この歌は、そんな私の願いの歌なの

 

ーー大丈夫!きっとできますよ!だって、俺もクリスちゃんも『この歌』が大好きですから!

 

 

 

ッ⁉︎……クリスちゃん、今度こそ俺は君を助ける。君と君の夢を守ってみせる!

 

「……ふんふ…ふん……ふふ……〜♪」

 

俺は身体を鞭で縛られながらも心を奮い立たせて歌を口ずさむ。

ソネットさんに教わり、クリスちゃんとよく歌っていたあの思い出の歌を…

 

「ナンダァ?ソンナウタガ……ッ⁉︎」

 

すると、突然クリスちゃんが悶え苦しみ出した。

 

「ナ、ナンダコレハ⁉︎イッタイ、ドウイウコトダ⁉︎」

 

頭を押さえ、苦しみ出すクリスちゃん。

 

「…こ……」

 

その時、悶え苦しむクリスちゃんからそれまでと違う声が聴こえてきた。

 

「光…太郎……兄ちゃん……」

 

クリスちゃんが俺に向かって手を伸ばそうとする。

クリスちゃん!クリスちゃんの意識がソネットさんの想い出の歌で戻ったんだ!

 

「バ、バカナ⁉︎マダイシキガアッタトイウノカ⁉︎タカガコンナウタゴトキニ……!」

 

「たかが歌じゃない……コレは、人と人とを繋げたいと想う人が紡いでくれた大切な歌だ!俺の…俺の大切な家族を返せ!俺の想いに応えてくれ、キングストーーンッ‼︎」

 

俺の中のキングストーンが再び輝きを放ち、仮面ライダーへと変身させる。

そしてその太陽の輝きが彼女の身体を包み込んだ。

 

「ガァァァァァ!ソンナ…バカナァァァァッ⁉︎」

 

クリスちゃんが絶叫をあげて苦しみ出した。

いや、クリスちゃんと言うよりも彼女に取り憑いたあの眼玉だろう。

そして、キングストーンの光が彼女と眼玉を引き剥がした。

禍々しい鎧は巨大な眼玉ーー邪眼へと姿を変える。

その瞬間、俺は邪眼に向かって跳び立った。

 

「ライダーキックッ‼︎」

 

「ブラック…サン……オノレェェェェェ‼︎」

 

ライダーキックを喰らい、邪眼が絶叫と共に爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

「クリスちゃん、クリスちゃん!」

 

邪眼が消滅した後、俺は倒れたクリスちゃんの元に駆け寄り彼女の身体を抱き起した。

 

「んん…っ、光…太郎……兄…ちゃん……?」

 

「クリスちゃん!良かった、気がついたんだね!」

 

クリスちゃんの意識が戻って喜ぶ俺とは対照的に、彼女の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。

 

「あたし…勝手に勘違いして、勝手に恨んで……たくさん酷い事をした……身体だってこんなにボロボロにして………」

 

「クリスちゃん、クリスちゃんはあの邪眼に操られていただけなんだ。気にする必要はない」

 

「でも!…戦っていたのはあたしの意思なんだ!パパとママの事があって、戦争を無くすには力を持つ奴らを片っ端からぶちのめしてやれば良いんだって……黒い悪魔を見て思ったんだ」

 

「ごめんよクリスちゃん。俺が君を助け出せていたら、君にこんな辛い想いをさせる事なんかなかったのに……本当にごめん!」

 

「あたしも、ごめん…なさい……ごめんなさい光太郎兄ちゃん!うっ…うわぁぁぁぁぁ!あぁぁぁぁぁぁっ!」

 

堰を切ったようにクリスちゃんが泣き叫ぶ。

俺はそんな彼女を優しく抱きしめた。

 

 

 

 

「もう大丈夫かい?」

 

そう言って頭を撫でると、クリスちゃんが顔を真っ赤にして俺の手を払い除けた。

 

「あったりまえだろ。いつまでもガキ扱いすんじゃねぇよ……って、何ショック受けてんだよ!」

 

「いや、昔は俺が撫でると嬉しそうにしてたのになって……もう嫌になっちゃった?」

 

「恥ずいんだよ!察しろよ、アニキのバカ!」

 

「アニキ…?」

 

「もうガキじゃねぇって言ったろ⁉︎兄ちゃんなんて言い方、恥ずかしくて身体が痒くなる……って、だからしょげてんじゃねぇよ!」

 

もうクリスちゃんに『光太郎兄ちゃん』と呼ばれないのかと思うとショックだった。

 

「てゆうかアニキ、音痴なの相変わらずだな。あの鼻歌ってママの歌だろ?」

 

「えっ⁉︎そんなに酷かった?」

 

「あまりにもヘタクソだったから邪眼の洗脳も解けちまったのかなも」

 

「クリスちゃん酷いよ、俺なりに一生懸命だったのに…」

 

軽口を叩いて揶揄ってくるクリスちゃん。その表情はあの頃と同じような可愛らしい顔をしていた。

俺は彼女に一緒に帰ろうと言って手を差し伸べる。

すると彼女は真剣な眼差しで真っ直ぐに俺を見据えた。

 

「アニキ、あたしフィーネのやつと決着をつけなきゃいけねぇ」

 

「分かった。俺も一緒に行くよ。君と一緒にフィーネをビルゲニアを倒す!もう絶対にクリスちゃんを一人にしないよ」

 

「だから、そういう言い方やめろよな!バカアニキ!」

 

と、クリスちゃんが顔を真っ赤にして俺に罵声を浴びせた。何がいけなかったんだろう?

 

そして俺は今回の一連の黒幕であるフィーネ達を倒す為、彼女を乗せてロードセクターを駆った。




次回予告

光太郎の正体を知ってから関係が気まずくなってしまった光太郎とあおい。
罪悪感を募らせるあおいにビルゲニアの魔の手が迫る!
その頃、フィーネとの決着をつける為にアジトに潜入した光太郎とクリス、2人がそこで見たものは……!

変身、仮面ライダーBLACK!
次回、戦姫絶唱 BLACK SHADOW
第14話 『逆襲!ビルゲニア』お楽しみに!
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