戦姫絶唱BLACK SHADOW 作:ロヒシ&かづ えい子しょうゆ味
投稿が遅くなってしまって大変申し訳ありません!
前回の光太郎がクリスに対して歌った歌ですが、アレは『紡いだ手だけが繋ぐもの』のハミングバージョンとなっています。
BLACKにしようかと迷ったんですが、光太郎まで歌いながら戦うというのがかなり無理があるなと思い、ハミングにしました。因みに、クリスが言ったようにだいぶ音を外しています。
さて、今回からビルゲニア決着編になります。
その日、私こと友里 あおいは少し憂鬱な気持ちでふらわーの扉を開けた。
通い慣れてるはずの場所なのに、今日の私には初めて一人で入るお店のような感覚になった。
その原因は分かってる。
「こんにちは」
「あら、あおいちゃん、いらっしゃい!」
店内に入るとオバさんがいつもの笑顔で私を迎え入れてくれた。
そして私は重い口を開いて尋ねる。
「あの……南君は?」
「光ちゃんかい?光ちゃんなら今朝早くに出かけて行ったよ?あおいちゃん何も聞いてないのかい?」
「は、はい……」
オバさんからの返答にやはりかと私は思った。
昨日、ノイズが現れて彼は一人で戦場に赴いた。
翼さんの復帰ステージがあって、それを楽しみにしてる人や響ちゃんがいるからと言って彼は一人で戦った。
でも、理由はそれだけじゃない。
彼が一人で戦場に向かった理由は、彼女ーー雪音 クリスがいたからだ。
戦いの様子は私も作戦室からモニターしていた。
そして、南君が彼女と仲直りをした時も、申し訳ないけど私達は見ていた。
泣きじゃくる彼女を優しく抱きしめる南君を見て、私は胸がチクッと痛くなった。
同時に、彼女には敵わないなと思ってしまった。
出かけたという事は、彼はおそらくフィーネの許へと向かったんだろう。
私どころか司令にも何も言わずに行ったという事はそういう事なんじゃないかしら?
嫌だな……私、何でこんな嫌な考えを……
私と南君が出会ったのは1年前だった。
こういう仕事についているせいか、若いのに出会いが無い。オマケに、生来の性格も祟って男には敬遠される事が多かった。
その日の合コンもいつものようにフラれ、お持ち帰りされる友人達を見送った私はヤケ酒を煽った。
そして、グロッキー状態の私を介抱してくれたのが南君だった。
彼は、私が悪酔いして絡んでも嫌な顔ひとつせずに笑って話を聞いてくれる優しい人だった。
私はふらわーの常連になり、彼の作るお好み焼きと彼と話す事がいつの間にか楽しみになっていた。
だから、彼からデートに誘われた時は本当に嬉しかった。
コレを逃したら後が無い!私は気合を入れてデートの準備をしていた。
だけどその日、ノイズが現れてしまった。
私の仕事は人々の命に関わる仕事、自分で選んだ道なんだから文句は言えないし、後悔もしていない。
だから彼には嫌われたとしても仕方ないと思ってた。
後日謝りに行くと、彼は目に見えて落ち込んでいた。
そんなに私とデートしたかったのかな?とこの時の私は自惚れていた。
実際はそうじゃない。彼は、クリスちゃんの事で思い悩んでいたんだ。
私は、彼の正体が仮面ライダーであることを知ってしまった。
仮面ライダーーー2年前から目撃されるようになった正体不明の人物。
シンフォギアを纏わずにノイズの炭素変換能力と位相差障壁を無効化する能力を持った仮面ライダーを私達二課は追っていた。
でも、その足取りはまったく掴めないままでいた。
でもあの日、デュランダルの輸送任務の際に仮面ライダーの変身が解け、彼の姿が現れた時は信じられなかった。その後に聞かされた彼の話も。
彼は私達のいる世界とは別の世界からやって来た人で、19歳の誕生日に兄弟同然に育った親友と一緒にゴルゴムという秘密結社の世紀王となるべく生体改造を施された改造人間だった。
彼の体内に埋め込まれたキングストーンと呼ばれる不思議な石が、彼が素手でノイズに触れても炭素変換しない理由だった。
私は色んな事が頭の中を駆け巡ってどうしたらいいか分からなかった。
彼と何を話したら良いか分からず、思わず目を逸らしてしまった事もある。あの時の彼の悲しそうな表情が今でも忘れられない。私は、なんて酷いことをしてしまったんだろう。
たとえ彼が改造人間であっても、心優しい人である事は変わりないのに……
「光ちゃんの事かい?」
と、オバさんがお水をそっと差し出してくれた。
この間のノイズ襲撃事件で私が二課の職員である事も知られてしまった。
司令の計らいで南君の協力者という事で、他の人よりは規制が和らいでいる。
「オバさん…私、彼に酷いことをしてしまって…」
私はオバさんに自分の思っている事を話した。
声を震わせ、時折目が熱くなりながらも喋る私の話をオバさんは黙って聴いてくれた。
「人間だとか、改造人間だとか関係ないのに……南君は南君なのに、私……」
「まぁ、そう思い詰めるもんじゃないよ」
「オバさん…」
「私もね、光ちゃんと初めて会った時はあおいちゃんと同じだったんだ」
オバさんは南君に初めて助けられた時の事を話してくれた。
「大丈夫だよ。光ちゃんはあおいちゃんの事を嫌いになったりはしやしないさ」
「でも…」
「あんまし結論を急ぐもんじゃないよ。胸に生まれたその気持ちをゆっくり育てていけば良いんだ」
「お、オバさん!私、別にそういう話をしてるわけじゃ……!」
「おや、そうだったのかい?」
顔が熱くなってるのが自分でも分かる。
でも、そんな私を見てオバさんはケラケラと笑いながらお好み焼きを焼き始めた。
「お腹が減ってるとね、嫌なことばかり頭に浮かぶものさ。よく言うだろう?腹が減っては何とやらってね!光ちゃん特製じゃなくて申し訳ないけどね」
「何言ってるんですかオバさん」
と、いつの間にか笑みが溢れていた。
オバさんと話せてどこか気持ちが楽になっている自分がいる。
この戦いが終わったら、ちゃんと彼に謝ろう。そして、話しをしよう。そう心に誓った。
『ククククッ……』
と、どこからか不気味な笑い声が聴こえてきた。
すると、扉の所に鱗のような鎧を来た男が姿を現した。
この男は……ッ!
「ふふっ、ゴルゴムの剣聖ビルゲニア。貴様らは南 光太郎を誘き出す餌として利用させてもらうぞ」
「オバさん、逃げて!」
オバさんだけでも逃がそうとしたその時。ビルゲニアの手から光が放たれ、私達に襲いかかった。
その瞬間、私の意識は遠のいてしまった。
●●●●●●
クリスちゃんを背後に乗せ、ロードセクターを駆りながら俺は山道を走っていた。
昨日、クリスちゃんを助け出した俺は一度彼女と一緒にふらわーに帰った。
そして、フィーネと決着をつけるというクリスちゃんと共に、フィーネのアジトへ向かった。
話を聞いたオバさんは「無事に帰ってくるんだよ」と一言だけ言葉をかけてくれた。
フィーネのアジトは山の中にある洋館だった。
罠を警戒しながら潜入すると、フィーネのラボと言われている部屋で身体中から血を流して死んでいる男達を見つけた。
おそらく、クリスちゃんが言っていたフィーネに協力していた米国の諜報員達だろう。
全員死んでいる所を見ると仲間割れでも起きたのだろうか?
すると、背後からいきなり男達が部屋の中に突入してきた。
思わず身構えると、二課の職員と風鳴さんだった。
「違う!あたし達がやったんじゃねぇ!」
疑われると思ったんだろう。
クリスちゃんが風鳴さんに弁解するが、風鳴さんは俺達が犯人じゃないと断言してくれた。
「全ては、君や俺達の傍にいた
「風鳴さん、まさかフィーネの正体を知っているんですか?」
風鳴さんの言い方に引っかかりを覚えた俺が尋ねると無言を貫いた。
沈黙は肯定…ということだろうか。
その時、二課の職員の一人が死体に添えられた紙に触れ、爆発が起こった。
俺は爆風からクリスちゃんを庇うようにして彼女の身体を抱きしめた。
爆風が収まると、軽い怪我をした人は何人かいたが皆無事だったみたいだ。
風鳴さんなんて、「衝撃は八卦いでかき消した」なんて言っていた。この人時々俺と同じ改造人間なんじゃないかと思える時がある。
「な、何やってんだよアニキ!」
と、クリスちゃんが、顔を真っ赤にして俺を突き飛ばした。自分を庇った俺の身体を心配してくれてるのかな?
「大丈夫だよ、俺は改造人間だから多少の爆発じゃ……」
「そういう事じゃねぇよ……にぶちん」
トマトみたいに顔を赤くして俯きながらぶつぶつ言うクリスちゃん。いったい何なんだ?
風鳴さんは困ったような顔で頭をポリポリと掻いていた。
フィーネが館から姿を消していたという事は、本格的に動き出すはず。
何か手がかりはないかと探そうとした時、クリスちゃんがフィーネが言っていた言葉を思い出した。
「カ・ディンギルは完成してるって…」
カ・ディンギル……いったい何なんだろうかそれは…?
とりあえず、一度二課に戻ってからという事で外に出ようとした時だった。
『ククククッ!』
どこからともなく不気味な声が響いてきた。
この声は……ッ!
「南 光太郎」
と、俺達の前にビルゲニアが現れた。
「南 光太郎、最後の決着をつけよう。お前一人で来るんだ」
「アニキ!」
「南君、これは明らかな挑発だ」
「ほぅ?ならこの2人がどうなっても良いんだな?」
すると、ビルゲニアの背後にある姿見の中にオバさんと友里さんの姿が映し出された。
「ビルゲニア、貴様ッ⁉︎」
「クククッ、こいつらは人質だ。無事に返して欲しかったら大人しく一人でついてくるんだな!」
ビルゲニア、どこまでも卑怯な真似を!
「アニキ、あたしも一緒に行く!」
「いや、クリスちゃんは風鳴さん達と一緒にカ・ディンギルが何なのかを探ってくれ。ロードセクターなら自動運転で君を運んでくれるはずだ」
「何でだよアニキ!あたしを一人にしないって言ったじゃねぇかよ!」
「ごめんよクリスちゃん。でも、オバさんも友里さんも俺の大切な人なんだ」
彼女の頭を撫でながら説得する。
納得しないって顔をしていたけど、なんとか折れてもらった。
「アニキ、絶対にビルゲニアの野郎を倒せよ!じゃなきゃ一生許さないかんな!」
「あぁ、まかせろ!風鳴さん、クリスちゃんを頼みます!」
「分かった。こちらも友里君の事、頼んだぞ」
「ハイ!」
風鳴さん達を見送った後、俺はビルゲニアに振り返る。
そして、変身の構えを取ろうとした瞬間、奴が手を翳し、俺は姿見の中に吸い込まれてしまった。
気がつくと、暗い倉庫の中で倒れていた。
此処はいったい何処なんだ?
辺りを見回していると、身体を鎖で縛られたオバさんと友里さんを連れたビルゲニアが姿を現した。
「ビルゲニア、その人達は関係ない!2人を解放しろ!」
「クククッ、南 光太郎。人質を返して欲しかったら物々交換といこうじゃないか」
「物々交換?」
「そうだ。貴様の持つサタンサーベルを俺に差し出せば、この2人は解放してやる」
下卑た笑みを浮かべ要求を述べるビルゲニア。
サタンサーベル…かつてあの剣を手にした奴に俺は苦戦を強いられた。今サタンサーベルを奴に渡してしまったら……でも、2人の命には代えられない。
だが、今まで二度サタンサーベルが現れたけど俺自身が呼び出したわけじゃない。
「どうした?この2人の命が惜しくないのか?」
「光ちゃん、こんな奴の要求なんか飲む必要はないよ!」
「私達の事は気にせず戦って南君!」
「黙れ!」
ビルゲニアが友里さんの頬を思い切り殴った。
そして、彼女の首下に剣を突きつける。
このままじゃ友里さんの命が危ない。俺は心の中で強く呼びかけた。
頼むサタンサーベル。姿を現してくれ。
すると、俺の思いが届いたのかサタンサーベルが現れた。
「おぉっ、サタンサーベル!さぁ、それを俺に渡せ!」
俺はサタンサーベルを差し出すとビルゲニアは下卑た笑みを浮かべ奪い取った。
そして、2人を縛り付ける鎖を剣で斬ると俺の前に突き飛ばした。
「3人まとめて地獄に行け!サタンクロスッ‼︎」
ビルゲニアがサタンサーベルとビルセイバーを十字に重ねる。
重なり合った2つの剣からエネルギー波が放たれた。
俺はエネルギー波から2人を庇うようにして立ち塞がった。身体中を猛烈な痛みが襲う。
「うわぁぁぁぁっ‼︎」
爆発が起こり、俺はその場に崩れ落ちた。
次回予告
ビルゲニアの策略により変身できなくなった光太郎。
そこへ、さらなる罠が光太郎に襲いかかる。
改造人間としての苦悩、戦い続ける辛さ、光太郎の為にあおいが、皆の心の声が光太郎に力を与える。
戦え、南 光太郎!変身、仮面ライダー!
次回、戦姫絶唱BLACK SHADOW
第15話『仮面ライダーBLACK』お楽しみに!
今作のヒロインをどう思いますか?
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姉さん女房な友里さんでしょ!
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いやいや、ツンデレなクリスだ!
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ここは一つ、ふらわーのオバちゃんで!
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ヒロイン要らなくね?