戦姫絶唱BLACK SHADOW   作:ロヒシ&かづ えい子しょうゆ味

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今回も前回同様友里さん視点で話が進みます。
今回の話は、平成のライダー作品にはない昭和のライダー作品が持つ『仮面ライダー』というモノの定義の一つはコレなんじゃないかというのを組み込んだつもりです。


第15話 仮面ライダーBLACK

「うわぁぁぁっ‼︎」

 

ビルゲニアの持つ剣から放たれたエネルギー波から私達を庇った南君が絶叫を上げてその場に倒れた。

 

「南君!」

 

「光ちゃん!」

 

私達が彼に駆け寄ると、ビルゲニアが下卑た笑い声を上げる。

 

「ハハハハハッ!南 光太郎、貴様の変身機能を破壊してやったぞ!これで貴様は仮面ライダーに変身する事もできない!」

 

「クッ……」

 

腕から血を流しながら、尚もビルゲニアと戦おうとする南君。

でも、傷ついた身体で満足に戦える筈がない。

私は彼の腕に応急処置でハンカチを巻くと、ビルゲニアの前に立った。

 

「何だ女?貴様なんぞが私に勝てると思っているのか?」

 

「友里さん……ダメだ!」

 

私は、持っていた銃を向けると、ビルゲニアの足下目掛けて引鉄を弾いた。

ビルゲニアは銃弾だと思ったかも知れないけど、私が撃ったのは煙幕弾だ。

あたり一面が白い煙に覆われ、ビルゲニアが私達を見失っている間に南君の肩をオバさんと2人で支えながらその場から逃げた。

 

 

 

 

しばらく走っていると、見覚えのある風景が視界に入る。

どうやら私達がいた場所はリディアンのすぐ近くだったみたい。基地に行けば、南君の手当てもできると思い、私達は急いだ。

だけど、リディアンに着いた私は驚愕した。

なんと、ノイズがリディアンを襲撃していた。

どうしてノイズがリディアンを?司令達は無事なの?

様々な考えが頭の中を過ったけど、今は南君の手当をする方が先決だわ。

私は急いでリディアンの地下にあるシェルターに向かった。

 

 

 

シェルターの一室にあるベッドに南君を寝かせる。

そして、手当をしようと彼の腕に巻いたハンカチを外した時、私は目を見開いた。

傷を負い、血を流していたはずの彼の腕は綺麗に治っていた。

それを見て、私は改めて彼が改造人間であった事を思い知った。

私の表情を見たせいか、南君が気まずそうな顔を向ける。

 

「ごめんなさい友里さん。俺は改造人間だから……」

 

あの時と一緒だ。

私が、彼が改造人間だと知って、彼の話を聞いていた時と……

私は、彼にこんな顔をさせたいわけじゃない!

南君に声をかけようとしたその時だった。

どこからか誰かの叫び声が聴こえてきた。

シェルターの部屋を出ると、避難しようとしていた人達の周りをノイズが取り囲んでいた。

どうしてこんな所までノイズが……?

ノイズには活動時間のようなものがあって、地下シェルターに辿り着く前に自然消滅する筈なのに……

私がそんな事を考えていると、南君がその人達を助けようと飛び出していた。

その時、私は気づいてしまった。

 

「南君ダメ!ノイズを倒さないで!」

 

だけど、その前に南君は人々を囲むノイズを生身の身体(・・・・・)で倒してしまった。

そう。人間はノイズに触れる事はできない。ノイズに触れると言う事は、自分の身体が炭へと変わるという事だから……

生身でノイズを倒した南君を、助けた人達が信じられない物を見たような目で怯えていた。

 

「皆さん、怪我は無いですか?」

 

そう言って近づこうとする南君。だけど……

 

「お、おい、今こいつノイズに生身で触れたぞ!」

 

「ノイズに触って、何で無事なんだ⁉︎」

 

「ば、化け物だぁぁぁぁ‼︎」

 

そう言って人々は南君に恐怖する。その中には響ちゃんのクラスメイトの姿もあった。

 

「ハハハハハッ、バカめ!」

 

と、どこからともなく不気味な笑い声が響いた。

そこに姿を現したのはビルゲニアだった。

 

「人間が生身でノイズに触れられる筈がないだろう。聴け、人間共!何故その男がノイズに触れても無事だったのか。それは、その男が人間じゃないからだ!」

 

コレはビルゲニアの罠だったんだわ。

人々をノイズに襲わせ、それを南君に倒させて彼が人間でない事をみせつけ、彼を精神的に追い詰めようとしたのね。

南君はたとえ変身できなくなってしまっても、ノイズから人々を守ろうとするから……

その彼の正義感をこんな形で利用するなんて…!

人間じゃないとビルゲニアに教えられ、人々の目には南君への恐怖が増大していた。

 

「フッ、見ろ南 光太郎。所詮人間共など何の守る価値もない種族なのだ。貴様に助けてもらいながら、貴様が人間でないと知るとこの態度だ。どうだ?今からでも俺と共に新生ゴルゴム帝国を作る為に手を貸さんか?お前は元々ゴルゴムの世紀王だ。それに、ここはお前の元のいた世界とは違う。そんな違う世界の人間を守る必要がどこにある⁉︎」

 

「ふざけるな!たとえ違う世界でも、俺自身が改造人間のままでも、俺はこの世界の人達から沢山のモノをもらった。だから、お前の提案になど絶対に乗らん!たとえ化け物と恐れられても、俺はこの世界が好きだ、人間が好きだ‼︎」

 

南君がビルゲニアの言葉を拒絶する。

 

「ならば、コレでも同じ事が言えるか!ハァッ‼︎」

 

刹那、ビルゲニアの手から光線が南君の頭に向かって放たれた。

頭を押さえ苦しむ南君。

すると、彼が私達の方を見ると怯えるような叫び声を上げ始めた。

いったいどうしたの?

 

「ハハハハハッ、奴に催眠光線を放ってやったのだ!今の奴にはお前達が自分を拒絶する罵詈雑言を吐いてるように見えている。南 光太郎、人間に迫害されても、それでも貴様は人間を守るというのか?」

 

「南君!」

 

「光ちゃん!」

 

「やめろ!やめてくれ!俺は…俺は……!」

 

ビルゲニアの催眠光線のせいか、南君には私どころかオバさんの声まで届いてないみたいだった。

いったいどうしたら良いの?

彼は、私達を守るためにずっと戦ってきたのに……

その時、私はハッとした。彼が改造人間だと知ってから私は彼にどんな態度を取り続けてきたんだろう?

彼がどんな人間か知っているのに、普通の人間じゃないというだけで私は態度を変えてしまった。

今彼が催眠光線で見ているのは、私が彼にしてしまった行為そのものの形じゃないの?

そうだわ。私はまだ彼にちゃんと言ってない。自分の気持ちを、彼に想っている事を……!

 

「南君聞いて!私は知ってる。たとえ普通の人間じゃなくても、貴方がどれだけ優しい人だったか!仮面ライダーとして、多くの人をノイズから助けてきたのかを!」

 

私は思いの丈をぶつける。彼の心に届くように。

 

「ごめんなさい……私、貴方に酷い事をした。人間じゃなくても、改造人間であっても南君は南君なのに……誰かの為に一生懸命な優しい人なのに……だから、私は絶対に貴方を一人になんかしない!貴方と一緒に私も戦うわ!」

 

「わ、私達も!」

 

と、私に続くように響ちゃんのクラスメイトの子が南君に向かって叫ぶ。

 

「私達も光太郎さんがどれだけ優しい人か知ってる!」

 

「私達の悩みも聞いてくれたり、勉強で困った事があったら教えてくれたりした」

 

「光太郎さんが仮面ライダーだった事は驚きましたけど、でも、光太郎さんが光太郎さんである事に変わりありません!」

 

「「「光太郎さん、元に戻って(ください)!」」」

 

彼女達の声を聴いても、南君はまだ催眠光線に犯されたままだった。

すると、小さな女の子が私達の所にやってきた。

 

「ママ、ライダーだよ!あのお兄ちゃんが仮面ライダーなんだよ!」

 

「あ、ちょっと、待ちなさい!」

 

すると、母親らしき女性が女の子の手を掴んで止める。

 

「光太郎さんの事、知ってるんですか?」

 

「えっと……詳しくは言えないんですが、ウチの子は以前ノイズに襲われた時に仮面ライダーに助けてもらった事があって……」

 

女の子の母親がそう言うと、南君に恐怖していた人達の中から一人の男性が声を上げた。

 

「そ、そうだ。俺もノイズに襲われた時、仮面ライダーに助けてもらったんだ!」

 

「わ、私も!」

 

「そう言えば俺、以前にバイクがパンクして困っていた時、あの人に助けてもらった事があったんだ」

 

と、次々に仮面ライダーや南君に助けてもらったという人達の声が上がる。

その瞳には先程までの恐怖の色はなかった。

そうだよ南君。みんな貴方の優しさを知ってる。

身体は人間じゃなくても、心は誰よりも素晴らしい人間だという事を助けてもらった人達はみんな知ってるんだよ。

 

「元に戻って仮面ライダー!」

 

「無駄だ!貴様達人間の言葉など、この男の耳に届く事はない!」

 

「そんな事ないわ!」

 

私はビルゲニアの言葉を否定する。

私達の言葉は絶対に南君に届く。彼を一人になんかさせない。私達も、私達も一緒に……!

 

「立って南君!私達も一緒に戦う!絶対に貴方を一人になんかさせないから!立ち上がって、仮面ライダー‼︎」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎」

 

南君が絶叫を上げて崩れ落ちた。

それを見て、ビルゲニアが高笑いをあげる。

 

「ハハハハハッ、催眠光線に抗おうとして脳が焼け切れたみたいだな。では、奴の体内にあるキングストーンをいただくとするか」

 

私は南君を守るためにビルゲニアの前に立ち塞がった。

私だけじゃないオバさんや響ちゃんのクラスメイト、みんなが南君を守ろうと立ち上がった。

銃を構える手が震える。でも、私だっていつまでも彼に守ってもらってるばかりじゃいられない。

今度は私が彼を守るんだ。

 

「愚かな奴らだ。南 光太郎共々、地獄に送ってやる!」

 

ビルゲニアの持つ剣が振り下ろされる。

その時、私の横を風が吹いたかと思うと、ビルゲニアの身体が吹き飛んだ。

何が起きたの…?

見ると、倒れていたはずの南君が立ち上がり、ビルゲニアを殴り飛ばしていた。

 

「ば、バカな!意識が戻ったというのか…⁉︎」

 

「友里さんが…みんなの声が、俺を元に戻してくれたんだ」

 

「人間如きの声など……だが、貴様の変身機能は破壊してある。仮面ライダーに変身できない貴様など、このサタンサーベルを持つ剣聖ビルゲニアの敵ではないわ!」

 

「ガンバレー、仮面ライダー!」

 

「負けるな、仮面ライダー!」

 

「俺達も一緒に戦うぞ、仮面ライダー!」

 

と、人々が南君を応援する。

その時、不思議な事が起きた。南君の腰の部分から太陽のような眩しい光が放たれた。

 

「ば、バカな⁉︎これはまさか、キングストーンの光‼︎」

 

「みんなの声が俺に勇気を、戦う力を与えてくれる!ビルゲニア、俺はお前を絶対に許さんッ‼︎変…身ッ‼︎」

 

南君が腕を振り、変身の構えを取る。

すると、光が彼の身体を包み込み、仮面ライダーへと姿を変える。

そして、彼の力強い声が響渡った。

 

「俺の名は、仮面ライダー、BLACKッ‼︎」




次回予告

ライダーと剣聖ビルゲニア、因縁の戦いの火蓋が切って落とされた。
サタンサーベルを手にし、パワーアップを果たしたビルゲニアに対してライダーは勝利する事ができるのか?
戦え、南 光太郎!変身、仮面ライダー!
そして今、サタンサーベルとキングストーン。創世王が持つ力の真の力が発揮される。

次回、戦姫絶唱BLACK SHADOW
第16話 『鮮烈!ビルゲニアの死』お楽しみに!

今作のヒロインをどう思いますか?

  • 姉さん女房な友里さんでしょ!
  • いやいや、ツンデレなクリスだ!
  • ここは一つ、ふらわーのオバちゃんで!
  • ヒロイン要らなくね?
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