戦姫絶唱BLACK SHADOW   作:ロヒシ&かづ えい子しょうゆ味

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お気に入り登録していただいた方ありがとうございました。

今回の話からまた光太郎視点の話に戻ります。
時系列としては、響、翼、クリスの3人がフィーネと戦っている辺りからになります。

そしてふらわーのオバちゃんの名前についてのアンケートの結果ですが、圧倒的多数で名前不要の票が多かったので、オバちゃんはこれからもオバちゃんとさせていただきます。


第19話 響け、生命の歌

ビルゲニアとの戦いを終えた直後、突然地面が大きく揺れだした。

床や壁に亀裂が入り、立っていられなくなるほど揺れは大きくなっていく。

 

「みんな、大丈夫か⁉︎」

 

そう声をかけるが、あまりの大きな揺れにみんなは恐怖に怯え、叫び声を上げながら頭を抱えて蹲っている。

ようやく揺れが収まると、安全な場所に避難するべく、俺を先頭にして移動を始めた。

 

「仮面ライダー、あおいさん!」

 

しばらく歩いていると緒川さんと合流する事ができた。

どうやら、この近くの一室に風鳴さんや未来ちゃん達と一緒にいるらしい。

良かった。無事だったんだ。

緒川さんの言葉に安堵し、俺達は風鳴さん達の所へ向かった。

オバさん達に別室でケガ人の手当てをしてもらい、俺と友里さんは風鳴さん達のいる部屋へと向かった。

部屋に入ると、若い男の人ーーたしか藤尭さんだったっけ?ーーが、パソコンのモニターで外の様子を見ていた。どうやら一部の電源はまだ生きているようだ。

それよりも俺は、風鳴さんが大ケガを負っている事に驚いた。

改造人間である俺から見てもかなりデタラメな凄さを持っている風鳴さんが、腹部に巻かれた包帯から血が滲み出る程のケガを負わされたというのはにわかに信じられなかった。

 

「風鳴さん、そのケガは…?」

 

そう訊こうとした時だった。

 

「了子…さん……?」

 

友里さんが信じられないものを見るような目でモニターを見ていた。

そこには、ネフシュタンの鎧を纏いクリスちゃん達3人と戦う櫻井 了子さんの姿があった。

まさか、彼女がフィーネなのか?

視線を向けると、風鳴さんは気まずそうに視線を落とした。それが真実を物語っていた。

 

フィーネの館で会った時、風鳴さんはその正体について知っているようだった。

いつからか気づいていたかは分からないが、つまりこの人はフィーネの正体を知っていながら彼女を泳がせていたんだ。

俺は風鳴さんに掴みかかりたくなっていた。

もっと早くに知っていたなら、もしかしたら防げていた事も沢山あったはずだ。

しかし、そんな俺の心中を察したのか友里さんが俺の腕を掴み首を振る。

そうだ。きっと風鳴さんも悩みに悩んだに違いない。だから俺は震える手の力をそっと緩めた。

 

「えっ、これってもしかしてビッキー⁉︎」

 

と、いつの間にか弓美ちゃん達がこちらの部屋に来ていた。

シンフォギアを纏い戦っている響ちゃん達を見て驚いている。

 

3対1という数的不利な状況の中、了子さん…いやらフィーネは響ちゃん達の攻撃をものともしていたなかった。

かなりの強敵だ。だが、3人を助けに行こうとしたその時、変身が解けてしまった。どうやらエネルギーを使い果たしてしまったみたいだ。

仮面ライダーの姿から南 光太郎の姿に戻った事で未来ちゃんが慌ててみんなに説明しようとするけど、その前にさっきまでのビルゲニアとの戦いの話をした。

 

「風鳴さん、すみません」

 

「いや、気にする必要はない。俺の方こそすまなかった」

 

「クリス、いったい何を…⁉︎」

 

と、話をしていると未来ちゃんが驚きの声を上げていた。

モニターに視線を向けると、クリスちゃんがロケットに乗って空に向かっていた。いったい何をするつもりなんだ?

その時だった。

 

 

Gatrandis babel ziggurat edenal……

 

 

月の光が輝く空にクリスちゃんの歌声が響き渡った。この歌は、絶唱……!

 

「止めるんだクリスちゃん!」

 

俺はモニターに向かって叫ぶ。

絶唱は奏者の命を蝕む歌。絶大なエネルギーを発生させる代償として、死すら招きかねない。

翼ちゃんも一度絶唱を歌って死にかけていた。

俺は直ぐにでも彼女達の元に駆けつけたかった。

だけど、もう間に合わない。

おじさん、おばさん、クリスちゃんを守ってくれ……

俺は、ただそう祈る事しかできなかった。

 

カ・ディンギルから放たれた荷電粒子砲をクリスちゃんのレーザー砲が迎え撃った。

ぶつかり合う2つの光線。だけど、クリスちゃんが圧されているのは火を見るよりも明らかだった。

その時だった。クリスちゃんの身体が淡い光を発したかと思うと、レーザー砲の威力が上がり、荷電粒子砲を押し返そうとした。

だけど、カ・ディンギルの荷電粒子砲はクリスちゃんの身体を呑み込んだ。

 

「クリスちゃぁぁぁぁぁぁん‼︎」

 

部屋の中で俺の叫び声が響き渡る。

クリスちゃんの命をかけた絶唱で、荷電粒子砲は軌道を反らし、月の一部を砕くだけに終わった。

 

 

みんなを守るために命を散らしたクリスちゃん。

その事に誰もが嘆き悲しみ、涙を流した。

だけど、そんな中フィーネだけが無駄な事だと嘲笑った。

怒りに震えていると、響ちゃんの様子がおかしくなった。

身体がドス黒い何かに覆われ、まるで狂った獣のように奇声を発していた。

まさか、響ちゃんまであの邪眼の影響を受けていたのかと思ったが違ったようだ。

彼女の怒りの感情に反応したガングニールの欠片が響ちゃんを暴走させていた。

 

暴走した響ちゃんは、なんと翼ちゃんに牙をむいた。周りが全て敵に見えてしまっているみたいだ。

翼ちゃんは必死に響ちゃんを止めようとするが、その声は全く届いていない。

 

「…もう、終わりだよ。私たち……」

 

そして、そんな響ちゃんの姿は弓美ちゃん達の恐怖の感情を掻き立てた。

 

「学院もめちゃくちゃになって、響もおかしくなって…」

 

「終わりじゃない。響だって私達を守るために…」

 

「アレが私たちを守る姿なの⁉︎光太郎さんだって、仮面ライダーの変身が解けちゃってるんだよ⁉︎もう…助からないよ」

 

大粒の涙を流しながら声を震わせる弓美ちゃん。

創世ちゃんや詩織ちゃんも不安気な顔でモニターを見つめている。

それでも、未来ちゃんだけは響ちゃんが元に戻ってくれると信じていた。

その目の輝きを見て、俺は俺にできる事をしようと決意した。

 

「ロードセクターッ‼︎」

 

「ッ⁉︎何をするつもりだ南君?」

 

「ロードセクターで地上に出ます」

 

「しかし、今の君は変身が…」

 

「分かっています。それでも、俺は…俺がやれる事をやります!俺の力は、その為の力だから」

 

「私達に、できる事……ッ⁉︎」

 

その時、地面がまた揺れ始めた。

モニターを見ると、カ・ディンギルが再びエネルギーチャージを始めていた。不敵に笑みを浮かべるフィーネ。

早く来てくれロードセクター!

はやる気持ちに抑えが効かなくなる。

すると、翼ちゃんが決意を秘めた目でフィーネを響ちゃんを捉えた。

翼ちゃんに向かって響ちゃんが突進する。

それを、彼女は避ける事なく優しく抱き締めた。

 

『立花、この手は誰かと手を繋げるための手だろう?奏から受け継いだ力を、こんな風に使わないでくれ』

 

優しく諭すように告げると、翼ちゃんはフィーネに向かって剣を向ける。

 

『どこまでも剣として生きるか』

 

『今日に折れて死んでも、明日に人として歌うために……風鳴 翼が歌うのが、戦場ばかりでないと知れ!』

 

翼ちゃんとフィーネの交戦が始まった。

フィーネのスペックの高さを翼ちゃんは今までの戦いで培った経験と技で対抗し、2人の力は拮抗する。

そして、彼女は巨大化させた剣を囮にして天高く飛び上がった。

両手に持つ剣が炎を纏い、まるで鳥の翼のようだった。

しかし、ネフシュタンの鞭が背後から襲いかかり、彼女を撃ち落とす。

みんなが叫び声を上げた瞬間、さっきのクリスちゃんと同じように翼ちゃんの身体が淡い光を放った。

すると、彼女は再び剣に炎を灯し、翔び立った。

青白い炎の翼を纏って空を翔けるその姿はまるで不死鳥のように見えた。

その不死鳥がカ・ディンギルに激突すると、轟音が鳴り響きカ・ディンギルは大爆発を起こした。

 

 

 

「天羽々斬…反応途絶……」

 

藤尭さんが重苦しい声でそう告げる。

 

「身命を賭してカ・ディンギルを破壊したか翼。お前の歌…世界に届いたぞ。世界を守り切ったぞ!」

 

拳を震わせてそう告げる風鳴さん。

クリスちゃんに続き、翼ちゃんまで命を落とした事で弓美ちゃんはさらに絶望してしまったみたいだ。けど、泣き喚く彼女を未来ちゃんが諭す。

その時だった。

 

「あっ、カッコいいお姉ちゃんだ!」

 

と、別室にいた人達がやって来ていた。

いつか響ちゃんが助けた女の子が嬉しそうにモニターに駆け寄ってくる。

 

「へ?仮面ライダーに助けてもらったんじゃないの?」

 

「はい、ウチの子を助けてくれたのは仮面ライダーとあの子なんです」

 

「ねぇ、カッコいいお姉ちゃん助けられないの?」

 

「助けようと思ってもどうしようもないんです。私達には何もできないですし…」

 

そう言って俯く詩織ちゃん。

すると、女の子が花のような笑顔でみんなに言う。

 

「じゃあ、いっしょにおうえんしよ!仮面ライダーだって、みんながおうえんしてかいじんをやっつけたんだから!ねぇ、ここから話かけられないの?」

 

「う、うん。できないんだ」

 

「そうだ、応援だ!」

 

女の子の言葉で閃いた。

藤尭さんは学校の機能はまだいくつか生きていると言っていた。ここから響ちゃんに未来ちゃん達の声を届けられれば……

同じように考えたのか未来ちゃんも風鳴さんにそう提言する。

クリスちゃん、翼ちゃん、そしてみんなを失ったと思っている響ちゃんは目の輝きを失い、計画を邪魔されて怒り心頭のフィーネにされるがままになっている。

彼女に再び立ち上がる力を与えられるのはここにいるみんなにしかできない。

すると、響ちゃんの力になれるならと絶望していた弓美ちゃんの目にも光が戻り始めた。

それと同時にロードセクターがやってきた。

俺はロードセクターに乗って地上に、未来ちゃん達は協力して学校の機能を復活させて響ちゃんに声を届ける為に動き出した。

 

「光ちゃん…」

 

「南君……」

 

オバさんと友里さんが心配そうに俺に声をかけてきた。

俺はそれに笑顔で返す。

 

「2人とも、俺なら大丈夫!」

 

「南君、響君の事を頼んだ」

 

「はい!」

 

そして俺は、ロードセクターを駆って地上を目指す。

猛スピードで駆け上がり地上に出ると、ネフシュタンの鞭が響ちゃんに襲い掛かろうとしていた。

その鞭を俺はキックで弾き飛ばす。そして、倒れている彼女に檄を飛ばすように告げた。

 

「立ち上がるんだ響ちゃん!」

 

「こ…光太郎さん……!」

 

嗚咽を漏らしながら俺の名を呼ぶ響ちゃん。そして、俺が現れた事でフィーネは顔を歪ませた。

 

「チッ、貴様生きていたのか……ビルゲニアめ、つくづく使えん男だ」

 

「櫻井さん…いや、フィーネ。これ以上、お前の好きにはさせん!」

 

「光太郎さん、クリスちゃんが、翼さんが、未来や学校のみんなが……」

 

「響ちゃん、諦めるな!君を信じて、君を助けようと戦ってる人達がいるんだ!」

 

「私を、信じて……?」

 

「そうだ。よく耳を澄ませるんだ。君にも聴こえるはずだ」

 

「何をごちゃごちゃと……ん?何だコレは?」

 

顔を顰めて辺りを見回すフィーネ。

すると、響ちゃんの耳にもソレは聴こえたのか、彼女の瞳に光が蘇っていくのが分かった。

聴こえてきたのは歌声だ。

学校の機能を復活させた未来ちゃん達が響ちゃんを応援する為に歌を歌っていた。

その想いは沢山の光の粒となって暗く閉ざされていたリディアンの周辺に太陽の輝きを取り戻させた。

そしてそれは、響ちゃん自身の光も。

 

「まだ戦えるだと⁉︎何を支えに立ち上がる?何を握って力と変える?鳴り渡るこの歌の仕業か?そうだ、お前が纏っているモノは何だ⁉︎心は確かに折り砕いた筈……なのに、何を纏っている⁉︎それは私が作ったモノなのか?お前が纏うソレは何だ⁉︎何なのだ⁉︎」

 

その時、俺の耳に誰かの声が聴こえてきた。

 

『南 光太郎。キングストーンの光を解き放て。想いを紡ぐ少女の歌と共に』

 

俺は謎の声に従うように変身の構えを取る。

 

「響ちゃん、君の想いを、ハートの全部で解き放て!変…身ッ‼︎」

 

「シンフォギアァァァァァァァァッ‼︎」

 

「みんなの想いと共に輝け、キングストォォォォォンッ‼︎」

 

 

《その時、不思議な事が起こった。光太郎や響、そしてみんなの想いとキングストーンの輝きが合わさり、死の淵にいたクリスと翼を蘇らせ、彼女達に新しい力を与えたのだった。》

 




次回予告

みんなの歌声によって新たなギアを纏った響達。
そんな彼女達に対し、フィーネは街を埋め尽くすほどのノイズを召喚する。
ノイズ殲滅に奔走する3人の裏で今、ライダーとフィーネの最後の戦いが始まった。
変身、仮面ライダーBLACK!

次回、戦姫絶唱BLACK SHADOW
第20話『激突!ライダー対フィーネ』お楽しみに!

今作のヒロインをどう思いますか?

  • 姉さん女房な友里さんでしょ!
  • いやいや、ツンデレなクリスだ!
  • ここは一つ、ふらわーのオバちゃんで!
  • ヒロイン要らなくね?
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