戦姫絶唱BLACK SHADOW 作:ロヒシ&かづ えい子しょうゆ味
いつの間にか夜が明け、朝陽が水平線から姿を見せていた。
朝陽を背に謎のケージを持って佇むマリア…いや、ウェル博士の話では再誕したフィーネを俺達は愕然と見ていた。
フィーネーー先史文明期に存在していた巫女で、太古の神に恋をし、また愛を得ようと相互理解を失った人類を束ねるべく暗躍していた。
そして、その想いを謎の邪眼によって利用され、ルナ・アタック事件を引き起こした張本人だ。
しかし彼女は、邪眼の支配から解放されたことで俺達と和解した筈だ。
リインカーネーションという遺伝子にフィーネの刻印を持つ者を魂の器とする輪廻転生システムを使ったとしても、それまでの記憶までは失われない筈だ。いったいどうして…?
そんな事を考えていると、突然海面に水しぶきが上がる。
マリアの攻撃で海に叩き落とされた翼ちゃんが、脚部ブレードのブースターを利用して浮上し、マリアに斬りかかった。
「甘く見ないでもらおうか!」
「甘くなど見ていない!」
翼ちゃんの攻撃を躱したマリアが謎のケージを空に向かって投げると、まるで空に食われてしまったかのようにケージが消えてしまった。
それを見て、俺はマルチアイを作動させる。だが、何の反応も得られなかった。
けど間違いない。何らかの異端技術を使って奴らは姿をくらませているんだ。
周囲を警戒していると、仮設本部ーー先のルナ・アタック事件で破壊された本部再建までの間に用意された次世代型潜水艦ーーを舞台にマリアと翼ちゃんが交戦を開始する。
翼ちゃんの剣とマリアの槍がぶつかり合い、激しく火花が散る。
一進一退の攻防が続く中、マリアがマントを使ってコマのように高速回転して翼ちゃんに襲いかかった。マリアにはアームドギアの他に、あの自由自在に動くマントがある為苦戦を強いられている。
高速回転するマントの弱点、真上から狙おうとするが、それを読んでいたマリアはあっさりと翼ちゃんを押し返す。
アンチリンカーガスのせいで万全でないとはいえ、翼ちゃんはマリアに圧されていた。
マリア自身の強さもあるだろう。けど、俺は彼女の戦い方に違和感を覚えていた。
ライブ会場の時とは違い、マリアは翼ちゃんに敵意を向けている。まるで親の仇を相手にするかのように見えた。
その時、俺のセンシティブイヤーにマリアの声が聴こえてきた。
「貴女達さえ、貴女とイチイバルの装者があんな事をしなければ…ハァァァァァッ‼︎」
イチイバルの装者…?
翼ちゃんとクリスちゃんはマリアと何か因縁があるのか?
「何の話かは知らないが、八つ当たりは止めてもらおう!」
脚部ブレードを展開し、逆羅刹を繰り出す翼ちゃん。だが、彼女の技をもマリアは難なく押し返す。
すると、翼ちゃんが突然体勢を崩しマリアの槍で吹き飛ばされた。
もしかして、ケージを取ろうとしたあの時、マリアの槍が足に当たっていたのか⁉︎
「だったら、白騎士のお出ましだ!」
クリスちゃんが翼ちゃんの援護をしようと矢を放とうとする。
刹那、俺のセンシティブイヤーに何かが飛んでくる音が聴こえてきた。
「ッ⁉︎いけない!クリスちゃん⁉︎」
「ッ⁉︎コイツは…!」
無数の小型鋸が俺達に襲いかかってきた。
それを躱した瞬間、どこに姿を潜ませていたのか魔女のようなギアを纏った少女がクリスちゃんに襲いかかった。
ガスの影響でまだまともに動けないクリスちゃんは少女が持つ大鎌で腹部を突かれウェル博士から奪還したソロモンの杖を手放してしまった。
そして、ツインテールの少女がギアを展開させ、鋸を巨大な円状に変え、高速で突進してきた。
響ちゃんは間一髪でそれを躱すが、彼女の目的は放り出されたソロモンの杖の回収だったようだ。
折角取り戻したソロモンの杖を再度奪われてしまった。
俺は、再奪還しとうとするがまたしてもどこに潜んでいたのかゲドリアンが現れた。
「ヒャッヒャッヒャッ!仮面ライダー、お前の相手はこのオレだぁ‼︎」
立ちはだかるゲドリアンに俺は内心焦りを感じていた。
前回の戦い、パワーストライプスを使用しても奴には通用しなかった。
少なくとも奴はビルゲニア以上の手練れという事だ。
こうなったら……
「どうしたライダー?切り札のサタンサーベルは使わないのか?」
「ッ⁉︎何⁉︎」
まるで俺の思考を読んだかのようにゲドリアンが告げる。
奴の顔は自信に満ちていた。
これまで創世王のバリア、異形となったビルゲニア、ネフシュタンの鎧と融合したフィーネ等、数々の強敵を払い除けてきたサタンサーベルだが、奴の自信に満ちた表情を前にサタンサーベルが通用しないのではないかという不安が脳裏を過った。
すると、轟音が鳴り響いた。
見てみると、翼ちゃんがマリアを圧倒していた。
ガスの効果が切れてきたのか、先程までとは違い、キレのある動きでマリアに斬りかかる翼ちゃん。
それとは対照的にマリアは動きが完全に鈍くなっていた。まるで、ガスの影響を受けている翼ちゃんのように……
「今度こそ、話はベッドで聞かせてもらう!」
刹那、ヒュンッという風切り音と共に何かが目にも止まらぬ速さで翼ちゃんに襲いかかった。
「がぁっ⁉︎」
何かが翼ちゃんに当たるとカンカンと乾いた音が鳴り響いた。
それは、空き缶だった。いったいどこから?いや、それよりも翼ちゃんが吹き飛ばされるほどの威力で放たれた空き缶をいったい誰が?
ふと、背後で何者かの気配を感じた。振り返ると、そこに立っていたのはローブを纏って顔を隠した謎の人物だった。
その人物の手には空き缶が握られていた。
まさか、さっきの空き缶はこの人が…?
などと考えていると、謎の人物が空き缶を空に向かって投げる。そして、高く跳び上がると空中でサッカーのボレーシュートのようにして空き缶を蹴った。
空き缶が目にも止まらぬ速さで再び翼ちゃんに襲いかかった。その空き缶を今度は何とか剣で防いでみせた。
「今のは…」
謎の人物が放ったボレーシュート、俺はそれをどこかで見たことがある。いったいどこだ?
いや、それ以上にこの人物からどこか懐かしい者を感じていた。
すると、ゲドリアンが先程までとは違い顔を歪ませる。
「オマエ、いったい何のつもりだ⁉︎」
しかし、謎の人物はゲドリアンを無視して駆け出し、仮設本部まで跳んでいった。
その跳躍力に驚愕する。奴は普通の人間じゃない。
何故ならここから海に浮かぶ仮設本部まで数十メートルも離れているのだから。
まさか、奴も改造人間なのか?
「貴様、いったい何者だ⁉︎」
「ダメよ!どうしてここに来たの⁉︎」
翼ちゃんが声を荒げて問い質せば、マリアが謎の人物を心配するように叫ぶ。
「マリア達の仲間であれば容赦はしない」
「フッ…さて、お前に俺が倒せるかな?」
謎の人物が挑発し、翼ちゃんが斬りかかる。
彼女の剣を謎の人物は最も簡単に躱していた。
すると、翼ちゃんが奴に向かって千ノ落涙を放つ。
エネルギー剣の雨を奴は躱そうとするが、幾つかの刃が奴のローブを切り裂き、その顔が現れる。
それを見た瞬間、俺は驚愕した。
「あ…ああ……ああ………!」
「どうしたんだアニキ⁉︎」
「光太郎さん、あの人を知ってるんですか?」
知っているなんてものじゃない。
あいつは、俺にとって大切な親友でもあり兄弟同然に育った家族でもあったんだ。
運命の悪戯はどこまでも俺達に残酷な仕打ちをするのだろう。
俺達の前に現れた謎の人物。それは以前の世界で俺が倒したはずの人物。秋月 信彦だった。
「ダメよ信彦!変身したら貴方は…!」
「ッ⁉︎貴様、いったい…?」
「俺の名は秋月 信彦。またの名を…」
すると、信彦がファイティングポーズのように両手を構える。
すると、前に出した右手で拳を作りながら腕を捻り、両腕に力を込める。
そして、左上から半月を描くようにして両手を振り、その際に左手を引き、それを勢いよく突き出すと両腕を回転させて構えを取った。
まるで、俺の…BLACKの変身の逆を辿るような構えだった。
まさか…!
「変…身ッ‼︎」
刹那、信彦の腰部にベルトが現れ、眩しい光が全身を包み込む。
光が収まると、そこには銀色の強化外骨格に覆われた仮面の戦士が姿を現した。
「我が名はシャドームーン。ゴルゴムの世紀王が一人、シャドームーンだ!」
信彦…俺達はまた戦わなければならないのか⁉︎
次回予告
「俺はお前との決着をつけるために蘇ったのだ」
蘇ったシャドームーン。再び戦う宿命にあるという現実が光太郎を苦しめる。
「信彦、俺はお前とは戦いたくないんだ!」
そして、残酷な運命は光太郎にクリスの時以上の苦しみを与えようとする。
それは光太郎にとって辛く悲しい再会だった。
次回、戦姫絶唱BLACK SHADOW G
第7話『悪魔の再会、裏切りの友』お楽しみに!
現時点でのヒロインは?
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そりゃあ、あおいさんでしょ!
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何を言う、クリスに決まってる!
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だからふらわーのおばちゃんだって!
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他の人はヒロインに昇格しないの?