戦姫絶唱BLACK SHADOW   作:ロヒシ&かづ えい子しょうゆ味

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お気に入り登録、コメントをくださった方々、ありがとうございました!
投稿が遅くなって大変申し訳ございません!

実はこの度、この戦姫絶唱BLACK SHADOWに絵師さんがついてくれることになりました!それに伴い、名前を変更しております。
タイトル絵と1話の挿絵が完成したのでそちらを投稿しております。
今後、少しずつですが投稿済みの話に挿絵が付いていく予定です。


そして今回の話なんですが、なんというかネタ回のような感じになっておりますf^_^;


第8話 ライダー大特訓

「どうやら撒けたようですね」

 

ヘリのモニターを見て、私ことナスターシャ・セルゲイヴナ・トルスタヤは特異災害機動部からの追跡を振り切った事を確認する。

Dr.ウェルの独断による彼女達のアジトへの潜入を許してしまった事で、私達はアジトを失ってしまいました。

その事で激怒した切歌とゲドリアンがドクターに鉄拳制裁を加えていました。

とはいえ、ネフィリムという虎の子を守り切れたのはもっけの幸い……しかし、ネフィリムに与える為の餌が無い以上状況は芳しくないですね。

 

『ネフィリムの餌の心配なら不要だ』

 

そう言って止めに入ったのは信彦でした。

どうやら彼はドクターの不穏な動きを察知し、予め聖遺物の欠片を別の場所に移していたようです。

 

『流石信兄(のぶにぃ)デス!』

 

『信彦兄さん大丈夫なの?』

 

『この通り大丈夫だ』

 

そう言って調と切歌を抱き上げる信彦。嬉しさからか、2人は頬を染めて笑い、ゲドリアンは面白くなさそうに舌打ちをしました。

マリアは、どこか羨ましそうな表情で3人を見ています。

 

『信彦、私……』

 

『……すまなかったな、マリア』

 

申し訳なさそうにするマリアの頬を信彦が優しく撫でました。

本心からではないとはいえ、マリアをぶってしまった事を気にしていたようです。

あの時、彼があんな芝居を打ったのは私達の為でしょう。

当初、私達は組織名を『フィーネ』ではなく『ゴルゴム』と名乗る予定でした。

しかし、信彦の身体を心配したマリア達が強く反対し、私達は武装組織『フィーネ』と名乗ったのです。

 

あの時、信彦はフィーネの黒幕は自分であると告げる事で、いざという時に私達を守ろうとしたのでしょう。

私達はシャドームーンによって操られていたと思わせる事で、全ての罪を自分自身で被ろうとしている。

幸い、特異災害機動部にはブラックサンこと南 光太郎がいる事でその信憑性は増すでしょう。

信彦、貴方という人はどこまで優しいのですか……

 

彼の事を思いながら、私は今後の事を考えていました。

このまま、計画を進めても良いものか…と。

先程、信彦に頬を触られて顔を赤くして俯いていたマリア。

本来なら恋をして、大好きな歌を歌いながら青春を謳歌している年頃です。調や切歌にしてもそうです。

私は、この子達に重い十字架を背負わせようとしているだけなのでは?と思ってしまいます。

だけど……

 

『ケッ、カッコつけて変身しやがって。そんなにオレらが信用できなかったのか⁉︎マリア達が、どんな想いでお前を戦わせまいとしてたのか分かってるのか⁉︎』

 

ゲドリアン……この子の事を考えると、計画を中止する事はできないと思ってしまうのです。

口では信彦に喧嘩腰になっているゲドリアンですが、本当は誰よりも信彦の身体を心配しています。

それほど優しい子なのです。

あの子は、私達が所属していたF.I.S.という組織の悪魔の実験の犠牲者でした。

 

米国政府は、聖遺物の研究に於いて各国を出し抜こうと躍起になっていました。

そしてその中で、ある研究に目をつけたのです。

それが『惑星開発プロジェクト』でした。

プロフェッサー・ヘンリーによる宇宙進出による新たな資源の模索を目的としたプロジェクトで、宇宙空間でも活動できる改造人間手術を作り上げるという計画が進められていました。政府の官僚は目をつけ、ある恐ろしい計画を建てました。

それが、人間と聖遺物を融合させる改造手術でした。

フィーネの魂の器として集められたレセプターチルドレン。

その中でもとりわけ身体能力の劣る者はこの改造手術の実験材料にされてしまいました。

多くの子供が融合に耐え切れず死んでいく中、唯一生き残ったのがゲドリアンでした。

あの子の中にあるのは、自分をあのような姿に変えてしまった米国政府、そしてあの子を守る事ができなかった私達OTONAへの復讐の炎。

それを知っているからこそ、信彦も強くゲドリアンを止める事ができないのでしょう。

自分も同じ改造人間であるが故に……

しかし、だからこそ復讐の炎に身を焦がすあの子を誰よりも気にかけているのです。

 

『ナスターシャ、今から言う場所に向かってくれ』

 

私は信彦が告げた場所へ向かう為に操縦桿を切りました。

 

 

 

 

●●●●●●

 

『ライダーキックッ‼︎』

 

ライダーの右足にキングストーンの光が集まり、激しい閃光を放ちながら立ちはだかるゲドリアンへと繰り出される。

けど、ゲドリアンはそんなライダーキックをいとも簡単に受け止め、ライダーを弾き返した。

 

「ライダー!」

 

ゲドリアンの姿が消え、壁に打ち付けられて倒れたライダーに向かって私は叫んだ。

すると、心配いらないというように彼は手で制してきた。

 

ーー俺と…付き合ってもらえませんか?

 

数時間前、光太郎君が私に言ってきた言葉にどぎまぎしていると……

 

ーー今のままではシャドームーンやゲドリアンには勝てない。だから、新しい必殺技を身につける特訓に付き合ってもらえませんか?

 

……うん。知ってた。光太郎君がそういう人だって。

響ちゃんや司令達からの何とも言えない表情が脳裏に焼き付いてる。

おまけに、(恋の)ライバルであるクリスちゃんの憐れむような視線は私の胸をこれでもかという程抉ってきた。

 

そんな愚痴はさておき、仮設本部内にあるシミュレーターで彼は新しい必殺技の特訓を始めた。

私達が収集したゲドリアンのデータを基に作り上げたバーチャルゲドリアンに向かって、彼は数時間も新しい技を繰り出す。けど、どの技もゲドリアンは簡単に弾き返してきた。

彼の試行錯誤は続く。キックの足を変えたり、両足にしたり、キックに入る動作を変えたりと様々なパターンを行っているけど、芳しくない。

 

『うわっ!』

 

またしても壁に打ち付けられて倒れるライダー。

すると、エネルギーが切れたのか変身が解けてしまった。

 

『クソッ!できない!新しい必殺技が……!』

 

新しい技が完成しない焦りからか、彼から珍しくネガティブな言葉が吐き出される。

拳を握り悔しそうに俯く彼に私はかける言葉を見つけられないでいた。

 

『その顔は何だ⁉︎その目は何だ⁉︎その涙は何だ⁉︎お前のその涙で、この地球が救えるのか⁉︎』

 

と、突然シミュレーションルームに怒号が飛びかう。

声の主はジャージ姿に着替えた風鳴司令だった。

 

『風鳴さん……』

 

『ハッハッハッ、すまんすまん。この間観た映画に今みたいなシーンがあって、ついつい言ってみたくなったんだよ!』

 

カラカラと笑う司令。

司令のアクション映画好きは嫌というほど知ってるけど、今は冗談を言ってるような時じゃない。

 

『まぁ冗談はさておき、俺も君の特訓に付き合うぞ。現実の戦いでは何が起きるか分からない。いくらデータを基にしたバーチャルとはいえな』

 

いやいやいや!

確かに司令は人間辞めてるなと思う所が多々あるけど、それでもライダーの相手なんて無茶にも程がある。

止めようとした瞬間、司令がライダーに向かって襲いかかった。

 

『特訓は始まってるぞ!』

 

『風鳴さん……ありがとうございます!』

 

司令のパンチを受け止め、光太郎君が何か感極まったかのように感謝の言葉を言いながら司令に殴りかかった。

もう!男の人ってどうしてこうなの⁉︎そう言ってやりたい気持ちでいっぱいだった。

 

『変身ッ‼︎』

 

遂には光太郎君がライダーに変身して司令と組手を始める。

 

『ライダー、君の必殺技には技を繰り出す時のモーションが相手にバレバレだ。ゲドリアンは今までのどの相手よりも素早い動きと洞察力で君の技に入るタイミングを掴んでくる。それを打ち破るには技の威力だけでなく、相手の虚をつく動きをみせるんだ!』

 

『はい!』

 

ライダーと司令の特訓は続く。

ホント、ウチの司令は改造人間なんじゃないかしら?と思う私の判断は間違ってない気がする。

 

『トァッ!』

 

司令に勢いよく投げられたライダーが空中で体勢を入れ替えて強く壁を蹴る。

反転キック?いや、違う!この技は……!

壁蹴りをしたライダーが前方に跳びながら後方回転(・・・・)する。

突然の変わった動きに、司令が一瞬虚をつかれた。

そして、そこからさらに身体を捻らせながら後ろ向きに両足でキックの体勢に入る。

 

『ライダーキックッ‼︎』

 

『ぬぁっ‼︎』

 

司令は咄嗟に両腕を組んでガードする。けど、新しいライダーキックの威力に思いきり吹き飛ばされて壁に打ち付けられた。

 

『風鳴さん!』

 

「司令、大丈夫ですか⁉︎」

 

忘れていたけど司令は生身の人間だった。

その身体で壁に打ち付けられる程の威力のライダーキックを受けて無事なわけがない。

私は医療班に連絡を入れようとした。

 

『あぁ…何とか、大丈夫だ』

 

あれ程のライダーキックを受けたにも関わらず、司令は『痛てて』と言いながら頭を掻いている。

ライダーがキックの威力を抑えていたのかもしれないけど、改めてウチの司令は人間を辞めているんだなぁと思った。

 

 

 

『完成したなライダー!さっきのライダーキックなら、きっとゲドリアンにも勝てる筈だ!』

 

新しい必殺技が完成した事に司令と私は喜んでいたけど、ライダーは少しも喜んではいなかった。

寧ろその表情はどこか曇っているようにすら見える。

 

「どうしたのライダー?」

 

『…いや、今の技じゃダメだ』

 

『どこがダメだったんだ?キックに入る時の虚をつくモーション。威力を上げるために捻りを加えながらの両足のキック。完璧な新必殺技の完成だと思たんだが…?』

 

『上手くは言えないんですけど、あの技は今の俺が使っちゃいけないようの気がするんです』

 

『うーむ……まぁ、君自身が納得していないなら仕方ないが……』

 

『風鳴さん、実は試してみたい技があるんです。付き合ってもらえますか?』

 

『おぅ!ドンと来い!』

 

『ちょーっと待った!そうは問屋が何とやらだぜ!』

 

と、シミュレーションルームに新しい声が響き渡った。

 

『一般人である司令にこれ以上無理はさせられません。ここからは私達がライダーの特訓に付き合います』

 

『そうですよ!いくら師匠が人間辞めてるって言っても、これ以上は危ないですって』

 

学校が終わったらしいクリスちゃん達が本部にかけつけたみたい。

ここからは3人がライダーの特訓に付き合うのだと意気揚々だった。

 

『みんな……ありがとう!』

 

司令やクリスちゃん達の心遣いに感謝を述べ、ライダーの特訓は遅くまで続いた。




次回予告

リディアン音楽院の学園祭を1人複雑な心境で過ごすクリス。
そんな彼女にクラスメイト達は勝ち抜き歌唱ステージの参加を促すのだった。
壊すことしかできない自分の歌に苦悩するクリス。
果たして、ステージイベントは彼女の心境に何をもたらすのか?

次回、戦姫絶唱BLACK SHADOW G
第9話 『放課後モノローグ』お楽しみに!

現時点でのヒロインは?

  • そりゃあ、あおいさんでしょ!
  • 何を言う、クリスに決まってる!
  • だからふらわーのおばちゃんだって!
  • 他の人はヒロインに昇格しないの?
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