語られなかった者たちの饗宴   作:ゆくゆく

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カッツォ誕生日だよーっ!!


共に並び立つ友だから

 【鉛筆騎士王】

 

鉛筆騎士王:ねねね、サンラクくん。もうすぐでカッツォくんの誕生日じゃん

 

鉛筆騎士王:何かしたりするの?

 

サンラク:あー、そういやもうそんな時期か

 

サンラク:お前はなにかするのか?

 

鉛筆騎士王:んー、天音永遠名義で誕生日プレゼントを電脳大隊に送り付けてやろうかなと

 

サンラク:おおう……それはまたなんとも反応が面白そうだな。周りの

 

鉛筆騎士王:にひひー、でしょう? それで? サンラクくんは?

 

サンラク:まぁ、そうだな……真っ当にプレゼントってのもつまらんし何かサプライズでもするかもな

 

 

 

 

 「ふぅ……」

 

 カッツォの誕生日か。アイツ幾つになるんだっけか、成人はしていたはずだが……まあそれはいいか。

 

 適当に携帯端末をいじりながらカッツォの誕生日に思索をめぐらせる…………あれ、武田氏から連絡が来てるな。気づかんかった。えーと、何何……?

 

 「ふーん……ふーん!?!?!? 」

 

 いや、マジかー……あの伝説のクソ格ゲーをやれる日が来るとは。武田氏には感謝してもしきれな……()()()()()()()。メインディッシュは決まったな。となると後はシチュエーション……さぁてどんな状況にしたものか……

 

 

 

 

 

 

 

 ◆ 8月29日 魚臣慧宅にて

 

 「っあ"ーー……」

 

 本日8月29日は俺こと魚臣慧の誕生日である。とはいえもう20歳を過ぎた身。そこまで誕生日にテンションが上がるわけでもなければ誕生日プレゼントを期待している訳でもない。ただ個人的に休みたかったため有給をとらせてもらったが。

 

 ……しかしいつもは何かと難癖をつけたがる上がやたらと素直に申請を通したのは何だったんだ?

 

 「今日はシルヴィアもアメリアと観光に行ってるらしいし……自由だぁ!! 」

 

 さて、何をしようか。積みゲーの消化? 溜まったドラマの一気見も悪くない。いやいや、シャンフロでユニークを探すというのも……

 

 「いやー、お前(凡庸魚類)が今更ユニークを1日やそこらで見つけられねーだろ」

 

 「あー、やっぱりそうかー……ってなるとシャンフロいが……い、を……」

 

 待て。待て待て待て!! 今日は来客の予定もなければ隣の台風(シルヴィア)もいない! じゃあ今返事したのは……!!

 

 「どうしたカッツォ、そんな素っ頓狂な顔をして。魔境に流したら面白いことになりそうじゃん」

 

 「な……何でここにいるんだサンラクゥ!! 」

 

 

 

 

 

 ◆

 

 「な……何でここにいるんだサンラクゥ!! 」

 

 おーおー、驚いておる驚いておる。恥を忍んだかいがあったというもの。

 

 「お前の所属してる……あー、電脳大隊だっけか。あそこに顔隠し名義でお前の住所聞いたら普通に教えてくれたからな。来たって訳よ」

 

 「いや、えぇ……? ていうか鍵はどうしたのさ」

 

 「ああ、それなら今度何かしらのイベントに参加するって言ったら普通に合鍵を寄越してきたぞ」

 

 「プライバシーーーッッッ!!! 」

 

 ははは、サプライズは気分がいいな。ペンシルゴンの気持ちも分かるというもの。

 

 「はぁ……いや、もういいや……んで? 来た方法は分かった。理由は? 」

 

 はぁ?

 

 「はぁ? 」

 

 「いや、はぁ? って言われても……こっちのセリフなんだけど」

 

 おっと声に出てたか。にしたって……なぁ?

 

 「おいおい、今日が何の日か忘れたのか? お前の誕生日だろ? わざわざここまで来て祝いに来てやったんだ、感謝し崇め咽び泣け」

 

 「祝う側の態度じゃないよね、それ。え、てかマジ? ホントに祝いに来てくれたんだ」

 

 んだ、こいつ疑っとんのか? 善意やぞ? 80%の善意だぞ?

 

 「マジもマジ、大マジよ。当然手土産もあるぞー、その辺で買ってきたお菓子やらファーストフードやらジュースやら」

 

 「へぇ……いいじゃん。友人と過ごす誕生日ってのもありか」

 

 「だろ? それにメインディッシュはまだあるぞー? ふふふ、こいつを見てもカッツォくんは動揺せずにいられるかな……? 」

 

 懐より取りいだしたるは武田氏から送ってもらった伝説的クソ格ゲー、その名も……

 

 「なっ……『アルティメット・ブレイズ』!? まさかこの目で見る時が来るとは……」

 

 『アルティメット・ブレイズ』……それはVRゲームが一般に普及する前、家庭用ゲーム機が主流であった頃の格ゲーでありクソゲーである。格ゲーのクソゲーは数多くあれどこれはいわば2()D()()便()()。無数に存在するバグによって繋がらないはずの技もコンボ可能となった玄人受けするタイプのクソゲーなのだ。

 

 しかしこのゲーム、今ではほとんど現存していないのだ。開発会社が倒産寸前で社運をかけて作り上げたコイツが発売当初に余りにも酷いレビューを受けたため社長は夜逃げ。会社は倒産。初期発売分の数万本しか市場に出ていない、という訳だ。

 

 「どうだ? 最高の誕生日だろう? 」

 

 「くくく……いや、最高だよサンラク! 早速やろうぜ! 」

 

 「望むところだ、ボコってやんよ!! 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あー、疲れた。VRじゃないゲームは興奮して体を動かしがちなのがなー」

 

 「まあまあ、それも旧世代ゲーのいいとこじゃん」

 

 「ま、それもそうか……」

 

 午前中の間ひたすらゲームをやっていた俺たちはひとまず昼休憩を取っていた。ふむ、ここらで切り出すか……

 

 「いや、しかし最近のカッツォくんはモテモテだそうで」

 

 「お、んだよ急に。てか言う程じゃねーだろ。シルヴィアに付きまとわれてるくらいだろ?」

 

 oh......夏目氏ィ……そういうとこやぞ……

 

「や、まぁお前が誰と付き合おうが別にいいんだけどさ……」

 

 あー、クソ。こういうのはやっぱり柄じゃない。やめろやめろ、怪訝そうな目で見るなこっちを。言いにくくなる。

 

 「その……なんだ。俺たちどっちかが誰かと付き合うときが来てもさ、またこうしてゲームできるといいよなって……それだけ」

 

 おいコラ、なんか言えや。恥ずいやろ。なんだその口は、ぽっかりと開きやがって。ケン○ッキーぶち込まれてぇのか。

 

 

 

 「……はっ」

 

 「はははははは!! どうしたどうしたサンラク! お前そんなキャラじゃないじゃん! 」

 

 よぅし、ぶっ飛ばしちゃうぞー

 

 「おう、カッツォ。頬を出せ、頬を。……いや、腹か。腹を出せ」

 

 

 「ふへっ……ちょ、タンマタンマ……へへっ」

 

 「笑いながら言ってんじゃねーよっ……!」

 

 思い知れ、これが怒りと羞恥の拳じゃーっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……ふぅ、これくらいで勘弁してやろう」

 

 「あー、酷い目にあった。まさかマジで手ぇ出してくるとは」

 

 自業自得って言葉ご存知でない? 誰のせいだと思ってるんだ、誰の。

 

 「まぁでもサンラク」

 

 「んだよ」

 

 「当然だろ」

 

 「……何が? 」

 

 「いや、だからさっきの話。俺やお前に彼女ができても俺たちの関係が変わることなんてないって事」

 

 勝率10割になったら縁切るかもだけどなーとか何とか言ってるが……ったく。さっさと言え、そういうのは。まぁそれはそれとしてちょーっと聞き捨てならねぇなぁ……

 

 「おう、言ったな? GHCでボコってやんよ」

 

 「お? わざわざ俺にGHCで挑むとか舐めプかな? 受けて立つよ? 」

 

 「はっ、望むところだっつーの」

 

 互いに体を起こしヘッドセットを用意する。くく、自然と笑みが浮かんでくるな。レイ氏と話している時とも違う、鉛筆とかと悪巧みしている時とも違う。大事な友人(カッツォ)との時間はまた別の嬉しさがあるってもんよ!

 

 「しゃおら、やってやらぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「じゃあプライベートマッチでいいか?」

 

 「いいよー」

 

 ん? あれ?

 

 「なんだこれ、battle royal……? 」

 

 「プライベートマッチのはずだよね? 」

 

 んー? えっと参加者は……俺と? カッツォと? ……S&G……?Silver&Gold……?

 

 「ヘイカッツォ。嫌な予感がするんだが抜けてもいいかい? 」

 

 「いいわけないでしょ逃がさないよ? 」

 

 「うふふ、ケイと戦いに来たのだけれどまさか顔隠しと出会えるなんて! もちろん戦ってくれるわよね? 」

 

 「……」

 

 「ね? 」

 

 ……ちくしょうめ!!!




こういう恋愛には絶対行き着かないけどすげー仲のいい友人どうしの絡みがすこです。
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