◇
「……葉、来た」
「あー、あー、うん。いらっしゃい、夏蓮」
「「…………」」
……むぅ、何となく気まずい。原因は間違いなくさっきの試合。あの後モルドがそそくさとログアウトしてしまったため結局あの一戦しかできてないし……
でも別に怒ってない。むしろ嬉しかった。
…………こほん。
「……呼んだのは葉のほう。早く要件を言うべし」
「あー、うんそうだね。とりあえず立ち話もなんだから入ってよ」
なんか様子が変だ。そもそも葉が寝坊するのもおかしいし……何か悩みでもあるのだろうか。うーむ。
「……それで葉、話とは」
「あ、あー……えーっとねぇ……」
「葉がまだ言えないのなら私が別の話をする」
「あっ、うん! お願い! 何の話? 」
ええい、急に生き生きしおって。まぁいい。この微妙に残るもやもやを全部ぶつけてやる。
「……さっきの試合の件。敵の爆発を食らって動けなくなって、私は正直あの時負けを認めていた。私の慢心が負けを招いたと。でも葉は違った。諦めないで私を助けてくれた、守ると言ってくれた」
「……すごく嬉しかった。ありがと……」
……おかしい。もやもやを晴らすために言ったのにもっともやもやする。というか恥ずかしい。おい、黙るななんか言え。この空気に耐えられないから。
「……違うよ、夏蓮」
「僕もあの時諦めていた。僕が自分のくだらない悩みに振り回されていたせいで負けるんだと。でも助けてって願われた。その言葉が僕に立ち上がる力をくれたんだ。だからむしろ僕の方こそ感謝したい。ありがとう、夏蓮」
…………うぅ、普段はぼんやりしてるのにこんな時だけ真剣な目をするのは反則だ。というかやっぱり悩んでたんだ。
「……何を悩んでたの? 」
「あー……その、僕にルストと一緒にいる資格はあるのかっていう悩み」
「……はぁ? 」
「でももう解決したから……って夏蓮? どしたの? 」
「どしたの? じゃない! 」
今更……今さら私と一緒にいる資格がどうのこうのだとぉ!? なんか、なんかすごくムカつく!
「葉、誰かと一緒にいるのに資格なんていらない。一緒にいたいっていう気持ちだけで十分。相手が嫌がってるのに無理やりって言うのはダメだけど……私は気にしない。葉とずっと一緒にいたい。だからそんなことでもう悩むな」
……そうだ。なぜムカつくのか分かった。葉が私と一緒にいるのに資格が必要だと思うということは、私の葉を受け入れようとする気持ちが伝わっていないということ。だからムカつくんだ。
───ムカつくし、悲しいんだ。
「……うん、ありがとう夏蓮。おかげで覚悟が決まった」
「夏蓮……いや、佐備夏蓮さん。僕と結婚を前提に付き合ってください」
「……へ?」
けっこんをぜんていにつきあってください……?
結婚を前提に付き合ってください?
結婚を前提に付き合ってください!?!?!?
「えっ、え、あのえと……よ、よう? それはどういう……」
「どういうも何もそのままの意味だよ……」
だってだって……葉は私の事が好きってこと? いや、私も葉のことは好きだけど……
あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!
さっきの比じゃないくらい顔が熱い。パタパタと手を振り回しても全然冷めないどころかむしろさらに火照りを増していく。
「えと、夏蓮。そんなにすぐに返事が欲しいってわけじゃないしゆっくり考えてくれても……」
「……まって、ちょっとまって。落ち着いて考えるから……」
よし落ち着け私、びーくーるびーくーる。
……ふぅ。ちょっと落ち着いた。さて、最初から考えよう。
まず私が葉のことを好きかどうか。これは考えるまでもない。恋愛的にかどうかはともかく葉のことは大好きだ。それこそ葉がいなければ生きては行けない。……二重の意味で。
じゃあ次。葉と一生を添いとげる気があるのか。これもまたイエス。そもそも今まで漠然とだけどずっと一緒にいるものだと考えていた。それがより明確に一緒に居れるようになったというだけだろう。
じゃあ葉の恋人になりたいのか。
……これか。即答できなかった理由は。
私だって年頃の女の子。多少は恋というものに憧れたことがない訳では無い。でも相手が葉となると話は違う。だって私は……
「葉」
「うん。なんだい、夏蓮」
「まず1つ。葉の気持ちはとても嬉しい。私も……その、葉の事が……す、すきだし」
「……そっか、良かった。それで? 」
「恋人になりたいかと言われると分からない。それは私が今の葉との関係をどうしようもなく好んでいるから。恋人になることでそれが壊れるのが怖い」
「だから教えて、葉。恋人になっても、何になっても私たちの今の関係は壊れることは無いの? 」
「……僕もさ、考えたんだよ。今のこの関係を崩すくらいなら告白なんてしない方がいいんじゃないかって」
「……うん」
「ねぇ、夏蓮。比翼連理って知ってる? 」
「男女の仲が良いことを表す言葉。……前に私たちがそう呼ばれた」
「そうだね。……でも僕は違うと思う。僕達は一緒にいないと飛べない鳥じゃない。僕はそうでも夏蓮は飛べる」
「っ……違っ! 」
「ごめん夏蓮。とりあえず今は最後まで聞いて欲しい。……続けるね」
「それはさっきの資格云々の話にも繋がってくるんだけど……結局僕は怖いんだ。夏蓮がいつか飛んでいってしまうのではないかって。支えることしか出来ない僕から離れて」
「───だから1歩踏み出そうと思った。今までの夏蓮が飛び、僕が支える関係じゃない。一緒に飛べる関係になりたくて。その決意の形が双宿蒼緋で決意の言葉がさっきの告白だ」
「……葉の気持ちはよく分かった」
「言いたいことはいっぱいある。葉も1人で飛べるとか色々」
「でもそれを言うのはまた今度。今伝えたいのは2つ」
「1つ。私が1人で飛べるって言ってたけど私が飛ぶのは葉のいる空。貴方がいない空を飛んでも意味が無い」
「そしてもう1つ」
「私は最初にネフホロの世界に降り立った時からずっと、ずっと…………」
「───葉と一緒にあの広い
最後もうちょい足そうかとも思ったけどこの終わり方の方が良くない?