語られなかった者たちの饗宴   作:ゆくゆく

26 / 51
この小説は毎週日曜朝に放映されているアニメ「マジカル☆アカネ」の二次創作です! (嘘)
それはそれとして独自解釈のオンパレードなので苦手な人は読まない方がいいですよー


立体感情クロススタイル

 ◆

 学校帰り、玲さんと一緒に帰っていた俺は道中で買った新聞を一緒に広げていた。

 

 「『謎の電脳怪物の出現増加! 頑張れ、魔法少女』ねぇ……玲さん、最近物騒みたいだし気をつけてね」

 

 っても玲さんなら心配はない気がするが……とはいえ相手はよく分からん怪物。流石の斎賀流も通じないかもしれないからな。

 

 「あ、ありがとうございます。その、楽郎くんも気をつけてください、ね」

 

 「はは、ありがと。まぁ、被害が収まるまではこうやって複数人で登下校した方がいいのかねぇ……」

 

 俺があの格好にさえなれば玲さんを守ることも可能なのだが……いやあの力はそう簡単に振るえるようなものではない。そもそもあれは魔法少女と外道衆、そのどちらもを裏切るような闇の力。もう二度と使わないと心に決めたのだから……

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 「そ、そうですね! 一緒に、ええ、一緒に! 」

 

 ら、楽郎くんと一緒に登下校……! いや、今までもしていたのですがこれは実質楽郎くんから誘っていただいたようなものでは無いでしょうか、ええ。

 

 「お、おう……とりあえずまた明日」

 

 「は、はい! また明日! 」

 

 楽郎くんが手を振りながら帰っていくのを見送り一息。

 

 「……サイガーゼロ様、そろそろ会議の時間でございます」

 

 「ええ、分かっています。直ぐに向かいましょう」

 

 ……被害をいたずらに増やすことはあまり好ましくは無いのですが、楽郎くんとの登下校(デート)のためなら仕方がありません。ええ、仕方がないです。

 

 「……後の懸念事項は彼女ですね」

 

 クソゲーを買いに行くといい、電子の海へと消えた彼女……暗黒魔法少女サンラク。戦う時の笑顔が何故か楽郎くんに似ていて戦いづらいですが、敵として立つなら……

 

 「容赦は、しません」

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 「本当ですか、ノワリン!?」

 

 「ああ、間違いない。ついに外道衆の頭目、サイガーゼロの本拠地を見つけ出した。直ぐに殲滅に向かうぞ!! 」

 

 「ついに、この時が……! サイガーゼロ、貴女の野望は私たちが打ち砕きます!! 」

 

 ついに悪の集団、外道衆の本拠地を見つけ出したリミテッドアカネ! ノワリンの力によってマジカル☆変身した彼女は電脳世界を駆け抜け、ついに本拠地へとたどり着く!!

 

 

 「ここが外道衆の本拠地! 流石に広いですね!! 」

 

 『落ち着け! ……来るぞ』

 

 

 「……っ! 貴方たちはっ!! 」

 

 どこからともなく流れてきた煙の中から現れる2つの影!

 

 「……キメラヘッド・サンラクが消えてから俺たち外道衆三幹部は弱体化を免れなかった」

 

 

 「それでも私たちは今ここに立つ。彼がもう帰ってこないと知っていても」

 

 

 「「そう、リミテッドアカネ! お前を倒すために!! 」」

 

 

 「外道衆の幹部A、B……!! 」

 

 『アカネ! ここで消耗するのはマズイぞ! どうする……!? 』

 

 「そんなの決まっています! 私は、貴方たちを倒して先へと向かいます!! 」

 

 「ふっ、敵ながらその覚悟、素晴らしい……」

 

 「だけど私たちにだって後は無い。全力で行くよ!! 」

 

 ついに激突するリミテッドアカネと幹部A、B! キメラヘッド・サンラクを失った悲しみに燃える幹部達へとアカネのマジカル☆Sorryが突き刺さる!!

 

 

 

 

 

 

 「……なかなかの強敵でした! ですが……この程度では今の私は止められません!! 」

 

 「くっ、無念……! 」

 

 「ごめんね、キメラヘッドくん……」

 

 「だけど俺たちだってただでやられたわけじゃあない……! 時間は十分に稼いだ、ですよねボス! 」

 

 「っ!! まさか……! 」

 

 「……ええ、よくやりました幹部A、B……おかげで準備は整いました」

 

 「このプレッシャー……貴女がっ! ……サイガーゼロ!! 」

 

 幹部A、Bとリミテッドアカネの間の空間が歪みそこから現れる美しい怪人、サイガーゼロ!! 彼女が身に宿す黒白の力は全てを飲み込み無に返す究極の力……! 果たしてアカネはどうするのか!!

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 「……っ! この感じ……アイツらがやられたのか……」

 

 ……そうか。アイツらがやられる時が来るとは。おそらく、というよりほぼ確実にリミテッドアカネによるものとみて間違いはないだろう。だが、それでも……

 

 「……アイツらの仇を討つことは出来ない……俺には守りたい人が、玲さんがいるんだ……」

 

 あの時クソゲーを買いに行った時に出会った少女、斎賀玲。同じ学校に通う彼女に俺はどんどん惹かれていった。彼女の方もそんな俺を悪くは思っていないらしく、俺たちの仲はどんどん進展していた。もう、昔の俺に戻ることは出来ないんだ……

 

 「すまない、幹部A、B……墓には女装写真を供えてやろ……っ!? 」

 

 この気配、ボスのものか!! しかも今までのそれとは段違いだ。だがそれは問題ではない。問題なのはそれを感じる方向が斎賀家の方だということ……

 

 「……前言、撤回だ……!! 」

 

 

 

 

 「クソゲーよ、ライオットブラッドよ、俺に力を!!変★身!!! 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 「……かはっ!! 」

 

 『損傷度60%を越えた!! これ以上はマズいぞ! どうする、アカネ! 』

 

 「……憐れですね……いくら魔法少女だなんだと持て囃されても私が少し本気を出せばこの程度……弱者を嬲る趣味はありません。一瞬で終わらせて差し上げます」

 

 「くっ……!! こうなったら自爆覚悟で必殺技を……」

 

 「無駄です」

 

 

 最後の足掻きで必殺技を放たうとするリミテッドアカネ! しかしサイガーゼロの力は彼女の力を大きく上回っていた!! アカネの必殺技を飲み込み、破壊がアカネへと迫る!!

 

 「させるかぁっ!! クソゲーマジック☆存在しない当たり判定(すごくムカつく)!! 」

 

 

 着弾。

 

 

 

 触れたものを削り取る純然たる破壊の力が猛威を振るった後には何も残らないはずであった。

 

 

 

 しかしそこには破壊の力の影響など一切受けてないかのように見える少女たちの姿が!!

 

 「貴方はっ……!! 」

 

 「やはり来ましたかっ……!!」

 

 

 「「暗黒魔法少女サンラク!!! 」」

 

 

 「今だけは加勢してやるぜ、リミテッドアカネ! さぁ、サイガーゼロ! クソゲーの始まりだぜ!! 」

 

 「ありがとうございますっ! 一緒に彼女を倒して世界を平和にっ!! 」

 

 「させませんっ!! 何人たりとも私の邪魔をできるとは思わないことです!! 」

 

 

 そして魔法少女達の最後の決戦が始まる……!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆◆◇

 

 

 「くっ、強い……!! 」

 

 「ちっ! どんだけ強化重ねてるんだサイガーゼロ!!

 

 「はぁっ、はぁっ……ふふ、いくら2人が協力したとしても私の領域には到達できなかったようですね。次で、終わりです!! 」

 

 くっ!マズイ……あの一撃を2人で食らう訳にはいかない……どうすれば、どうすればいいんだ!?

 

 

 よく考えろ、俺にとっての最善は何だ。サイガーゼロに勝つこと? 世界を守ること? 違うはずだ。そう、俺がここに来た目的は……

 

 

 「おい、リミテッドアカネ」

 

 「何でしょうかっ! なにか手が!? 」

 

 「……お前だけが希望だ。世界を……玲さんを守ってくれ」

 

 「え……? 」

 

 

 「話は終わりです!! 終焉の海に沈みなさい!! 」

 

 

 「俺はもう外道衆のキメラヘッド・サンラクじゃない! 守るべき人を見つけた暗黒魔法少女サンラクだ! 燃え上がれライオットブラッド!! エナドリマジック☆暴徒の血よ、永遠に(ライオットブラッド・フォーエバー)ッッッ!!!」

 

 

 「サンラクさぁぁぁぁぁぁん!!!! 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……がはっ」

 

 「……っ!! そんなっ! サンラクさん、しっかりしてください!! 」

 

 「……ふっ、無事みてぇだなリミテッドアカネ……最後に1つ、頼みてぇことがある」

 

 「……何でしょうかっ……! 何でも聞きますからっ、だから死なないでくださいっ!! 」

 

 「……げほっ……頼むことは1つ、玲さん……斎賀玲って人を守ってやってくれ……ごふっ……」

 

 

 「……ぇ……? 」

 

 

 

 

 「斎賀玲、さんですか……? 」

 

 「……あ"あ……そうだ……俺の……大切な人……強い人だけど……心の中では誰かに助けを求めてる……俺が、まもってやりたかっ……がはっ! げほっ、げほっ……」

 

 「もういいです! もういいですから!! サンラクさん!! 」

 

 「……いや、聞いてくれ……もう、じかんがないから……おまえなら……かのじょを、……まもれるはずだから……おれは、ひづとめ、らくろう……後は、頼んだ……ぞ……」

 

 「そ……そんな、サンラクさん!! サンラクさっ」

 

 「どいてくださいっ!! ……楽郎くん!! 楽郎くん!目を開けてください! 楽郎ぐん"っ!!! 」

 

 ……ああ、玲さん……なんでこんなとこに……いや、そんなことどうでもいいか。泣いてる? のか……

 

 「れいざん……げほっ……なかないで……くれ……おれは、……わらってるきみが……すき……だ……から……」

 

 ああ、もう心残りはない……いや、さすがにそれは嘘だ。未練たらったらだ。でも大丈夫だろう。戦ったからこそ分かる。リミテッドアカネならきっと玲さんを守ってくれる。……もうアイツらのところに行く時間だな。

 

 

 

 じゃあな、玲さん。無事に生きてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 ☆◇

 

 「サンラクさん! 目を開けてください、サンラクさん!! 」

 

 「……そんな、うそ……なんで……じゃあ、わたしのやってきたことは……ああ……あああああああ!! 」

 

 大切な人を己の手によって失い、自暴自棄となりかけるサイガーゼロ。そんな彼女にリミテッドアカネの光が突き刺さる……!

 

 「……サイガーゼロさん、サンラクさんは貴女にとって大切な人なんですか? 」

 

 「っ! 当たり前です!! だって私は、私はっ!! 」

 

 「じゃあいつまでもべそべそと泣かないでください!! 貴女は世界を征服できるくらいの力を持っているんだから!! 大切な人のひとりやふたり、甦らせるくらい出来なくてどうするんですか!! 」

 

 それは暴論。紛うことなき暴論。世界を征服できたとしてもできないことはある。だが、それでもリミテッドアカネは諦めようとはしない。

 

 「私は絶対に諦めません! 魔法少女になる時に誓ったんです! 絶対にどんな命も救うことを諦めないって!! だから私は諦めません! サンラクさんを救うことも! 貴女の心を救うことも!! 」

 

 「……わたしの、こころ……? 」

 

 「はい! 貴女は今心が死にかけています。大切な人を自分のせいで失ったのだからそうなるのも無理はないでしょう。でも! 貴女は救う手を持っている! 救える可能性を持っている!! だったら私は皆を救える未来を選ぶために貴女の心も救います!! 」

 

 

 外道衆の頭目、闇の魔法少女サイガーゼロ。彼女を救えるのは彼女(リミテッドアカネ)のような……真っ直ぐな光だったのかもしれない。

 

 「……分かりました。出来るかどうかは分からないけど、楽郎くんを取り戻すため! やってみます……!!」

 

 世界征服のために集めた黒と白……光と闇の力。相反するふたつの力が楽郎の体に注ぎ込まれていく。普通ならその力の奔流に耐えられることなく肉体は消し飛ぶが、リミテッドアカネの補助に加え元々光と闇の力を持っていた楽郎の体はその力を受け入れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……ここは? ……俺は」

 

 そうか、俺は死んだのか。ふむ、ここが三途の川と言うやつだろうか。……今思いっきり鮭が泳いでいた気がするんだが……気のせいだろう。そういうことにしておこう。

 

 「あれ、サンラクじゃん。こんなとこでなにしてんの」

 

 「っ! お前は幹部A! 」

 

 「私もいるよー」

 

 「幹部Bも! 生きていたのか……いや、死んでるからここにいるのか。済まないな、幹部A。墓前にお前の女装写真を置けなくて」

 

 「そんなこと考えてたの!? 死者に対する礼儀はどうした!」

 

 「くくっ、いやいやサンラクくん。そこはもうお葬式に使う写真から女装写真にすべきでしょ」

 

 「それだ」

 

 「それだじゃないわ、この外道共め! 」

 

 「「お前もだろが」」

 

 「……確かに」

 

 ……なんかこういうの懐かしいな。いや、俺が暗黒魔法少女になったせいなんだが。

 

 「というかサンラクいつまでここにいるのさ」

 

 「は? どういうことだそりゃ」

 

 「相変わらずにっぶいなぁ、サンラクくんは……君を呼んでる人がいるんだからさっさと起きなよってことだよ」

 

 「俺を呼んでる人? そんなのいるわけが……」

 

 

 「サンラクさん!!」

 

 「楽郎くん!!」

 

 

 

 「……っ!? なん、だ……」

 

 「ほらほら、色男。さっさと起きなよ、女の子たちがお待ちだぜ」

 

 「まー、あんなにかっこよく啖呵切って戻るってなって恥ずかしいのは分かるけどねぇ? 」

 

 「…………わーったよ」

 

 ……最初から分かっていたのだろう。ただこいつらと離れたくなかった、それだけだ。

 

 「じゃあな、お前ら。お別れだ」

 

 「はいはい、じゃあな」

 

 「ばいばーい」

 

 ……はぁ。

 

 「…………その、な」

 

 

 

 

 「……前は勝手にどっか行って悪かったな。これでサヨナラだ」

 

 そしてその一言を言った瞬間、俺の意識は闇に溶けていく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 ???

 

 

 「……はぁ、今更かよ。って言うか良かったの、行かせて」

 

 「……しょうがないでしょ、あんだけ求めてて、求められてる人を私のわがままで引き止めらんないし」

 

 「……そういう強がりはせめて涙隠しながら言ったら? 」

 

 「……泣いてないし。ていうか君も泣いてるじゃん」

 

 「……これはやっとせいせいしたっていう涙だよ」

 

 「……じゃあ私もそれだし」

 

 

 

 

 

 

 

 ☆◆◇

 

 「……っ!! 」

 

 ……ここ、は。

 

 「楽郎くんっ!! 」

 

 「わぶっ……玲、さん」

 

 「よかった、よかったよぉ……」

 

 これはいったい……というか、

 

 「玲さん、その格好は……」

 

 「……あ」

 

 そう、意識を失う直前は気づかなかったが、今の玲さんの格好はサイガーゼロの格好そのものだったのだ。……正直、少しそんな気はしていた。だって顔の雰囲気とかそっくりだし……名前割りとそのままだし……

 

 「あの! えと、これは、その……」

 

 「……いいよ、玲さん。分かってるから」

 

 「え……それは、その……」

 

 「俺だって玲さんに魔法少女だってこと黙ってたんだ。おあいこだよ」

 

 「……らぐろうぐん……」

 

 「玲さん……苦しい……」

 

 「あっ、ごめんなさっ……」

 

 「いいよ、このままで……こうしてたい」

 

 玲さんを強く抱きしめる。玲さんの温かさが伝わってきて、生を実感する。

 

 「玲さん、このままでいいから聞いて欲しい。今後のことなんだけど……」

 

 「……世界征服はやめます。迷惑をかけた所にもちゃんとアフターケアをして。それで、全部の罪を清算し終えたら……」

 

 

 

 

 「……私と結婚してください」

 

 

 

 

 ……それは違うというものだろう。

 

 「それじゃダメだよ、玲さん」

 

 「……ぇ、あ、ごめっ……」

 

 「罪の清算をしなきゃいけないのは俺も同じだ。だから、一緒に歩んでいこう。そしていつの日か結婚しよう」

 

 

 「……はいっ! 」

 

 空の雲が晴れ、柔らかな光が俺たちを照らす。その光は俺たちの新しい門出を祝福しているようで……

 

 

 「……あのー、私の事忘れてません?」

 

 

 ……すんませんでした。

 

 

 

 




外道衆、ほかの2人名前でてないよね……? 出てたらごめん。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。