語られなかった者たちの饗宴   作:ゆくゆく

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クリスマスが近いのでカウントダウン投稿。今日は楽紅。


雪月花よりも何よりも

 はーって吐き出した息が真っ白です。今日は雪が降るのかな。もしそうなったら、ホワイトクリスマス。彼氏……楽郎さんとの初めてのクリスマスがホワイトクリスマスっていうのは、うん。とても素敵だと思います。

 

 「楽郎さん、まだかな〜……ひゃっ!? 」

 

 頬に何か暖かいものが触れる感触。びっくりして後ろを振り返ると、

 

 「よ、紅音。寒い中待たせちゃって悪かったな」

 

 「ら、楽郎さん! 驚かせないでくださいよ、もう……」

 

 「はは、悪い悪い」

 

 そう言って優しく笑う楽郎さん。そういう顔をされると許したくなっちゃいます。

 

 

 

 私が楽郎さんと付き合うことになったのは、私が初めて彼にあった日のことでした。一目見た瞬間、胸が一気に高鳴って、それまでに感じたことの無いような大きな、でも決して不快じゃない気持ちが胸の中に溢れてきて。その気持ちをそのままぶつけてようとして、自分が言った言葉を聞いて初めて気づきました。私が楽郎さんに恋をしたって言うことを。

 

 その後に楽郎さんがサンラクさんであるって知って2度驚いてさらに好きになったのも今ではいい思い出です。

 

 そして今日は私たちが付き合い始めてから初めてのクリスマス。イルミネーションを見に行きたい、というかクリスマスデートをしたいという私のワガママに快く付き合ってくれた楽郎さんと今一緒に歩いています。

 

 「にしてもさ、何で外で待ち合わせにしたんだ? 寒いんだしもっとほかの場所で待ち合わせでも良かったんだぞ? 」

 

 ああ、確かに待ってる時間はちょっと寒かったですね。でも、

 

 「何となくデートの待ち合わせって外の方がいいかなーって思ったので! 」

 

 「はは、確かになぁ」

 

 「それに……」

 

 「ん? 他にも何かあるのか」

 

 「えと、すっごく楽しみで頭がぽかぽかしてたので冷やしたいなって、えへへ……」

 

 「ッ……そ、そっか。うん、あー、俺も楽しみだったよ」

 

 思ってることを伝えるのなんて今まではなんとも思わなかったのに、それが楽郎さんに伝えるってだけでこんなに恥ずかしいなんて……いや、でもこういう気持ちはどんどん伝えた方がいいってお母さんが言ってました。……よし!

 

 「ら、楽郎さん! 」

 

 「おっ、おう。どうした? 」

 

 「えと、その手を……あ」

 

 「お、降ってきたか。天気予報で雪の予報だったしなー」

 

 ロマンチックだなって思ってたホワイトクリスマス。それが叶ったのは嬉しいです。嬉しいですけど! もう少し降らすタイミングを考えて欲しかったですね!!

 

 「にしても雪に月、か。これで花があったら完璧だったな」

 

 それは……雪月花でしたっけ。この前授業でやった気がします。

 

 「雪月花、でしたっけ。確かに雪も月も本当に綺麗でさね……」

 

 「ああ、元々は四季の綺麗なもの、みたいな意味らしいけど……あ"ー……」

 

 「? 楽郎さん、どうしたんですか? 」

 

 何か今いきなり唸ってたような?

 

 「いや、なんでも。全然そんな大したことじゃねぇから。気にしないで。ホント」

 

 「そこまで言われると逆に気になりますよ!? 」

 

 「あー、いや、ホントどうでもいいっていうか気持ち悪いっていうか。……聞いても後悔しないか? 」

 

 「大丈夫です! ドンと来い、です! 」

 

 「……俺にとっちゃ紅音が花だなって。そんだけだよ」

 

 

 …………えと、つまりそれは……? ……んー……

 

 「……ッ!? え、あ、楽郎さん、それはその、えと」

 

 ……私のことを雪や月と同じくらい綺麗だって言ってくれてるんでしょうか……?

 

 「〜〜〜〜〜〜ッ!! あー、もうこの話は終わり! ほら行くぞ!! 」

 

 「あっ、手……」

 

 強引に手を引かれ、少しよろめきながら見えた楽郎さんの顔はすごく真っ赤で、私まで真っ赤になりそうです……

 

 

 

 うん、でも……とっても嬉しい、です。

 

 「楽郎さん、楽郎さん」

 

 「……何だよ。さっきの事はなかったことにしてくれ」

 

 「なかったことになんてできませんよ。とっても嬉しかったですし」

 

 「お前なぁ……」

 

 「それで、伝えたいことがあるんです」

 

 「楽郎さんが私のことを花だって言ってくれるなら、私にとっての楽郎さんは星です」

 

 「星ィ……? 」

 

 雪が降る中で、月が照らす中で、私は初めて出会った時と同じように心の赴くままに言葉を重ねます。

 

 「はい! 月より明るく私の行く先を照らしてくれて、雪よりも優しく私を包み込んでくれる。楽郎さん、あなたは私にとって雪月花よりも何よりも、綺麗で大切な人です! 」

 

 「……そんなに褒められるようなことはしてねえんだけどなぁ」

 

 「楽郎さんにとってはちっちゃなことでも私にとっては大切なことなんですよ? 」

 

 「あー……そっかぁ。さっき俺が言ったことも紅音にとっちゃ大事なこと、ってことか? 」

 

 「はいっ!! 」

 

 「そうかよ……紅音、1回しか言わんからよく聞いとけ」

 

 「俺にとってお前は花よりも綺麗で可愛くて、大切な存在だよ。お前が俺に対して思ってるのと同じかそれ以上にな」

 

 へ……

 

 「うぅ……楽郎さんっ!! 」

 

 「わ、ちょお前くっつくな、抱きつくな。人目があるから! ……あれ、あ、紅音さーん!? 聞こえてますかぁ!? 」

 

 わがままばっかりでちょっと申し訳ないですけど……それでも今はこの手を離したくないです。だって今顔を上げたら……大好きが溢れて溢れて、どうしようもなくなっちゃいますから。




明日は楽永を投げるはず。多分。
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