ifififみたいなお話。別にノーダークではあるけど嫌いな人はブラバしてね!
「……ここは? 」
何も無い白い空間で、アイドル衣装を纏った征服人形……サイナは目を覚ます。
「確認:当機は確かに契約者のインベントリア内にて休息をとっていました。それで……気がついたらここに……? 」
通常ありえない不可思議な現象。サイナは心の中では狼狽しながらも、現状の把握を図るべく周囲の探索を始める。
「声の反響がないことからかなりの広さの空間であると推察……銃の一つでも撃ってみましょうか…………む? 」
「……え? ここは? 私家に帰ってる途中じゃ……って、ええ!? わ、私がもう1人!? 」
「! 貴女は……」
突如サイナの目の前に現れたのはサイナと瓜二つの女性。しかし、その身体は球体関節と人造の肌ではなくれっきとした肉と骨で構成されている。
「エルマ・サキシマ……! 」
「何で私の名前知って……あ、もしかして私のファンでしょうか? 私のコスプレをしているとか! でしたら納得ですね」
「
「何ですかあなた、喧嘩売ってるんですか? 物静かな私でも怒る時は怒りますよ? 」
「あ゛? 」
「あ゛ぁ? 」
オリジナルとコピー。それも片方は作られた人格を持つ人形。本来なら出会ったところでメンチを切り合うような事態にはならない。だが、とある半裸の影響のせいか強気にして煽り体質となったサイナはエルマを煽り、結果として文字通りのミラーマッチが勃発した。
「痛ひです……。何で出来てるの? 仮にも女の子なんでしょ? そんなに柔らかみの無い身体で良いの? 」
「
「……落ち着け私。ここで殴りかかっても私が痛い目にあうだけよ……!! 」
殴り合い、という名の一方的な蹂躙は終わり、一応ふたりは認識のすり合わせを図り始める。
「ふむ、つまり貴女もまた気がついたらこの空間にいた、という認識でよろしいですか? 」
「ええ、そうよ。というかあなた私のファンじゃないんでしょう? だったらなんでそんな格好してるのよ」
「……その辺りのことを語ると長くなるのですが」
「いいわよ、別に。どうせいつ帰れるかも分からないんだから。少しは面白い話が聞きたいわ」
「了解:では聞かせてあげましょう。当機と契約者の冒険譚を! 」
そしてサイナは語り始める。半裸の鳥頭の
そしてそれらを全てを聞き終えたエルマはしばらく閉じていた口を開き、言葉を発する。
「…………何と言うかあなた、無茶苦茶やってるわね」
「否定:無茶苦茶をしているのは当機ではなく契約者です。あくまで当機は契約したからそれに付き合っているだけですので」
「いや、それにしたって大概でしょう……ほんと、私のコピーだなんて信じられないくらいにはね」
「疑問:それは一体? 」
「ああ、私のことを知ってるって言ってもそこまでは知らないのね。そうね、じゃあ今度は私のことを話そうかしら」
そうして今度はエルマ・サキシマが語り始める。サイナの語る冒険譚と比べると盛り上がりに欠ける人生談だが、己の元となっているエルマの話はサイナにとっては無数の物語に優る話であった。
「納得:エルマ・サキシマ。貴女の話はとても興味深いものでした。語り聞かせていただき感謝します」
「あら、素直。リリエルもそれくらい素直だったら良いのに……って伝わらないかしら」
「リリエル……リリエル型のオリジナルですか。正直、好印象ではありませんね」
どこぞの外道のもとにいる
「ふふっ、その辺は同じなのね。まぁ、あの子は悪い子じゃあなかったわよ? 素直でないだけで」
「そういうものでしょうか、あれは……? 」
「そういうものなのよ、人間って。それより私、あなたのマスターについて聞きたいわ! 実際のところ、どう思ってるの? 」
「ど、どうと言われましても……ただの契約関係です。ま、まあ多少感謝はしてますが」
「えー、本当にー? だってその、オルケストラ? と戦った時に私の曲にアレンジ加えてマスターさんに送る曲にしたんでしょう? アイドルがたった1人に向けて思いを込めた曲を送るなんて余程の思いがないとできないことよ? 」
「……
先程までとは別人のようにキラキラした……いや、むしろギラギラした目でサイナを質問攻めにするエルマ。それに目を逸らし、頬をやや染め、だらだらと汗を流しながらも答えるサイナ。そんな2人の姿は長年の友人のようであり、仲の良い姉妹のようであった。そして会話はどんどん広がり、終わることを忘れていく。
「そ、そういうエルマはどうなのですか。慕っている人間などはいないのですか」
「え、私? 私はだってアイドルだもの。1人を愛することなんて出来ないわ? だからこそ私のコピーだっていうサイナの話が気になるのよー」
「う、うう……き、救援:契約者、助けてください……」
だが、奇跡の時間は必ず終わる。本来有り得ない邂逅、有り得ない会話。奇跡であり、記念であるこれは終わらなくてはならないのだから。
「……あら? サイナ、あなたちょっと透けてきてない? 」
「異常:エルマ、貴女も同様に透けていますが」
「うーん、もうこの空間に居れないってことなのかしらね……ねぇ、サイナ」
「疑問:何でしょうか」
「あなたって多分凄く、すごーく先の未来から来たのよね? 」
「ええ、そうですね。私の時代では、その、エルマはもう……」
「ふふ、別に遠慮しなくていいわよ。私のコピーなんてものがある時点でわかってた事だし。でもね、サイナ。私あなたと会えて良かったわ? この出会いが何によってもたらされて、何で起こったのかも分からないけど、こんな素敵な友人が出来たんだもの。最高よ! 」
「わ、当機もです! 当機も、貴女と出会えて、話せて良かったです、エルマ……当機の友人」
2人の少女はどちらからともなく笑いだし、そして、奇跡は終わる。光が散り、空間が解ける。だが、笑顔だけは。二度と会えないであろう友人を想って浮かべた笑顔だけは消えることなく彼女たちに残り続けた。