前線拠点「蛇の林檎」新大陸支店。表向きは単なる喫茶店、裏向きは賞金狩人たちの集うこの店に今、1機の少女が足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ……おや、珍しいお客様ですね。今日はサンラク様はご一緒では無いのですか? 」
「肯定:個体名:ウィンプに用がありまして、居ますか? 」
「ええ、彼女なら裏で休憩してますよ。呼んできましょうか? 」
「要請:内緒話をしたいので個室を用意していただけると助かります。お代はこちらに」
「いえいえ、今は他のお客様もいらっしゃいませんしウィンプの知り合いの貴方なら問題ありませんよ。どうぞ、こちらへ。ウィンプを後ほど向かわせます」
「ありがとうございます。それでは」
「ウィンプ、貴方にお客様ですよ」
「ええ……わたしきゅうけいちゅうなんだけど……」
「つべこべ言わずにさっさと行きなさい」
「はい……」
後ろから聴こえる店主とウィンプの会話には耳をくれず案内された部屋へ向かうサイナ。今、彼女の記録媒体にはある1人の契約者の姿しか写っていなかった。
◆
蛇の林檎の中にある個室で向かい合う
「それで? あなたがわたしになんのようなのよ」
「…………実は……その……」
「……? あなたにもいいよどむことなんてあるのね」
「ええ……私の中でもまだ処理しきれていないのですが」
そう言って一呼吸つき、サイナは核心的な話を切り出す。
「実はこの前
嘘である。
「……!?」
「
「!?!?」
あまりの情報インパクトのせいで椅子から落ちかけるウィンプ。哀れである。
「それ以降話せていないのでどうしたら良いかと思い相談に来ました」
「………………えぇ? 」
「
「ええ、話を!
相談したいのか自慢したいのかよく分からない態度でサイナは言う。
「……もうかえっていい? 」
「
「個体名:ウィンプ。貴方、
「……!?!?!? 」
今度こそウィンプは椅子から転げ落ちた。
「にゃっ、にゃにゃ、にゃにをこんきょにしょんなことを……」
「当機のインテリジェンスを甘く見ましたね。態度でバレバレです」
「そんなのただの
「
「……ち、ちがうから。こいとかじゃないからぁ! 」
特徴的なツインテールを振り回し涙目で必死に否定するウィンプ。もはや自分から墓穴を掘ってるとしか言い様がない。
「認めないならそれはそれでいいのですが。恋敵が減るので」
「うなぁっ! ……ううう……ちょっとすき……かも」
「歓迎:よくぞ言いました。そこで提案があります」
「うう、なによぉ……」
「
「えっと、よろいのひととか、うさぎをつれてるひととか、うさんくさいひととか! 」
「
「当機と貴方で共に
「あぷろーち?なにそれ」
「落胆:インテリジェンスが不足しているのでは? 」
「そんなことないわよ! 」
「解説:要するに
「い、いろいろ……!」
「……何を想像しているのですか」
「へぁっ!? な、なんでもないわよ! 」
必死で弁明するもサイナのジト目は変わらない。というかその赤い顔で何を言っても無駄みたいなところはある。
「まあ良いでしょう。つまり同盟です。個の力は足りなくても2人合わせれば足ります。インテリジェンスな作戦でしょう? 」
「……でもむこうはさんにんなんでしょ? 」
「
「なによそのぞくせいって」
「詳しくは知らないのですが特徴のようなものです。例えば貴方で言えば《アルビノツインテ虚仮威しイキリ美少女》がそれに該当するようです」
「なによそれ!! 」
「細かいところはどうでもいいのですよ。早速
「……あばうとすぎない? 」
◆
インベントリアにサイナが居ないことに気づき、エムルをフル活用してあちこち探していたのだがどうやら蛇の林檎にいたらしい。
「あっ、サイナてめぇどこ行ってたんだ。急に居なくなりやがって」
「
いやなんだよ、話し合いって。というかなんでウィンプまで居るんだ。
「あー、今度からどっか行くなら行き先と帰る時間を言ってから行け。いきなり居なくなってて焦ったわ(データロスト的な意味で)」
「なるほど……
「あ?まあな」
ん? 後ろを振り返って何してんだ? ……いや、何となく分かる。あの気配は完全にドヤ顔を決めている時のやつだ。なんで分かるかって? ドヤ顔なんて何回もしたしされてるんだよ。
「ふふふ、
「見せたいもの? まあいいが手早くな」
「ええ、期待していてください
「あんまりきたいしてないのだけど……」
サイナが店の中に入り数分、やっとでてきたサイナは……
「
黒と白を基調としたエプロンドレスに加えあちこちにフリルをあしらった……まあ簡単に言ってしまえばメイド服に身を包んでいた。……いや、なんで?
「なぜにメイド服? なんか凄い性能なのか? 」
「
「よく分からんが見せたいものってのはそれでいいのか? 他にないなら帰るぞ」
「ま、待ってください
「あー、ハイハイ。後で聞いてやるから。レイ氏達を待たせてんだよ」
くそっこいつ自分で歩かねぇつもりだな!? 見た目少女とはいえ機械だから重いんだよ!
「……ね、ねぇねぇ」
動こうとしないサイナをインベントリアに放り込もうと悪戦苦闘していると後ろから袖を引かれる。
「あ? あー、ウィンプか。悪いな、どうせサイナが迷惑かけたんだろ? 」
「そ、それはそうなんだけどそうじゃなくて! 」
ん? どうした? そしてサイナ。お前は黙ってインベントリアに入ってろ。
「…………う、その……さいきんきてくれないからさびしい……もっとあいにきて? 」
……あー、そうだな。最近は確かにウィンプを色々と後回しにしてたな。好感度管理的にもまずいか。
「そうだな、とりあえず今のゴタゴタを終わらせたらまた当分一緒に過ごすことになるさ。それまで待っててくれな? 」
「ふひゃっ!? 」
わしゃわしゃとウィンプの頭を撫で回す……なんだこれ、こいつの髪の毛めちゃくちゃ触り心地いいな。ちょ、もう少し触らせ
「う……うう……うにゃあああああ!! いつまじぇしゃわってりゅのぉ!! 」
「……はっ!? あ、ああすまんな。つい夢中になってた」
「むぅ……ならいいけど。ちゃんとあいにきてね! 」
「分かってる分かってる。ほら、サイナ、何口パクパクさせてんだ、行くぞ」
「う」
う?
「裏切り者ぉぉ!!」
「うわっ!? ってサイナ何してんだ、武器を出すな武器を! 」
「きゃああああ!? さ、さみーちゃん! たすけてぇぇ! 」
「
結局サイナを落ち着かせてレイ氏の元に戻るまで30分を追加で要することとなった。レイ氏すまん。
おかしい……本来はサイナとウィンプの百合が書きたかったはずなのに……
思いつかなかったんだよ、ちくしょう