語られなかった者たちの饗宴   作:ゆくゆく

8 / 51
朝シャンはキマるぜぇ……


TAS

 

 「サンラク、すこし()()って()しい」

 

 「へ? 幼女先生それはどういう? 」

 

 「そのままの意味(いみ)……()きたい(ところ)がある」

 

 いい加減重い腰を上げ、仇討人関連のクエストを進めようと蛇の林檎に来た俺に与えられたのは幼女先生からの特別任務(デートのお誘い)だった。Why(どういうことなの)

 

 「何かのモンスター討伐とかですか?」

 

 「(ちが)う……おいしそうなデザートがあった。でもカップル限定(げんてい)……だからついてきて」

 

 ああなるほど、そういう事か。幼女先生は美味しいものが大層お好きだからな。食のためなら妥協をしないということか。

 

 「分かりました幼女先生。では不肖サンラク、相手役を務めさせていただきます」

 

 「うん……よろしく、ね? 」

 

 こてんと首を傾けそのまま店の外に向かおうとする幼女先生……いや待て待て待て、その格好(ビキニアーマー)で行く気なのか?

 

 「ちょ、幼女先生。まさかその格好で行くつもりなんですか? 」

 

 「……? 」

 

 あ、ダメだこれ。何か問題でも? みたいな顔してやがる。いくら何でも着る服に頓着し無さすぎではないだろうか。え? 常時半裸のお前が言うなって? うるせー、こっちはなりたくてなってる訳じゃねぇんだよ!

 

 「良いですか幼女先生。その格好はいわば戦闘服。普通の料理店に着ていけば要らぬトラブルを起こすやもしれません。そうなれば折角のデザートも食べられなくなりますよ? 」

 

 「……むう、それは(こま)る。ねぇ、サンラクは(わたし)私服(しふく) 、見()たい? 」

 

 「へ? まあそりゃあ……」

 

 「()かった、じゃあ着替(きが)えてくる」

 

 うむ、良かった良かった。さすがにビキニアーマーと半裸が並んでいたら入店拒否間違いなしだろうからな。

 

 

 

 

 

 

 「サンラク……どう? 」

 

 待つこと数分、店の奥からでてきた幼女先生は白いワンピースに身を包み麦わら帽子を被っていた。いやこの世界に麦わら帽子とかあったのか。……あ? あれはサバイバアルか……? あいつが選んだのかこの服……

 

 「サンラク……?似合(にあ)ってない? 」

 

 あ、幼女先生がこころなしか悲しそうな表情に。

 

 「いやいやいや、そんなことないです! あまりの可愛さについ見とれてしまって」

 

 「そう……? ならいい」

 

 良かった、機嫌よさげな顔に戻ったな。幼女先生の好感度は維持しておきたい。というか泣かせたらまず間違いなく着せ替え隊たちに殺される。

 

 「じゃあ、()こ? 」

 

 そう言って手を差し出してくる幼女先生。……え? 繋げってか? 幼女先生、かなりちっちゃいから幼稚園児の引率教師の気分になってくるな……

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 「……ついた、ここ」

 

 「ほう、これはなかなか……」

 

 幼女先生に手を引かれ、辿り着いた先はなかなかお高めな雰囲気を醸し出す料理店(レストラン)だった。とはいえ今の俺は懐にはなかなかの余裕があるからな。幼女先生に奢ってやることも可能よ。

 

 「サンラク? いくよ」

 

 「あっ、はーい」

 

 

 

 「いらっしゃいませ、2名様で宜しいでしょうか」

 

 「うん、あと……私達(わたしたち)カップル」

 

 「ああ、なるほど。でしたらこちらのカップル専用メニューが注文可能でございます」

 

 「わかった……サンラク? さっきから(へん)

 

 「あっ、ああ。すみません幼女先生」

 

 いや、これは挙動不審にもなるというもの。完全にやばい店だろここ! だってほら、あそこで優雅に飯食ってるやつ、黄金の天秤商会で見たことあるぞ!? ドレスコードとか絶対あるじゃん……俺今半裸ぁ……

 

 「その幼女先生(ティーアスせんせい)()び、ここでは禁止(きんし)。ティーアスって()んで」

 

 「え? それはまたどういう理由で? 」

 

 「カップルで先生(せんせい)()びは(へん)……(うたが)われないためにも、ね? 」

 

 「わ、分かりました、ティーアス」

 

 「むぅ……敬語(けいご)もなし」

 

 えぇ……今日の幼女先生は少々わがままでいらっしゃる。

 

 「分かったよティーアス。これでいいか? 」

 

 「完璧(えくせれんと)

 

 お気に召したようで何より。1番怖いのはこの呼び方に慣れてしまったら今後もつい敬語無しで話しかけそうなことなんだがな。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 「お客様、そろそろデザートをお運びしても宜しいでしょうか」

 

 「うん、お(ねが)い」

 

 幼女先生の食べたがっていたデザートはコース料理の一環らしく他の料理も食べることとなったのだが……今日ほど美食舌を取っててよかったと思った日はないって位には美味い飯だった。……まあ何が使われているかは気にしない方が精神的にも良いだろう……

 

 「ねえねえ、サンラク」

 

 「ん? どうしたんだティーアス」

 

 「(わたし)今日(きょう)とっても(しあわ)せ。美味(おい)しいごはんをたくさん()べられて、(すご)いデザートも()べられる」

 

 「それに……サンラクと一緒(いっしょ)。……今日(きょう)はありがとう」

 

 非常にレアな幼女先生の長文と笑顔。今まで獲物に見せるような凶暴な笑顔しか見てこなかった俺は……少しそれに見とれてしまった。

 

 「……あー、お礼を言われるような事じゃないっすよ。俺もティーアスと一緒で今日楽しかったんで」

 

 俺はロリコンでは無い。ではないが……普段は見ることの無い幼女先生の色んな表情や姿を見れたというのは何となく気分がいいな。

 

 そしてデザートが来るまでの僅かな時間、俺たちは互いに見つめ合いながら笑いあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆ とあるデザートの話

 

 「……え? 幼女先生マジでコレ1人分ですか……? 」

 

 「……? ()たり(まえ)。いただきます」

 

 目の前で幸せそうにデザートを頬張る幼女先生はなかなかの破壊力を秘めているが今の俺にはそれを気にしている余裕すらない。

 

 「……まさか……お前にまた会う時が来るとは……!! 」

 

 東京極氷火山(エレバス)パフェ〜極北のワルキューレ騎行〜……!!幼女先生が俺の分まで食べてくれることを信じて……! いざ鎌倉ァ!!

 

 

 

 

 

 

 

 ◆ とある店での会話

 

 「ティーアスってば素直じゃない……」

 

 「まぁあの子はまだ幼いものねぇ。14歳なんてそんなものでしょう」

 

 「にしたって……わざわざ店側に事前に協力求めてまでなんて……」

 

 「あら、可愛いじゃない。それに新人同士仲良くするのはいい事よ? 」

 

 「むぅ……そうだけど」

 

 「ふふ、あれもあの子(ティーアス)なりのアプローチなんでしょう。ルティアも見習いなさいな」

 

 「私!? ……頭領には言われたくな」

 

 「あら……何か言った? 」

 

 「ナンデモナイデス……」

 

 

 

 

 

 




幼女先生、可愛いのにあまり話題に上がってなくない?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。