暗殺教室RTA-先生居残り補修チャート 作:チルドレン
私に仲良くしようと言ってくれたジェーンちゃんは…今現在、授業をしている。
「…以上!これで授業は終わりです。テストで出る英語はここら辺を覚えておけば、中間には何とかなると思います。…あ、そうそう…中村莉桜さん」
「あいあい?」
「ここら辺の英語は其処まで覚えなくても、英語で友達と話せますよ。それよりこういった英語の方が良いと思います」
そう言って優しく微笑んだジェーンちゃんが、ゆっくりと中村ちゃんのノートに英語を書いていく。
それを見た中村ちゃんが少しだけ驚いた様にジェーンちゃんを見つめるのを見て…ジェーンちゃんは口に指を当てて微笑んだ。
どうやら何か悪戯で何かを書いたらしい。彼女くらいの姿だと、ああいった仕草も凄く似合ってしまう。
「矢田さんは途中で集中を切らしてましたね。何かありました?」
「…へ?あ、いや…」
「そもそも同い年で先生の真似してるのが可笑しいだろ!」
「それもそうですね。でも現実を突き付けた磯貝君には取り敢えず宿題を出しておきます。序でに潮田君…さん?にも」
「なんで!?というか僕も君でいいよ!」
「さっき見ましたけど、ケアレスミス多かったですよ?大方発音で覚えてるからでしょうけどね」
「…あー…」
「発音で覚える事はいい事です。英語を喋るのも楽になりますし、アクセントの問題もスラスラ解けます。その代わりに、文字を覚えないとローマ字になっちゃいますけどね」
「…気を付けます」
今まで勉強に其処まで熱中していた訳じゃないのに、ジェーンちゃんの授業は一瞬でE組の教室を変えてしまった。
…寺坂君ですら、自分で書いていたノートを見て呆然としている。
「寺坂君はもう少しだけ…そうですね。報酬とかあった方が気乗りしそうですね」
「は、はぁ!?今回はたまたまだ!次はでねぇよ!」
「そうですか?」
そういってもう一度微笑んだジェーンちゃんを見て、居心地悪そうに寺坂君が顔を背けた。
そしていろんな人に一言ずつ言う間に授業が終わり……渚君が号令を出した。
「はい。お疲れ様でした!今日は疲れてるだろうからゆっくり休んでね?」
その言葉と同時に、今まで溜まっていたであろう疲労感が蘇る。どうやら授業中は楽しくて忘れていたらしい。
…全員が疲れているのを見た殺せんせーが少しだけ困った様にジェーンちゃんを見つめた後に…ゆっくりと首?を振ってからホームルームを始めた。
それをジェーンちゃんは楽しそうに受けており…それが気になった私は帰りにジェーンちゃんを不破ちゃんと一緒に追跡する事にしました。
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「…どう?其処に居る?」
「うん。まだ誰かを待っているみたい…いったい誰だろう?」
不破ちゃんが小さく首を傾げながら喋るのと同時に…来たと、鋭い声に変わる。
私達はゆっくりと樹の陰から見つめると…
「…お待たせ…しました…」
「ううん。其処まで待ってないよ。でも遅かったかな?」
「ごめんなさい。彼氏が凄く煩くて…」
其処には綺麗な少女が居た。
…その子は私達でも知っている人だった。とても綺麗な女子で、男子受けがとても良いと聞く。
まぁ…男子をとっかえひっかえしてる人という噂だが。
「…そんな人がどうしてジェーンちゃんに?」
「分からないけど…これは何か事件の香りね!」
不破ちゃんが小さくガッツポーズをしながら見ているのを、私は苦笑しながら受け流す。
…でも本当に、どうしてジェーンちゃんに話をするんだろう?
「この前の返事、今此処で聞いても大丈夫?」
「は、はい!大丈夫です!」
「そっか」
「えっと、私で良ければ…お願いします!」
えっ、と…私達の声が同時に重なる。
思わずバレたかと二人の方を見れば…こちらには気付いていない様だった。
その事に安堵の息を吐きつつも、じっと結末を見続ける。
「ふふ、良かった。女の子同士だからって嫌がられるかと思ったよ」
「そんな!ジェーンさんだったら私…何でも捧げます…」
「本当?私がE組なのに良いの?」
「勿論です!ジェーンさんがE組に落とされたのは不当な理由と言ってましたから!それに成績も良いんですよね?」
「うん。全部100点取ってみせるよ」
「本当ですか!…あ、でも…不当な理由ならA組にこられないですね…」
その言葉を聞いて、私達は息を呑んだ。
…成績が良いのは知っている、けれど…落とされた理由は不当な理由?
いったいどういう事だろうと考えているのと同時に…
「っ!?」
ジェーンちゃんと彼女の顔が近づき合い…そして耳元で何かを囁いた。
…彼女はうっとりとしたまま動かず、そのまま小さく頷いて携帯を取り出す。
そしてジェーンちゃんが携帯に番号を入れ、そして何かを吹き込むのと同時に…彼女の意識が覚醒した。
「…っと、大丈夫ですか?」
「…え?…あ、はい。ごめんなさい疲れてたみたいで」
「大丈夫ですよ。私もそんな時がありますから。困った時はお互い様でしょう?」
「そうですね。…あ、もうこんな時間!?彼氏とのデートに遅れちゃう!」
「そうでしたか。お気をつけて」
そういって微笑むジェーンちゃんを見て、彼女は少しだけ頬を赤らめた後…急いで走っていった。
それを見た私達は今度こそわからなくなる。
…何かを呟いていたのはわかったが、それが何かがわからない。
あの彼女が二転三転する様を見ていたのだ。余計何を言ったのか気になる。
「じゃあそれを答え合わせしましょうか?不破さん、矢田さん。追試のお時間です」
バレてた。
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「…じゃあ、ジェーンちゃんは内情を探る為だけにあの娘と付き合ったって事?」
「そうですよ?」
「じゃあ禁断の恋とかそういうのは…」
「ありませんね。そもそも“今の”彼女には私への執着心なんて無いでしょうから」
場所は変わって綺麗なレストラン。どうやらジェーンちゃんの行きつけのお店らしい。
奢ってあげるという言葉に釣られて私達が来たのは、何処からどう見ても高級レストランだった。
最初は不破さんも私も怖がっていたが、注文をするジェーンちゃんに耐えきれず私達も注文をした。
…因みに、親には今日夕飯は要らないから弟に食べさせてと言っておいた。
「…今の?」
「おお、良い所に気が付きました不破さん。私の授業中に単行本を読んでいる人は違いますね」
「うへぇ…バレてたんだ」
「えぇ。今度感想を英語で書いてみて下さい。但し難しい英語があったら其処はひらがなで良いですよ?」
「…はぁい」
何かを誤魔化す様に授業をするジェーンちゃんを見て、私は首を振りながら問いかけた。
「そうじゃないよ。私達が聞きたいのは…」
「何故情報収集が必要か。何故あんな事をしてまで情報が欲しかったか。でしょう?」
その言葉に私達は小さく頷きながらも…少しだけ警戒をした。
…私達の思考が完全に読まれている。その事に少しだけ恐怖の感情を浮かべようとしたとき…
「それはですね。私も友達が欲しかったんですよ」
彼女の一言で、恐怖の感情が一切消えた。
どうしてジェーンちゃんを怖がっていたのかわからないくらい、彼女の笑顔は凄かった。
「あの娘は男女問わず友達が多いらしくてですね。ああ、女性の方は勿論表では貶してますが…裏では多いみたいです」
「…そうなんだ。知らなかった」
「そうでしょう?」
その言葉と同時に、私の口元に切り分けたお肉を運ぶ。
…食べてみると、とても美味しかった。
「なので、私もそういう友達が欲しいなと思った訳です」
「成程…それなら確かに大丈夫ね!」
不破ちゃんの言葉に、私は内心首を傾げた。
本当にそうなのだろうか。今の言葉には、正論なんて何処にもないんじゃないか。
…そんな風に思いながら見つめると…ジェーンちゃんは少しだけ悲しそうな表情を浮かべた。
一瞬私に信じられなかった事が悲しいのかと思ったが…冷静に考えるとそうじゃない事がわかる。
「待って不破ちゃん!情報が欲しかったという問いに全く別の解を持ってきてる!」
その言葉を聞いて、ジェーンちゃんが嬉しそうに微笑んだ。
どうやら正解の一言だったらしい。その事に少しだけ安堵の息を吐きつつ…ゆっくりと不破さんの方を見つめた。
何時も探偵モノを見ている不破ちゃんらしくない。
あの程度の問いと回答、違うってわかる筈なのに。
「…ふふ。先ずはおめでとうございます。矢田さん」
「……おめでとうって、何が?」
「私の適当な回答に気付けた事です。冷静に考えればわかるのに、どうして皆感情で突っ走るんですかね?
この人なら嘘を吐かないから大丈夫だ。なんて保障、今の私にはどこにもないのに」
そう言いながら新しい笑顔で微笑んだジェーンちゃんを見て…私は漸く悟ってしまった。
…ああ、私は今此処で殺されてしまうんだと。
けれどジェーンちゃんは私の思考を先回りして小さく首を横に振った。
「殺す事はしませんよ。私が貴女を殺したら、それこそ目的が違ってしまいますから」
「…目的?」
「えぇ。私はとある目的の為に来日をしていましてね?とある方から依頼を受けているんですよ」
「……その依頼って?」
「言ったら顔が吹き飛ぶ程度の依頼です。勿論、私ではなく…貴女がね?」
その言葉を聞いてぞっとする。そして周囲に違和感を覚えた。
…どうして、此処のレストランには私達以外誰もいないのだろう…と。
「ふふ。出来れば最初に気付いてほしかったですが…まぁ、隣で眠っている不破さんに比べたらまだ良い方でしょう」
その言葉を聞いて、私は一瞬で不破ちゃんの方を見た。
…其処には、小さく寝息を立てている不破ちゃんの姿が居た。
「…どうやって」
「ああ。私ね?
「……そんなの、現実で考えられる事じゃない」
「マッハ20のタコよりは現実味あると思いません?」
その言葉を聞いて、私は不思議と納得してしまった。
…そして、納得した事に改めて納得をした。これが彼女の言う人の操る方法なのだと。
「…そして、もう一つ気付いてほしい事があります」
「……?」
「二人の料理、結構遅いですね。同時に頼んだ私はもう既に食べ終わりましたが、二人の料理は未だに届いていません」
「…!?」
その言葉を聞いて、私は今度こそ理解した。
…私達はまんまと誘い込まれたのだ。このレストランという蜘蛛の巣に。
彼女が何時も使っているレストランなんだから、彼女が支配権を握っている事に気付くべきだった。
未だに私は、殺し屋という存在を理解出来ていないらしい。
「…さて、此処で矢田さんに提案です。断る事は出来ますが、その場合は記憶の引継ぎは出来ません」
「……それは、あの娘にした様に?」
「えぇ」
にこりと微笑みながら、ジェーンちゃんはナイフを持つ。
…逃げるべきか、その場合は不破ちゃんを置いてかないといけない。それは駄目だ。
だけど逃げないと私は…
「…さて、此処は私が“特別”贔屓にしているお店でね?事情が事情の時は一室を借りているんです」
「……」
「その事情とは“依頼を聞かせる時”。私が直接依頼をする時は、何時も此処に来るんですよ?」
「…何が言いたいの?」
「いえ。特に何も?唯…皆この店に来ると正直に頷いてくれるんです。やっぱり人徳あっての物種でしょうね」
小さく、先手を打たれた。
今の私に、断るという案は無い。全てを受け入れるか、受け入れた振りをして殺せんせーに話をするか。
…けれど、出来るのだろうか?
ジェーンちゃんは殺せんせーの触手を一瞬で撃ち、体育の時間では烏間先生に勝ってしまった。そして授業では、私達に教える事すらやっている。
…そんな彼女に、私が勝てるのだろうか?
「…そんな不安がらなくて良いんですよ?」
「…っ!どのく…」
ちがいう。とは言いきれなかった。
彼女の目が、言葉が、全てが…私の身体が勝手に受け入れてしまう。
…ああ、そっか。彼女は今まで言葉だけに意識を向けさせていたんだ。
だから、気付かなかった。彼女のその吸い込まれそうな瞳に、思わず襲ってしまいそうな肉体に。
「…さて、お依頼の方を続けましょうか。美味しい食事を、食べながらね?」
「……は、い…」
だから、しょうがない。私は負けてしまった。でも大丈夫。
だって不破さんもこんなに幸せそうに眠っているんだから。
私が負けたって、きっと同じ事だ。今日転校してきたジェーンちゃんは、既にE組の和の中心になっている。
だから…負けたって仕方ない。
「…矢田さんには……ああいえ。これだと堅苦しいですね…桃花」
その言葉に、私の心臓が動いた気がした。
…凄い。名前を呼ばれただけでこうなってしまった。
もし、その手で、口で、身体で…私の事を触ってしまったらどうなるのだろう。
「…桃花は、あんまり授業では目立たない方ですか?」
「う、うん…頑張っても私は二番手だったから…あんまり目立たないんだよね」
「そうでしたか。辛いですか?」
「…辛い」
「そうでしょうね。きっと一番手になれなかった貴女は辛いでしょう。一番の人“のみ”が持て囃され、二番手の貴女はさぞかし辛かったでしょう」
その言葉に、私の胸が痛くなる。
…そう、私は全部二番手だった。両親も、弟の事が一番だった。私は全部二番手だった。
頑張っても二番手、それならもう何もしたくない。
……なら…
「…大丈夫。私は桃花の事を一番に考えるよ」
その言葉を聞いて、私は思わず顔を上げた。
…私の事を、一番に考えてくれる?そんな訳ない。
私はずっと二番手だった。だからきっと彼女も私を捨てるに違いない。
「桃花」
「……ぁ」
「私の目を見て。言葉を聞いて。体温を感じて?…嘘を言ってる様に“感じる”?」
「おも…わない…」
「そうだよね。思わないよね?だって、私達は…」
その言葉と同時に、私の意識は白くなっていく。
ああ、幸せだ。一番になるって…こんな感じなんだ。
…もう、私はジェーンちゃんの一番で良い。それ以外何もいらない。
もっと、もっと私の名前を呼んで。
「…桃花」
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「…と言う感じで終わりですかね。取り敢えず一人篭絡させましたけど…手際悪かったですかね?」
「いや、寧ろ師匠相手によく此処まで出来たって感じだよ」
「師匠が悪いんですよ。私に女性を篭絡させる方法しか教えないんですから。お陰で男の場合は別の輩を参考にしましたけど」
「…今度その話をゆっくり聞こうかな」
その言葉を聞いて、私は小さく息を吐きました。
矢田さんには申し訳ないですが、これからE組を知る為に…そして、私の盾になって貰う為に働いて貰いましょう。
…と言っても、何時かは謝らないといけないですね。
私は目の前の狂った師匠とは違いますから、これでも罪悪感は感じるんです。
「それで?いつぐらいに解除するんだい?」
「…?可笑しな事を聞きますね師匠。私は
「……へぇ?」
「そろそろ日本人の友人が欲しかったんですよね。あの茅野カエデって子は見た目は好きなんだけど…怪しかったですし」
「…そう?僕から見たら普通だけど?」
「小さく何かがうねって居ましたよ。ちゃんと観察をしてください」
その言葉を聞いて、元気よく返事をした師匠を見て…私は苦笑しました。
…それに、いい加減ロシアの少女をとっかえひっかえして遊ぶのも飽きていたんですよね。
いい加減純情な日本人を手駒に入れたかったんです。
「…ああでも、足りませんね。依頼にはもう一人くらい必要です」
「へぇ?誰か助っ人でも呼ぶのかい?」
「それだと師匠の師匠にバレるでしょう?あの教室でもう一人くらい見つけますよ」
「……それは、誰だい?」
師匠が少しだけ困った様に私を見つめます。
…全く、女心のわからない師匠ですね。そんなんだから女を抱く前に殺してしまうんですよ。
どうせ道徳なんて受けて無いでしょうしね。
「ああ、倉橋陽菜乃と片岡メグです。出来れば両方手に入れたいですが…ま、両方私の趣味なのでどっちかで良いですね」
「…やっぱり、暗殺者になると何処か一つ二つは狂うんだね」
「狂った私はお嫌いですか?師匠?」
そういって私は小さく嗤う。それを見た師匠も嗤う。
「まさか。そんなジェーンが好きだから、僕は拾ったんだよ?」
「えぇ。私も狂っている師匠が大好きですよ。だから…私の“好き”に合うように、もう何人か
「好きにやるといいさ。先生にバレない様に…ね?」
「勿論。不純同性交遊は程々にしておきますよ」
私がそう言いながら銃を撃てば、軽々と死神に躱されました。
もう満足なので今度こそ一時的に失踪します。