東方時旅車〜The travel to The future of Delorean   作:和菓子甘味

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TIMELINE 1「Ordinary and genius」
TIME 5「1955」


「な、何!?」

「霊夢さん!前、前!」

「死ぬぅ!」

 

目の前に現れた大木をギリギリで躱すが、路面状況が先程よりも悪化しているせいで走りずらい。

おまけにさっきから鳴ってる警告音は燃料切れを起こしている合図。

ここから導き出される答えは単純。私たちはタイムトラベルしてしまった。

そんな事よりも今は現状を何とかしなければならない。

元々私は悪路走破を前提とした車両ではない為、絶賛車体下部を擦りながら薮を突っ切ったりしながら山を下っている。更には坂道の為、ブレーキも効き目が薄い。

 

「崖!崖だよォ!」

「崖...そうだ!ホバーモード!」

 

にとりさんの叫び声で思い出したが、私にはホバーコンバージョンが装備されていた。

崖から飛び降りた私は即座にホバーモードに切り替えて森の上空へ飛び出した。

 

「何とか窮地は脱したわね...」

「そうですね」

「かひゅー...かひゅー...もう無理...死ぬ...」

「で?ここはどこなの?」

「霊夢さん、それを聞くなら何時というのが正しいですよ...。今は1955年11月5日...霊夢さんの時代から50年以上前です」

「1955年!?過去に来たって言うこと!?」

 

霊夢さんが困惑しているが、仕方の無いことだろう。

普通の人間ならタイムトラベルの実感なんてないはず。マーティだって最初は困惑していたし...。

 

「あれは...?」

「全く...どうしてこうも面倒事が続くのかしら!!」

「霊夢さん!?」

 

目前の木々の間から見えたのは、何か大柄な生物が2人の女の子を襲っている場面だった。

それに気づいたと同時に霊夢さんは私から飛び降りて怪物へと飛んでいった。巫女の仕事というのもあるんだろうけど、さすがに過去の人間に接触するのはまずい。私はドアを閉めて全速力で霊夢さんの後を追った。

 

 

 

 

 

不味い...女の子の捜索に来て見つけたはいいけど、相手はこの辺りの主として君臨する妖だ。...いくら私でもこんな相手では勝てないだろう。この子を守りながらというのも不可能だ。半端者以下の私に出来ることなんて...。

 

「あんた達!地面にふせなさい!」

 

どこからか聴こえた声に反射的に、女の子共々身を伏せる。直後に激しい爆発が目の前で起き、一帯は土煙に包まれた。土埃にむせながら辺りを警戒するが、煙が晴れた時には目の前にいる赤一色の巫女服を来た女の子が佇んでいただけだった。

 

「あ、あなたは...?」

「私は博...霊夢よ。苗字はないわ」

「苗字がない...?それにその服は...」

「あー...私、外の世界から来たのよ」

 

外来人?それもあの妖怪を塵にする力を持って?

正直怪しい感じしかしないが、とりあえず今優先すべきは少女だ。

 

「助けてくれてありがとうございます。私は博麗の巫女『博麗霊子』と申します。ひとまず、貴女方の事を聞きたいのですが、この子を里に送らなければなりませんので、着いてきて頂けませんか?」

「いいわ。但し、連れもいるけどね」

 

霊夢さんがそう言うと、上から銀色に輝く板のようなものが降りてきた。それだけでも驚きなのに、その板は喋り出して霊夢に説教を始めた。

 

「霊夢さん!勝手に飛び出して危ないじゃないですか!?」

「うるっさいわね...ほっとく訳にもいかないでしょ」

「それはそうかもしれませんが、それが後で大事になるかもしれないって説明しましたよね!?」

「だからギリギリのラインで何とかしてるっての」

「ぎぼぢわるい...」

 

...なんか吐きそうな妖怪も板の中から出てきたけど、これ以上の情報量過多は私の頭が捌ききれない。

 

「お取り込み中すみませんが、もう日も開けますので...」

「ごめんごめん。行くわよデロリアン」

「誰のせいだと思ってるんですか!?」

 

本当にどうしてこうなった...。

 

 

 

 

 

「成程...外の世界で巫女として妖怪退治をしていたけど、妖怪が科学で淘汰されて行く先が無くなったから幻想郷に流れ着いたと」

「ええ。因みにそこのデロリアンって車は知り合いのそいつが修理した奴で、元々付喪神だったみたいよ」

「そういうことだったのですね...」

 

...何とか怪しまれない程度には、口裏を合わせて難を逃れることは出来た。霊夢さんは外の世界生まれの孤児で、神社で拾われて妖怪退治を生業としている事にし、にとりさんは霊夢さんの古い知人の妖怪という事にした。因みに私は元々付喪神で観測機という事にされた。

その嘘を鵜呑みにした霊子さんは頷きながらお茶を飲んだ。

 

『博麗霊子』

霊夢さんの2代前の博麗の巫女だった人。

霊夢さん曰く【才能のない凡人】【博麗の巫女の繋ぎ役】と散々な評価を受けている人間だったそうだ。物腰が低く、妖怪相手にも人間相手にも強気に出れない。幻想郷の安定を保つという意味では、博麗の巫女として最低の人材だという。然しながら、博麗の巫女とは存在そのものが博麗大結界の維持に必要である為、繋ぎでも存在自体が必要なのだそうだ。一応1955年から1973年までの約18年間を務めたらしいが、それでも歴代最短らしい。

 

私が事前情報の霊子さんを目の前の本人と照らし合わせていると、霊子さんが神妙な面持ちで霊夢さんに問いかけた

 

「あの...霊夢さんは行く宛てがあるのですか?」

「あるにはあるけど…どうしたの?」

 

唐突に霊子さんは、目に涙を浮かべながら霊夢さんに土下座した。

 

「お願いします!私の代わりに博麗の巫女になってください!私では博麗の巫女は務まらないんです!」

 

 

 

 

こいつはヘビーな事になったわね!?

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