始まりへのプロローグ
伊U 本拠地潜水艦・ボストーク
教授と名乗った男に構えながらも、悠は話を聞く。
「どんな事情で俺の事を調べた?」
「違うよ、調べたのではない。知っていたのだよ」
さらに訳が解らなくなった悠は、眉を寄せて教授に更に質問する。
「じゃあ、俺がここに潜入することも分かってたのか?」
「もちろんだとも。気が付かなかったか?君は優れた武偵だが、ここまで誰にも見つからないのはおかしくないかい?」
言われて気が付くいや、気づいてはいたがあくまで可能性だった。しかし、この男の話を聞いて確信した。
(俺は嵌められたと言うことか……)
「と、言ってもその事はあまり重要では無いのだよ。私は君を殺すつもりはないからね」
駄目だ、この部屋についてからと言うものわからない事だらけだ。罠に掛けておいて、それでいて殺さない。その真意が知りたいと思っていると、教授が見透かしたように話し出す。
「私はね天川悠くん。君に頼みたいことがあるのだよ。その事の内には君が気に掛けている理子くんの事もある」
悠は、びくりと『理子』と言う単語を聞いて動揺した。それもそうだろう、ここには理子を追って来た理由なのだから。
「ふむ、では話そう。これから起こる事を」
そう言うと教授は話し出す。 これから武偵殺しと呼ばれるやつが現れると言うこと。そのせいでキンジが落ち込むことや、来年には更に大きな事件がある ことそして、理子のこと。
「最後に理子くんの事だが。私は彼女の事を娘のことのように思っていてね。出来れば君には彼女の支えになってほしい。どんな彼女でも」
「言われなくても、俺は仲間を守る。どんな事があっても」
教授はここに来てはじめて少し表情を曇らせたが、直ぐにまた微笑みながら頼んだと言った。
それから暫く教授はいろいろと雑学やら推理の仕方やらを話していたが、途端に話を切り、一呼吸して。
「さて、最後にひとつだけ理子くんについて」
話してる間に警戒を解き、壁に背を預けていた悠に対して真剣な顔で話し出す。悠もそれを見て少し姿勢を正す。
「『ブラド』、この名を聞いた時に何があっても、理子くんを信じておいてくれ」
それはどう言う事かと尋ねようと一歩踏み出したとき、グラリ と体が傾き悠はそのまま床に倒れる。なんだ?と言葉にしようとも声が出ない。
「悪いね。もう時間だ。」
(時間?何の事だ……くそ、視界がぼやけて。あぁ……思考も曖昧に……)
「安心したまえ。次に目が覚めたときは君の部屋だ」
しかし悠は、そんな言葉も理解しにくいくらいに思考がままならない。床に這いつくばったまま、ぼやけた視界に教授を写し続けそして途端に、糸が切れたようにまどろみの中に意識を沈めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
伝えることも伝えて彼が意識を失い、後は無事に返すだけだ。
「何しろある意味では彼もまた『可能性』なのだから」
教授は独り言を小さく呟き、彼をメンバーに運ばせて再度オルガンを演奏し出す。
(さて、彼はこの私の推理をもってしても未知数。願わくば彼が彼のままでいてほしいものだ)
その後、部屋にはオルガンによる演奏のみが聞こえていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日・武偵校男子寮の一室
暑い、出来れば起きたくないがこう暑くちゃ起きなきゃ。
「…………暑い」
かかっていたタオルケットをどけて、洗面所に向かい顔を洗う。タオルで顔についた水をふき、鏡を見る。そして、少しずつ 意識がはっきりしてきて、理子のことを思い出す。
(あれは夢?いや、確かにあったことだ。とすると、理子はあの伊Uとかいうやつのメンバーか?)
洗面所から出てキッチンにたち朝食を作る間も考えていたが、結局本人が本当のことを言わない限り分からない。そこでこの 事については考えないことにしたが……
「キンジになんて報告しよう………」
友人への報告の方を考えねばならない悠であった
台風がーーーー!!風がヤバい。傘が意味ない
雨で視界は悪いし、濡れるし、窓はガタガタ、トタンが飛んできたりいいことない
10/17この話から新章にしました。