緋弾のアリア~理念の刃~   作:サカズキ

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バスジャックとかハイジャックとか、好きで巻き込まれる訳じゃない『中』

アリアが怒って病院で別れて以来、話してない。俺に対してはそうでもないらしいが、キンジに対しては少々ご立腹のご様子だった。なのになぜか、雨の日に新宿のアルタ前にいる二人を見た。

泣いているアリアと、そのそばにただ立ち尽くすキンジを。

 

その週明け。アリアが学校を休んだ。やはり二人に何かあったのか?

 

「あまり、第三者の俺は介入したくないが」

 

だがそれで、二人の中が悪くなり他の人にも心配させるわけにはいかない。そう思って自由履修を終えて、歩き出そうとしたとき、携帯がなる。誰かと思うと。

 

『理子?』

 

あぁ。悪くない。別に誰がかけてきてもいいが、理子はちょっと。などといっている場合ではない。理子にはキンジと共に『武偵殺し』について調べるようにお願いてしいた。だからってなんで俺の方に連絡すると思いつつ、通話ボタンを押す。

 

「はい。理子?」

 

『ゆーくん授業終わったよね?じゃあ今から台場のクラブ・エステーラに来て?大事な話があるから』

 

それだけいって切れた。

 

「台場………だと?!」

 

あそこはどうやっても乗り物に乗るしかない。いや、自転車でも行けるが、それでは理子を待たせることになる。それは良くない。なので仕方がなく、モノレールを使い、携帯のマップで指定場所を探して店にはいる。その時に理子の使っている、魔改造バイクがあったから大丈夫だろ。

なかにはいると、バーがありそこでは大分美味しそうなケーキをOLやカップルが食している。中には武偵高の生徒がいる。

 

「ゆぅーくん!」

 

ふっと1人しか呼ばないあだ名を聞いて、そちらに振り替えると、そこにはロリータ制服をさらに改造した服を着た理子がいた。

 

「授業はサボっているわ、そんな服着てるわ。理子よ、武偵の自覚はあるのか?」

 

「待たせといてそれを言うの?折角、勝負服まで着てゆーくんの事待ってたのに~」

 

起こってるつもりなのだろうか?ほほを膨らませているが、怖くない。むしろ可愛い。

 

「さぁゆーくん!時間ももったいないし、奥に行こう!」

 

腕を組まれて無理矢理連れていかれる。いつもならここでやめろと言って無理矢理引き離すが、今はそれをしたくないと言うか………別に構わないと言うか。

連れて来られたのは、二人部屋の個室だ。アール・ヌーボー調と言うやつか?そんな部屋の長椅子に腰かける理子。

 

「ゆーくん何食べたい?理子がぜーんぶおごってあげる!」

 

「おごらなくていい。自分のぶんは、自分で払う」

 

えぇ~!とがっかりしているが、俺に甘いもの食べさせてら、財布が空になるぞ?

 

「で、何かわかったのか?」

 

「う~んそうだなぁ。あ~んしてくれたら教えてあげるよ?」

 

ん?そんなことか。よし、口開けろ理子。フォークを右手でとり、近くにあったモンブランケーキを切り取り食べさせる。

 

「これでいいか?」

 

「えぇぇ~。もう一口」

 

 

調子に乗るなよ!と言いたいが、あと一口くらいは良いだろう。同じように、モンブランを食べさせる。

 

「えへへ。ゆーくんに食べさせてもらうと、すごく美味しい!」

 

 

すごい笑顔で理子にそう言われて、一瞬くらっとした。嬉しいと恥ずかしい。それになんとも言えない感じがする。

 

「ねぇゆーくん?ゆーくんは理子のこと好き?」

 

「え?あ、あぁそりゃ仲間だし……な」

 

その答えに理子は首を横に降り、少し悲しそうな目で俺を見て。

 

「違う。私のこと、女の子として好きか聞いたの」

 

理子が私と言ったのを聞いたことがないので、一瞬驚いたが、そんなことより理子の問いだ。そうだと言うわけにはいかない。けど、それだときっと後悔する。

 

「俺は理子のこと………」

 

 

 

無理に電車とバスをの乗りついで、何とか羽田に到着。何とかアリアの乗る飛行機に間に合った。キンジも呼び出したから、その内………

 

「おい悠、どう言うことだ。アリアが帰るって!」

 

突っ込むのはそこじゃないが、とりあえず飛行機の離陸を止めねば。二人してロンドン行きのデスフライトになるだろう飛行機に飛び込む。

 

「あ、あのお客様?失礼ですが当便は………」

 

「武偵です。この便にテロリストが紛れ込んでいると言う情報がありました。ただちに離陸の中止を」

 

フライトアテンダントに武偵章を見せて、何とか信用してもらい、パイロットに話をしてもらう。これでなんとか死ぬことは無くなったな。そう思った瞬間。グラリと揺れる。

 

「うっ」

 

気持ち悪い。いつもの乗り物酔いだ。何とか歩いて、窓から外を見ると、車体が動いている。そこに先程のアテンダントが戻ってきて。

 

「す、すみません。機長がそんなのは誤情報だろ。そんなことは聞いていないって機長が………」

 

ちっ!どうする?ここまで来たんだ。何とかして止めないと。飛行機はすでに滑走路。離陸は止められない。なら止めるのは。

 

 

 

機体が安定し、ベルト着用のサインがなくなると、俺たちはアテンダントを何とか落ち着かせて、アリアのいる席。個室に案内してもらった。

前にニュースで見たが、この飛行機はセレブが使う豪華旅客機。一言で言うなら『空飛ぶリゾート』あるいはホテルか?

 

「キ、キンジ?!それに悠まで!」

 

見開かれた、赤い目が懐かしいようで不思議だ。なんて、感傷に浸ってる暇はない。キンジにグチグチいっているアリアを何とかなだめる。

 

「お客様にお知らせします。当機は台風の迂回のため、進路を変更。到着が30分ほど遅れます」

 

その放送と同時に、窓の外で雷がなる。それを聞いたアリアは少し縮こまり、きゃっ!と可愛い声を出した。

 

「怖いのか?」

 

「こ、怖くなんかないわよ!」

 

嘘だな。分かりやすすぎる嘘だ。手元にあったテレビのリモコンを使い、テレビをつける。適当にチャンネルを合わしてアリアにはそれを見せておく。

ここはキンジに任せよう。そう考えて、俺は部屋を出て回りを散策することにした。

 

「さて、どこを探すか…………」

 

顎に手を置き、考えていると。

 

パン!パァン!

 

普段に聞き慣れた音。銃声だ。

それを聞いて、二人も部屋から出てきた。音のした方を見ると、コックピットが開け放たれ、そこには先程のアテンダント。そいつが機長と服機長を引きずり出している。その二人をそのまま通路の床に放り投げる。

 

「!!動くなっ!」

 

久方ぶりに練習以外で抜いた銃が、まさか『武偵殺し』とは。メンテナンスだけは念入りにしといてよかった。

 

「…………attention、please!でやがります」

 

そういって投げられたのは、カンだ。そこから出てくるのは、ガス。

 

「くっ!これは!みんな部屋にはいれ!アリアとキンジも下がれ!」

 

毒ガスと言えば、一ミリでも吸えば死ぬものがある、もしそれなら、大変なことになる。俺自身少し吸ってしまっている。それでも、二人と共に部屋に戻る。

 

「悠!大丈夫?」

 

「これと言って今は………それより二人は?大丈夫か?」

 

「平気。でもなんでこんな」

 

「覚えてるかさっきのやつの喋り方」

 

「え?まさか!」

 

アリアも思い出して合点がいったようだ。そうだやつ。やつが。

 

「武偵……殺し」

 

「そう。そして、これまでのは全てデモンストレーション。チャリジャック、バスジャック、そして、今回のハイジャック。一周しているんだよ。小さいものから、大きいものに」

 

「ちょっとまって!それなら前回は?三回目はなかったわ」

 

「違う、あったんだ。キンジと俺がそれをよく知っている。12月24日のあの事件は、実は『武偵殺し』によるものだった。ここからは推測だが、アリアはやつにとっての本当の標的なんじゃないか?」

 

「あれが?お前が行方不明になって、兄さんが死んだ、あの事件が?」

 

アリアだけでなく、キンジも動揺している。無理もないのはわかるが今は、やつを捕まえることが先決だ。

廊下の状況を見ようとしたとき、ベルト着用のサインが、注意音と共に点滅しだした。あれは確か、和文モールス?

 

「オイデ オイデ イ・ウー ハ テンゴク ダヨ?」

 

俺の解読に次いで、キンジが言う。

 

「オイデ オイデ ワタシ ハ イツカイ バー ニ イルヨ」

 

誘ってるのがみえみえだなおい。

 

「上等よ!風穴開けてやるわ!」

 

意気揚々としているが、俺は役に立てそうにないな。この乱気流を漂う飛行機のなかでは。

 

「あんたも来るの!」

 

はい。分かりました。

 

 

一階のバー。ここもかなりの豪勢な造りだ。そのバーのシャンデリアのしたに人影。

 

「!?」

 

そこには先程のアテンダントがいたが、彼女は武偵高の制服。しかも、俺がさっきまで一緒にいた理子と同じ服。

 

「今回も、キレイに引っ掛かってくれやがりましたね」

 

そう言いながら、顔を文字通り剥がしだす。まるで、スパイ映画のマスクのように。その下にあった素顔は。

 

「理…………子?」

 

「やっは~ゆーくん。さっきぶりだね」

 

驚愕する。ただそれだけ。他の感情が浮かんでこない。怒りや悲しみ。歓喜に恐怖。それらが浮かんでこない。

 

「アタマとカラダで戦う才能ってさ、けっこー遺伝するんだよね。武偵高以外でも、お前たちみたいな天才が結構いる。でも、そこの二人は特別だよ天川、オルメス」

 

俺は未だに動くことができない。唇でさえ、やろうと思えば行けるはずなのに、脳が反応しない。

 

「あんた、一体、何者?」

 

「理子・峰・リュパン4世。それが理子の本当の名前」

 

俺だけでなく、キンジも驚いている。今ましに動けるのはアリアだけだ。

 

「それなのに、あの家は!理子とは呼んでくれなかった!お母様がつけてくれた、このかっわいい名前を。呼び方がおかしいんだよ」

 

「おか…………しい?」

 

「4世!4世!4世さまぁ!どいつもこいつも、使用人も、理子をそうよんだ。ひっどいよね」

 

理子の言葉。苦しい。辛い。そういった感情の現れ。俺はこれを知っている。

そして、アリアが理子に話しかける。

 

「それが何よ。4世の何が悪いって言うの?」

 

その言葉を聞いた瞬間。理子のまとっていた雰囲気がさらに変わる。

 

「悪いに決まってんだろ!あたしは数字か?あたしはただのDNAかよ!?あたしは理子だ!数字じゃない!!!!………………でも」

 

怒り。痛み。知っている知っている。俺はこの理子を知っている。そんなとき、理子の体がふらつき、足を踏み出したと思った瞬間。気が付けば、俺は理子に羽交い締めにされていた。

 

「なっ!?理子?」

 

「ゆーくんは違う。理子が『イー・U』にいることを知っても、理子の味方だって、いってくれた。理子のそばにいるって!それなのに忘れてるんだから、ほんと困るよね」

 

「な、何言ってんだ?」

 

理子がキンジに聞かれて、笑いだした。

 

「あははははは!キーンジ?シージャックの話は聞いたよね?あれ、あたしがやったんだよ?お兄さんを殺すこと、そして、天川悠を『イー・U』に引き入れるため。作戦は大成功!今は、忘れているけど、悠はあたしたち、違う。あたしの味方」

 

理子が俺の腕をひとつにして押さえて、空いた片手で何かを取り出す。その手にあったのは。

 

「注射器?」

 

「そう。これを使えば、ぜーんぶ思い出す。そしたら、きっと、あんなこと言わないよね」

 

『あんなこと』それはきっとあのクラブでのことだろう。

 

 

「俺は理子のこと……」

 

その問いに答は出せない。そういえばいいのに、俺のなかの何かが邪魔をする。

 

「ゆーくんは?理子のこと?」

 

理子の瞳がしたから覗き込む。顔が近い。勢いだけで、キスができる。したって構わない。だって俺は理子のことを。理子のこと。

 

「俺は理子のことが……………好きだ」

 

「……………………ッ!!」

 

理子の目が見開かれる。うっすらと涙が浮かぶ。それから目をそらし、理子の肩を押して、体を離す。

 

「でも、ごめん!俺は……………理子のことを特別扱いできない」

 

「……え?」

 

「俺は誰かを特別に扱ったり、接したりはできないんだ。…………ごめん」

 

それを聞いた瞬間に、理子は顔を伏せてしまった。ふと、そのまま机のうえのファイルを指で示し。

 

「そこ……………資料が入ってる。あと、今日にはアリアが羽田発の飛行機にのって、ロンドンに帰るよ?」

 

ファイルを手に取り、中身にさっと目を通す。

 

「ありがとう。理子。これで、少しは見えてきた。アリアのことも教えてくれてありがとう!」

 

見ないように。理子の顔は見ないようにして、その場をあとにした。

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