この残酷で天災降り頻る世界を好きなように生きていく 作:苛性ソーダ(温)
1-1 旅人
とある都市のバーにて、頭に少し黒ずんだ輪っかに灰色の結晶体の羽、黒髪に片方が砕けた真っ白い角が目立つ男が一人、酒を飲んでいた。
「…………おっ、なんだ奢ってくれるのか?そいつはありがたいね。じゃ、乾杯。」
男は突然酒を奢ってきた自分と同い年ぐらいの首からカメラやメモをぶら下げた青年となんの警戒もせずに酒の入ったグラスをカチンと軽くぶつけた。
「プフゥ〜…えっ?酒を奢ったんだから少しばかり話を聞かせてくれって?ハハハ!なんだ酒なんか奢らなくても話なんて聞かせてやるよ…で、何を聞きたいんだ?こんなしがない旅人に」
じゃあまずなんですけど…あの外に鎮座している怪物って何かわかりますかね…?
「怪物…?ああ、キラードロイドの事か!あいつは俺の移動手段兼ペットみたいなもんでね、一応機械だよ…え?何処で作ったかだって?すまないが言えないな…色々面倒な事になるからさ、いや俺は別に問題無いけど君の命が危ないかもしれないからね、これでも俺追われてる身なんだよ…何回も追い返してるのにしつこい連中だよ、頭でっかちの公証人役場の阿保共は」
そうやって愚痴ると男は一気に酒を流し込み、またひと息つく。
青年は先程の話に少し怯えたのか身体が震えていた、しかし青年はさらに質問を男に投げかけた。
貴方はサンクタ族なのでしょうか…?私が知っているサンクタ族の見た目とは少し違うので気になってしまって…
「おぉ、サンクタはちょっとマイナーな種族かと思ってたがまぁまぁ知られてはいるんだな、これはな…あー…うーん、流石に言っていいやつかこれ…?まぁいいかこれh『グォォーン』おっと、これはまさか追ってきたな!じゃあな青年!俺といた事がバレないうちにここから離れな!運があればまた会おう!」
男はテーブルに金を置くと目に止まらぬ速さで店の外に出て行くと怪物…キラードロイドと共に遠くへ去っていった。
〜何もない荒野〜
「ん〜…今回のは銃を使わない…というかクロスボウとかハルバードかぁ…サンクタ族じゃないのも混じってるし。それにしてもこいつらの武器しょっぱいなぁ…持っと良いの持たせりゃ良いのに」
『グォロロロ…』
「ああ、コラコラ別に殺さなくていいぞ!たかだか2人しかも身内だけでもこんなに煩いのにこれ以上殺ったらさらに面倒になりかねないからな」
男は倒れたラテラーノの執行人の人間をクッションのように扱い、武器の手入れをしながらボヤいた。
背中にはレバーアクション式ショットガンの【ピースキーパー】と呼ばれるショットガンと持ち手より上が全て刃になっている戦闘用のトマホークを背負っていた。
「よし、こんぐらいかな…」
男は手に持った大鎌【ヘルサイスⅡ】の手入れを終えると身体に纏っていたアーマーと背中の武器を外し、キラードロイドに作った収納機能の部分に入れると再びキラードロイドに乗りながらゆっくりと荒野を歩いていった。……気絶した執行人のサンクタ人達を引きずりながら
「さて…こいつらを引き渡す為には移動都市を探さねえとなぁ…辺境の地にはいなさそうだしなぁ…となるとウルサスのチェルノボーグとか龍門、シエスタとかか?」
『グォ?』
「何処が今んところ近いかな…ったく、毎回引き渡すの面倒なんだからもう追手ばら撒くのやめてくんねえかなぁ…ハァ…」
端末や地図を開きながらそう愚痴る。
「俺はただ自由気ままに生きたいだけなのにねぇ…」
〜ラテラーノ・公証人役場会議室〜
「そろそろ奴はもう放っておくべきではないのか?」
「奴は毎回こちらの追手を生きて返してきている。奴自身にこれ以上同族への殺意がないならもう構うべきではないだろう。既に執行人の中にも奴に対してトラウマを持つ者が出始めている。」
「確かに奴はイグゼキュターや他の優秀な執行人すらも退ける程の力を或いはもう既に凌駕してしまう程の力を手に入れているのかもしれん。が…流石に完全に奴を放置するのは不味い、監督官を設置し奴の動きを定期的にこちらに連絡させる。だが監督官を奴に接触させないよう注意するのだ」
「…忌々しい奴だ…奴のような存在が未来永劫現れない事を祈るしかない、では今回の会議は終了とする。」
場に居たラテラーノ公証人役場の人間達は書類を持ってその場を後にした、皆表情は不満げで持っている書類には議題に出されていた男の名が記されていた。
その名はケイオス、元サンクタ人で執行人の父と母を殺害、死体を巧妙に隠すもラテラーノにある母校卒業寸前に殺人がバレそのまま失踪、後に追放された所謂、堕天使である。
ここまで見てくれた方々ありがとうございます!
というわけで何番煎じかわからないサンクタ系主人公です(堕天してるけど)
こんな感じで欲まみれの小説書いていくのでよろしくお願いします