この残酷で天災降り頻る世界を好きなように生きていく   作:苛性ソーダ(温)

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なんとか出来ました第三話!
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1-3 再開と看病

 

 

 

私には所謂、先輩と言えるような人がいた。互いに気が合うから旅行の話しでかなりの時間話し込んだり、あの人から授業中にも関わらず二人でこっそり抜け出して食べ歩きをしたりと、まぁその人はかなり前に私の前から姿を消してしまったけど。

 

 

あれから私はラテラーノを抜け出してペンギン急便のトランスポーターとなった。トランスポーターとして荷物を届けていくついでにあの人を見つけられるんじゃないか、って淡い期待を抱きながら。でも…

 

「まさかこんな事になるなんてね…」

 

私は一人荷台のテントに仰向けになりながらそうこぼした。別に何かに襲われたわけでもなく、トラックが故障したわけでもない。ただ風邪をひいてしまったんだ。

風邪なんて罹ってもすぐ治るだろう。全く問題はないだろう。それはそうだ、だがそれは快適な環境下である都市や村ならばの話。何もないところで一人、しかも夜、こんな移動都市でもない草原に人間などいる筈も無い。

そして……

 

『…………』

 

不気味に光る頭部と六つの丸目を持った竜の頭が私の眼前にあった。

 

「フフッ、まさか弱った私の前に現れたのが人や普通の生き物ではなく竜とはね…」

 

私は諦めて瞳を閉じる。この世界は生易しくはない。息が苦しくて意識も朦朧としてきたし。私は直ぐにでもこの竜に殺されるだろう。それでも

 

「…最後に一度ぐらいあの人に会いたかったかな」

 

だけど意識が途切れる直前────────

 

「………モスティマ?」

 

あの人の声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しっかし久々の再会が相手の意識が無いorまぁまぁ酷い風邪とはなぁ…そんな事あるもんなのか?」

 

モスティマを背中に背負いながらキラードロイドと共に歩く。ちなみにキラードロイドはトラックを銃腕でありながらその両腕で挟んで運んでいる。ちょっとかわいい。

 

「ある程度の処置はしたが…水とかも無限にあるわけじゃねぇしなぁ…こっから近い村か都市あったっけなぁ…」

 

いや待てよ…?そういやこの辺に前立ち寄った村があったな、小さいけども。

 

「よしキラードロイド、南に方向転換だ。いくぞ!」

 

『グゥゥ…』

 

────────────────────────

 

あれから何十分か歩いて山の麓にある小さな村に行き着いた。

 

「つっても真夜中だからな…誰か起きてるかな…」

 

そう思って見渡すと他の家より少しばかり大きい灯のついた家から年老いた村長らしき人物が出てきた。

 

「あ、あなた様は…」

 

「あー、覚えてるかな?確か半年前くらいにここに立ち寄った旅人なんだけど」

 

「忘れるなどと…そのような事あろう筈がございません。あの日から私も村の皆もケイオス様と神獣様の事を忘れたことは1日たりともありません…」

 

「(神獣…?)お、おうそうか、まぁそんなに感謝されるほどの事じゃなかったと思うけどな…そうそう、村長殿すまないが空き家か小屋は無いか?風邪で生き倒れた知人を見つけてな、看病したいんだが…」

 

「こ、小屋などとんでもない!私の家の空き部屋どうぞお使いになられてください…確か風邪薬もありましたので…」

 

「至れり尽くせりだな、感謝する村長殿」

 

そうして俺はキラードロイドを村長宅の横に待機させ、中に入り用意してもらった部屋のベッドにモスティマを寝かせた。

 

「俺も少し寝るか……」

 

俺は椅子に座って腕を組み瞳を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん………」

 

ここは…家の中…?私は確かあの竜に………っ!?

 

「ケイ…オス?」

 

私が重い瞼を開けると、数年前の…いや少しだけ顔付きが変わったずっと探していたあの人…ケイオスがいた。

 

「んが?……おおモスティマ、起きたか…お前、あの時からだいぶ見た目がまぁまぁ変わったな。」

 

「…久々に会っていう言葉かい?それ」

 

顔付きが少し変わってもこういうところは変わらないな、と私は少しホッとした。

 

 

 

 

 

 

俺はモスティマが起きたのでとりあえず体温計を渡し熱を測る。

 

「んー……まぁ昨日より熱は下がったかねぇ、しかしなんであんなところにいたんだ?旅行だとしてもお前がこんな風邪が悪化するまで放置するとは考えにくいが」

 

 

「旅行じゃないよ、今はトランスポーターなんだ」

 

「ほぉ、トランスポーターか!お前が物運びになるとはなぁ〜、まぁあの仕事は国際の資格を取れば結構色々な場所飛び回るからお前に向いてたかもな。つまりお前は少し過労気味だったってわけだな?」

 

「ふふ、まぁそんなところかな」

 

そう少し微笑んで言葉を返してきたモスティマを見て俺は相変わらずこいつは変わらないな…見た目以外はと思う。ラテラーノで最後に見た時は頭の輪は白く光り、羽も白かった。だが今のこいつは頭の輪は少し黒ずみ、羽も黒くなっていた。おまけにこいつはというよりサンクタ族は基本的に銃系の武器を使用するがこいつの懐にあったのは二本の杖、多分アーツユニットだろう。

基本的に銃を手に入れるには買う、敵の物を鹵獲する。しかないがサンクタ族は守護銃と言って家族や役場から受け取る事ができる。………あのクソ共はクソみたいな銃を送ってきたけどな、しかも捨てようとしたり変えようとしたら……あぁ、やめやめ思い出したくもない。

 

「…イ…ス?ケイオス?」

 

「うお!?あ、ああすまん考え事していた。ハハッちょいと昔の事を思い出してしまってな…」

 

「君がそんなに考え事をするなんて珍しいね」

 

「まるで人がいつも何にも考えてないみたいな言い草はやめろ。」

 

「………」

 

「……ふっ」

 

「ハハッ…」

 

「懐かしいな、こうしてよくお前とは学校裏で喋ってたな」

 

「君が私を窓の外から手招きして誘って学校から抜け出した事もあったかな」

 

「ああ、あったな…何もかも懐かしいよ」

 

そう話に更けていると窓の外が明るくなってきた。

 

「モスティマ」

 

「…なんだい?」

 

ケイオスはモスティマに改めて話していた時の表情とは違い真剣な表情でありながら少し気楽な感じで言った。

 

「俺が居なくなった後、ラテラーノで何があったかは知らないし。お前が今の状態に何故なったかはどうだって良いけどな、あまり背負い込みすぎるなよ。」

 

そういうとモスティマは少し驚いた表情をするが直ぐ元の表情に戻った。

 

「…私は大丈夫だよ、ケイオス。今の状況も私は満足しているんだ…何より君にまた会えたからね」

 

「俺に?ふーむ…まぁ俺から言いたいのはそんぐらいだ…ところでお前、トランスポーターなら大丈夫なのか?トラックに荷物が一つ積んであったが…」

 

「ああ、それは大丈夫だよ。余裕を持って出たからね…それと、私からも気になってる事があるんだけどいいかい?」

 

「ん?なんだ別になんでも良いぞ?ラテラーノを出た後の話なんて色々ありすぎるからな…特に暗いというか気にするような事はないからな、どんと来い」

 

「そうかい…?なら君の頭の角は元からそうだったの?片方が砕けているけど…」

 

「この角か?あーと、確か…そう!執行人のイグゼキュターって奴と、ラテラーノを抜け出してから二年目くらいかなぁ…に殺り合ったんだがその時避けた!と思ったら片角にショットガンの弾をもろにくらって吹っ飛んだわ。いやぁ今考えると角だけで済んで良かったよ、その後は撃退したんだがな…神経が集中してるのかわからんけど一瞬意識が飛ぶぐらいは痛かったな」

 

「よく無事で済んだね…流石にゾッとするよ。」

 

「マジで痛かったからな…おかげでもう角の感覚が無くなったよ。……モスティマの角はあるのか?」

 

そういいながらモスティマの黒い角に手を伸ばす、が。

 

スッ…

 

「ちょっ、なんで避けるんだ?」

 

「いや、何か触らせるとまずいかなぁ、って」

 

「何がまずいんだよ…まぁいいや(いつか触ってみるか…)」

 

「触らせないよ。」

 

「ナチュラルに心を読むな!ハァ…で?他にはなんかあるか?」

 

「そうそう、忘れるところだったよ。私が倒れていた草原には六つの目を持った竜がいた筈なんだけど…見なかったかい?相当近くにいたと思うんだけど。」

 

「あぁ、キラードロイドの事か?」

 

「キラードロイド?」

 

「あぁ、って事はお前、キラードロイドが荷台に首突っ込んだ時にはまだギリギリ意識があったのか。」

 

「つまりあの竜は君の物なのかい?」

 

「そうだが?ってか村長といいキラードロイドは神獣でも竜でもないただの戦闘もできる機械獣なんだけどなぁ…いやまぁワイバーンタイプだから竜ってのはあながち間違っちゃいないが…」

 

そう言っているとコンコンと扉が叩かれた。

 

「はいよ」

 

ガチャ

 

「おはようございますケイオス様…お連れの方も目が覚めたようで何よりです…」

 

「おう、おはよう村長殿。早速で悪いんだが米かパンは無いか?朝食を作りたいんだが…」

 

「朝食でしたら我々がご用意を…」

 

「いやいや…部屋まで貸してくれたんだ。頼む!少しは俺にも色々やらせてくれないか?」

 

「そこまで言うのでしたら…わかりました。お願いします。」

 

「ありがとう村長殿、じゃ、モスティマ。お粥を作ってくるから安静にしてな!」

 

そういうとケイオスは扉を閉め部屋から出て行った。

 

「ふぅ…」

 

モスティマはひと息付くと呟いた

 

「なんだろう…この気持ちは…」

 

話して懐かしんでいるうちに心に浮かんできた少し高揚したような感覚にモスティマは困惑した。

 

「でも…悪くはないかな…」

 

そういうとまたモスティマは瞳を閉じ、ケイオスが再び来るまでベットで一眠りするのだった。

 

 

風邪の時に感じていた息苦しさはもう既に何処かへ消えていった。

 

 




今話から補足する部分があった場合後書きに書かせてもらいます!


【補足1】

ケイオスはモスティマと授業をよく抜けて食べ歩きをしていた。と言ってはいるが実際は不定期で彼は彼なりにモスティマの周りの評価や状況を見て誘っていたため周囲からモスティマの評価が下がる事はなかった。むしろ毎回ケイオスが囮になるため教師達からの評価は酷いものだった。
尚、ケイオスは成績自体は優秀でありそれが教師達の頭をさらに悩ませるには十分すぎる事だった。

【補足2】

イグゼキュターを撃退した、というのは厳密にいうと深傷を負ったイグゼキュターを強制的に監査官が上からの命令で撤退させた。という感じである。


【補足3】

ケイオスが訪れたこの村は過去に大規模の盗賊団に攻めいられる寸前だったが丁度立ち寄ったケイオスとキラードロイドによって盗賊団は壊滅。それ以来村の人々はケイオスを讃え、キラードロイドを神獣と崇めた。

【プロファイルの更新なし】

今回も読んでくれてありがとうございました!

……書いてて思ったけど看病って言える程看病してたか微妙だな…難しいぞ…
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