ポケモン世界で配信者、始めました!   作:ルルル・ルル・ルールルールー

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#11 5万人ありがとう配信

 

 

「こんばんは、カレンです」

 

【こんロリ】

【わこつ】

【こんばんワニノコ】

【今日もかわいい】

【5万人おめ】

 

「今日はチャンネル登録者数5万人ありがとう配信です」

 

【おめでとう!】

【おめ】

【カレンはワシが育てた】

【古参アッピルするな】

 

 実は、数日前のお母さんとのバトル配信がかなりの反響を呼んでいて、すでにアーカイブの再生数が100万回を超えるほどになっていた。それだけでなく今も伸び続けていて、この世界の人たちはポケモンバトルが本当に好きなんだなぁって実感した。

 その影響もあって私のチャンネル登録者数も増え、遂に今朝5万人を超えたのだ。めでたい。

 だから、今日は感謝のありがとう配信をすることにしたのだ。

 

「ありがとう配信ということで、SNSでみなさんのリクエストを募集してきました。感謝を込めて、リクエストに応えていきたいと思います」

 

【リクエスト配信嬉しい】

【俺の読んでほしい】

【罵倒してくれ!】

【リクエストはSNSに送れ】

 

 リクエストは質問配信のときに利用した、質問ボックスというサイトを使わせてもらったのだけど、今朝募集を始めたにも関わらず500個近いリクエストが送られてきた。嬉しいけど、読むのが大変すぎて困った。

 

「それじゃあ、1個目です……じゃん」

 

『罵倒してください』

 

「嫌です」

 

【即答で草】

【じゃん助かる】

【前に罵倒してもらっただろ!】

【新規視聴者も増えたんだから自重しろw】

【むしろ新規が増えたからこそ罵倒してもらうべきでは?】

【感謝を込めてリクエストに応える(必ず答えるとは言ってない)】

 

「ちなみにこれと同じようなリクエストが100件近く来てました」

 

 実に全体の2割である。同じ人が何度もリクエスト送ってきているのだろうか。

 

【草】

【ロリコン君さぁ……】

【お前らw】

【地獄で草】

【すまん俺も送ったわ】

 

「次……じゃん」

 

『お兄ちゃんって呼んで♡』

 

「死んでも嫌です」

 

【ガチで嫌がってるやんけw】

【ハートマークきもい】

【嫌そうな顔もかわいい】

【変態多過ぎる】

 

 ハートマークのキモさがやばすぎて震える。お姉ちゃんだったらいくらでも呼ぶけど、お兄ちゃんは嫌だ。そういえば、私の前世の願いは『超絶美少女ロリになってお姉さんとおねロリ百合したい』だったと思うのだけど、お姉さんとはいつ仲良くなれるのだろうか。

 

「この配信に女性の方はいないのですか? お兄ちゃんは嫌ですけど、お姉ちゃんならいいですよ」

 

【同じロリコンでも女なら許される】

【世知辛い世の中よ……】

【はいっ! 私女です!】

【オネエちゃんって呼んで!!】

【それは違くね? 漢女じゃん】

 

 コメント欄には数は少ないけど、自らを女性だと主張する視聴者が何人か現れた。この中の何人が本当に女性なのかはわからないけど、きっと1人ぐらいは本物だろう。そうであってほしい。

 ちなみに、私のチャンネルの男女比率は男性9割女性1割だ。まぁ、これに関しては私がかわいすぎるからしょうがないね。願わくばもっと女性ファンを獲得したいのだが、どうすれば女性比率は増えるのだろうか。

 

「それじゃあ、んんっ! ……お姉ちゃん、いつも配信見てくれて、ありがとうっ!」

 

【あっ(昇天)】

【普段の声もかわいいけどこれはやばい】

【脳がとける】

【女に生まれたかった】

【なんで俺男なんだ……】

【今から女になればいいのよ♡】

【アタシが女の子にしてあげようかしらァン?】

【カレンちゃん、こっちこそありがとう!】

【もっとお姉ちゃんって呼んで!】

【漢女の道に引きずり込もうとしてる奴いて草】

 

 今の私にできる精一杯の甘い声を出そうとしたら、我ながらやばいくらいかわいい声が出てしまった。これなら、声優を目指してみるのもいいかもしれない。美少女というのは無敵だ。配信者、アイドル、声優、なんでも目指せるらしい。さすが神様のご利益だ。

 

「視聴者さんのお姉ちゃんにも満足してもらえたっぽいですね。女性の視聴者さんは貴重ですから大事にしていきたいです」

 

【それは、そう】

【女性視聴者やっぱり少ないんだな】

【まぁ、ロリコン多いしな】

【このコメ欄見たら普通の女性は離れるわな】

【なんか罪悪感が……】

【俺のことは大事にしてくれないの?】

 

「ロリコンは掃いて捨てるほどいる上に、掃いて捨ててもいくらでも新しく湧いてくるので、大事にする必要は特にないですね」

 

【草】

【今日のカレンちゃん冷たくて……興奮する!】

【そういうとこやぞ】

【辛辣ゥ!!】

【虫みたいな扱いで草】

【Gかな?】

 

 とは言うものの、本当はたとえロリコンだろうと視聴者のことは大事に思ってるし感謝もしている。これはプロレスのようなものだ。ロリコンはなぜかぞんざいに扱うと喜ぶし、私も楽しいのでwin-winの関係だ。

 

「それじゃあ、次です……じゃん」

 

『ツインテールを見せてください』

 

【普通のリクエストだ】

【カレンちゃんのツインテールか。いいね】

【ナイスリクエスト】

【ポニーテールとかも見たい】

 

「少し待っててください」

 

 一言残して席を立つ。私は普段髪は特に弄ったりせずに下ろしているだけなので、滅多に他の髪型を試すことはない。別に髪型を変えるのがめんどくさいとか、できないとかではなく単純に下ろしている髪が好みだというだけの話だ。なので髪型を変えようと思えばちゃんとできる。たまに髪型を変えて遊ぶこともあるしね。髪型を変えるたびに新しい私のかわいさを発掘できるので有意義なことだ。

 

「どうですか?」

 

 耳の上あたりでミドルツインテールにして配信のカメラの前に立つ。ツインテールにした私もやはりかわいい。いつもより幼く、より活発に見える。ただまぁ、私にはあんまり合ってないかもね。見た目的な意味ではなく、中身の話。前世の記憶の影響で歳の割に幼さも活発さも無いし。もっと下の位置でツインテールにした方が良かったかな。私は物静かで大人っぽい系統だと思うんだよね。

 

【かわいい!】

【幼女っぽさが増して良い】

【ツインテールもありだな】

【俺は普段の方が好き】

 

「せっかくですから、今日の配信はこのままやりますね」

 

 視聴者の反応は普通に好感触。かわいいのは事実だからね。もっと褒めるといい。

 

「次のリクエストいきますね……じゃん」

 

『お歌聴きたい』

 

【歌か】

【これはいいリクエスト】

【助かる】

【いいね】

 

「それとこれですね……じゃん」

 

『カレンちゃんのピアノ聴きたい』

 

【そういえばピアノ弾けるんだっけ】

【待ってた】

【弾き語りでもするのか?】

【ピアノ弾けるのすごい。俺は3日で挫折した】

【お前はもっと頑張れ】

 

「ということで、せっかくですから一曲だけ弾き語りをしてみます」

 

 歌を聴きたいというリクエストと、ピアノを聴きたいというリクエストはどちらも結構多かった。なのでどちらの需要も満たせる弾き語りをすることにしたのだ。

 ピアノのある部屋に移動し、配信のカメラとなっているスマホロトムを手元の鍵盤を覗くような位置にセットする。

 

【グランドピアノじゃん】

【カレンちゃんセレブ説】

【おてて……】

【ピアノ用の部屋とかあるのか】

 

「じゃあ、早速弾きますね。曲名は『ハナミズキ』です」

 

『ハナミズキ』は一青窈さんの代表曲の一つで、ゆったりとした曲調で平和を願って歌われた曲だ。私は前世ではこの曲が大好きでよく聴いていた。特に「君と好きな人が100年続きますように」という歌詞が好きで、この曲が生まれたきっかけが9・11事件だと知ったときは、この歌詞の優しさに気付いて感じ入るものがあった。

 

「〜♪」

 

【初めて聴く曲だ】

【これ好きだわ】

【なんか優しい気持ちになれる歌だな】

【カレンちゃん、声はかわいいしピアノも上手だけど、歌は……】

【落ち着く】

【一生懸命歌っててかわいい】

【ピアノ素敵】

 

 集中してピアノを弾き、歌を紡ぎ、すぐに演奏は終わった。

 

【めっちゃいい曲だった】

【カレンちゃん、歌はあまり上手じゃない?】

【いうてまだ12歳だから……】

【こんないい曲なのに俺今まで知らなかったのか】

【調べてみたんだけど、ヒットしなかった。カレンちゃんが作った曲?】

 

 なんかコメント欄で私の歌が下手みたいに言われてムカつく。でも、あまり歌が得意ではないのはたしかだ。せっかく素敵な曲なのに私の歌声のせいで魅力を伝えきれなかったようなのが悲しい。もっと練習しなきゃ。

 

「私が作った曲じゃないですよ。あと、私の歌が下手とか言った人はハガネールでしばきます」

 

【そらそうだろうよ】

【いくらカレンちゃんでも曲作ったりは無理だろ】

【でもネットでヒットしないぞ】

【い つ も の】

【ハガネール「お、出番か?」】

【親が作ったとか?】

【ゆるして;;】

【カレンちゃんの歌はかわいいよ!】

 

 予想通りのコメントが流れはじめる。この世界には『ハナミズキ』という曲は存在していないので、調べてもヒットしないのは当然だ。案の定、曲の出どころに疑問を持つ視聴者たち。だけど、私は馬鹿正直に転生しただのと宣うつもりはないので、しっかりとカバーストーリーを考えてきた。

 

「夢の中で聴いた曲を楽譜に起こしたんですよ!」

 

【ここにきてメルヘン属性を追加してきたかw】

【いや草】

【それは無理があるのでは?】

【ロリ、クール系、強者、ドジっ娘、メルヘン(NEW!)】

【いや、何らかのポケモンの干渉を受けていればあるいは……?】

【まぁ、かわいいからいいや】

 

 信じていない人もいるが、私はもうこれで押し通すつもりなので、何をどう言われようと無駄だ。無敵モードである。私は前世の名曲たちを自らが作曲したなんて口が裂けても言いたくないのだ。烏滸がましいし、そんなのはただの盗作だ。しかし、この世界の人たちに私の愛した前世の音楽を知ってほしいという気持ちも強い。だから、あくまでも夢の中で聴いた曲で、私が作った曲ではないということで押し通す。

 いささかメルヘンが過ぎるが、私はかわいいしきっと大丈夫だろう。なぜならかわいいは正義だから。

 

「ということで、『ハナミズキ』でした」

 

【めっちゃいい曲だったわ】

【また弾き語りしてほしい】

【夢の中で聴いた曲は他にもあるのか?】

【控えめに言って大好き】

 

「他にもありますよ。夢は毎日見ますからね。機会があったらまたやります」

 

【楽しみ】

【毎日見てるのか】

【夢の曲はCDにしたりとか考えてないの?】

【みんなわりと信じてるのか……?】

 

「夢の曲でお金を稼ごうとは一切思わないので、今後もこのチャンネルで広めていくぐらいの予定です」

 

 収益化してもこれらの曲でお金を得る気は無い。私の身勝手で前世の曲を広げるのだから、せめてそれぐらいは絶対に守りたい。世界が変われば著作権などは無くなるかもしれないが、リスペクトの気持ちは無くならないのだ。

 

「それでは、今日はここまでにします。改めて5万人の登録者のみなさん、ありがとうございました。ではまた、ばいばいっ!」

 

【乙】

【ばいばいバイバニラ】

【メルヘンカレンちゃんバイバイ】

【乙乙】

【弾き語りよかった】

【ツインテールカレンちゃん好き】

【今度は10万人だな!】

 

 

 

 ──────この配信は終了しました──────


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