ポケモン世界で配信者、始めました! 作:ルルル・ルル・ルールルールー
「こんにちは、ジムリーダー(仮)のカレンです」
【こんロリ】
【カッコカリ】
【こんにちハリーセン】
【外じゃん】
【またワイルドエリア?】
【トトちゃんかわよ】
「はい、見ての通り今日はワイルドエリアに来ています」
今いるのはワイルドエリアの北端に位置するナックル丘陵だ。ナックル丘陵はナックルシティからワイルドエリアに入ってすぐの場所であり、ポケモントレーナーも多い。なるべく人の少ないところに移動してから配信を始めたけれど、遠くからこっちを見ている人が何人かいる。私は今ではそこそこ有名人だから、もしかしたら私の事を知っている人かもしれない。
そうでないなら、野生のロリコンだろう。
今日の天気は快晴。空を見上げればアーマーガアやアオガラス、ケンホロウといったポケモンが元気に飛び回っている。視界いっぱいに広がる青い空と広い大地、吸い込む自然の香りや大地の匂い、たくさんのポケモンたち。前世の日本じゃこんなに広大な自然に浸れるようなことはなかなか無かった。こういう、あまりにもスケールの大きなものを見てると自分がちっぽけな存在に思えてくるね。山を登りきった頂上で眼下に広がる人々の営みを見て、私達って小さいなぁって感慨に耽るアレと近い。
【ワイルドエリアで何すんの?】
【バトルか?】
【お母さんいないからバトルではないか】
【初見】
「今日は私のポケモンの紹介をしようと思います」
【楽しみ】
【そういえば今までポケモンの紹介なかったな】
【トトちゃんすこ】
【だからワイルドエリアなのか】
「ジムリーダーになるので、選手紹介、みたいな感じです」
ジムチャレンジの頃から私の手持ちは一切変わっていないので、知ってる人は知ってると思うけど、ちょうど良い機会でもあるだろう。そうでなくとも、トレーナーとして自分のポケモンを知ってもらいたいという欲もある。優秀な我が子を自慢する感覚だろうか。私に子供はいないのでわからないけれど。
「ということで、みんな、おいで」
トトちゃんは普段からモンスターボールには入らず、私と一緒にいるので、それ以外の5匹のポケモンをボールから出す。
【おお!】
【壮観】
【ハガネールでけえ】
【かっこいいポケモン多いなあ】
【みんな強そう】
【実際強い】
お母さんとのバトルで活躍した、てつへびポケモンのハガネールとはどうポケモンのルカリオ。それに加えて、カラスポケモンのアーマーガア、ごうきんポケモンのジュラルドン、おうけんポケモンのギルガルド。最後にあざむきポケモンのクチートこと、トトちゃん。この6匹が私のポケモンたちだ。
「順番に紹介していきますね、最初はハガネールです」
【でけえなあ】
【9メートルあるんだっけ?】
【カイリュー戦で好きになった】
【寝てる?】
【ゴツゴツしててかっこいい】
【食費やばそう】
ハガネールはお母さんとのバトルで活躍しただけあって、コメント欄でもかなりの人気だ。
「この子はマイペースな子なんです。バトルでもないせいか、寝ようとしてますね」
ハガネールはボールから出てくるなり、別にバトルに呼ばれたわけではないことを確認して、とぐろを巻いて夢の世界に旅立とうとしている。バトルではあんなに頼もしいのに、鍛錬以外の時間はご飯食べて寝るを繰り返すダメ人間──ダメハガネールだ。
ツンツンとつついてみても身動ぎすらしない。もしかしてもう寝てる?
「どうやらもう寝ちゃったみたいですね。割といつものことですが、この子はバトルと鍛錬以外ではほとんど寝るかご飯食べるかしかしません。寝るのが好きなんだと思います」
【かわいい】
【バトルの時はあんな強いのにw】
【全く動かんね】
【ポケモンはトレーナーに似るって言うしな】
【これがギャップ萌え……?】
【萌えはしない】
【むしろ燃えろ】
【はがねタイプを燃やすな】
「ポケモンはトレーナーに似るって言った人は後でハガネールでしばきます。ちゃんとコメントも見てますからね?」
【ヒェ……】
【すまんかった】
【いつもの流れ】
【許して】
【;;】
【もっとしばいて】
【楽しみ】
今の私は寝て起きて食べて寝るみたいなダメ人間ではないのだ。失礼なコメントはわからせていかなければならない。喜んでいる人がいるが、もはやいつものことだ。そういう人種もこの広い世界にはいるのだ。優しい目で見てあげよう。
「次はルカリオです。この子もお母さんとのバトルで頑張ってくれましたね」
【ルカリオ好き】
【バクフーンとのバトルは凄かった】
【俺のリオルまだ進化しないんだけど】
【ロリコンは一朝一夕では治らないからな】
【ノーガードで殴り合う狂戦士】
【なんかやってる】
【シャドーか】
「ルカリオはバトルが好きで、その次に鍛錬が好きな生粋のバトルジャンキーです」
ルカリオはリオルの頃から戦うのが大好きなポケモンだった。戦いを心の底から楽しみ、常に戦いを求める。狂戦士や戦闘狂といった言葉が似合う、そんなポケモン。もちろん鍛錬も好きで、ハガネールとは対照的に元気に動き回っていることが多い。
今も何やらシャドーボクシングのようなことをしている。シャドーボクシングっていうのは、仮想の敵を想定して実戦の動きを確認する練習だ。私は格闘技に詳しくないので、なんとも言えないが、すごい人のシャドーボクシングはかなり真に迫って見えるらしい。
戦闘狂だったり、鍛錬好きだったり。かくとうタイプらしいと言えるかもしれない。
【バクフーンとの戦い方からして察してた】
【頼もしいね】
【かっこいい】
【俺もルカリオほしい】
【やっぱポケモンはトレーナーに似るのでは?】
【カレンちゃんもバトルするとき楽しそうだよな】
「たしかに私もバトルは大好きなので、否定はできませんね」
【お母さんとのバトルも、ダンデとのバトルも楽しそうだった】
【今の大好きのところ誰か切り抜いて】
【バトルのときのテンション高いよね】
【ジムリーダーになればいっぱい戦えるからよかったね】
私も昔からバトルは好きだけど、これに関しては前世の影響説とお母さんからの遺伝説がある。前世の影響説は、ポケモンが存在しなかった世界からこの世界に来たせいで、前世からしたら非日常的なポケモンバトルにハマってしまった説。
お母さんからの遺伝説は、普段の優しくておっとりしているお母さんが一転して、バトルのときはキリッとしているというか、どことなく性格が変わるというか。そんなお母さんから遺伝したのでは、という説だ。
これは想像だけど、多分お母さんは昔はポケモントレーナーとして結構やんちゃしてたと思う。今でもバトル中にその名残が出てるなぁ、と感じる部分がたまにある。前にバトルフロンティアで名を馳せていたとかいう話も聞いたし。あそこは最強を目指す求道者が集まる戦いの
そんなお母さんから遺伝した可能性は結構あると思う。とはいえ、私はバトルジャンキーではないし、ただポケモンバトルが楽しくて仕方ないだけだ。お母さんほどではないだろう。
「次は、ジュラルドンです」
【静かだね】
【落ち着いてる】
【ハガネールとは違って寝てはいない?】
【なんかどっしりしてるってって感じ】
【ジュラルドンの身体綺麗に輝いてるな】
【ピカピカしてる】
【まるでお前の頭のようだな】
【なんでそんなひどいこと言うの?】
「ジュラルドンは見ての通り落ち着いてる子です。寡黙なタイプですね」
前世のゲームでのポケモンの性格で言うなら、おだやかだろうか。まぁ、この世界に性格補正なんてものが存在するのかはわからないけど。
ジュラルドンは本当に大人しい子で、滅多なことでは怒らない。というか、怒ったところは見たことない。
ジュラルドンの身体は錆びやすいので、定期的にピカピカに磨いてあげないといけない。私は身体が小さいから結構大変だけど、これが意外と楽しい。それに、トトちゃんとルカリオも手伝ってくれる。ジュラルドンは磨かれているときが一番幸せそうな顔をするから、磨くこちらとしても幸せそうで嬉しい。
「あと、あんまりハゲの方をいじめないであげてください。彼らだって頑張ってるんですから」
【優しい】
【草】
【ハゲの方w】
【優しさがつらい】
【優しい言葉は時に刃となる……】
【ハゲの方よかったな。カレンちゃんに慰めてもらえて】
【ハゲも頑張ってるし、俺も頑張らないとな】
「次はこの子です」
【ギルガルドだ】
【ギルガルドを持ってるトレーナーは王の素質があるらしいぞ】
【カレンちゃんが女王……閃いた】
【通報した】
【カレンちゃん女王に罵倒されたい】
【ふよふよしてる】
【ギルガルドは珍しいから新鮮】
「この子は、悪戯っ子です。物を隠したり、私を驚かせようとしたりしてきます。でも、根は良い子なので迷惑になることはあまりしてきません」
私の近くをふよふよと浮かぶギルガルド。剣の鍔のところを撫でてあげると、嬉しそうに身体を揺らした。
悪戯っ子なこの子は割と問題児だけど、根は素直な良い子なので本当に困るようなことはしてこない。人を驚かせたりしたがるのは、ゴーストタイプの性なのだろう。
一転、バトルではとても頼りになる強いポケモンだ。前世のゲームの頃からギルガルドは一線級のポケモンだったが、この世界でもやはりかなりの強さを持つ。盾による頑強な防御と剣による強力な攻撃を兼ね備えた、攻めも守りもできるオールラウンダー。はがねタイプでありながら、かくとうタイプが効かないのも頼もしい。
「罵倒されたいとか言ってる人は病院に行ったほうがいいですよ? ロリコンが治るかわかりませんが」
【辛辣で草】
【今日のカレンちゃん辛辣で好き】
【俺がいい病院教えてやんよ】
【ロリコンに効く薬はありますか?】
【ないよ】
【ロリコンを、享受しろ】
バカに付ける薬はない。という慣用句がある。バカに薬が効かないのなら、ロリコンに効く薬もないだろう。彼らは一生涯その業を背負って生きていかなければならないのだ。ロリコンに救いを。アーメン。
「次は──わっ!」
次のポケモンを紹介しようとしたら、アーマーガアが飛んできた。
【アーマーガアや】
【アーマーガアにはいつもお世話になっております】
【カレンちゃん大丈夫?】
【アーマーガアタクシーがないと生きていけない】
【でかい】
【アーマーガアはガラルの屋台骨】
「この子は甘えっ子です。ココガラやアオガラスのときはよかったんですけど、この大きさで甘えられるのは結構大変です」
飛び込んできたアーマーガアは、私の目の前で着地し、小さく喉を鳴らしながら頭を擦り付けるようにして甘えてくる。ココガラやアオガラスのときはもっと派手に甘えてきていたのだが、アーマーガアになってからは、場合によっては怪我では済まないので多少大人しくしてもらっている。
だけど甘えっ子なのは変わりないので、頻繁に遊んであげるようにしている。この見た目で甘えっ子なのは、ギャップというか、違和感があるけれど、もう慣れたものだ。一番手がかかる子かもしれないが、手のかかる子ほどかわいいともいう。
そんなアーマーガアは、ひとしきり私と戯れると、満足したのか飛び立って行った。多分空を自由に飛んで満喫しているのだろう。家に帰る時間にちゃんと戻ってきてくれるだろうか。
「最後はトトちゃんです」
足元でなにやら地面を観察していたトトちゃんを抱き上げる。
【トトちゃん好き】
【かわよ】
【つよくてかわいくてすき】
【バンギラスに勝てるクチート】
【カレンちゃんの相棒だな】
【普通のクチートより明らかに強い】
「トトちゃんについてはあまり説明することはないかもしれませんね」
普段から配信画面によく映っているし、私がトトちゃんの話をよくするしで、視聴者たちはかなりトトちゃんについて詳しいと思う。
【トトちゃんとはどんな風に出会ったの?】
これについては言ってなかったかな?
「トトちゃんは私が五歳のころにお母さんが捕まえてきてくれたポケモンです。その頃からずっと一緒で、私にとって二人目の家族です」
【二人目?】
【一人目はお母さんだとしてお父さんは?】
【複雑な家庭事情?】
【五歳のカレンちゃん……】
【小さい頃から一緒のポケモンっていいな】
「お父さんは……八番目ですね」
【お父さん;;】
【悲しい】
【お父さん涙拭いて】
【2から7はポケモンか】
「家族の順番に特別な優劣なんてありませんよ」
別にお父さんが大切じゃないとかではなく、単に家族になった順番だ。私の中では、お父さんと初めて会ったあの日、私たちは家族になったのだと思ってる。だから、八番目。他意はない。
この配信はお父さんも見るかもしれないから、一応後でフォロー入れておいたほうがいいかな……?
「それじゃあ、時間もそろそろなので今日はここまでにします」
【いかないで】
【乙】
【トトちゃんかわよ】
【これからもポケモンとの配信見たい】
「では、次の配信でまた会いましょう。ばいばい」
【ノシ】
【ばいばいバイバニラ】
【お疲れ】
【おつロリ】
【バイバイ】
【今日も楽しかったぞ!】
──────この配信は終了しました──────