ポケモン世界で配信者、始めました!   作:ルルル・ルル・ルールルールー

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#6 ゲーム配信

 

「カレン、今度お父さんとご飯食べに行くんだけど、よかったらあなたも来ない?」

 

 トトちゃんと戯れながら最近日課となりつつあるエゴサーチをしていたら、お母さんが突然そんなことを言ってきた。

 お父さん──私はお父さんと今まで一度もあったことがないが、私の存在はしっかり認知されているし養ってくれている。お父さんと言う割には、殆ど親子の関係はないけれど、恩はたくさんある。

 ジムチャレンジに行く直前くらいに話が持ち上がった時には、お父さんは私に対する負い目が有って私に会いづらいと、お母さんは言っていた。それでも勇気を出してお父さんが会おうと言うのなら、私は特に断る理由はない。

 

「行く」

 

「本当!? きっとあの人も喜ぶわ!」

 

 お母さんが心底嬉しそうな、ホッとしたような笑顔を見せる。お母さんにも今の家族のあり方にどこか思うところがあったのだろう。普段は上手に隠しているけれど、もしかしたら私に対する負い目もあったかもしれない。勝手な想像だけど、この笑顔を見るとあながち間違いではないようにも思える。

 私としてはお父さんがいなくても、その分お母さんがたくさん愛情を注いでくれたことはちゃんと分かっているので、これでお母さんの悩みが解消されるというなら嬉しい限りだ。

 

「何を食べに行くの?」

 

「そうねぇ……。まだ決まっていないのだけど、カレンは何か食べたいものとかある?」

 

「私が決めていいの?」

 

「いいのよ。カレンが食べたいものを食べに行きましょう」

 

 お母さんが優しく頭を撫でてくる。お母さんに頭を撫でられて幸せな気持ちになるのはきっと、私がまだ子どもだからだろう。精神は肉体に引っ張られると言うし。でも、なんとなく気恥ずかしい。

 私は気恥ずかしさを誤魔化すように何を食べたいか考えることにした。

 

「えっと、じゃあ……。お寿司食べたい!」

 

 真っ先に思い浮かんだのはお寿司。この間、調べてみたらこのガラル地方にもお寿司専門店があるらしくて、それを知ってから行きたくて堪らなかったのだ。私の日本人ソウルがお寿司を食べろと囁いているのだ。

 

「バウタウンにお寿司専門店があるらしくて、そこに行きたい!」

 

「いいわね、お寿司。お父さんにも言っておくわ」

 

 やった! 勝った! 今度のご飯はお寿司だ! 

 

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 

「こんばんはー! カレンです!」

 

【わこつ】

【初手ニッコニコで草】

【カレンちゃん機嫌いいね】

【こんばんワニノコ】

【かわいさの暴力】

【こんロリ】

【何かいいことあった?】

 

「聞いてください、今度お寿司を食べに行くんです! すっごい楽しみ」

 

【お、おう……】

【カレンちゃんそんなに寿司好きなのか】

【カレンちゃんが嬉しそうで僕も嬉しい】

【ガラル地方に寿司あるのか】

【キャラ崩壊してるぞ】

 

「バウタウンにあるみたいですよ。調べたら出てきました」

 

 逆に言えばバウタウンにしかないのだけど。でもその分美味しいらしく、その店の評価も五段階評価で4.8と素晴らしい。カントーから来た凄腕の寿司職人が家族で経営しているこだわりにこだわった本格派の寿司屋だ。代わりにそれなりのお値段がかかるが、おそらくお父さんなら余裕だろう。

 

【カレンちゃんはよく寿司たべるの?】

 

「いえ、初めて食べます」

 

【草】

【初めてなのかよww】

【カレンちゃんの初めて……】

【草ァ!!】

【3年ぶりに笑ったわ】

【3年ぶりに笑ったニキは強く生きて】

【初めてたべる人のテンションじゃないww】

【お寿司美味しいから楽しみにするといいぞ】

 

 正確には、「カレン」として食べるのは初めてだ。前世では好物でよく食べていた。とはいっても回転寿司ばかりだったから、本格的な回らないお寿司は楽しみで仕方ない。ワクワクする。

 

「それじゃお寿司は一旦置いといて、今回やっていくのはこれです……じゃん」

 

【じゃん】

【じゃんほんますし】

【今日もじゃんが聞けて嬉しい】

【マルオカートじゃん】

【ゲーム配信キターーー!!】

 

 そう、マルオカート。○マークの付いた赤い帽子を被るマルオというキャラクターがモモ姫やパック大王とレースをする人気ゲームだ。マリ○カートではない。大事なことだ。

 

「ゲーム配信は定番ですからね。やっていきましょう」

 

 ハードの電源を入れて、マルカを起動する。

 

【レートはそこそこだな】

【スナイプしてぇ】

【何使うの?】

【マルオカートする幼女】

 

「キャラはヨッチーを使います。かわいくて好きです」

 

 インターネット対戦でランダムマッチングすると、『カレンちゃんの愛の下僕』という名前のプレイヤーとマッチングした。

 

「この人、私の視聴者ですね?」

 

【愛の下僕ww】

【スナイプうめぇな】

【俺もカレンちゃんとゲームしたい】

 

 コースが決まって、レースが始まる。しっかりとロケットスタートを決めて、コインを集めながら順調に走る。

 

「初動はそこそこですね」

 

【4位か】

【いい感じ】

【愛の下僕一位で草】

【ほんとだww】

 

 マルオカートはプレイに集中してしまうのでコメントが読めない。きっと、みんな私の見事な走りを賞賛していることだろう。見れないのが残念だ。

 

【一生懸命でかわいい】

【ポケモンはつよつよなのにマルカは普通な幼女】

【俺このゲームならカレンちゃんに勝てるわ】

【まぁ、12歳だと考えれば強いのか?】

 

「あ、雷が。私のキノコが消えてしまいました……あっ! ダメ! 赤甲羅はダメです! 今度は爆弾!? なんでっ!」

 

【あーあ】

【ちょっとエロい】

【いっきに4位から10位かぁ】

【あるある】

 

 もう3周目だしこれはダメかも。コインも減らされちゃったし。キラー来て欲しいなぁ。

 

「あ! キラー来ましたよ!」

 

 願った矢先、キラーが取れて一気に追い抜いて5位。3位からが中団の方で固まっていたようで、もしかしたら3位は狙えるかもしれない。

 

「3位! 3位! 後もうちょっと! いけ、いけ! ……やった! 3位です!」

 

【おめでとう】

【ゲームではしゃぐのかわいいなぁ】

【クールキャラがボロボロや】

【ちゃっかり愛の下僕が1位取ってて草】

【楽しそうにゲームするね】

【おめ】

【やっぱ幼女なんだよなぁ】

【すっごい楽しそうで見てて幸せになれる】

 

「ありがとうございます! なんとか3位に滑り込めましたね」

 

 その後は基本的に上位には入ることができるが、1位にはなれないのが続いた。ゲームをやるときに私のテンションが上がることを指摘されたけど、前にも言った通り私はクールキャラを作っているわけではなく、素でやっているので仕方ない。

 

「また愛の下僕さんが1位ですか。私もそろそろ1位取りたいです」

 

【カレンちゃんも普通に上手いんだけどね】

【愛の下僕強すぎる】

【下僕ならカレンちゃんに譲るべき】

【何連続1位だ】

 

「次いきましょう。今度こそ一位取ります」

 

 小さく意気込んで、ヨッチーを操作する。ロケットスタートをしっかり決めてショートカットなども積極的に使っていく。今度のレースでは、私は序盤から上手く立ち回って運良く2位につけることが出来た。1位は変わらず愛の下僕。距離はそこそこだけど、追いつけない距離ではない。3位以下は距離が離れているので、私と愛の下僕の一騎打ちだ。

 

【いい感じだな】

【これはワンチャンある】

【がんばれ!】

【負けるな!】

【愛の下僕をしばいていけ】

 

「トゲ甲羅です!」

 

 3周目にして遂にチャンスが来た。後ろから来たトゲ甲羅が先を進む愛の下僕を爆破してくれたおかげで、グッと距離が縮まった。

 

「勝てそうです!」

 

 距離はすでにほとんど無く、後は上手く操作すれば抜けそうだ。そのまま最終コーナーを曲がり、直線。ほぼ隣り合って一直線にゴールに飛び込む。

 表示される順位は──

 

「やったーっ! 1位ですっ!」

 

【うおおおおおお!!】

【がんばった】

【かわいい】

【熱い展開だったなww】

【おめでとう!】

【これは切り抜き確定】

【マルカでここまで白熱するとはww】

【はしゃぎすぎでピースサイン決める幼女】

【ニッコニコでかわいい。天使】

 

 コメント欄がワッと盛り上がる。最後の直線はとてもドキドキした。私は楽しかったが、コメントのみんなもちゃんと楽しんでくれたみたいで嬉しい。

 

「それじゃ、今回の配信はキリがいいのでここで終わりにします! ありがとうございました! またね、ばいばいっ!」

 

【乙乙】

【おつかレントラー】

【めっちゃ楽しかった】

【カレンちゃんの新しい一面を見れたわ】

【今日は幼女力が強かった】

【かわいすぎて、もうね。天使】

【お疲れさマンタイン】

【クールカレンもかわいいけど、元気カレンも良き】

【ゲーム配信また見たいなぁ】

 

 

 

 ──────この配信は終了しました──────

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