昔から身体が弱かった
外に出たことが無く、空を見たことが無い
空は青いと聞く
海も空も青くて炎は赤い
暑さも寒さも外で感じたことなんて無い
「死ねよ」
兄はプライドが高かった
俺を見るたびにこの言葉を言い放つ
「汚いんだよ。1人で飯くらい食って見せろよ」
1人で飯を食べれない俺をわざわざ見にくる
そんなある日
絵のコンクールで優勝した
写真で見た海と空
そこに俺も行きたいと願いを込めて書いた
「なんで身体が弱いお前なんかに負けんだよ!!」
嗚呼、神様ってズルい
兄は絵のコンクールで準優勝だったが土の上を歩ける
友達と遊べるのになんで
なんで俺は歩けないんだ
「目が覚めましたか?」
水色の髪をした女性がそう聞いてくる
こんな知り合い居たっけ
「死後の世界にようこそ。貴方はお兄様に殺されてしまいました」
兄さんに殺されたんだ
じゃあ兄さんは人殺しか
しょうがないな
「・・・・・・」
「貴方、ゲームは好き?」
好きか嫌いかと言えばまぁ好きだ
「・・・・・・」
ゲームなんてやったことが無い
兄さんが良く自慢しにきたけどさ
嫌がらせのように騒がしくてだけど楽しそうだった
「もしもーし、聞いてますか?」
「好き・・・・でも、嫌い・・・でも無い」
枯れたような声しか出ない
やっぱり、この女の人もキモいと感じるだろうか
そんな考えを他所に女の人は話を続ける
「天国って実は何もやる事も無いのよね。そこで貴方は転生と天国に行くかもしくは別の世界に行くか」
別の世界?
そこってどんな所かな
海はあるのか空は何色なのか
いろんな物が気になる
「別の世界に行くなら何かしら1つだけ特典を貰えるのよ」
魔王を倒す代わりにか
女の人の言葉を聞いて怖気付きそうになった
だけど、じゃあこれなら確実だよな
「じゃあ・・・・健康を、下さい。土の上を、走って、みたいんです」
「えっ!?そんなのでいいの?」
頷いておく
女の人って意外と驚きやすいんだな
西園寺 雫・5歳
初めて自分の力だけで立てた
その喜びに、胸をときめかせる
だが、周りの人が物凄いこっちをみてくる
なんでだろう
服装が少しいや、大分違うからだろうか
白銀の髪に赤い瞳と青い瞳
赤い瞳には炎を連想させ、青い瞳は海を連想させる
そんな容姿をしていることに本人は気づいていない
外に出なかったから故ではあるけども
「この街に何しにきたのかな?」
「あの、冒険者になりに来ました」
声が途切れない
これが僕の声
だけど、冒険者であってるのかな
「そっか、じゃあクリスお姉さんと一緒にギルドに行こうね」
手を差し出してくれるのでその手を握る
女の人はクリスというそうだ
ギルドという建物に着くと冒険者登録に必要なお金をポッケットから出した