飛天の剣は鬼を狩る   作:あーくわん

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第陸話 炎柱との稽古

「啓君、準備はいいか?」

 

「ええ、いつでも・・・」

 

 

 

全集中の呼吸についての説明を受けた後、今は槇寿郎さんとの稽古に臨もうとしている。

こうして木刀を構え向き合うと父上との稽古を思い出す。

それにしてもこの佇まい、やはり只者では無い。

辺りに満ちる闘気。互いの実力を測る稽古といえど、本気で臨まねば・・・

 


 

任務中に出会ったこの少年、如月 啓。

なんと全集中の呼吸を扱う鬼殺隊士でもなく、日輪刀を持っている訳でもないのに鬼を相手していたのである。

実は女性を逃がしてるあたりから隠れて様子を伺っていたのだが・・・驚愕した。

本来、鬼は全集中の呼吸により身体能力を強化し相手するもの。しかし目の前の少年は呼吸法を扱っている様子などない。それにも関わらず、鬼が反応できない速さで鬼を切り刻んでいたのだ。

とどめを刺す術がないために横に割って入って俺がとどめを刺したが、仮にこの少年が鬼殺隊士なら、日輪刀を持っていれば?

間違いなく鬼を瞬殺していただろう。

この少年が全集中の呼吸を身に付け、鬼殺隊として刀を振るえば・・・

 


 

「いざ参る!!」

 

先に仕掛けたのは槇寿郎。

全力では無いものの素人では視認するのが難しいほどの速さで啓に斬り掛かる。

 

「・・・」

 

しかし、特に焦る様子もなく啓は応戦する。

右斜め上から迫る木刀を冷静に弾く。

 

「今度はこちらから・・・」

 

すぐさま体勢を立て直し、槇寿郎へ仕掛ける。

 

「縮地 三歩手前」

 

鬼を切り伏せた時同様、神速の僅か先をいく速さで槇寿郎を撹乱させんと駆け回る。

 

(速い!いざ対面すると三者視点から見てた時よりも速く感じる!だが・・・!)

 

先程とは対象に、左斜め下から振るわれる木刀。これを槇寿郎はしっかりといなす。

 

「やはり速い!が、反応できない速さではないな!」

 

「言ってくれますね・・・!ならば・・・」

 

 

「縮地 二歩手前」

 

 

(何!?)

 

先程よりも数段速さを増す。

槇寿郎は焦りを隠せない。

 

(動きを視認は出来る、だがしかし、身体が追いつかん!!)

 

その焦りを啓は見逃さない。

 

(取った!!)

 

 

しかし、槇寿郎は先程よりも速く木刀をいなす

 

 

(反応が速い!先程よりも確実に!)

 

 

耳を澄ますと、先程まで聞こえなかった「呼吸音」が聞こえる。

 

(この音は槇寿郎さんが鬼の首を撥ねた時と同じような音・・・息を吸っているのか?つまり呼吸、そうか、これが・・・!)

 

 

「これが全集中の呼吸だ。」

 

「そうですか、これが・・・」

 

啓は考え込む素振りを見せる。

それは明らかな「隙」

それを晒すことは命のやり取りをするにあたって自らの命を晒すのと同義。

それを咎めんと槇寿郎は木刀を振るう。

 

(もらった!!)

 

 

 

しかし

 

 

 

先程とは比較にならない鋭さで槇寿郎の刀を弾く

 

 

啓からは今槇寿郎から発せられていた音が聞こえる

 

 

それが示す事実はただ1つ

 

 

(習得したというのか・・・!?この瞬間に、全集中の呼吸を!!)

 

 

啓は構える。槇寿郎は再び驚愕する。

その構え、呼吸は、

自分が得意とするものだったから。

 

 

 

 

 

「炎の呼吸 壱の型 不知火」

 

 

 

炎が槇寿郎を襲う

 




というわけで啓が全集中の呼吸を習得しました。
といっても槇寿郎のものを見よう見まねで真似しただけなのでまだ完全ではありませんが
何より常中もありますしね

そして炎の呼吸の技を使わせてみました。
これは前話で言っていた父親の飛天御剣流を見て、次にそれを完璧に模倣した「観察力」からのものです。
ここからもっととんでもないことさせるつもりなのでどうぞお楽しみに。

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