それから数日が経った。
朝多マヤは満足した表情で卯酉新幹線ヒロシゲが来るのを待つマエリベリー・ハーンと宇佐見蓮子を眺める。
プラットフォームの時刻表の予定通りであれば、ヒロシゲの到着時刻までまだ10分以上も時間がある。
なので朝多マヤは二人と連絡先を交換し合う。
朝多マヤが上機嫌なのは、なにも二人と連絡先を交換したからだけではない。
夢の中で二人に教えられた自分の描くやり方で研究すると云う新たな課題が出来たからである。
朝多マヤの心は純粋であったが為に自分が間違えていると指摘され、それを素直に受け取った。
そして、それに向かって新たに進めるだけの意思の強さがある。
大人になってしまったマエリベリー・ハーンには恐らく、そのような柔軟な思考は出来ないだろう。
自身の成果を一度捨ててしまい、新たに証明しろと言われれば、自分ならば、不可能であろう。
その困難な道に向かうように仕向けたのは自分と宇佐見蓮子であったが、彼女は全く気にした様子はない。
寧ろ、新たな課題を楽しむ姿勢とその純粋さはマエリベリー・ハーンにとって眩しいものであった。
恐らく、親友の宇佐見蓮子もそう思っているのだろうと思いつつ、マエリベリー・ハーンは腕の時計を見る。
そんなマエリベリー・ハーンの動きに呼応するようにヒロシゲの到着を呼び掛けるアナウンスが流れる。
ヒロシゲから降とりる人々がいなくなってから入れ違いにマエリベリー・ハーンと宇佐見蓮子が改札口を通る。
「ハーンさん!宇佐見さん!
色々ありがとうございました!」
朝多マヤが元気に手を振りながら叫ぶと宇佐見蓮子が笑って応じる。
「マヤちゃんも元気でね!」
親友のそんな姿を見ながら、マエリベリー・ハーンも朝多マヤに応えて手を振って到着したヒロシゲへと向かう。
二人が乗車してヒロシゲが発進するとマエリベリー・ハーンは親友に尋ねた。
「どうだった、彼女の夢は?」
「解ってて聞いてるでしょ、メリー?」
宇佐見蓮子は意地の悪い親友の言葉に笑う。
「未来に向かうって云うのは退屈なものだと思っていたけれど、少し見方が変わったわ。
たまには未来を思い描くの悪くないかもね?」
「あら。そう?」
「まあ、それはそれ。未来の秘封を暴くのも魅力的だったけれど、やっぱり、いつもの活動が私達らしいわ」
宇佐見蓮子の言葉にマエリベリー・ハーンも笑うと彼女と同じく、いつもの境界暴きの方が自分達らしいと思っていた。
違う事があるとすれば、今回の一件で出会った少女とのやり取りで少しは自分も夢を楽しんでみようと思う気持ちがある事であろうか?
「そう言えば、マヤちゃんと見た夢の事なんだけれど、私は面白い事を考えていたわ」
唐突に宇佐見蓮子がそう告げるとマエリベリー・ハーンは「やっぱり」と呟く。
朝多マヤの作った機械をマエリベリー・ハーンが使えば、恐らく、今以上に現実味を帯びた夢として体感出来るであろうと云う事は彼女も考えていたようである。
「言っておくけれど、私があの機械を使うって話はナシよ?」
「ああ。やっぱり、ダメか・・・メリーの夢を科学的根拠に基づいて調べられる機会だと思ったのに」
「まあ、そう云う秘密を暴くのは未来の部員さんに任せましょう」
二人はそう言って笑うといつもの常人とは異なる生活へと戻っていくのだった。
「そう言えば、この新幹線のフォルム、少し変わってなかった?
なんか、少し年季が入ったと云うか・・・ちょっといつもよりも古びてたように見えたけれど?」
「そこまで気にしてはいなかったけれど、どうだったかしらね?
もしかすると私達はまだ、マヤちゃんの夢の中にいるのかも知れないわね?」
今回も書きたい事を書いた感じです。
原作の秘封倶楽部は主に現代から過去や幻想郷などをマエリベリー・ハーンと宇佐見蓮子が体験しますが、今回の私の作品では未来の秘密を少し覗いた感じで書きました。
我々は未来を現実に変えて来たが、それは過去から現代への過程としての話。
では、更に未来へ踏み込むにはどうすべきか?
過去だけでなく、未来にも秘密があった方が面白いと思いますので今回、書いた次第です( *・ω・)
未来を描け、若人よ。
それを現実にするのは君かも知れない。
ではでは、この辺で。
また次の作品でお会いしましょう( ・ω・)ノシ