異世界かるてっと×2   作:アニアス

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第一話 新たなる訪問者たち

ここは無数に存在する世界の一つ。

辺り一面に広がる平原を一台の馬車が進んでいた。

 

「それにしても、結構のどかだな」

 

手綱を握り馬車を操っている青年の名は『サトゥー』

突然この世界へ飛ばされひょんなことからレベル310までに上がった人物である。

 

「お日さまが温かいのです」

「ぽかぽか~?」

 

サトゥーの両隣に座り空を見上げている茶髪の犬耳の少女と白髪の猫耳の幼女たちは『ポチ』と『タマ』

奴隷として飼われていたが前の主人が亡くなりサトゥーに拾われ行動を共にしている。

 

「ポチ、タマ、余所見をしていたら馬車から落ちてしまいますよ」

 

そんな2人を後ろの荷台から注意している赤く長い髪に高身長の女性は『リザ』

彼女もタマとポチと同じ立場のリザードマンであり2人の教育係をサトゥーから一任されている。

 

「ご主人様~!次の街までまだなの~?」

「ダメよアリサ、ご主人様に我が儘なんて言ったら」

 

馬車の荷台から顔を出しサトゥーに我が儘を言っている紫髪の幼女『アリサ』を黒髪の女性『ルル』が宥めてた。

この二人もポチとタマ、アリサのように奴隷であったがサトゥーに買われたことにより行動を共にしている。

 

「んん・・・」

「マスター、ミーアが空腹です。休憩を提案します」

 

青髪の少女『ミーア』の様子を見て空腹だと思った金髪の女性『ナナ』はサトゥーに休憩を取った方がいいと話しかけた。

エルフであるミーアは命を救ってくれたサトゥーに好意を寄せており求婚を求めているが、当の本人からは年齢的な問題があるせいか軽く流されている。

ナナはとある魔法使いによって作られたホムンクルスで生みの親が亡くなってしまったことによりサトゥーに拾われ側近としての役割をこなしている。

 

サトゥーを筆頭としたこのチームは旅をしている途中であり次の街を目指しているのだった。

 

ナナの言葉を聞いたサトゥーはそろそろ休憩した方が良さそうだと判断し馬車をとめた。

 

「よし。それじゃあ皆、お昼にしようか」

「ごはん~?」

「さんせー!もうお腹すいちゃった!」

「ポチもペコペコなのです」

「楽しみ」

「確かにそれがいいかもしれませんね」

「では早速準備に取り掛かりましょう」

「お手伝いしますルル」

 

どうやら全員空腹だったようで早速周囲の獲物を狩ろうとサトゥーが馬車から降りた時だった。

 

ピンポーン!

 

「ん?」

 

降りたと同時に右足からインターフォンのような音が聞こえたためサトゥーが右足を退けると、そこには赤いボタンしかないリモコンのようなものが落ちていた。

 

「何だこれ?」

 

この世界に来てこのような現代的なものなど見たことがないサトゥーがボタンを拾おうとしたその時、突然周囲の空間が歪み始めた。

 

「なっ!?何かのトラップか!?」

「ちょ、ちょっと何よこれ!?」

「ぐにゃぐにゃ~!?」

「目が回るのです!」

「ご主人様!これは一体!?」

「何が起きてるんですか!?」

「サトゥー・・・!」

「ミーア!決して離れないで下さい!」

 

突然起こった現象に咄嗟に対応できずにいるサトゥーたちのことなどお構い無しに空間はどんどん歪んでいき、そして・・・

 

『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??』

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

ところ変わってここはまた別の世界。

岩に囲まれた荒野を大きな車が走っていた。

 

「ハジメ、そろそろ日が暮れそう。街はまだ?」

「予定じゃもう到着する筈だったんだが、障害物が多いせいで時間を喰っちまったな。今日は野宿か?」

 

ハンドルを握っている白髪に右目に黒い眼帯の青年『南雲ハジメ』に金髪の小柄の少女の吸血鬼『ユエ』が次の街までの到着時間を聞くと、ハジメは困った表情になりながら野宿になると言った。

 

「私は大丈夫ですよハジメさん!野宿だろうとハジメさんと一緒ならどこでも!」

「ミュウもパパと一緒がいいの!」

 

それに反応した露出の多い服を来た青髪のウサ耳少女『シア』と水色髪の海人族の幼女『ミュウ』はハジメと一緒なら野宿でもいいと主張する。

 

「妾もじゃ。でもどちらかというならそのまま野外であんなことを」

「黙れ変態」

「はぁ~~~ん!」

「ちょっと皆騒がないで!」

 

その二人に加え、黒い着物を着こなした黒髪の竜人族の女性『ティオ』も同意の主張をする。しかし、何やら如何わしい発言をし、ハジメにそれを適当に流されたにも関わらず顔を赤くして滑稽な声を上げる変態である。

そんな皆を落ち着かせようと治癒魔法が得意の少女『白崎香織』が声を上げた。

 

騒がしくも何処か仲のいいこのメンバーも別の世界のサトゥーたちのように旅を続けていた。

 

「まったく、どいつもこいつも・・・」

「ハジメ、野宿するなら何処か日陰になりそうな場所を見つけた方がいいかも」

「・・・そうだな、何処かいい場所は?」

 

呆れながらもユエの提案に耳を傾けたハジメは何処か野宿できそうな場所はないか探すも中々見つからず悩んでいると、

 

ピンポーン!

 

「ん?」

 

突然インターフォンのような音が車内に響き思わずハジメはキョトンとなってしまう。

 

「おい、今の音って何だ?」

「あぁ、それはこれですね」

 

振り向いたハジメに言われたシアは音の原因を教えようと手に持っていたものをみんなに見せた。

それは赤いボタンが取り付けられているリモコンだった。

 

「・・・何だそれは?」

「えっと、気がついたら側に置かれてたんですよ」

「まさか、押したの?」

「はい、押しましたけど?」

 

何も悪気がないように答えるシアにプルプルとハジメが震え怒りが爆発した。

 

「こんの馬鹿ウサギ!何で押すんだ!?」

「えぇ!?これって押したらダメなんですか!?というか何ですかこのボタン!?」

「俺が知るか!」

「知らないで押したの?」

「何で押しちゃったの!?」

「いや~こういうのって押したくなるものじゃないですか~」

「ふざけんなお前!」

「ご主人様、そんな罵声は是非ともこの妾に」

「変態は黙っとけ!」

 

ヘマをやらかしたシアと変態じみたティアにハジメが怒鳴っているとミュウが前を見て怯えた声を出した。

 

「パパ!前!」

「ん?なぁ!?」

 

ミュウに促され前を見ると、前の景色の空間が歪んでいた。

更に前の景色だけに留まらず車内の空間も歪み始めていた。

 

「ハジメ!これって!?」

「何かの結界の一種か!?」

「これって私のせいなんでしょうか!?」

「どう考えてもそうだよ!」

「パパ怖いの!」

「一体何が起こってるんだぁ!?」

 

ハジメたちが動揺するも空間はどんどん歪んでいきそして・・・

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

変わって別の世界。

 

広大な平原をとある一団が歩いていた。

 

「みんな、そろそろお昼にしましょう」

 

一団の中の1人の長い茶髪で白い服を着こなした1番年上らしい女性が食事を取ることを提案した。

 

「まぁ確かに、少し腹空いたって感じだからな」

 

それに対し便乗したのは短い茶髪で青い服を着こなしている青年。

どことなく、年上の女性と外見が似ている。

 

青年の名前は『大好真人』

とある事情でゲームの世界へ転移した高校生であり普通の勇者。

 

そして年上の女性は『大好真々子』

真人の実の母親であり、真人が大好きのため一緒に転移してきたのであった。

 

「賛成です!自分もお腹空きましたので!」

「まぁね。そろそろ何か食べたいって思ってたところだし」

「そうですね。私も皆さんと同じ意見です」

 

そんな親子と一緒に旅をしているのは旅商人の『ポータ』、賢者の『ワイズ』、癒術師の『メディ』の3人。

彼女たちも真人と同じようにゲームの世界へ転移されたのである。

 

この5人は現在クエストへ向かう途中であるが、今から昼食を取ろうとしていた時だった。

 

「うぉっとぉ!?」

 

突然真人が何かに躓き転びそうになるも何とか堪えた。

 

「マー君!?」

「何やってんのよ?」

「いや、何かに躓いて…」

 

振り返りながら何に躓いたのか真人が確認すると、そこには赤いボタンが取り付けられているリモコンが落ちていた。

 

「…これは何でしょうか?」

 

落ちているリモコンを拾いポータが慎重深く観察し、他の4人も覗き込むようにボタンを見ている。

何故こんな何もない平原にボタンが落ちていたのか誰にも理解できなかった。

 

「十中八九、何かのトラップの作動スイッチでしょうね」

「絶対そうね。如何にも怪しすぎるし…」

 

この世界に来てからの経験上、こんな怪しいボタンなど躊躇なく押せる訳もなく、真人たちは絶対に押そうとはしなかった。

 

「ど、どうしますコレ?」

「どうもこうもないわよ。アタシたちは絶対に押さないんだから、どっか適当なところに捨てるわよ」

「そうだな。こんな怪しいボタン誰が押すんだよ」

「えいっ」

 

ピーンポーン!

 

『………ん?』

 

ボタンの処理をどうするか真人たちが話し合っているとインターフォンの音が聞こえ、まさかと思い4人がボタンへ視線を戻すと真々子の人差し指がボタンを押していたのであった。

 

「母さん!?何押してんだよ!?」

「え?だって『絶対に押したらダメ』ってことは『押さないといけない』ってことじゃないの?」

「真々子さん!アタシたちはリアクション芸人じゃないんですよ!」

 

まさかここに来て真々子の天然ぶりが災いを招くとは真人たちでも予測できなかった。

 

そして異変はすぐに起きた。

 

「皆さん!大変です!」

「こ、これは!?」

 

突如5人の周りの空間が歪み出し徐々に大きくなっていった。

 

「やっぱり何かのトラップだったぁ!!」

 

 

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