「団長、どう?」
試着室からクコがひょっこりと顔を出し、カーテンを開ける。
うん、とても似合っている。
「本当? クコ、かわいい?」
ああ、とてもかわいい。
クコが着ているのは、ピンク色のワンピース型の水着だった。
クコから海に遊びに行きたいと告げられ、それならば、と水着を選びに来たのだった。今着ているのは私が選んだものだが、やはりクコの小さな身体にはワンピースが似合う。
「クコ、これにする。団長、感謝」
満面の笑みでそう言われるとこちらも嬉しくなる。クコに水着をプレゼントし、帰路に就く。
「団長、ワンピース好き?」
帰り道での唐突な質問に、どう答えればいいのか分からなかったが、
「クコ、知識あり。一般的な男性、布面積小さい水着、ビキニ、弱い。男性ホルモン、どぷどぷ」
ああ、またカガミに影響されたのかと納得する。
「クコ、身体も胸も小さい。ビキニ似合わない。一般的な男性の好み、乖離。団長、特殊性癖?」
そ、そんなことはない。それに好みも性癖も人それぞれだ。クコのようなワンピースが似合うかわいい娘が好きな男性も少なくないだろう。(ビキニも見てみたいが)
「団長、一般性癖? なら、クコ安心」
まあ、そういうことにしておこう。
「海、楽しみ」
子供のようにはしゃぐ彼女に、私も楽しみだ、と返す。
「プカプカ、愉快! 水、冷たい、気持ちいい」
バナナオーシャンの海岸、クコが浮き輪に乗って浮かんでいる。その隣まで泳いで行き、どうだ、任務で行く海とは違うか、と尋ねてみる。
「ん、仕事とプライベートの分別、重要。とても重要」
確かにそれは真理だ。今日はお互いゆっくり羽を休めよう、と彼女の頭を撫でながら言った。
見渡す限り青い空にはギラギラと太陽が照りつけ、海を輝かせている。クコの透き通るような白い肌も、太陽に照らされ光っている。くれぐれも日焼けには注意するように言っておく。
「心配無用、クコ、あまり日焼けしない」
そうなのか、と肌を確認しようとすると、その細い脚に目が行った。細い、といっても棒のような細さではなく、程よく肉が付き弾力がありそうな魅力的な脚だ。
「・・・ちょう・・・団長?」
ハッ、いかんじろじろ見てしまっていたか。
「団長、クコの脚、興味あり?」
興味があるかないかと聞かれたら、俄然ある・・・ではなく、すまなかった。
「問題なし、見られるの、嫌いじゃない」
クコの頬が仄かに赤みを帯びる。それは太陽に照らされたから、というわけではないだろう。
「団長だから・・・あなただから・・・」
それは微かな声だった。しかし、しっかりと私の胸に伝わり、私の体を暖かく包んだ。
帰り道、まだまだ熱の残った西日が差す道を歩いていた。背中には遊び疲れ、くたくたになったクコを背負いながら。
「団長の背中、いつもはヘナが占有・・・」
眠たそうな目をこすりながら、クコが申し訳なさそうに呟いた。たまにはいいだろう、ヘナも許してくれるさ。そう慰めるように言った。
「団長・・・帰ったら・・・クコと・・・」
そこまで言って、クコは眠ってしまったようだ。その言葉の先に何が紡がれるのか、今はあえて気にしないようにしよう。
背中には微かな吐息と、小さな身体に籠った夏の熱を感じていた。