フラワーナイトガール短編妄想集   作:イッチー団長

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今回は少し趣を変えて、本作の団長がまだ駆け出しで、クコと初めて出会った日の話です。

それと、今回はワレモコウがちょこっと出演します。彼女は本作騎士団の最古参花騎士という設定です。ゲーム内でも初期銀はモコウなので、彼女には思い入れがあります。


クコとの出会い(前編)

 私もようやく自分の騎士団を指揮できるようになった。現在の任務は弱い害虫の討伐がほとんどであり、特に苦も無くこなすことができている。

 しかし、団の評価が上がるにつれて、困難な任務も増えていくだろう。今いる花騎士の他にも戦力は増やしておきたいところだ。

「ご主人、取る手に悪手なし。モコウも、新しい花騎士は必要だと考える?」

 軍師のワレモコウにもそう言われ、新戦力を探すことにした。

 

 秘書が集めてくれた調査資料に、ワレモコウと一緒に目を通す。しかし、優秀な花騎士のほとんどは何れかの騎士団に所属しており、新戦力探しは難航していた。

 そんな時、一人の花騎士に白羽の矢が立った。

「ご主人、このクコという花騎士、なかなか良さそう? トリトニア調査隊の医療担当? 衛生兵としての活躍も見込める?」

 トリトニア調査隊・・・その名前は聞いたことがある。ロータスレイクの湖畔の調査を専門にしていて、隊員は精鋭揃いだと言う。しかし、そんな花騎士が何故どこにも所属していないのだろう。

「それはこの調査資料だけでは判断できない? 直接会って確認するしかない?」

 それも一理あるな。悩んでいても仕方がない。取り敢えず彼女にコンタクトをとってみることにしよう。

「ご主人、できればモコウも一緒に確認したい? でも・・・」

 ワレモコウはそう言うと、顔を赤くしてもじもじし始めた。

 分かっている。ワレモコウは人見知りだからな。彼女には不在中の騎士団を頼むことにした。

「任せて欲しい? ご主人も、良い結果が出るよう祈っている?」

 

 

 

 というわけで、ロータスレイクにやって来た。最近開国したこの国は、国家のほとんどが湖であり、なんと水中に暮らしている者もいるという。ブロッサムヒルとはまるで違う、幻想的な景色に思わず目を奪われてしまう。

 ・・・観光に来たのではなかった。今回はクコと、彼女が所属している調査隊の隊長、トリトニアと会う約束をしている。知り合いの先輩騎士団長にも手を回してもらい、こうして会う約束をすることができた。

 

 手紙によればこの喫茶店で待ち合わせのはずだが、自分も浮足立っているためか、時間よりも大分早く来てしまった。仕方がないので、窓から見える湖でも見ながら待つことにした。

 

「じー」

 ふと視線に気付き、そちらを向くと、小さな金髪の女の子が物陰からこちらを覗いていた。

 何か気になるのだろうか。そう思いながら、なるべく優しく微笑みかけると、その子はこちらにトコトコと近づいてきた。

「・・・騎士団、制服、着用。あなた、騎士団長?」

 なるほど、この服が気になったのか。そうだ、ブロッサムヒルから来た騎士団長だ、と言うと、

「ん、目標、発見。団長、相席、問題なし?」

 そう言いながら、私の向かいの席にちょこんと座った。人と待ち合わせをしているんだが、まあ子供一人くらいなら大丈夫だろう、そう思って同席を許可した。

 

 少女は何とも不思議な口調で話しかけてくる。

「団長、任務、苦労? 助力、必要・・・?」

 今のところは大変ではないが、いずれ大きな騎士団になれば大変になるかも知れない、そう答える。

「・・・環境、変化、苦労。それなのに、何故、団長、頑張る・・・?」

 少女が難しいことを聞いてくる。しかし、彼女の儚げな雰囲気に、真面目に答えを考えた。

 

 何故頑張るか・・・思えば自分は何故団長になったのか。

 その答えは明白だった。害虫により傷付く人々を一人でも減らしたいからだ。そして害虫に脅かされている今を変え、未来に繋げていきたいからだ。

「未来・・・クコの考え、未来、変化、不要・・・団長の考えと相違あり。でも、クコ、理解。あなた、団長、悪い人じゃない。それだけで、クコ、安心・・・♪」

 少女はそう言ってニコッと笑った。その柔らかそうな口元が何とも可愛らしかった。

 ・・・ん? 今『クコ』と言ったか・・・?

「あ、もしかして君が団長くん? 初めまして、私はトリトニア」

 後ろから声を掛けられ振り向くと、そこにはクリーム色の長髪でマントを羽織った女性が居た。

「あ、クコとはもう仲良くなってくれたんだ。安心したよ」

 そう言われ、金髪の少女、クコの方を向き直す。

「ん、クコ、問題なし♪」

 

「団長、改めて自己紹介。クコはクコ。トリトニア調査隊のお医者さん。漢方、知識あり。団長、体調不良、クコに相談、推奨」

 こんな小さな女の子が花騎士・・・しかも精鋭揃いのトリトニア調査隊の一員とは・・・あまりの驚きに声も出なかった。

「むぅ・・・クコ、花騎士。立派な大人」

「あはは・・・でも身体が小さいのは本当なんだけどね」

 トリトニアはそう笑って流そうとしてくれたが、クコを怒らせてしまったのは事実なので、素直に謝った。見た目で判断して悪かった、と。

 

「ふふ、何はともあれ、君が優しい人みたいで良かったよ。君ならクコを預けても・・・預けても・・・うぅ・・・」

 トリトニアがいきなりブルブルと震え出す。どうかしたのかと思ったが、クコは平気な顔をしている。

「問題なし。隊長、心配症。でも、クコ、立派な花騎士」

「そ、そうだよね・・・元からクコには調査隊以外の活動もして欲しかったんだよ。本人にも良い経験になるしね。でも私と、何よりクコ自身が乗り気じゃなくてね」

 そうだったのか。それでどこの騎士団にも所属していなかったのか。

「肯定。クコ、恐怖・・・変化、恐怖・・・調査隊との今、大事。それで充分。でも・・・」

 クコは言い淀むと、私の方をチラチラ見てきた。まるで様子を伺っているように。

「クコ、興味、あり。団長、あなたに・・・」

「・・・団長くん、クコがこう言うのは本当に珍しいんだ。だから、私からもお願いするよ。クコを君の騎士団に入れてくれないかい?」

 勿論、今日はそのために来たんだ。むしろこちらからお願いしたいくらいだ。

 

 

 

 ロータスレイクの湖に夕日が反射して、きらきらと輝いている。何とも美しい光景だ。

「団長くん、それじゃあクコのことをよろしく頼むよ。あ、勿論たまには調査隊の仕事も頼むと思うけど」

 それは構わない。クコのような花騎士が来てくれただけで、こちらの戦力も大幅に上がる。

「うん。それとクコのことだけど・・・これは本人が言った方がいいか・・・」

 そう言い淀んで、今度はクコの方に向き直る。

「それじゃあ、クコ。団長くんに迷惑を掛けないようにね。夜は早く寝るんだよ。ちゃんと食事もバランスよく摂って、歯磨きも忘れずにね。体調・・・はクコなら自分で判断できるんだろうけど・・・後はえっと・・・」

 何もかも心配するトリトニアを見て、クコは嬉しそうに微笑んだ。

「隊長、心配無用。クコ、頑張る!」

 

 クコという優秀な花騎士を迎え、我が駆け出し騎士団の戦力は整った。

 しかし私には、一花騎士として以上にクコのことが気になった。彼女の儚い声や瞳、そしてトリトニアが言いかけたこと。

 

 そして、彼女との出会いが私の人生の分岐点になるとは、その時の私は思いもしなかった。




というわけで、クコとの出会い編でした。
今回は前編として、後編も近々書きますね。

今回、トリトニア隊長にも出演してもらいましたが、私の騎士団にはまだ迎えられてないんですよね。
お母さんみたいなキャラらしいので、凄く興味はあるんですが・・・

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
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