生放送決まりましたからね。来るスペチケのための布教です。
コンボルちゃんはいいぞぉ……
今回は少しシリアスだったりします。
「風穴を開けるっ!」
コンボルブルスの必殺技、ラストディスペアーが大型害虫に炸裂する。害虫の腹部には大きな穴が開き、やがて身体全体がボロボロと崩れていった。
「はぁ……はぁ……」
多足型の極限級害虫との戦いは数時間に及んだ。精鋭揃いの花騎士たちでも、疲労の色は隠せないようだった。特に切り込み隊長として奮闘したコンボルブルスの身体には無数の傷が出来ていて、所々出血もしているようだった。
よく頑張った、そう言って彼女の肩を叩くと、彼女は私の身体にもたれかかってきた。
「終わった……あなたを失望させなくて良かった。でも、流石に疲れた……団長さん、帰ったら一緒にお風呂入ろうね」
ああ、今日は私が洗おう。彼女の痛々しい傷痕を見つめながらそう告げた。
その時、地鳴りのような音が聞こえてきた。その音はどんどんと大きくなっていく。何かが近づいてきている。
高台に上り、目視確認を行うと、どうやら先程と同型の害虫がこちらに向かってきているようだ。その数は数十体。先程倒した害虫のフェロモンが仲間を呼んだのかも知れない。
一体一体は小さく、そこまで戦闘能力は高くないはずだが、こちらの疲労度を考えるとまず勝ち目は無い。
しかし厄介なことに、この型の害虫は移動速度が非常に速い。今から撤退しても追いつかれてしまう可能性が高い。
「団長さん、私が足止めするから、その間に皆を連れて逃げて」
しかし、コンボルブルス一人に任せるわけには……。
「大丈夫。むしろ一人だけの方が小回りが利くし、それなら戦闘能力が一番高い私が適任。このまま囲まれたら皆死ぬ。団長さんは誰も死なせたくないでしょ?」
確かにコンボルブルスの戦闘能力は、今の部隊でも群を抜いて高い。しかしコンボルブルスは夜になると寝てしまうじゃないか。
太陽はまだ真南にあるが、城に戻り増援を連れてくるまで何時間かかるか分からない。
「夜になったらどこかに隠れるよ。早くして! 誰も死なせたくないんでしょ!?」
長いスカートを翻して、コンボルブルスは害虫の群れへ駆けていった。
……本当は分かっていた。この状況で逃げるには、誰か一人を囮にするしかないということ。その役目を担えるのは、コンボルブルスしかいないということも。
無事でいてくれ。そう祈って撤退を行った。
城に戻って増援を編成した。ボロボロの身体に鞭を打ち、私自身も先程の場所へ赴く。
太陽はもう西の方へ移動している。もう時間が無い。
「団長さん、害虫の群れを発見しました。あそこです!」
花騎士たちが害虫の群れに切り込む。
害虫達はあっさりと全滅したが、コンボルブルスの姿が見えない。
最悪の事態を想像してしまう。
「団長さん、あそこに害虫の死骸が10体程あります。私たちが倒した個体とは別のようです」
死骸を確認すると、どれも腹部に巨大な穴が開けられている。おそらくコンボルブルスが倒したものだろう。
ふと足元を見ると、血の痕のようなものがある。人間のもののようだ。
血の痕はポツポツと続いている。もしかしてコンボルブルスが戦闘中に流した血かも知れない。ということは、これを辿れば彼女の居場所に繋がっているはずだ。
血を辿ると洞窟が見えてくる。その中にまで血が付いていた。
洞窟の奥まで進むと、薄暗い岩壁にもたれて、コンボルブルスが座っていた。その小さな身体で、自身の武器である槍を抱きながら。
ランプで彼女の顔を照らす。瞼は閉じたままで、白い綺麗な顔と髪が血まみれになっている。
死んでいるのではないか……そう思える程、彼女の肌からは血の気が引いていた。
「死んでない……大丈夫……」
かすれた声が私の耳元まで届く。見ると、コンボルブルスの瞳が薄っすらと開いている。
「団長さん、信じてたよ……もう少し遅かったら、私……」
そこまで言って、再び彼女の瞳が閉じる。今度こそ力尽きたのかと思ったが、やがてすぅすぅと寝息が聞こえてきて、私も肩を撫で下ろした。
翌朝、コンボルブルスが運ばれた病院を訪れた。
白いベッドの上で、包帯をぐるぐるに巻いたコンボルブルスが佇んでいた。
「あっ、団長さん、お見舞いに来てくれたの?」
微笑む彼女を、何も言わずに抱き締める。それに応じて、彼女の腕も私の背中に回る。小さな身体からは心臓音が鳴り響いている。
昨日はコンボルブルスのおかげで助かったが、出来ればこんな危険なことはさせたくなかった。そう彼女に告げた。
「団長さんは優しいから、私に囮になれなんて言えないと思ったの」
君を死なせたくなかった。君を愛しているから。しかしそのせいで皆を危険に晒してしまった。コンボルブルスの判断がなければ、本当に全滅していただろう。
「うん……だから私が自分で囮になった。誰かが死んだら、団長さんは凄く悲しむだろうから」
ありがとう、そう言ってコンボルブルスの頭を撫でる。彼女は嬉しそうに頬を染めた。
「何があっても、あなたは私が守る。あなたとソリダゴを守ること、私の命はそのためにあるから」
コンボルブルスがその小さな手で私の頬を撫でた。
「ただいま、団長さん。私がいない間、怪我とかしなかった? 風邪も引いてない?」
退院して騎士団に復帰したコンボルブルスは、執務室に来るとすぐさま私の心配を始めた。
「あなたとソリダゴからは目を離したくなかった。だから今までの分も、ちゃんと守るからね」
それなら早速依頼しよう。今日の昼頃、城内でパーティーがあるので、その護衛をお願いしたい。
「パーティー? うん、分かった。団長さんのこと、ちゃんと守る!」
城内にある一番大きなホール。そこであるパーティーが行われるので、コンボルブルスと一緒に出向いた。
扉を開けると花騎士たちの歓声があがる。
「えっ……えっ? 団長さん、これって……」
困惑するコンボルブルス。それもそのはず。花騎士たちはコンボルブルスに向かって感謝の意を伝えているのだから。
「えっ、これって私の退院祝いなの? どうして言ってくれなかったの?」
人見知りのコンボルブルスのことだから、きっと誘っても来ないとおもったんだ。
「確かにそうだけど……」
おどおどしながら私の手を握るコンボルブルス。害虫相手に勇ましく戦っていた彼女とのギャップが、何とも可愛らしい。
司会者から挨拶を求められると、コンボルブルスは更に困惑した。
「む、無理だよぉ……団長さん……」
上目遣いで私を見つめてくる。
私が隣についていてあげよう。そう言って彼女の頭を撫でて、ステージに上がらせた。
「え、えっと……今日は私のためにパーティーを開いてくれて、ありがとう……ございます」
何とか挨拶はするが、その後の言葉が続かない。
そこで会場の花騎士たちが口々に感謝の気持ちを伝え始めた。
「私達を助けてくれてありがとう」、「害虫を倒してくれてありがとう」、「ありが十匹でありがとうだよ!」
「皆……えへへ……嬉しいな」
目を細めてはにかむコンボルブルス。
これをきっかけにコイソリハ隊以外の花騎士たちとも仲良くなってくれたらいいなと思った。
「団長さん……」
パーティーが終わると、コンボルブルスは執務室にやってきた。ぐったりと疲れている様子だった。
「知らない人は苦手……今日はコイソリハ隊の皆は別の任務中だもんね」
しかし頑張って話していたじゃないか。
偉い偉いと彼女の頭を撫でる。
「えへへ……他の花騎士さん達も優しいから、これから少しずつお話していきたいな……でもこうして本当に好きな人と二人きりでいる時間が、やっぱり一番好き」
コンボルブルスが背伸びをする。
彼女の柔らかい唇の感触を頬に感じる。
「本当はね、あの日凄く怖かったんだよ。死んじゃうかも知れないって思った」
私の胸に顔をうずめながら、彼女がポツリポツリと語った。
「でも団長さんの顔を見て、安心した。私まだ生きられるんだ、あなたやソリダゴ、コイソリハ隊の皆とまだ一緒にいられるんだって」
彼女の華奢な肩を抱く。
……今日は一緒にいよう。
「うん、私が寝ちゃうまで、団長さんはずっと私の傍にいて。生きている限り、あなたは私が守るから」
ちょっと真面目なお話でした。
コンボルちゃん、ボイスを聞いてると、自分の命を投げ出してでもソリダゴや団長を守ろうとするタイプですからね。結構危なっかしい子です。
今回のSS見てくれた人は、次のスペチケには是非コンボルちゃんを!
アビがめっちゃ強いのは勿論ですが、季節ボイスの甘さが良いです。
これは手に入れて確認して貰えればと思います。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。