と言ってもハロウィン感は薄いですが。
ポーチュラカ、大好きなキャラですが、ダジャレ考えるのが凄まじく難しいです。
今回のSSは中々苦労しましたねぇ……。
「さぁさぁ、この圏に乗ってこのステージを一周するよ。失敗したら私の身体は真っ二つ! 緊張の一瞬だよ」
ポーチュラカのその言葉に会場の空気も張り詰める。
「よっ……ほっ……」
自身の武器である圏にピョンと乗り込み、両腕を動かしながらバランスを取る。
「んしょっ……それそれ~」
一度バランスが取れてからはスムーズに進んでいく。そのままステージを一周して、軽々と圏から飛び降りた。
ポーチュラカの芸に会場からは溢れんばかりの拍手が送られる。
「ありがとうだよ~! この拍手喝采、かぁっ、最高だよ!」
折角盛り上がっていた空気が少し冷やされたことは、彼女には内緒にしておこう。
「団長、どうだった私の芸は?」
とても楽しかったと伝える。
「えへへ~、楽しんでくれたなら何よりだよ」
今日はハロウィン。
我が騎士団内では一般客も招いてパーティーを開くのが恒例となっている。
花騎士が芸をしたり、お菓子を配ったりして皆を楽しませる。
ポーチュラカは大講堂のステージを任されたので、お得意の大道芸を披露したわけだ。
くじ引きでトップバッターになったが、良く仕上がった芸だった。会場もちゃんと盛り上がって良かったよ。(最後のダジャレが無ければ)
そうポーチュラカに伝えると、彼女は自身の髪をしきりに弄り始める。どうやら照れているらしい。
「でもでも、何だかいつものダジャレショーより盛り上がってる気がするよ。それだけが納得できない……」
気のせいだろう。それより折角だし一緒に回らないか。
「うん、回る! そう、まるで私の圏のようにぐるぐる回るよ~」
本当に回りだしたポーチュラカの肩を抱き寄せる。
「あぅ……団長ったら、大胆なんだよ……」
ポーチュラカの頬が真っ赤に染まる。いつも元気な彼女がいじらしくなるのが、何とも可愛らしい。
「さぁいらっしゃい! ランタナが作ったお菓子を良い子の皆と悪い大人の皆に配るよ~」
聞きなれた元気の良い声が聞こえてきた。
覗いてみると、コック姿のランタナがキッチンでクッキーを作っていて、子供たちがそれを囲んで見ている。
甘い香りが鼻先に運ばれてくる。
「あっ、悪い大人だ!」
誰が悪い大人だ。
「だって私みたいなロリっ子美少女を寝室に連れ込んでるんだよ~。これが悪い大人じゃなかったら何なのさ?」
「団長、今の話……」
ご、誤解だ……というか、子供の前でそんな話をするんじゃない!
結局クッキーを貰って、そそくさとその場を後にした。
しかし、今の話をどう弁明すれば良いだろうか……。
「団長、大丈夫だよ。ランタナさんは良く冗談言ってるし、団長がそんなことする人じゃないのは分かってるから」
何て良い子なのだろう。
思わずポーチュラカを抱きしめてしまう。
「ひゃぁっ! だ、団長……恥ずかしいんだよ……」
恋人同士なのだし、問題はないだろう。
「そ、そうだけど……もう! 次行こう、次」
顔を真っ赤にしながら、照れ隠しのように私の腕から逃げる彼女が、とても可愛らしく感じた。
「さぁさぁ皆さん、絵本の読み聞かせ始めますよ~」
子供たちのはしゃぐ声が聞こえる。
その中心にいるのはリシアンサスだ。
「リシアンサスさんは絵本の読み聞かせをするの?」
「はい。自分で書いた絵本を読むんですよ」
「自分で? え~ほんと!?」
「……」
おしゃべりなリシアンサスでも、ポーチュラカのギャグには対応できなかったらしい。
「いや~面白かったよ。登場人物が皆笑顔で、とっても良かったんだよ」
「ありがとうございます! やっぱり物語はハッピーじゃないと」
笑顔とハッピー。この二人は随分と気が合うらしい。
楽しそうにおしゃべりする二人を微笑ましく見つめる。
「団長、リシアンサスさんも言ってた通り、ハッピーって大事なんだよ。私は団長が幸せで、笑顔でいてくれるのが一番なんだからね!」
嬉しいことを言ってくれるな。
そう言ってポーチュラカの頭を撫でる。
「えへへ……笑顔が一番ええ(良い)顔だしね」
うむ、そうだな……。
「う~ん、困りましたね……」
一周して大講堂に戻ると、ナズナの姿があった。
何かうなっているが、どうかしたのだろうか。
「あっ、団長様。実は今日公演予定だった花騎士さんが、一人体調不良で休んでしまって……」
それは心配だな。
道具の準備などの問題もあるし、予定時間を早めるのも難しいだろう。
「ふむふむ。なるほど……つまりピンチヒッターが必要ってことだね?」
「誰かあてがあるんですか、ポーチュラカさん?」
「ふふ、ここだよ、ここ。私、ポーチュラカが代役を務めよう……」
いきなりだが大丈夫か。
「勿論。この代役をちゃんと務められたら、私のダジャレ道も大躍進だよ」
何だか不安になるが、当人がやる気のようだし、取り敢えず任せてみることにした。
「皆、ハロー! 今日はハローウィンだよ!」
いきなり掴みを間違えたような気がする。大丈夫だろうか。
「私は花騎士のポーチュラカだよ。これからダジャレ100連発を披露するんだよ!」
「ハロウィンと言えば仮装だよね。え、服が無いって? それなら私が貸そうか」
「今日のためにこれを作ったんだ。ジャックオーランタンだよ。作り方は意外と簡単だったよ」
「何だか魔女の仮装が多いね。マジョリティだね!」
「私もお菓子を用意したよ。でもごめん。ちょっと失敗しちゃって、おかしな形になっちゃったんだよ」
……。
お疲れ様だ、ポーチュラカ。まあややウケと言ったところだろうか。
「うぅ……自身の中では、結構自信あったのになぁ……」
軽くギャグを言える辺り、そこまでへこんではいないらしい。
「うん! だって今日はハロウィン! 皆が楽しそうな顔をしてるだけで、ポーチュラカも嬉しいんだよ」
ポーチュラカの元気の源は皆の笑顔か。
そんな優しい彼女を誇りに思い、頭を撫でてあげることにした。
「えへへ……でも団長。ハロウィンはまだまだこれからだよ。というわけで、はい。ポーチュラカ手作りのおかしなお菓子」
そう言うと思ったので、こちらも用意してある。市販品だが。
「ありがとう団長! よ~し、それじゃあもっと色々回ってみるんだよ!」
ポーチュラカの手が私の手にそっと触れる。
軽く握り返すと、彼女の頬が真っ赤に染まった。
小さな手の温もりを感じながら、にぎやかなパーティーの中に入っていった。
≪余談≫
「ランタナさん、言っていい冗談と言っちゃだめな冗談があると思うんだよ……」
「ごめんって! そんな顔しないでよ~」
「まあ団長は浮気なんてする人じゃないけどね」
「どうかな……確かにポーチュラカとだんちょはラブラブの恋人だけど、一つ選択を間違えば、私と恋人になってたのかも知れないよ」
「えっと、つまり……」
「つまり選択肢一つ変われば、だんちょがランタナと恋人だったり、クコと結婚寸前だったり、ニシキギと変態プレイをしている世界線もあるってこと。選択肢一つで世界がどんどん枝分かれしていくんだじょ!」
「おぉ! 良く分からないけど何か凄いんだよ!」
「そう、だんちょは凄いのだ! イエーイ!」
「イエーイ!」
というわけでポーチュラカ回でした。
ポーちゃん、あれだけダジャレ連発できるのは、やっぱり頭良いですよね。
尊敬してしまいます。
あと余談が本当に余談。
全てのSSはパラレルワールドの関係にあるという脳内設定です。
じゃないと浮気ですからね(笑)
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。