おままごとと言えばクコとヘナなのですが、今回は敢えてお休みに。
コンボルちゃんの幼妻感とバナナ娘の元気っ子っぷりが書きたかったので。
眩しい朝日を浴びて目を覚ます。
ダイニングへ向かうと、卵焼きの美味しそうな匂いが漂ってきて、腹の虫がぐぅと鳴った。
「おはよう団長さ……お父さん」
台所に向かっていた女性が、長い白髪をたなびかせながら振り返った。
私の妻、コンボルブルスは私を見ると優しく微笑んだ。
「お父さん、悪いんだけど子供たちを起こしてきてくれない?」
コンボルブルスは手が塞がっているようなので、快く引き受けた。
二階にある、子供たちの部屋に向かう。三姉妹が川の字になって眠っているので、順に起こしていこうと思う。
まずは長女ポーチュラカ。身体をゆすると直ぐに目を覚ました。
「んぅ……お父さんおはようだよ」
眠たそうな目を擦るポーチュラカに、すぐ起きられて偉いぞと撫でる。
「えへへ……こんなに早く起床できる子は希少だからね!」
……。
次は次女のリシアンサス。枕元に絵本が散らばっている。読みかけのまま寝てしまったらしい。
「んぅ~……えへへ~」
幸せそうな寝顔を見ると、起こすのに気が引けてくるが、これも彼女のためだと心を鬼にする。
「んんっ……あ、お父さん。おはようございます」
随分気持ちよさそうに寝ていたようだが。
「えへへ……ハッピーな夢を見てました。そうそう、この絵本みたいな!」
満面の笑みを浮かべるリシアンサスの頭を撫で、朝ごはんが出来ているから行ってきなさいと伝えた。
「は~い」
そして、末っ子ランタナ。これが最大の難関なのだが……。
「ん~……ペポをかじったらお腹が……」
しかしこの子、寝相が悪すぎる。枕が足元に来ているし、へそが丸出しになっている。
早く起きろと身体を揺するが、一向に起きる気配がない。
「むにゃ……ランタナは合法だぁ……」
何だか良く分からない寝言を言っている。
ええい、いい加減起きろ。
「んにゃぁ……うるせぇ~!」
ランタナの足が腹にめり込み、思わずうめき声を上げ、その場にうずくまる。
「どうしたの?」
その声を聞きつけたのか、コンボルブルスが部屋にやって来た。
「ランタナが起きない? ふーん……」
彼女がランタナをジトっと見つめる。
「あ、いえ、起きました! 起きましたよ、コンボルブルスママ!」
いつの間にか目を覚ましたランタナが布団の上で正座をしている。
「……そう」
コンボルブルスの手がランタナの頭に添えられると、ランタナはすぐさま立ち上がった。
「か、顔を洗ってまいります!」
そのままさっさと走っていってしまう。
「……ねえ、お父さん。私怖いのかな?」
そんなことはないだろう。
ただ、表情が少ないので、勘違いされやすいのかも知れない。
「表情……う~ん……」
たまに見せる笑顔が可愛らしいのだが、末っ子のランタナにはまだ分からないのだろう。
「そうなのかな……」
「皆席についた? それじゃあ、いただきます」
コンボルブルスがあいさつをすると、子供たちもそれに続く。
「コンボ……お母さん、おいしいんだよ」
「ホント、お母さんは料理上手ですね」
「これでだんちょ……パパの胃袋を掴んだのか~!」
「もう、やめて……」
顔を真っ赤にするコンボルブルス。やはり可愛いところがある。
「ところでパパ~、ランタナ欲しいものがあるんだけど~」
後にしなさい。
「えぇ~、そんなこと言っちゃっていいの。昨日の夜のこと、ママに言っちゃうよ?」
「昨日……なんかあったの?」
いや、何の心当たりもない。
「忘れちゃったの? 昨日パパはランタナのベッドに潜り込んできて……」
「って、ランタナさんストップ! ストップです!」
リシアンサスが大きな声でランタナを静止する。
「それはやり過ぎです。子供に見せる劇なんですからね」
「この劇は過激なんだよ?」
「……とにかく、もう少し道徳的にですね……」
数日後、近くにある保育園の園児たちとの交流会があり、そのために劇をすることになった。脚本はリシアンサスで、幸せな家族を描いた作品を作りたいらしい。
「アドリブ入れてもいいって言いましたが、いくら何でもアドリブ利かせすぎですよ!」
「おぉ……ごめんごめん」
珍しく怒るリシアンサスに、ランタナもたじたじになってしまう。
「ふぅ……演技って疲れる。団長さんは疲れてない?」
私の襟元の乱れを直してくれるコンボルブルスに、大丈夫だと囁く。
「あ、それとコンボルブルスさんは、もっとリラックスしてください。緊張は子供たちにも伝わりますからね」
「うん……分かってるけど……」
コンボルブルスは人見知りで、このメンバーにもいまいち慣れていないのだろう。
しかし、そんな彼女が今回の劇に参加してくれたのは意外だ。
「皆が推薦してくれたから……」
「母性に溢れた人を応募せい!って言われたから、コンボルブルスさんがいいかなって思ったんだよ」
「優しくて料理上手ですし、お母さんって感じですよねぇ」
「お母さんって歳じゃないけど、皆から期待されてるんなら、失望はさせたくないから……」
偉いぞと言って頭を撫でると、彼女の頬は真っ赤になった。
「あ~、ママだけずるい! ランタナも撫でて~」
何だか本当に家族みたいになってきたな。
「あ、それとポーチュラカさん。ダジャレは禁止で」
「!?」
それから私たちは、
「こら、ちゃんとおもちゃを仕舞いなさい。姉妹だけに」
「ポーチュラカさん?」
練習に練習を重ねていった。
「ママ~」
「よしよし」
「ふふっ、何だか子供のころのおままごとを思い出しますね」
「そう言えば、私も昔コイソリハ隊の皆とそういう遊びしてた。リナリアが設定考えてくるの」
それは……大変だっただろうな。
そして当日。
「コンボルブルスさん、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫……」
顔色が悪いし、目が充血している。大分緊張しているようだ。
「大丈夫ですよ。一生懸命やったのは子供たちにも分かりますから」
「ママ、頑張れ~」
「頑張れお母さん~」
「うん……頑張る」
……と言うわけで、緊張こそしたものの、劇自体は問題なく閉幕した。子供たちも中々喜んでくれたようで、練習した甲斐があったというものだ。
「よ~し、これからだんちょの奢りで打ち上げだ~!」
勝手に決めるな……と言いたい所だが、皆頑張っていたし、今日は私が奢ろう。
「わ~い、団長の奢りだ~。存分におごり高ぶるんだよ」
「団長さん、ごちそうになります!」
「コンボルブルスママも行こう、だんちょの奢りだじょ~」
「あ、うん」
トコトコと駆け寄って、花騎士たちの輪に入るコンボルブルス。
人見知りの彼女も、何だかんだこのメンバーには慣れたようだ。
「うん、楽しい人が多いし、これからも仲良くなっていけそう」
楽しそうにおしゃべりをする四人が可愛らしく、いつまでも見ていたい気分になった。
というわけでおままごと回でした。
ポーちゃん、リシアンサスちゃん、ランタナは何か一緒に書きたくなるんですよねぇ。皆可愛い。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。