フラワーナイトガール短編妄想集   作:イッチー団長

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この前のキャラクエスタミナオフ期間で色々やってみて、書きたい子が増えてしまいました。
特に今回のイキシアちゃんは好きになりました。ドジだけど真面目な頑張り屋とか、私大好きなんですよ。

というわけで、今回の主役は「もうじきちゃん」ことイキシアちゃんです。
非ロリを描くのは結構久しぶりですね。


リーダーとして

「団長さん、こっちの書類の整理は終わったよ。後は何かやることある?」

 イキシアがツインテールの長い黒髪をたなびかせて近づいてくる。後は大丈夫だから、休んでいてくれと伝える。

「はーい。それじゃあ団長さんのこと観察してるね」

 彼女のキラキラとした眼差しが私に突き刺さる。可愛らしいが、これでは仕事が中々手に付かない。

 

 イキシアは最近私の騎士団に配属されたのだが、どうやら私からリーダーシップを学びたいらしい。ことあるごとに執務室にやってきて、私に質問したり観察したりしている。

 それで何かを学べるかは分からないが、勉強熱心なのは感心だ。それに最近は花騎士のリーダーになれるような人材が欲しかったので、彼女がそうなってくれればいいなと密かに期待しているのだった。

 

「団長さん、コーヒー淹れてきたよ」

 目を離している隙にコーヒーを運んできてくれたようだ。しかし足元に気を付けないと……。

「きゃぁっ!」

 落ちていた本に足を取られ、イキシアの身体が宙に浮く。

「っとと!」

 何とか踏みとどまり、お盆でコーヒーカップをキャッチした。

 

「あっぶない……もう少しで団長さんをやけどさせちゃう所だったよ。ごめんなさい、次は気を付けます……」

 と、こんな感じでイキシアには少しドジな所があるのだった。

 

 結果的に大丈夫だったのだから、あまり気にする必要はないと肩を叩いた。

「うぅ……ありがとう。団長さんは優しいんだね……」

 顔を真っ赤にして目を潤ませるイキシア。その表情にドキッとしてしまう。

 

「私どうしたらドジをなくせるのかな……これじゃあリーダーになんてなれないよ……」

 俯く彼女の頭を撫でる。

 リーダーがドジではいけないという決まりはないだろう。実際、私も良くドジをするしな。

「あ~、確かにそうだね」

 そうあっさり納得されると複雑な気分になるな……。

 

 と、とにかく、完璧な人間などいないのだから、少しの愛嬌は必要だと思うんだ。特にイキシアはそんなところも愛されているのだし。

「愛されてる……私が?」

 うむ。所属されて日は浅いが、他の花騎士たちの評判は上々だ。それもイキシアの真面目で誠実な人柄のおかげだろう。

「そっか……本当なら嬉しいな……」

 目を閉じて微笑む彼女が何とも可愛らしかった。

 

 

 

「ご主人、いるです?」

 執務室の扉の向こうから声が聞こえてきた。こんな独特な話し方をするのはワレモコウしかいない。

 

「ご主人に相談がある? モコウ、お暇をいただきたいです? ベルガモットバレーに帰りたい?」

 な、何故だワレモコウ。私に何か至らない所が……?

「……断じて、モコウはご主人の奥さんじゃない?」

 ボケのつもりだったが普通に返されてしまった。

 

 まあ、有給取得は花騎士の権利だし、問題はない。(というか、有給取得率が悪いと私が上に怒られる)

「はいです? でも、一つだけ気がかり? モコウがいなくて、戦術は大丈夫です?」

 確かにワレモコウはいつも作戦を考えてくれている。特に一週間後の任務にワレモコウがいなくなるのは辛いか。

「モコウ、帰るの遅らせてもいいです?」

 いや、いつまでもワレモコウに頼ってばかりではダメだろう。他の花騎士たちにも経験を積ませなければ。

「……分かったです?」

 

 

 

「……私が部隊長に!?」

 イキシアが驚愕の声をあげる。それもそのはず、他のベテランたちを抑えての大抜擢だ。

 

「嬉しいけど……だだだだ大丈夫かなぁ?」

 声が震えている。落ち着いて深呼吸をするよう促した。

「すぅ……はぁ……でも、本当に私で大丈夫?」

 それは勿論。ワレモコウや他の花騎士たちの推薦も貰っている。

「い、いつの間に……」

 

 私もイキシアが適任だと思った。どうだ、引き受けてくれないか。

「だ、団長さんがそう言うなら……うん! 私頑張るよ!」

 手をギュッと握るイキシア。真面目な彼女ならきっと問題ないだろう。

 

 

 

≪害虫討伐作戦当日≫

 ブロッサムヒル郊外の田園部。ここでは最近、害虫による被害が多発していた。調査隊を派遣したところ、どうやらこの近辺に害虫の巣があることが判明した。

「その巣ごと殲滅するのが今回の作戦だね?」

 

 しかし厄介なことに、今回の相手はアリ型害虫だ。連携力が高く、また女王を守ろうとする意識がとても強い。

「逆に、女王を倒せれば群れは一気に殲滅できるんだけどねぇ」

 

「団長さん! 偵察終わりましたよ!」

 リシアンサスが勢いよく扉を開けて帰ってきた。

「やっぱり巣に近づくと害虫が集まってきます。範囲はだいたいこんな感じで……」

 地図に害虫の知覚範囲を書き込んでいく。

 

「ありがとうリシアンサスさん」

「どういたしまして!」

 イキシアはリシアンサスの足の速さを見込んで偵察を頼んだのだった。仮に見つかっても逃げることが出来るという理由で。

 

 

 

 リシアンサスの報告した害虫の特徴はこうだ。

 まず巣から半径3km以内に入ると、群れ全体に察知される。

 また、誰か一匹に気付かれると、近くの仲間が集まって来るようだ。

 

「それじゃあ、陽動で群れを足止めしてから女王を叩く感じで行こうか?」

 私もその作戦が一番だと思う。あとは陽動部隊と巣に潜入する部隊の振り分けだが。

「大丈夫。それは私に任せて! ゲホッ!」

 胸を思い切り叩きすぎてむせたようだ。それを見て、固くなっていた花騎士たちの表情も少し柔らかくなった。

 

 

 

「というわけで、陽動二部隊は南側で害虫を引き付けて。私達は気付かれないように北側から巣に侵入するから。それと、陽動部隊のリーダーはリシアンサスさんとポーチュラカさんに任せていい?」

「了解しました」

「リーダーだね? いーだーろう」

「……とにかくお願いね? 危なくなったら、バラバラじゃなくて固まって逃げてね」

 

 潜入部隊は少数精鋭で、陽動部隊の方に多く人員を配置した。

「陽動の方が危険だからね。この方がリスクは少ないと思って」

 

 

 

 害虫の巣一掃作戦が開始された。一斉に駆けていく陽動部隊。我々はスコープで遠くから様子を眺めている。

 

「よし……その調子で。うぅ……本当に大丈夫かな、この作戦」

 大丈夫だ。それに、リーダーがその様子では、成功するものも成功しなくなってしまう。もっと堂々としていなければ、部下も不安になってしまうだろう。

「そ、そっか。団長さんはいつも堂々としていて凄いね」

 私も内心はドキドキだが、それでも信じるしかないんだ。花騎士たちを。

「……そうだよね。リーダーが一番信じてあげないとね」

 

「うん。上手い具合に引き付けてくれてる。それじゃあそろそろ行こうか?」

 物音を立てないように巣へ近付く。巣は地下に長く伸びていて、中の様子は見えづらい。

 

「中にも護衛の害虫がいると思うから、気を抜かないでね」

 緊張はしているようだが、あくまで笑顔は絶やさずに花騎士たちを鼓舞するイキシア。中々頼もしいと感心してしまう。

 

 

 

 中の害虫を倒しながら、女王がいると思われる最深部にたどり着く。岩影から中を覗き込むと、存在感を放つ害虫がいた。

「ん? あれが女王じゃない? 明らかに大きいし」

 他の害虫が小~中型なのに対し、一匹だけ大型並の大きさだ。それに何故か網タイツを履いて鞭を持っている。そっちの女王様なのか……。

 

「よし、それじゃあ一気に仕掛けるよっ! あっ!」

 一気に攻撃しようとした矢先、イキシアが石につまづいて転んだ。それに気付いた女王アリが彼女に向けて突進してくる。

「コノブタヤロォォ!!」

「きゃぁっ!」

 しかし、彼女だけしか見えていない害虫に、花騎士たちが不意打ちを仕掛ける。

 

「コノ……ブタヤロウ……」

 害虫は力なく倒れた。結果的にイキシアがフェイントの役割をしたということか。

「えっ……これでいいの?」

 結果オーライだ。

 

「おっ、抵抗が弱くなった。というか意気消沈って感じなんだよ?」

 女王が沈んだことで指揮系統を失った害虫たちは、花騎士の手によって呆気なく倒された。

 

 

 

「というわけで、イキシアさんお疲れ様会を始めるんだよ」

 講堂を借りてパーティーをすることになった。もちろん、主役はリーダーのイキシアだ。

「あ、ありがとう……。でもいいのかな? 私あんまり活躍してないけど……」

「いいんですよ。勝ったっていう結果しかないんですから。ハッピーエンドですよ」

 

「でも頑張ってくれたのは皆だし……」

 釈然としていないイキシアに私からも声をかける。

 リーダーというのはそういうものなのだ、と。

 

「そ、そうなの……?」

 そうだ。部下の活躍は自分の手柄だし、部下の失態は自分の失態だ。

「団長がそんな感じだもんね~」

 ポーチュラカの一言に会場からも笑いが起こる。

 

 結局はそれを皆が許してくれて、付いてきてくれれば、それでいいんだ。事実、イキシアが今日の討伐を誇っても誰も文句を言わないだろう。

「……うん! 皆ありがとう!」

 イキシアの顔から満面の笑みがこぼれる。こういう素直さが、皆からも好かれているのだろう。

 

 

 

「団長さん、私もっと頑張って、この騎士団の皆をまとめられるリーダーになるから。だからその……これからもよろしくお願いします。キミからもたくさん学ばせて貰うからね」

 こちらこそよろしくと返す。

 勉強熱心な彼女ならば、本当に素晴らしいリーダーになるのも夢ではないなと思った。

 

 

 

≪余談≫

「イキシア、お姉ちゃん。騎士団のお姉ちゃん」

「イキシア、ヘナたちのねぇね……なの」

 イキシアがクコとヘナに取り囲まれているようだ。

 

「あ、団長さん。えへへ……懐かれちゃって。この騎士団、小さい子が多いから妹や弟たちを思い出すよ」

 そうか。花騎士たちの仲が良いのは微笑ましいことだ。

「あれ? でも本当にちっちゃい子ばかりだよね? 何でだろう?」

 き、気のせいだ。別に小さい花騎士を優先して所属させているわけではない。断じて気のせいだ。

「……そ、そうだね?」




というわけで、イキシアちゃん回でした。
今後も我が騎士団のドジっ子リーダー兼お姉ちゃん枠として活躍して欲しいですねぇ。

次回は年越し回。ほとんど完成はしています。
もしよろしければ、また読んで頂けると嬉しいです。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
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