私の一年を振り返ってみると、まずお花を始めたこと。そしてSSを書くようになったこと。去年の私には想像も出来ない程活力にあふれた一年となりました。
これも読んで下さる皆様のおかげです。ありがとうございます。
今回は年越しのお話。ポーちゃん、リシアンサスちゃん、ランタナというバナナの元気娘たちでお送りいたします。
12月31日の夜。思えば今年一年は色々なことがあった。しかし、余計なことは綺麗さっぱり忘れて、新しい年を迎えたいと思う。
「だんちょ、酒持ってきたぞ~! 一緒に飲も?」
ランタナがノックも無しに部屋に入ってきた。その小さな手には酒瓶。何だか不釣り合いな格好だなと思ってしまう。
「ほら飲め飲め~。それともランタナの酒が飲めないのか!?」
ランタナが酒瓶を押し付けてくる。頬がほんのり赤くなっているが、もしかして既に酔っているのか……?
「だって今日は年越しだよ。飲んで全部忘れるんだじょ!」
一理あるかも知れない。彼女から酒瓶を受け取り、私も一杯の酒を口にした。
「団長~、いる?」
「団長さん、いらっしゃいますか?」
やがてポーチュラカとリシアンサスも尋ねて来る。しかし部屋に立ち込める酒の匂いに、二人は顔をしかめた。
「って団長とランタナさん、お酒臭いんだよ。二人を避けたい気分だよ」
酒だけに避けるか……ふふふ、中々面白いじゃないか。
「だ、団長が笑った……!」
「ポーチュラカさんのダジャレで笑うなんて、相当酔ってますね」
「……リシアンサスさん?」
酒を飲みながらわいわいと賑わう花騎士たち。今夜はまったりと過ごしたかったのだが、これはこれでいいものだ。
「お酒はあるけど、おつまみがないね。どうせなら美味しい料理を食べながら飲みたいけど」
「ランタナはお菓子なら作れるじょ。だんちょ、ちょっと台所借りるね?」
待て、新年早々部屋がなくなるのは辛い。
「私はホットドッグとかハンバーガーなら得意ですけど……」
これだけ人がいて、全く戦力が足りていないのも珍しい。
「料理といえば、コンボルブルスさんの料理はおいしいよね。私大好きなんだよ」
私も何度も食べさせてもらっているが、確かにコンボルブルスはかなりの腕前だ。
「よし、それじゃコンボルブルスの部屋にレッツゴー!」
「コンボルブルスさんは寝てる時間ですよ?」
「起こそう!」
やめてやれ。というかテコでも起きないと思うが。
結局私がつまみを作ることになった。とはいえ、冷蔵庫の残り物で適当に作るだけだが。
「だんちょの女子力にランタナは感服したじょ。嫁に来い、だんちょ!」
……将来花騎士に養ってもらうのもいいかも知れない。
「団長さん、悪い顔になってますよ」
「よし、それじゃあ今日からだんちょはランタナの嫁だ。私より先に寝てはいけないし、私の後に起きてもいけない!」
いつの時代だ。やっぱり却下だ。
時刻は11時を過ぎている。あれだけ賑わっていた花騎士たちも、もう疲れと酔いが回ったのか、しんみりとした空気になってきている。
「もうすぐ年越しですねぇ」
リシアンサスがポツリと漏らした。時計の針がカチカチ動く音が鳴り響く。
「来年はもっとダジャレで笑ってもらえるように頑張るんだよ」
「私はもっと絵本を描いて、皆をハッピーにしたいです」
「私はペポをもっとかじる!」
花騎士たちが新年の抱負を述べていく。目標があることはいいことだ。最後のはアレだが。
「団長は?」
私は、そうだな……春庭が平和で、花騎士たちが健やかにいてくれれば、それで充分だ。
「だんちょ、何よそ行きのお願い言ってんの? もっとあるでしょ、ハーレム作りたいとか」
それも悪くないかも知れない……。
「団長さんがまた悪い顔に……」
時計の針が回っていく。分針が12を指した瞬間、花騎士たちの歓声が上がった。
「新年、おめでとうございます」
「おめでとうだよ!」
「おめでと~!」
グラスを掲げて再度乾杯をする。先程の空気はどこへやら、再び賑やかな飲み会が始まった。
「……ちょう……団長」
ポーチュラカの声が聞こえて目を覚ました。ぱっちりとした目が私を覗き込んでいた。
起きた瞬間、あまりの寒さに身震いをする。布団もかけずに眠ってしまったようだ。
「もうすぐ初日の出の時間だよ。二人も起こして、一緒に見に行こう?」
部屋を見回すと、リシアンサスもランタナもいびきをかいて眠っている。可愛らしい寝顔で、起こすのが忍びなく思った。
まだ暗い寒空の下を四人で歩く。冷たい風に身体を震わせながら。
「うぅ~……寒いです……バナナオーシャン出身者にこれは堪えますよ……」
「ふふふ……そんな寒い時はだんちょにくっつけばいいんだじょ。そら囲め~!」
ランタナの一言を発端に、三人が私の周りを取り囲み、ギュッと抱きついてきた。
「おお、団長の身体温かいんだよ」
「本当ですねぇ……ずっとくっついていたいです」
私の方も花騎士たちの体温を感じて温かくなる。
「だんちょ、ハーレムのご感想は?」
これは中々……良いものだ。
やがて辺りを見渡せる丘の上へやってきた。冬の透き通った空気の中、白い光が差し始める。
「うわぁ、綺麗だね~団長」
瞳を輝かせながら日の出を見つめる三人。柔らかい光に包まれた彼女たちを見るだけで、私の心も温かくなっていくようだった。
「ぶぇっくしょん!」
「ランタナさん、鼻水出てますよ」
見ると三人とも顔が赤くなってしまっているし、そろそろ帰ろうかと提案する。
「よし、帰って飲みなおすぞ、だんちょ。埴生の宿も我が宿だからな」
いや、私の部屋なのだが……。
「あ、その前に……」
「「「来年もよろしくお願いします!」」」
しんしんと冷える街の中に、花騎士たちの元気な声がこだました。
というわけで、今年最後の更新となりました。
来年も色々と書いていきますので、読んで頂けると嬉しいです。
では、今年一年ありがとうございました。良いお年を。