今週はイベ周回もなく、まったりとできるので、SS執筆に力を入れたいと思います。
仕事が忙しくなければ……。
今回はスキラちゃんとモンヨウショウちゃんのお話。
この二人はよく同じPTで活躍してもらっています。強くて可愛いのでオススメですよ。モンヨウショウちゃんは復刻するまで入手できませんが……。
「団長、一緒にパルファン・ノッテに来てちょうだい!」
執務室のドアが勢いよく開かれると、そこには八重歯をキラリと覗かせたスキラの姿があった。
パルファン・ノッテとは、花騎士ヒヤシンスが経営している移動型カジノだ。スキラはそこの熱狂的なファンで、暇さえあれば通っているらしい。
「ね、行きましょうよ。今日は勝てる気がするの。私の勘がそう言っているわ」
勘で勝てるのなら苦労はしない。
というより、スキラはいつもカゲツと一緒にいるのだし、彼女と行けばいいのではないか。そう告げると、スキラはしょんぼりと肩を落とした。
「カゲツは今日別の用事があるから行けないって……だから団長、あなたに頼むしかないのよ」
そう言えば以前スキラから言われたことがある。「歴戦の団長なのだから強運の持ち主のはず」と(全くそんなことはないのだが……)。そう言うわけで、スキラはことあるごとに私をパルファン・ノッテに誘ってくるのだった。
「というわけで、行きましょう!」
しかし仕事が……。
「あ、そう言えばヒヤシンスから伝言貰ってるんだった。『団長の欲しがってた秘密のアレが入荷したわ』ですって」
よし、行こう。
パルファン・ノッテのある港の近くまでやって来た。都会ブロッサムヒルと言っても、この辺りは人通りも少なく、さざ波の音が聞こえてくるだけの静かな場所だ。ベンチに腰掛けた老人が、こっくりこっくりと舟をこぎ出している。
「あ~、団長さんです~。こんにちは~」
そんな空気感にも負けないくらいおっとりとした声が聞こえてきた。振り返るとそこにはうさ耳を付けたツインテールの少女がいた。
「お久しぶりです~。丁度団長さんに会いたいな~って思ってたので、会えてうれしいです~♪」
彼女はリリィウッド所属の花騎士、モンヨウショウだ。うちの騎士団の所属ではないが、何度も任務で一緒になったことがあり、良く見知った仲だ。
「団長さんの騎士団に向かう途中だったんですが、偶然ここに立ち寄って~、そうしたら団長さんがいたんです~。やっぱり私ってツイてますね~」
「ん、ツイてる?」
無言だったスキラが突然反応した。
「あなたツイてるって言ったわよね? ならその運を私に貸してちょうだい!」
「え、えっと~……」
ぐいぐいとモンヨウショウに迫るスキラの襟首を掴み、落ち着くように言い聞かせる。
「ご、ごめんなさい……」
「えへへ~、いいんですよ~。私の幸運で、皆さんが幸せになってくれるなら、私もとっても嬉しいですから~」
「め、女神様……! そう言うことなら、早速付き合ってちょうだい。移動型カジノ、パルファン・ノッテに!」
「へ? カジノ?」
「ぐわぁぁ!」
スキラが当然のようにカモにされている。
しかし、モンヨウショウの幸運体質でも勝てないものだろうか。
「何というか~、私の幸運って好きな人に会えるとか、美味しいものが食べられるとか、そういうものなんですよ~。急にお金が増えたりはしないので、ギャンブルでも意味がないんだと思います~」
なるほど。それならスキラが勝てないのも納得だ。
「うぐぐぅ~、まだよ! もう一回!」
「スキラさん、もう止めておきましょう? お金は大事ですから~」
意固地になったスキラの肩を優しくポンと叩く。
「ま、まだよ……まだ私は終われないわ……」
「……団長さん、どうしましょう? このままだとスキラさん、一文無しになっちゃいます~」
もはや勝てると思われていないことも悲しいが……確かに何とかしなければいけないな。
「何とか幸運を分けてあげられたらいいんですが~……そうですっ!」
何か思い付いたことがあるのだろうか。
「はい~、兎さんの力を借りるんです~」
「な、何よこの格好……」
更衣室から、バニースーツに身を包み、ロップイヤーを付けたスキラとモンヨウショウが現れた。
「兎さんです~。きっと兎さんの真似をすれば幸運が舞い降りてくると思うんです~」
「だからってこんな……」
スキラの人間の方の耳が赤くなる。ここまで照れている彼女も珍しい。
モンヨウショウは兎が大好き……いや、信仰していると言ってもいいだろう。毎日兎に祈りを捧げているという。彼女の幸運体質がそのおかげなのかは分からないが、彼女はそう思っているらしい。
「似合ってます~。とっても可愛いですよ、スキラさん」
「でも、ほら私って胸とか小さいし、こういうのはブプレウルムみたいな身体の方が似合うんじゃない?」
「そんなことないですよ。ちっちゃい方が兎さんみたいで可愛いと思います~」
「それは褒めてるの? けなしてるの?」
「だ、団長は……どう思う」
うるうるとした瞳をこちらに向けてくる。その上目遣いにやられ、ついつい「可愛い」と呟いてしまった。
「か、かかかか可愛いなんて……何言ってるのよ、も~!」
細い腕がポコポコと私の胸を叩く。目の焦点もあっていないし、大分混乱しているようだ。
「うわぁ~、団長さんとスキラさん、とっても仲良しです~。羨ましいです~」
時間をおいて冷静にさせた後、再び勝負に向かうスキラ。その後ろで、モンヨウショウがエールを送っていた。
「兎さんの格好になりましたし、これならきっと勝てますよ~」
「そんな上手くいくわけ……」
「!? レイズ!」
スキラの表情がはっきりと変わった。(ポーカーなのだが……)
今まで何の根拠もなくレイズしていたのが幸い?したのか、ディーラーは疑いもなく勝負に出た。
結果、ディーラーはスリーカード、スキラはストレートフラッシュでスキラの勝利となった。
「や、やったわ! 本当に兎のおかげ……?」
その後も何度も高得点の手を連発していくスキラ。彼女のチップはどんどん貯まっていった。
「にひひひ……よし、次の勝負行くわよ!」
「あの~、スキラさん。そろそろ終わりにしましょう?」
「モンヨウショウ? 何言ってるのよ、まだこれからでしょう?」
反論するスキラに、モンヨウショウは首を振った。
「お金は大事~。今は勝っていても、次勝てるかは分かりませんし、程々で止めておくのが一番ですよ~」
私も頷き、本物のギャンブラーなら引き際もわきまえているだろうと諭す。
スキラは渋々ながらもパルファン・ノッテを後にした。
「団長さん、スキラさん、あのお店でキャロットケーキ貰っちゃいました~。しかも丁度三つ。あそこの公園で食べましょう♪」
モンヨウショウはこのように、偶然何かを貰うことが多い。ニコニコと可愛らしい笑顔を見せる彼女の手を引き、公園のベンチに腰掛けた。
「のどかですね~」
「本当ね~」
暖かな太陽の光を浴び、ぐでーっと背骨を伸ばす三人。
「賑やかなパルファン・ノッテで熱い勝負をするのもいいけど、たまにはこうしてのんびりするのもいいわね~」
それはいいが、どうしてまだバニースーツ姿なのだろうか。
「そ、それは……あなたが可愛いって言ったから……じゃなくて! 兎の格好が縁起が良いからよ」
「そうですよ~。兎さんは凄いんです~」
しかし周りからの視線が痛い。バニーガールが二人も公園にいれば、そりゃあ見てしまうか……。
「それじゃあ、私はこれで帰ります~。お二人ともお元気で~。スキラさん、お金は大事にしないと駄目ですよ~」
「分かってるわよ。モンヨウショウも元気で」
小さな手を振り合う二人。微笑ましい光景だ。
≪またある日≫
「団長、いる?」
スキラが執務室のドアを勢いよく開ける。またカジノへの誘いだろうか。
「パルファン・ノッテに……と言いたいところだけど、この前大負けしちゃったから、今日は公園にでもデートに行きましょう。お金は大事……だからね」
なるほど、スキラも成長したか……と思ったがそもそも大負けしてる時点でダメじゃないか。
「いいでしょ! それはそれ、これはこれなんだから」
ぷんぷんと怒るスキラの頭を撫で、落ち着かせてからデートに向かうことにした。
≪余談≫
「団長~、って今日はいないのね」
主のいない執務室の中をスキラが物色し始める。
「えへへ~、団長の椅子。悪くない座り心地ね」
回転椅子でくるっと一回転すると、引き出しに何かを見つけた。手に取ってみるとそれは一冊の本だった。
(そう言えばカジノの景品で何か貰ってたわね。丁度この本くらいの包みだったような)
興味本位でページを捲ってみた。
「何々……『ちっちゃい兎さん バニー幼〇特集』?」
「……」
もう団長の前では二度とバニースーツを着ないと誓ったスキラだった。
というわけで、スキラちゃんとモンヨウショウちゃんのお話でした。
スキラちゃんはバニースーツ絶対に似合うので、イースターで別バが欲しいです。
ポーカー用語がいまいち分からなかったので、結構適当だったりします。
トランプとかしばらく触ってないからなぁ……。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。