しかし何だこれは(困惑)
今作史上最高に変な団長です(笑)
春だからでしょうか……。
厳しかった冬もとうとう終わりを告げ、外では鳥や虫が楽しそうに歌っている。あぁ、春だ。のどかな春だ。そして春と言えば、
「きゃぁっ!」
花騎士がひらひらと舞うスカートを抑える。
そう、春と言えば強い風の吹く季節。風と言えばパンチラ! 嗚呼、何と甘美な響きだろうか。
「団長さん、何してるの?」
黒く長い髪をなびかせながら話しかけてきたのは、花騎士兼軍師のブリオニア。相変わらず綺麗な髪だな、と恒例の挨拶をする。
「あ、ありがとう。それで、こんな風の強い所で何してるの?」
学問だ。
「こんな所で?」
そうだ。この中庭は隙間風が強く吹くし、学問にはもってこいの場所だ。
「学問と風に何の関係が……」
まあ見ていなさい。丁度向こうから二人組の花騎士が歩いてきているだろう。
「それでこの前~……きゃっ!」
桃色か、素晴らしい。少女的な可愛らしさを存分に引き出している。ワンポイントの赤いリボンも可愛らしい。
「……これ、学問というより覗きなんじゃ……」
いや、これはれっきとした学問だ。パンツには全てがある。生きとし生けるもの全ては、パンツの中から生まれる。そしてそれはいずれ戻るべき場所でもある。つまりパンツを知るということは、この世界の謎を解き明かすための高尚な学問なのだ。
「そう……まぁ、捕まらない程度に頑張ってね……」
去ろうとしたブリオニアの手を引く。
「まだ何かあるの?」
ブリオニアは学ぶのが好きだと聞いたことがある。一緒にこの世界の不思議を解き明かさないかと誘ってみることにした。
「確かに勉強するのは好きだけど、そんな変態行為には興味ない。これぽっちも」
そう言うな。ブリオニアにもパンツの、パンチラの魅力というものを教えてやろう。
「別にいいんだけど……」
二人で柱の影に隠れていると、小さな人影が見えた。あれは花騎士のウサギゴケだな。
「あんまり話したことはないけど、小さくて可愛い子だよね」
うむ。まぁブリオニアも負けていないがな。
「そ、そういうのはいいから……」
顔を真っ赤にして照れている。そのいじらしさがまた可愛らしい。
ところで、ウサギゴケはどんなパンツを履いてると思う?
「やっぱりウサギ柄の可愛いやつかな?」
ふふ、そう思うか。
「な、なにその不敵な笑みは……」
その時、風でウサギゴケのミニスカートが舞い上がった。その時我々が目にしたものは、
「黒い……紐パン……?」
「どうしてあんな子がそんな過激な下着を……」
これがパンツの奥深さだ。何となく分かってくれたか。
「ふむ……普段人に見せないものだからこそ、その人の本当の内面を知ることができる……それが戦いに活きることも……」
いつもの癖で独り言を始めるブリオニア。だがそこに再び風が吹いてくる。
「……ん? 団長さん、どこ見て……」
私の視線を感じたのか、ブリオニアの目線が下に向けられる。そこでやっと自分のスカートが捲れていることに気付いたようだ。
「まったく。でも私はタイツ履いてるし、パンツは見えにくいでしょ? 残念だったね」
いや、これはこれで!
「何なの本当に……」
「団長ちゃんとブリオニアちゃんだ~。何やってるの?」
「ヘチマさん、良い所に。団長さんが私じゃ手に負えない。助けて」
「何があったの?」
事の経緯を説明した。
「なるほど、パンチラね。団長ちゃん、気持ちは分かるけど、そんな覗きみたいなことしちゃ駄目だよ」
「えっ!?」
「どうしたの、ブリオニアちゃん?」
「な、なんでもない……」
「それに、どうせ覗くんならうちの旅館に来なよ。女の子の綺麗な肌が見られるよ」
「もっと駄目でしょ……」
裸か……確かにそれもいいが、今はパンツが見たい気分なんだ。
「花騎士の誰かに頼んでみれば? あなたって結構人気あるみたいだし、パンツを見せてくれる人もいるんじゃない?」
違う、違うのだブリオニア。誰かに与えられるだけのパンツに価値はない。自分の手で掴み取らなければ!
「掴み取るのは犯罪だから止めようね?」
「あ~、分かるかも」
「二人とも本当に何なの……」
「よし、団長ちゃん。うちの旅館においで。ベルガモットバレーだから、ここよりも風が強くて見やすいと思うよ」
良い考えだ。早速お邪魔しよう。
「それじゃあまず、ミニスカートを履いてきた子は温泉を無料にして~」
いや、待ってくれヘチマ。
「?」
風で揺れるロングスカートもまた趣がある。
「なるほど!」
「なるほどじゃない……」
その日、ヘチマの温泉旅館は大繁盛だった。見知った花騎士たちも多く遊びに来ていた。
「スカートデー? 浴衣じゃなくて普段着のスカートを履いてると温泉が無料だって」
「へ~、気前いいね」
「いいねいいね。綺麗な子がたくさん……」
我々は草むらの影から彼女達を観察する。特にここ、温泉へ行くための渡り廊下は風が強く吹き、絶好のパンチラスポットと化している。
「これ普通に犯罪なんじゃ……」
「しっ、次のお客さん来たよ」
むっ、あれはコンボルブルスだな。膝丈よりも長いスカートと銀色の髪が美しくなびいている。
「ん~……ロングだから見づらい……あっ」
青いスカートの中にあったのは、白くてもこもこした……
「かぼちゃパンツだ!」
「なるほど。パンツって言ってもこれじゃ興奮しないでしょ?」
いや、コンボルブルスのようなクールで大人びた少女が、こんなに可愛らしいものを履いてるとは。そのギャップが素晴らしい。眼福だ!
「そう……でもあんまり大きな声出すと……」
「誰かいるの!?」
「ほら、気付かれた」
ま、まずい……。気配を消さなければ。
「……気のせいかな」
コンボルブルスが背を向けて歩き出す。
心臓がドクドクと高鳴り、冷や汗が溢れ出した。もう少しでバレるところだった……。
「団長ちゃん、もっと気を付けないと」
「そもそも覗きをしなければいいんじゃない?」
ほう、くまさんか……。
「絆創膏……」
「履いてない!?」
と、何だかんだでその後はバレずに満喫することが出来た。
打ち上げ代わりに宿の温泉で温まることにした。今日の営業も終わったので、この広い露天風呂は三人だけの貸し切りとなっている。
「ふぅ、眼福眼福~」
「まったく、どうして私まで……」
とか何とか言って、結局最後まで付き合ってくれたじゃないか。ツンデレさんだな、ブリオニアは。
「いや、本当にそう言うのじゃないんで……」
それにしてもこの露天風呂から見える景色、素晴らしいな。
「木も花も色付いてきたね」
「もう春だからね」
そう、季節はもう春だ。花咲き誇る桃色の季節。
「今年の春も良い季節になればいいね」
「ふふ、そうだね……」
桜の花びらが一つ、湯舟の上に落ちる。
三人の微笑みが優しい春の空気の中に溶け込んでいった。
しかしこの時の私達は知らない。この後騎士団に帰ると、憲兵とナズナから厳重注意を受けることを……。
変態な団長とヘチマに付き合ってくれるブリオニアちゃんの優しさ、身に沁みます。
凄く変な回になってしまいましたが、ブリオニアちゃんは非常に可愛らしいキャラなので、オススメですよ。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。