最近ギャグばっかり書いてたので、シリアスの書き方を忘れかけていました……
さて、今回のメインはサントリナちゃん
クリスマスボイスを聞いてからずっと書いて見たかったお話です
彼女のキャラクエをがっつりネタバレしてるので注意
「はぁ~……」
どこまでも青く続く寒空の元、冷たい大地に腰を下ろした少女は、かじかんだ指に白い息を吐きかけた。
私も彼女の隣に座る。月明かりがぼんやりと少女の顔を照らす。サントリナのオレンジ色の瞳は、暗闇の中に美しく輝いていた。
「団長さん、今日は付き合って貰ってありがとうございます」
気にしなくてもいい、これも団長の仕事なのだから。
「でも……今日はクリスマスですし、団長さんと過ごしたい花騎士さんもたくさんいるはずです。彼女達にも申し訳ないです……」
12月24日、クリスマス。多くの人々は家族や恋人や友達、自分の大切な人々と夜を過ごす。しかし害虫にはそんなことは関係ない。当然、街を守る者も必要となる。
クリスマスの日に夜勤など、普通ならやりたくないと思うが、サントリナは率先して就いてくれた。
サントリナこそ友人が多いのだし、今晩は彼女達と過ごしたかったのではないか。そう訊くと、
「私は……皆の笑顔を見ていると、自然と戦いの場に赴いてしまうんです。だから、任務に就いていた方が落ち着くんです」
そう言って寂しそうな笑顔を見せた。
サントリナが以前住んでいた街は害虫の襲撃を受け、彼女はそこで親や友人、親しかった人々を失った。
そのため、彼女は人を守ろうとする意志が花騎士の中でも特に強い。まるで何かに憑かれているように、自ら戦いに赴いている。
しかし、私にはそれが悲しいことのように思えた。彼女は誰よりも優しいから。
もし彼女の街に害虫が現れなければ、もし世界が平和なら、サントリナは剣の使い方も知らない、普通の女の子でいられたはずだ。大切な人々に囲まれ、常に笑顔でいられたはずだ。
花騎士とは悲しい職業だ。どれだけ害虫を倒しても終わりが見えない。精神をすり減らせても、血反吐を吐いてでも、人々を守るために戦わねばならない。
特に心優しい花騎士は、その精神的・肉体的な重荷に耐えられず病んでしまう者も多い。
一番近くで彼女達を見守ってきた私には、その気持ちは痛いくらいに分かる。
サントリナは、私が今まで見た中でも最も優しい花騎士だと言ってもいい。
悲しい運命の歯車が噛み合い、彼女はこうして花騎士として戦っている。私にはそれがどうしても悔やまれる。
「団長さん?」
そんな考え事をしていると、いつの間にかサントリナの大きな瞳が私を見つめていた。
「何か悩み事ですか?」
あどけない彼女の顔を見ていると、どうしても本音を隠すことが出来なくなる。
花騎士を辞めるつもりはないか。一人の女性として生きる気はないか。
こんなことを訊くのは、騎士団長として最低だということは分かっている。それでも私は一人の人間として、サントリナという人間を愛してしまった。戦いから遠ざけたくなる程に。
それを聞き、サントリナは一瞬目を見開いたが、直ぐに笑顔を取り戻した。
しばらくの無言。静かな夜の闇の中に、サントリナの心臓音だけが聞こえてくる。トクントクンと、規則正しく穏やかな心臓音だ。その音を聞いていると、私は何故か安心出来るのだった。
交替の花騎士が来るまで、私もサントリナも口を開くことは無かった。しかしそこには気まずさは微塵もない。口に出すと消えてしまうような、脆く繊細な優しさだけが二人を包んでいた。
翌日、サントリナから呼び出され、イルミネーションの海の中で彼女を待っていた。
浮わついた空気の中に現れた彼女は、何故かいつもと同じ戦闘用の服を身に纏っていた。表情も凛々しく、これからデートに行こうとする女性には到底見えない。
「団長さん、今日まで付き合わせてしまってすみません。でも、団長さんに見て欲しいんです。私を……サントリナを」
サントリナが訪れたのは街外れの小さな教会だった。サントリナが顔を覗かせると、少年少女達が一斉に彼女に抱き付いてきた。
「皆、良い子にしてましたか? そんな皆のために、サントリナがプレゼントを貰ってきましたよ」
メリークリスマス。一人一人と目を合わせ、サントリナは本やおもちゃを彼らに手渡していく。
「サンタさんは忙しいですからね。代わりに花騎士と騎士団長がプレゼントを運んでくるんです。そうですよね、団長さん?」
咄嗟に頷くと、子供達の笑顔はこちらにも向けられた。
「団長さん、ありがとうございました。いつもは私一人で来ているんですが、団長さんが来てくれてあの子達も嬉しそうでした」
彼らは……恐らく孤児だろう。
「はい……親に捨てられた子、親を亡くしてしまった子。そんな子供達をあの教会が引き取っているんです」
サントリナの笑顔が青い月明かりに照らされ、寂しく輝いている。
やはりサントリナは優しいな。思った通りのことを口に出したが、彼女は首をぶんぶんと振ってそれを否定した。
「優しくなんてないんです。あの子達は……昔の私だから……」
「あの時の私は無力で……悔しくて、悲しくて、憎くて……あの子達もきっと同じです。だから、ただ見ていることなんて出来なくて……」
震える彼女の肩を抱き締める。彼女の頬が、髪が、背中が、手のひらにやけに冷たい。やがて、白い雪が降ってきた。
「罪滅ぼしなのかも知れません。たくさんの、守れなかった人々への。だから私は戦うのを止めるわけにはいかない。ごめんなさい、団長さん」
誰よりも優しい花騎士の目には、いつの間にか涙が溢れていた。
「団長さんは私のこと、花騎士としてだけじゃなくて、一人の人間として愛してくれた。昨日の会話でそれが分かって、とっても嬉しかったんです。それだけで私は充分です」
泣きながら笑う彼女が痛々しく感じる。
「誰も悲しまなくていい世界を作りたい。サントリナは、そんな夢のために戦います。これからもずっと」
それならば、と私も自分の夢を語った。
私の夢もサントリナと同じだ。誰も悲しまない世界、そして君が戦わなくてもいい世界。
「私が……?」
唖然とするサントリナの手を取り、『クリスマスプレゼント』をその細い薬指に嵌めた。
「だ、団長さん!? これって……」
誓いの指輪。一番大切な人へ贈る、愛と信頼の証。
サントリナ、一緒に生きよう。
これからも辛く苦しいことがあるだろうが、二人で一緒に乗り越えていきたい。
花騎士のサントリナも、一人の人間としてのサントリナも、私が支えていきたい。
「団長さん……うぅ……」
泣き崩れるサントリナ。彼女の頭に積もった雪を振り払い、彼女の華奢な身体を抱き締めた。
「嬉しいです。私もあなたのことが好きです……大好きです」
頬に伝わる涙が温かい。
子供のようにクシャクシャに泣きじゃくる彼女に、そっと唇を重ね合わせた。
「えへへ……これからもずっと宜しくお願いします……あなた」
聖なる日に二人は永遠を誓った。
死が二人を別つ時まで、我々はずっと一緒だ。
他の話でクコに指輪渡してるけど、パラレルワールドだから浮気ではありません……
サントリナちゃん、ホント可愛いですよね
キャラクエも良いので、見ていない方はこれを機会に是非
ここまで読んで頂き、ありがとうございました