フラワーナイトガール短編妄想集   作:イッチー団長

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今回は小物界の大物、ハツユキソウの話です。
彼女は私がスぺチケで初めて交換した娘なので思い出深いです。
クコと同じくらい長くお世話になっている娘なので、今回は気合を入れて書きました。


ハツユキソウと穏やかな生活

「し、失礼します!」

 執務室の扉が開いて、ハツユキソウが入ってきた。何だか慌てているようだが、どうかしたのか。

「だ、団長さん! できれば少しだけ匿ってもらってもいいですか!?」

 そう言うと彼女は机の裏側に隠れ身を縮こまらせた。

 部屋の外では『ハツユキソウちゃーん』と呼ぶ花騎士たちの声がしている。ハツユキソウのことだ、ランタナのようにイタズラをして追われているわけではないだろうが・・・

 

「ふう・・・行ったみたいですね。あ、ありがとうございました団長だん」

 匿ったことは別に問題ないが、一体何があったんだ。

「実は・・・花騎士さん達にくっつかれて困ってたんです!」

 くっつかれる? どういうことだろう?

「ほら私って体温が凄い低いじゃないですか。それで私にくっつくとひんやりして気持ちいいって他の花騎士さん達が言い出して・・・」

 この暑さだしな。しかし、大勢の花騎士たちにくっつかれるハツユキソウか・・・中々微笑ましい光景に思えるが。

「もちろん、少しぐらいなら良いんですよ。スキンシップは大事ですからねぇ。でもヤリ過ぎは良くないと思うんです!」

 それもそうだな。花騎士たちには私から注意しておこう。

 

 また他の花騎士に会うと面倒だろう。しばらくは執務室にいるといい。

「え、いいんですか? えへへ・・・それじゃあ、お言葉に甘えて」

 そう言うとハツユキソウは、顔を赤く染めて私の体に密着してきた。

「あっ、ごめんなさい、つい。お邪魔でしたか!?」

 無論邪魔ではない。しかし、くっつかれるのは嫌じゃなかったのか?

「団長さんだけは特別ですよ・・・一日中くっついていても飽きません」

 彼女の顔がもっと赤くなる。頬はこれだけ火照っているのに、身体は冷たいのはなんだか不思議だ。

 私の方は気持ちいいが、ハツユキソウは暑くないのか?

「私バナナオーシャン出身なので暑いのは慣れてるんですよ」

 そういえば彼女はバナナオーシャンの生まれだったな。外見からウィンターローズに思えてしまうが。

「えへへ・・・団長さん・・・」

 まるで懐いた猫のように私の手を撫でてくる彼女が、とても愛くるしかった。

 

 

 

「私と旅行・・・ですか?」

 ハツユキソウが目を丸くして言う。

 この暑さだ、上層部からも休暇を取るよう言われていたし、避暑地に旅行でも行こうと思ってな。もし都合が良ければハツユキソウも一緒にどうだ、と誘ったのだった。

「でもでも! 私なんかと一緒でいいんですか?」

 勿論だ。いや、ハツユキソウだから一緒に行きたいんだ。

「団長さん・・・うぅ・・・ごめんなさい、私嬉しくて・・・」

 ハツユキソウはしくしくと泣き出す。そんなに嬉しがってくれるとは・・・

「分かりました。私にお供させて下さい!」

 

 

 

「うわー、良い旅館ですねぇ」

 当たりをキョロキョロ見回しながら、珍しくハツユキソウがはしゃいでいる。

 ベルガモットバレーの花騎士たちに聞いた評判の良い旅館だ。川のせせらぎ、木々のさざめきが聞こえて、日頃の疲れも癒されていく。

 

「わあ、温泉もあるんですね」

 随分と楽しそうだが、その厚着では目立つし、これを着てみたらどうだ。

「ゆ、浴衣ですか・・・スースーして苦手なんですけど・・・団長さんは見たいですか?」

 無論だ。

 

「ど、どうでしょう。似合ってますか?」

 とても綺麗だ。白い肌と長い髪に浴衣が非常に似合っている。

「そ、そう言われると照れちゃいますね。えへへ・・・」

 ハツユキソウはそう言うと白い頬を赤く染めた。

 

 

 

「団長さん、ここから見える景色凄く綺麗ですよ」

 

「お料理美味しいですね、団長さん」

 

「えへへ、温泉気持ちよかったですね、団長さん」

 

 逐一報告してくるハツユキソウがなんとも可愛らしい。彼女が楽しんでいるのを見ると、私も嬉しくなってくる。

「団長さん、お外真っ暗ですね。私たちももう寝ましょうか・・・って布団くっつきすぎじゃないですか!?」

 ハツユキソウはかなり驚いているが、仲居さんが気を利かせてくれたんだろう。

「こ、これじゃあ眠れませんよね。離しましょうか」

 別に私はこのままで構わないが、と言ってハツユキソウを後ろから抱き寄せる。

「ひゃぁっ! 駄目です団長さん!」

 むっ、これは・・・

「だ、駄目ですぅ・・・団長さん・・・」

 だんだん抵抗が弱くなっていくハツユキソウだが、その身体は冷たく、これが中々気持ちいい。

「だ、団長さん・・・もしかして私の身体がひんやりして気持ちいい、とか思ってます?」

 図星だ。できればしばらくこのままでいたい。あの花騎士たちの気持ちも分かる気がする。

「うぅ・・・団長さんがそう言うなら・・・分かりました! 今夜はこのハツユキソウが団長さん専用のひんやり抱き枕になります!」

 

 夜の帳の中で、ハツユキソウの吐息だけが聞こえる。

「団長さん、まだ起きてますか?」

 ハツユキソウが囁く。まだ起きている、と返す。

「今日はとっても楽しかったです。ありがとうございます」

 礼を言うのはこちらだ。私もとても楽しかった。

「えへへ・・・でも、旅行って数日で終わっちゃうんですよね。私、できれば団長さんとこのまま『穏やかな生活』を続けていきたいんです。ずっと・・・」

 大丈夫だ。いつか、平和な世界になったら、その時はずっと一緒にいよう。

「は・・・はい!」

 暗闇の中で、ハツユキソウの体温がほんのり上がるのを感じた。




というわけで、ハツユキソウ回でした。
さすがに人気キャラだけあって、書いていて楽しいし可愛いキャラでした。
多くのハツユキソウ団長さんにはご満足頂けたか、些か不安ではありますが、少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。

読んで頂きありがとうございました。
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