異世界で頑張ったので出戻りますね あるいは彼女は如何にして悩むのを止め、現代をエンジョイするようになったか 作:大回転スカイミサイル
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問:目の前に自分の死体があったらどうするか?
どうするか考えるどころの話ではなかった。
目の前にはワンカップ大関を片手に冷たくなっている男が一人。
隣では銀髪の少女が額に手を当ててため息をついている。
(……あの女神……!やってくれたッ!)
心のなかで悪態をつくが、そんなどころの話ではない。
その耳には、階下から響くドスドスという足音が聞こえている。
(どうしてこうなった!くそが!!)
罵詈雑言を心のなかで叫ぶと、どうしてこうなったかが心のなかに浮かぶ……
―――数時間前。
「おおおおおおおおっ!!」
天を衝くような大男の持つ異様なまでに巨大なグレートソードが、扇情的な肢体の上半身に獣と植物と水母が混じり合った醜悪な下半身が接合された怪物を袈裟に斬り捨てる。
稲妻が落ちたかのような衝撃が床とも生物とも知れぬ地面を叩き、女のような何かは崩折れる……それも一瞬。
「「世界を支配する偉大なるロジックよ!撚りて繰りて奉らん!天地を穿つ雷となれ!我らが敵を討ち滅ぼせ!!ダイ・サンダー!!」」
赤髪の賢者と銀髪の少女の声が木霊すると、それは遍くを討ち滅ぼす雷霆となって歪な女に降り注いだ。
『なぜ抗う?なぜだ?この世界は間違いと廃棄の果てに生まれたまがい物だ』
くぐもった女の笑い声が響く。聞いていると脳を焼かれるような声だ。
闇が広がる。
深淵が空を覆い、肉の大地を覆い尽くす。
それは重力の闇だ。
『ブラックホール……』
「高速詠唱、いけますか?」
「誰に物を言ってるのかしら?白き闇よ、全てを吐瀉する白痴の光よ!」
「昏き白よ、冥き闇を染めよ―――」
「「ホワイトホール!」」
銀髪の少女の禍々しき捻れた杖から、赤髪の賢者の光の腕輪から、白く美しくまとわりつく薄墨の如き何かが溢れ、黒い闇を食っていった。
その死闘を―――ただ見つめている少女が一人。
緑の衣、上古の森人のために作られた装束がはためく。
太陽のように透ける金髪と澄んだ碧玉のような瞳、そして人目を引く長い耳は上古のエルフの証だ。
その白き手に握られたるは、青い輝きを湛える一振りの剣。
太古の昔にハイエルフたちが作り出した王の剣を調和神ディーヴァーガが鍛え直したという大聖剣。
「黄昏の剣よ!遍くに終わりを告げるものよ!」
少女の凛とした声が虚空に溶ける。
歪な女は大剣の男と切り結びながら、なおも笑った。
『なぜだ?お前は私が呼んだもの。なぜ我に逆らう?』
まこと愉快だと言わんばかりに笑い、大剣の男を吹き飛ばした。
「ぐっ!おい、そろそろ持たねえぞ!」
「わかってる!黄昏の剣よ!王の剣、我らが始祖の力よ!」
蒼き光が増し、赤く蠢く肉の大地を青く染め上げていく。
『無駄だ、無駄―――』
歪な女は笑いの代わりに、冷たく輝く吹雪を吐き出す。
「偉大なるロジックよ!氷雪熱波を防ぐ光となれ!グレート・ウォール!!」
「破壊と渇望の王、呑み込み食らう我らが神よ!その赤き牙を盾と変えたまえ!デス・ウォール!」
赤髪の賢者と銀髪の少女の魔法がその吹雪を防ぐ。
蒼き光は刀身に吸い込まれ、爆ぜた。
―――これで終わりだ。
『無駄だ、無駄だ―――』
「無駄かどうかは、私が決める―――今こそ土塊に帰れ、支配と凍結の邪神ドミネーター!」
蒼き光を振りかぶる。
『蒼白き太陽……青褪めた闇……なるほど、我が目論見は全て潰えるようだ―――』
「減らず口をッ!」
『だが、無駄だ―――無駄―――全ては一時のこと―――』
少女は最後まで聞かず、剣をまっすぐに振り下ろす。
「よくも人の人生弄んでくれたなァァァァァアアッ!!!」
返答はただそれだけ。
歪な女―――邪神ドミネーターは不敵な笑みだけを虚空に残して、こうして滅びたのだった。
そうして―――光が破裂して、世界が白で包まれた。
「ここは……」
ハイエルフの少女があたりを見回すと、そこはなにもない白い空間だった。
―――よくやってくれました。
虚空に声が響いた。
―――わたくしは幸運神ヒトコシノミコト……ようやくあなたがたに会うことができました。
「ドミネーターに封印されていた女神様……」
赤髪の賢者の言葉に、ヒトコシノミコトと名乗った声は肯んずる。
―――はい。ありがとう、みなさん。こうしてわたくしは復活することができました。
「礼はいらん。俺はこの迷宮を踏破しに来ただけの冒険者だ」
大剣の男がニヤリと笑って愛用のグレートソードを鞘に戻す。
―――いえ、それだけでは済みません。なにかお礼として………
「では、私達を地上に戻していただくことはできますか?」
ハイエルフの少女はあっけらかんと答える。
「なにしろ彼と似たようなもので、私はこの魂をこの世界に転生させたあのくそやろうをブチ殺スためだけにここに来たので!」
晴れやかな笑みを浮かべた少女に困ったような気配が向けられる。
その気配は赤髪の賢者にも向いた。
「……あたしですか?いや、もう目的の魔術書は手に入れましたんで……ここまで来たのも付き合いみたいなもんでしてね?」
賢者はひらひらと手をふる。
「僕に聞いても無駄ですよ。僕は彼女……森人の勇者の下僕に過ぎませんからね。特に欲しいものはありません」
半目で銀髪の少女は地面に腰を下ろした。確かに、その頸には調和神の契約の証である白い首輪が嵌っているのが見て取れた。
「と、いうわけなんで……」
―――そうはまいりません。沽券に関わりますので。
(あ、これめんどくさいやつや)
願いが特にないことを知り、声に少しムキになった波動をにじませた女神に、四人は全く同じ感想を抱く。
そして数瞬考えた後に、女神は口を開いた。
―――……森人の勇者、ミナ・トワイライト。あなたはもともと別の世界からの転生者でしたね。
「そうですけど……200年も前のことですよ?別にもうどうでもいいことですよ……」
―――あなたが前世で生きるはずだった数十年間の間、元の世界、元の時間に戻してあげられる、と言ったらどうします?
その言葉に、ミナと呼ばれたハイエルフの少女は耳をピクリと反応させた。
「え、マジですか?」
―――マジです。あなたはこの世界に必要な人です。ですから、永遠にというわけにはいきませんが。
「うーん……でもなぁ……只人や小人の友達、何十年もしたら死んじゃうし……」
腕を組んでミナが悩み始めると、赤髪の賢者が肩を叩いた。
「あたしのことは気にしなくていいよ。どうせそのうちイモータルになるつもりだからさっ!」
「ハニーファ……?あんたまだ諦めてなかったの?光のアンデッドとかできるわけねーだろ!いい加減にしろ!」
「いたっ!?」
ハニーファの頭にチョップをかまして、ミナは座り込んだ
「今はこちらの世界が私の世界ですし、その願いは……」
―――駄目なんですか……これでも?
「はい、残念ながら……」
―――では、そうですね……こちらの時間で半年後に戻ってこれるようにします。時間神ルアック様にお願いして……OKみたいですから。
困りきった声があたりに響く。
「いや、まあ……どうしようかな……」
それに助け舟を出したのは大剣の男だ。
「行ってきたらいいんじゃねえのか。前々から言ってたろ。いんたーなんたらがあればー!とかよ。仕組みだけでも学んできたら、こっちで再現するのもできるんじゃねえか?」
「それだ!さすが戦技以外は頭脳派のスハイル!」
「一言余計だボケ」
ミナは立って、虚空の先を見据える。
「わかりました。あちらで手に入れたものや知識は持ち帰れると思っていいですね?」
―――もちろん。なにもかも。
「では、それでお願いします。あ、他の三人には……」
後ろを振り向く。
ここまで一緒に戦い抜いた三人がいる。
―――安心してください。三人は地上に戻し、ほんの少しだけ運を良くする加護を与えます。
「ほんの少しだけでいいですからね!?ほんとに!!不遜なことを言うようですが、ヒトコシノミコト様は一部地域では……」
―――わかっています。幸運に頼りすぎては堕落するものですから。
ヒトコシノミコトの加護は、そのものズバリ幸運を与えることだ。それを頼りにしすぎて破滅するものが多かったため、一部では邪神ともされるのである。
ミナはそれを危惧して慌てたが、女神は「99%転ぶ状況が90%に改善される程度」と答えた。
そのくらいならいいか、とスハイルとハニーファは納得する。
「ミナさん……」
その時、不安そうに銀髪の少女がミナを睨んだ。
「ルル……半年くらいならいいでしょ。その間、悪さしたらコロスからね?」
ミナはそう言って笑い、虚空へ目を移した。
―――では、さっそく……
「よろしくおねがいします!」
ミナの体が光に包まれる。
この時、ミナは一つの勘違いをしていた。
そして、ヒトコシノミコトは一つ言っていなかったことがあった。
(しばらく男の体かー適応できるかなー記憶はまあリーディングで昔の記憶を読み出せばどうにかなるかなー)
(いきなり別の体では適応できませんね。もちろん今の体で戻してあげます)
―――つまりは、そういうことであった。
(どうするどうする!?母……カーチャンが上に登ってくるまであと20秒というところかッ!)
吹き出る冷や汗を拭う間もない。ミナはルルに即座に指示を出した。
「ルル!リーディングで記憶読み出し!ライティングで自分に書き込むのは私がやるから!」
「はい。リーディング」
「ライティング!―――そういえばこんなことあったわね!よし!終わり!あとはこれを無限のバッグに詰め込む!!」
「蘇生しなくていいんですか?」
「魂が抜けてるから無理!以上!閉廷!!」
リーディングは脳から直接記憶を読み出し、ライティングは読み出したその記憶を自分に書き込むための暗黒魔法である。
魔力の大きさによって読み書きの速度は早まり、邪神を滅ぼすほどの2人であれば30年程度ならほぼ一瞬で読み書きできる。
しかしながら、他人に使うと魂魄を壊してしまうし、死体の場合も少しでも魂魄が残っているとアンデッドに変えてしまったりするため禁呪法とされているもので、普段は自分の忘れた記憶を思い出すことくらいにしか使えないゴミ暗黒魔法である。
精霊の一種であるミナには死体に魂が残っていないことがわかったため、緊急手段として用いたのだ。
そうして手元のバッグにデロンとしているかつての自分の死体を、保存の魔法をかけて急いで放り込む。ここまでジャスト15秒であった。
一見、ただの旅行かばんのように見えるそれは、無限のバッグと呼ばれるなんでもいくらでも入り、重さも10000分の1にしてくれ、更にはアイテムが外界へもたらす影響までも遮断してくれるマジックアイテムなのだ。
そうしてる間にバン!と深夜に似つかわしくない轟音とともに開け放たれた扉の向こうから出てきたのは、中年の女性だった。
「ドやかましいわバカ息子!!明日も仕事だろうが!寝ろ!!」
「か、カーチャン……」
憤怒の形相で部屋に飛び込んできたパジャマ姿のおばさん……彼女は前世のミナの母だった人物だ。
二百数十年ぶりの再会となるが、自分の記憶を自分の死体から受け継ぐという暗黒非合法行為によって、記憶を吸い上げたミナにとってはつい数時間前に会ったような感覚もある。
懐かしさと違和感で混乱した彼女は、ただ「あの、その、これは」と狼狽することしかできない。
「なんだその格好はぁ!コスプレかぁ!!」
「あ、いや、その……世界を救って……?」
「どうでもいいから寝ろ!いいわね!!!」
バンッ!と再び轟音をあげてドアが閉められる。
ドカドカと階段を降りていく足音が遠ざかっていくと、ミナはベッドにへたりと腰を下ろした。
「……た、助かった……ごまかせた……?」
「いや、僕の方はごまかせてないですからね?説明してください、ミナさん」
ジト目で睨めつけてくるルルの闇色の瞳と肌を見つめながら、ミナは深い溜め息をついた。
「多分、契約の魔法のせいね。あなた、私の所有物とみなされちゃったのよ」
「それは理解できます。そうではなく、今さっき記憶を読み取った男はいつも言ってたミナさんの前世……ということでいいのですか?」
「……そうよ。また話してると、カーチャンが来るから、ちょっとまって。シルフよ、風の乙女よ。漏れ来る波を遮り、内と外との音を断て」
ぽう、と緑の光が指先に灯ると霧散し、外の音……自動車や風の音が聞こえなくなった。
「……さっきの死体は水門三郎。間違いなく前世の私よ」
遮音の術が成功したことを確認したミナはゆっくり話し始めた。
とはいえ、大した話ではない。
日本の地方都市である神森市に生まれた男は、口下手ながらも真面目に働き、ある日とある仕事で失敗をしてしまい、責任を取る形で自己都合での退職を強制され、落胆してめちゃ飲みをして……
「急性アル中で死んじゃったのよね。まあそれも……仕事の失敗からしてドミネーターの糞野郎の仕業だったのだけど」
「あの邪神ろくなことしませんね」
「だから邪神なんでしょ。あーどーしよっかなー!ルルが一緒に来るのも、この体のままだってのも予想外すぎるぅ!確かに元の体に戻すとは言ってなかったけど!」
ベッドに倒れ込み、バタバタと足を泳がせてひとしきり呻く少女に、黒い肌の少女はため息をつく。
「ま、考えても仕方ないでしょう。こちらの世界に学院や善神たちの神殿はないのでしょう?でしたら、最悪、暗黒魔法で記憶の改竄を行うなどの手段も視野にいれるべきでは?」
「いや、さすがにそれは……カーチャンも私と同じでヲタだから、多分説明すればどうにかなるわよ……」
そして目をつぶる。
ドミネーターとの戦いで傷ついた体は女神ヒトコシノミコトが治してくれたが、精神まではその限りではない。
途端に心地よい眠気が襲いかかってきた。
「おやすみなさい、ミナさん」
ルルの声を聞きながら、彼女の意識は眠りに落ちていったのだった。
―――翌朝。午前5時半。
ミナの朝は早い。彼女は睡眠短縮のチョーカーを常に身につけているため、睡眠は日に1時間も必要ない。
そんな彼女が3時間も眠ることになったのは、ひとえに邪神との戦いで精神力を消耗しきっていたからだ。
むくりと体を起こすと、ルルが三郎の机に座って、本に何かを書き記している。
その顔には、薄い水晶で作られた眼鏡がかけられていた。
「おはよう、ルル。日誌書いてるの?」
「おはようございます、ミナさん。ええ。冒険の記録は帰ってからも必要でしょう?」
「ま、そうね。ギルドには報告しないといけないし……ま、スハイルたちがやってるだろうけど」
「それもそうですけどね」
2人はあはは、と笑う。
「僕は睡眠そのものが必要ありませんし、これはこれで記憶の整理に必要なんですよ。それに記憶の整理しないと人間性が失われていくので」
「アンデッド、それもダークエルフのリッチーとかいう完全に悪の種族だもんねーあなた」
「ルル・ホーレスは邪悪な魔道士ですからね。勇者に仕える邪悪な暗黒魔道士!なんか興奮しません?」
「しねーよ★」
「えー?」
いつもしているのか、他愛のない会話が流れていく。
「それより、あの女性……御母堂に説明する内容は考えてますか?」
筆を止めたルルの闇色の瞳に見つめられる。
羽ペンについたインクは、ルルが触れるだけで雲散霧消し、その羽ペンも空気のように溶け消える。
そのいつもの仕草に、ミナはふっと柔らかく笑った。
「カーチャンだし、大丈夫よ。大雑把でいい加減で勘だけは鋭いんだから。それに……」
はぁ、とため息をつく。
「精霊術が使えたってことは、精霊がこの世界にもいる。そうである以上、信じさせる手段はあるってことよ」
「ま、そうですね。記憶の改竄よりはマシな手段です」
「三郎の記憶が確かなら、私は退職前の有給休暇に入ってるはずよ。もう手続きは残ってないはずだから、引き継ぎで不足があった部分の確認で電話が来るくらいでしょうね。まとめてメールでよこせ、ってLINFで返せばいいや……」
戦装束をバッグにしまい、萌葱色のチュニックと浅葱色のズボンを身につける。
「さて、信じてもらえるかなあ……」
ドアをそっと開けて、ミナは新たな戦場へと歩を進めたのであった。
―――7時。水門家、居間。
「はぁ?クビになった?そんで酒飲んで寝てたらその姿になってた?で世界を救ってきた???おまえは何を言っているんだ???」
ミナたちと座卓で隔てて座る中年の女性はそう言って頭を抱えた。
「カーチャン……信じてはもらえないかも知れないけど、マジなんだよこれ……」
申し訳無さそうな顔で正座するミナの口調は、どこかルルたちに話すものとは違って、男っぽい口調になっていた。
「まあ百歩譲ってあんたが三郎だってことは認めましょう。小学校入学式で、和式便器の使い方がわからんとかいうわけのわからん理由で私に恥をかかせた話なんか、今更覚えてるのがいるはずがない」
「うぐっ……」
「早とちりは前世からですか……やれやれ」
「6歳の頃よ!もう何百年も前のこと!」
子供の頃の醜態を明かす羽目になり、ミナは全力で赤面することになったが、記憶の精霊術や暗黒魔法に頼ることなく信じてくれたのは幸いであった。
当然のことながら、死体のことは言っていない。言えるはずもない。
「それで戻ってきたけど、体はもとに戻らなかった、と。その上、従者のその……」
「ルル・ホーレス。ダークエルフのリッチーで暗黒魔道士をさせていただいているミナさんの従者です。どうかよろしく」
「よろしく……ルルくんも一緒に来てしまった、と。はぁ~~……わかった。もうホントこんなことリアルにあるとは思わないわよ、全く……」
頭を抱えたカーチャンは、すでに出かける準備ができていたのであろう、かばんを持つと玄関の方へと歩いていった。
「ってマジでこれで済ますのかよ、カーチャン?!いくらなんでも普通は信じないぞ!?」
「引っ張っても取れないそんな長耳持ってる人間は地球にはいない!だったら信じるしかないでしょうが!私だって古参のヲタクよ!90年代のジゴクめいたヲタ迫害の時期からやってたのは伊達じゃない!」
なんだか自慢にならない言葉を吐きながら、カーチャンは玄関のドアを抜け、軽自動車に乗って職場へとでかけてしまった。
ちなみに職業は市の水道局の職員である。
「……ほんとに信じちゃいましたねぇ……なんか僕のことも見抜いてたみたいですし……」
「だから言ったでしょ、なんだかよくわからないけど大雑把でいい加減で勘だけは鋭いって!」
「……つまり、母娘、と……」
「その言い回し!ヤメロォ!!」
「はいはい……」
遠ざかっていく母の車を尻目に、そんな他愛のない会話が続く。
ここは日本、科戸山の麓の森の街。これはその神森と呼ばれる中規模都市で繰り広げられる、出戻りエルフの物語である。
ゲル……
どんな日常回が読みたいですか?
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メインキャラのエピソード
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サブキャラのエピソード
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敵キャラについての深掘り
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