異世界で頑張ったので出戻りますね あるいは彼女は如何にして悩むのを止め、現代をエンジョイするようになったか   作:大回転スカイミサイル

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第107話「……まあ馬鹿なもんよ、中学2年生なんてね」

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数分後。

 

「―――つまり、あれか。おめーはオレと空悟が中学ん時、R*Gツク○ルで作ったクソネタRPGの登場人物だってーのか」

 

まだ痛むのか、こめかみを押さえながらミナは地面に座るぬいぐるみに声を掛けた。

 

「あーあれか……ネタの限りを打ち込んだ挙げ句、俺もお前も飽きてどっかやったあのクソゲーか……」

 

空悟はようやく思い出した、といった風にポンと手を打った。

 

「どういうことです?」

 

ルルは首をひねってミナにそう聞く。

 

聞かれたミナはうんざりげんなりを絵に描いたような表情でため息をついた。

 

「あー、うん。今もパソコン版が連綿と続いてるけどさ。自分でコンピュータRPGを作れるっていうソフトが有ってね。ソフトとかそこら辺はもう理解してると思うけども……」

 

「ええ、コンピュータを動かす構成され終わった術式のこと、と理解しています。それを使って、これの元になる物語を作ったと?」

 

ミナはこくりと黙って頷いた。

 

20年も前に作ったネタが今になってリアルになって蘇ってくるとは、とミナと空悟は頭を抱えた。

 

「長男が○ャギで次男がド○ルとか、どこをどうしたらそんな発想になるのさ」

 

素直な目線でそんな質問をしてくる恋の目が辛かった。

 

「……まあ馬鹿なもんよ、中学2年生なんてね……クラスメイトネタを打ち込んだゲーム作って、クラスの女子にキレられてたやつとかもいたし……」

 

ミナにはなぜあのクラスでR*Gツク○ルが流行っていたのかさっぱり覚えてはいなかったが、そういう時期だったのだろうと目を覆う。

 

男子中学生とはだいたい馬鹿なものなのだ。

 

『くっくっく……ようやく思い出したようだな!ならばこの後で何が起きるかも思い出しただろう!』

 

先程よりだいぶボロついたぬいぐるみがよろけながら立ち上がり、そう言うと―――

 

ゴゴゴゴゴ、と地面が振動を始める。

 

「吹き飛んだ地面から巨大なレンガの城が出てくる……だった気がする」

 

「そうそう。グラ頑張って作って魔城○ッデムみたいにしたんだっけ」

 

二人は懐かしげに、しかし黒歴史を暴かれることに対して表情を失ってその鳴動に微動だにせず立ち尽くしていた。

 

その間に木の屋敷が存在した場所には、レンガで構成された巨大な城が見る間に現れていき、そして。

 

『ファファファファファファ……よくぞ我が兄たちを突破して来た……歓迎しよう……我が前に現れた時、兄らの仇として二度と生き返れぬよううぬらの腸を喰らい尽くしてくれよう……!』

 

腹の底に響くような推定末子豚の声に、恋は「ひぃ……」と小さく悲鳴を上げて岬に抱きつく。

 

しかし他の三人はまあ恐怖で動じるようなことはなかった。

 

ルルはきょとんとした顔で「はぁ」とだけ漏らしてジト目になり、彼の主人と主人の親友は頭を抱えて「「○ャギとド○ルの次がバラ○スとか……!何考えてた当時のオレら……!」」と悶絶するハメになっていたからだ。

 

岬は岬で「ミナちゃん、ミナちゃん。笑い方はF*シリーズ初期悪役の笑い方なのです。VCでプレイしたF*3面白かったのですよ」と無意識に煽ってしまっていた。

 

「ぐわー!?」「のぁぁ!やめて岬!その術はオレに効く!」

 

そんな恥ずかしさといたたまれなさで転げ回るミナたちを他所に、ルルは城を観察する。

 

たしかにおおよそ煉瓦でできているその城は、しかし不思議なレンガと思しき構造物はごく一部であることまではわかった。

 

それはおおよそ城の上層、針のような尖塔の部分に集中しているようだった。

 

「ミナさん、ミナさん?転げ回っている場合ではありませんよ?この城には不思議なレンガで構成されている場所が存在するようです」

 

「うぐおおお……って、こんなことしてる場合じゃなかったわね!でかしたルル!それじゃあとっととこの黒歴史をぶっ壊してしまいましょう!」

 

ルルに話しかけられ、勇者は一瞬で立ち直り杖を魔城へと向ける。

 

「こっちこそあんたの腹の綿全部抜いてやるわよ!童話みたいにオオカミを食べれると思ったら大間違いだからね!」

 

大声で啖呵を切り、同じくなんとか立ち直った空悟とともに怒気さえ孕ませて城へと向かっていく。

 

ルルは「やれやれ……」と肩をすくめて頭を振り、岬と恋もまた恐る恐るに勇者の後ろをついていった。

 

とにかく、まずは不思議なレンガを集めなければいけない、という目的をミナが忘れる前に目的を達成しなければならないとルルは心に刻んで歩き出すのである。

 

―――因みに次男豚はそこらへんに捨て置かれた。

 

諸行無常である。

 

 

 

その城の構造は、どう見てもバラ○スの城ではなくゾー○の城であった。

 

知らない人に説明するのならば、ドラ○エシリーズ3作目の中ボスをモチーフにした豚がいる城なのにラスボスの城をモチーフにした構造になっているということである。

 

「岬、そこから先はバリアになってるわ。青白いからFC版だな、これ……多分デス・ウォールをかければ通れるはずだからちょっとまって」

 

青白く輝く床を前に、ミナは進もうとした魔法少女たちをそう言って制止した。

 

ミナがルルに首肯すると、すぐにルルは魔法を唱え始める。

 

「破壊と渇望の王、呑み込み食らう我らが神よ!その赤き牙を盾と変えたまえ!デス・ウォール!」

 

破壊神による物理攻撃を弾く結界を与えられたルルは、それが全員を覆ったことを確認して一歩前に―――青白く輝く床に足を踏み入れた。

 

バヂン、と盛大な音がするがデス・ウォールの作り出す障壁によってルルにダメージは及ばない。

 

「いいですよ。さっさと通りましょう」

 

ルルに促され、全員でそのバリアの中へと入っていく。

 

そして空悟が部屋の真ん中に鎮座する玉座の裏の床を調べ、そこに指が入る隙間を発見するとすぐにそれを持ち上げてみる。

 

床を構成する石板は意外にも軽く、その下には階段がポッカリと口を開けていた。

 

完全にあの城だ、とミナと空悟は顔を見合わせて「たはは」と疲れた笑いを浮かべることしかできない。

 

この下に待っているのは回転床の罠、それを突破したら―――後はほぼ一直線のはずである。

 

下に降りているはずなのに、ミナの持つスマホの高度計アプリは上に登っていることを示していた。

 

見た目通りの空間ではなく、歪んでいるのは明白である。

 

元のラスボスの城は、城のグラフィックをしているのに何故か上階はない平屋造りで、地下に広い構造になっていた。

 

ラスボスの城の元になった1作めのラスボスの城も同じ構造になっていて、幼い頃の三郎は理不尽に思っていたのだが、それを実際に理不尽で返されてしまってミナは笑うほかない。

 

「さて、回転床だけど……空飛んで回避しましょう?」

 

目の前に広がる、くるくると回転する床を眺めて、ミナはあっさりとそう言った。

 

「えー……とそれでいいんか、ミナねーちゃん」

 

「俺、飛べねえんだけども……それに空中から行って何か起きねえか?」

 

恋と空悟がそう言って、やんわりとまっすぐ罠を突破するべきでは?と言ってくるが……

 

「空悟、忘れたのか?オレはお前を持ち上げて飛ぶくらいは余裕な腕力があるし、罠についてもさー……オレが強引に突破することができないわけないだろ?この城がオレらの作ったネタゲーでも本物のゾ○マの城モチーフでもさ」

 

そうにべもなく回答したのである。

 

「そういえばそうだったわ。こう見えてお前ゴリラよりパワーあるもんな……」

 

ミナの華奢な腕や足を見て親友はそう感想を述べた。

 

そして罠を強引に壊す術についてもミナは心得ているし、そうでなくとも床ごと吹っ飛ばすことも可能である。

 

「後はこれが破壊不能オブジェクトじゃないことを祈るのみね」

 

そうしてミナはバッグから戦槌を一振り取り出し、それを思いっきり回転床に叩きつけた。

 

バゴォンと轟音がして、その後にはぐしゃぐしゃに割れた、先ほどまで回転していたタイルが残される。

 

「よし、無問題。んじゃあ飛んで何か起こったら壊して進むという方向性で行きましょう」

 

ニコリと笑って振り返ると、空悟が「ま、いいか」と諦め気味に笑っていたのであった。

 

 

 

 




ちょいと短め。

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