異世界で頑張ったので出戻りますね あるいは彼女は如何にして悩むのを止め、現代をエンジョイするようになったか   作:大回転スカイミサイル

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第121話「やっぱり1巻分より後は話こなれてねえな」

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『戻ったようだね、ミナくん』

 

へとへとになって客人碎を杖にようやく立っている様子のミナに、薺川博士は気安く声を掛けた。

 

「は~い戻りましたぁ~……今、はぁ~」

 

『昼の12時、だね。君の言っていた期限から優に12時間は早い。安心して作業したまえ』

 

骸骨の顔を揺らしながら、博士はそう言って格納庫へ続く扉を開く。

 

「その前に少し寝ていてください。レンガ組み作業は僕がやっておきますから」

 

例えレンガが正しく組まれたとしても、錬金窯の作成にはそれから一昼夜ほど魔力を注ぎ込み続けなければならない。

 

即ち、日曜日中に解決するなら、土曜日のうちには錬金窯の作成を終えないと面倒なことになるというのは、前に言ったとおりである。

 

「わ、わかってるわよ……くっそ、黄昏の剣と客人碎の同時抜刀はきつい……」

 

「格納庫にテントを張りますからそこで寝ていてください。魔力の使いすぎですから、筋肉痛にはならないでしょう」

 

ルルに肩を貸してもらい、ミナは格納庫の方へ去っていく。

 

そして、岬は―――

 

「とりあえずこのチョーカー外しましょうです。役には立ちましたですけども、長くつけ続けたくはないのですよ」

 

とチョーカーを外して、研究所中枢部である薺川博士のいる場所に仮設置された作業机の上に丁寧に置いた。

 

「賛成……流石に1睡眠で10時間も寿命短くなったら、死ぬ時に少し後悔しそうだ」

 

次いで空悟も外し、恋は「……早く老けそうだもんな」と怖気を震ってそれを机の上に置いた。

 

『また難儀したようだねえ。まあコーヒーでも飲み給え。岬くんと……えー、なんと言ったかな、新しい面子のようだが』

 

「あたいは伊良湖恋!このあいだ11歳になりました!」

 

元気に答えた恋に、薺川は『元気があってよろしい―――私は薺川だ。よろしく頼む』とカラカラと骨を鳴らして笑った。

 

「……骸骨ですけど、怖くないのです?」

 

岬が首をひねると、恋は「あー」と少しうめいて、困ってしまう。

 

「……そういえばそうだけど、ゾンビとか骸骨とかもう一生分見たし……こりゃ、あたいが将来ゾンビ映画に出演することがあったら……」

 

「怖がらないで近寄って食べられちゃう役ですね♪」

 

岬にからかわれて、恋はニッと笑ってその笑みを一瞬消して―――

 

「おいちゃん、あたいはココアのほうがいい!」

 

と薺川に返して破顔した。

 

その脳裏にはあのピンク色の何者かの姿がある。

 

母のようで、自分のようで、仲間たちのようなあの何者か。

 

今回はミナが逃してしまったが―――いずれ己の手で倒すべきなのだ、と何故か恋は直感のようにそう思っていた。

 

「……出てくんのかな、ぬえ子ねーちゃんがさらわれたって場所に」

 

恋は少しだけ不安げにそうこぼす。

 

「出てきたらやってやりゃあいいのさ。そう簡単に諦めるやつでもなさそうだ」

 

薺川から―――薺川が操るカート型のロボットから―――コーヒーとココアを受け取った空悟が、それを恋に渡しながらそう言ってやる。

 

「そうだな、おじさん!」

 

「ああ、その意気だ」

 

そうして岬もまたコーヒーを彼から受け取って、「おじさんって呼ばれても怒らないのですね。まだ30代でしょう?」と空悟に聞いて―――

 

「一般的に、小学生までのお子さんにとって、親と祖父母以外の大人はおじさんおばさんなのだ、ということを子供が出来てから十分に思い知ってきたからな。今更さ」

 

コーヒーにコーヒーフレッシュを入れながら、30代前半の刑事は笑った。

 

「それより三郎が戻ってくるまで、後1日はある……それぞれ自分たちの家に戻っておいたほうがいいだろう」

 

『確かに。今野くんや岬くんはともかく、恋くんは一度家に戻らねばな。いくらルルくんが、君が病気で寝込んでいるという暗示を一ノ瀬家の人々に掛けていたとしても、だ』

 

二人の大人の男の言葉に、恋は腕を組んで「まぁ、そりゃそうだけど……」と言って唸り始める。

 

そうしているうちに、格納庫からルルが戻ってきた。

 

「……どうしました?」

 

「いや、一旦恋ちゃんを家に帰しておこうかな、って話をしてたのさ」

 

空悟の言葉に、ルルは「うーん、幻覚の魔術が破れるのが困るんで、やめておいてください。戻るなら水門家ですね」と答えた。

 

「うーん、そうか……」

 

「大丈夫だよ、おじさん。家族と言っても、みはるねーちゃんたちは親戚だし、最悪岬ちゃんのところに泊まりに行ってたって言い訳も出来るから」

 

それは残念、とばかりに腕を組む空悟の腰を恋はそう言ってぽんと叩いた。

 

「まあ、君がそれでいいなら俺は構わんが……」

 

しかし、子供が保護者の許可もなくこうして無断外泊をしているのは問題だなあ、と空悟は内心独り言ちて嘆息した。

 

「とりあえずミナさんは多分2時間もすれば起きてきますので、僕はこのまま作業に入ります。お昼ごはんは各自摂っていてください」

 

ルルはそうしてバッグの中からお弁当を3つ―――ミナから預かっていたものを出して踵を返す。

 

「ああ、どうしても家に戻りたいというのであれば、僕がついていきますので、そうですねえ……明日の朝まで待ってください」

 

顔だけをこちらに向けて、ルルはそう言うと自動ドアの向こうへと消えていった。

 

「……なんか、意外」

 

「もしかすると本当に気に入られているのかも知れないですねえ、あの変態アンデッドに」

 

少しびっくりする恋に、岬はそうボソリと呟いた。

 

後ろでコーヒーを飲みながら含み笑いをしている勇者の親友のことはあえて無視して。

 

 

 

それから2時間後。

 

『うむ。問題ない。一ノ瀬家、相羽家共に魔法少女も改の会も、もちろんそれ以外のものも訪れてはいない』

 

ミナたちは、護衛の任務に就いていた廻、夕と通信で話していた。

 

ミナは結局、あれから1時間半ほど起き上がってくることはなく、それからも「錬金工房が出来れば手持ちの材料で作れるから」と今は貴重なマジックポーションを2本ほど飲んで少し休んでいたのである。

 

「それなら良かった……けど、油断はしないでください。廻さん、夕ちゃん。魔法少女たちの首魁が出てこないとも限りませんから」

 

白き空の空間改造が可能な魔法少女たちの首魁であれば、或いは魔王級の戦闘力を持つ道野枝兄妹といえど苦戦は免れない可能性が高い、とミナは踏んでいた。

 

それ故の警告ではあったが―――

 

『我々の心配よりも、ぬえ子の心配をしろ、金髪女。それでは通信を終わる』

 

夕のにべもない言葉とともに、研究所に沈黙が戻った。

 

「とりあえず向こうは何も起きてないみたいだし、私は早速作業に入るわ。岬と恋ちゃんはうちに戻ってて。ルルは私と一緒に朝までは作業。その後は状況に応じて行動で」

 

「はい!」「わかったのです」「承知しました」

 

ミナの指示に3人は肯んじて―――

 

「俺はどうする?」と空悟が聞いてきた。

 

「もちろん、自分の家に戻っていてくれ。作業は24時間……明日の16時位まではかかるはずだ」

 

それまでの間は一旦解散として、ミナとルルは錬金窯の作成作業となる。

 

「無茶はすんなよ」

 

「でえじょぶだ。半年邪神の空洞に潜ってた時に比べたら修羅場でもなんでもないぜ」

 

ミナは空悟の背中を押して「さー、帰った帰った。今からなら晩飯に間に合うだろ?奥さんを安心させてやれぇ」と笑った。

 

「わかった、わかった。じゃあまた明日の午後4時頃に来るわ」

 

苦笑して空悟は研究所の地上直通エレベーターへと入っていく。

 

「じゃ、またなのです!チョーカーはそこにお返ししておきましたですよ!」

 

岬がそうして恋と一緒にエレベーターへと入り、手をふる。

 

その扉が閉まり、彼らが去るとミナは博士を振り返って「定期的にコーヒーの差し入れをお願いします!早速作業に入るので!」と叫ぶように頼んで、格納庫へ続く自動ドアの前へと立った。

 

『心得たよ。それじゃあまた』

 

自動ドアが開く。

 

そうして現れた無機質なコンクリートのトンネルをつかつかと歩いていく。

 

後ろには長年の従者がいて、無言でついてきていた。

 

ガー、と擦過音を鳴らして向こう側の扉が開く。

 

そこには横たわる「秋遂」といくつかのコンテナ、そしてそれ以外はガランとした格納庫があった。

 

「うし!じゃあレンガ素組して、窯ァ作っちまおう!」

 

ミナはあえて男言葉で袖をまくり、バッグの中からレンガと錬金術の道具、そして窯の中枢である寸胴鍋めいた巨大な釜を出していった。

 

レンガの素組と釜の設置はすぐに終わる。

 

地面に砕いた宝石の粉薬を純水に溶いたもので描いた錬金術のための魔法陣―――石の精霊と鉱石の神、流転をも司る調和神と風に乗って知を探る知識神への祈りが刻まれたそれの上に、レンガを組んでいく。

 

その中央に釜を設置して、魔力の輪転を確認すればいい。

 

「石の祖、鉱石の大公、世界を調律する我らが祭神、遍くを探り求める御神よ。波と粒と数の秘蹟を詳らかにせんがため、我に力を与えよ―――」

 

ミナはグリッチ・エッグの錬金術において、基盤となるべき言葉を古代語で唱えた。

 

すると、そこから生まれた魔力をレンガが吸って光を放ち、すぐに消える―――次いで輝いたのは錬金術の釜。

 

「うん、魔力の輪転は成功。後は陰陽である男女が相対する場所で窯に半日の間魔力を注ぎ……」

 

「魔力が十分に溜まったら、後は子宮である女性が半日の半分の時間、その生命力を捧げる―――」

 

そうして最後に生命力を捧げた女性の血を釜に落として完成である。

 

それは、もし冒険者現象の加護を得ていない只人が行うのであれば、命の危険を確実に伴う儀式―――

 

よって、グリッチ・エッグの世界で高名な錬金術師というのは大抵は若い頃冒険者をして、ダンジョンに潜り、魔物を倒していた者なのだ。

 

「よっし。んじゃ、後は12時間の間、地面に座ってるだけね……何度やっても理不尽な儀式だわ」

 

「儀式が理不尽じゃなかったら誰でもこういうことが出来て危険じゃないですか」

 

―――定位置に座っていれば魔力が勝手に吸われていくという儀式の仕様上、それ以外は何をしていてもいいため、ルルはそのままポテトチップスの袋を破いて、その中身をパリパリと食み始める。

 

ミナもまた「それもそうなのが腹立つわ」と同じくバッグから麩菓子を出して、バクリと一息に一つ食べきる。

 

徐々に吸われていく魔力は、ミナにとっては大したことはない。

 

しかし、レンガの特性―――魔力を輪転させる性質から、一気に魔力を注ぎ込むことも出来ないのだ。

 

「はー……とりあえず音楽でも流しましょうか」

 

スマホに予め格納庫の壁のコンセントに挿しておいた充電器を繋ぎ、BGMとして彼女が最近登録した有料の音楽サイトから適当に流し始めた。

 

―――最初に流れてきたのは、只人の自由騎士とハイエルフが主役とヒロインを務める和製ハイファンタジーの金字塔とも言える小説のオリジナルビデオアニメ版、それのオリジナル・サウンドトラック。

 

その響きに、ミナは「やれやれ……」と肩をすくめて瞳を閉じるのであった。

 

 

 

それから12時間後。

 

「……結局、途中から見始めて、全部見てしまった……やっぱり1巻分より後は話こなれてねえな……」

 

先程の有料音楽サイトと同じ企業がやっている動画配信サービスで、自由騎士とハイエルフの物語を見終わったミナは立ち上がって嘆息した。

 

「よし、魔力は十分に輪転したわね。あとは、生命力よ」

 

ミナはそうして輝き出したレンガと釜を見遣り、そのままレンガで組まれた窯の中へと入っていった。

 

「ルルもおつかれ。どうする?一旦家に帰ってもいいわよ」

 

釜の後ろの定位置、生命力を捧げる祭壇となっている玉座めいたレンガの椅子に座ってミナは従者へと声を掛けた。

 

「いえ、いいですよ。恋さんが一ノ瀬家へ戻りたいと直接こちらに顔を出さなければ、ね」

 

「そう」

 

ニコリと笑って窯の中に入ってきて、ミナに早めの朝食となるサンドイッチ―――これはルルが作ったものだ―――を渡す。

 

「変なもの混ぜてないでしょうねえ?」

 

「まさか。媚薬の材料はみんなミナさんに取り上げられてしまいましたし、この緊急事態でそれをするほど色にボケてはいませんよ」

 

少し困ったように笑ったルルに、ミナは「どーだか……」と口をへの字に結んでそれを受け取る。

 

きゅうりとトマト、それに豚肉のソテーが挟まれていて、マヨネーズととんかつソースから作ったオーロラソースで味付けされていた。

 

「いや、香辛料とマヨネーズが楽に手に入るのは良いですね。特に温度管理がなってない卵で作られたマヨネーズは毒物ですから」

 

「まーねー酢と塩で殺菌されるとは言え、なかなかねえ」

 

ミナはサンドイッチを一つ、半分ほど口に入れて咀嚼するとそうして笑った。

 

「お、うまいじゃーん。ウスターソースじゃなくてとんかつソース使ったのは正解ね」

 

ミナは弁当箱の中のサンドイッチを軽く平らげると、ルルに「博士のところいって、コーヒーもらってきてくれる?」と頼んで微笑んだ。

 

ルルはそれに「承知しました」と返して、レンガの窯の外へと出ていく。

 

そして彼は自動ドアの向こうへと姿を消し―――ミナは徐々に彼女の生命力……活力を吸っていく椅子に座ったまま、瞳を閉じて一時の微睡に入るのであった。

 

 

 

―――少し時はさかのぼり、ミナが儀式を始めた頃の今野家では家族が夕食を摂っていた。

 

いただきます、と家族4人の声が響き、そして食べ始める。

 

そんななか唐突に空悟が発言をした。

 

「個人的な意見なんだがな、文。子供に肉を食わせないのは一種の虐待だと思うんだ」

 

「また藪から棒に何を言ってるんですか?」

 

空悟は自分の家で、子供たちを席に着かせながら、妻の作った卵焼き、それに豚肉とベーコンとほうれん草のロールキャベツを見てそう言った。

 

無論、妻は唐突すぎる夫の言葉に怪訝にそう返す。

 

「ぼく、ほうれんどうのほうがすきー」

 

「わたしはどっちもすきー」

 

幸いにして、彼らの子供たちはこの歳の子供にしては珍しく野菜好きであった。

 

ただ、弟の隆の方は―――男の子にしては珍しく脂っこい肉を嫌い、肉と言えばもっぱらソーセージやハムなどを好んでいたが。

 

「ほら、お肉も食べなきゃだめよ」

 

「はぁい」

 

少しだけトーンを落として、隆はロールキャベツをフォークで刺して口に入れる。

 

その様子をほほえましそうに見遣った後、文は「で、なにを藪から棒に?」ともう一度同じことを夫に質問した。

 

「いやあ、三郎は異世界の実家じゃ肉を食べさせてもらえなかったと聞いてなあ。確かにエルフだからそうなんだろうが」

 

空悟が味噌汁を啜ってそう返すと、「パンダみたいなもんなんじゃないですか?別にあの白黒熊も肉とかトウモロコシも食べれるけど、笹だけで生きて行けるし、むしろ食べないとダメ的なものでしょう?」

 

文がロールキャベツをご飯に乗せながらそう言うと、「そういうもんだろうか……?」と首を捻る。

 

「そういうもんでしょう。なにしろエルフなんてこの世界にいないんですし、詳しいことはわかりませんよ」

 

「ねー、えるふってなーにー?」

 

文の言葉に反応して、隆がそんなことを聞いてくる。

 

どう答えたものか、と数瞬ほど悩んで、文は「水門さんのおうちのミナお姉さんのことよ」とドストレートに答えた。

 

「へー!」

 

あむあむ、とご飯を咀嚼する息子を見ながら、その回答でいいのだろうか、と空悟は一瞬思う。

 

「ま、文化どころか生態まで違うんじゃ仕方ねえか」

 

空悟はそう独り言つと、卵焼きをご飯に乗せてばくりと食べた。

 

あと20時間後にはまた冒険だ。

 

その時にでも三郎に聞いてみればいいだろう、と空悟はそう思って妻の料理に舌鼓を打つのであった。

 

 

 

その頃の水門家では。

 

「さて、今日は茜先輩も家に帰ってこないのです。あたしたちだけですけど、もしここに踏み込んでくる悪漢がいるとしたら、それは愚かもいいところなのです」

 

ニラを炒めながら岬はそんなよくわからないことを言っているのを、恋は居間から眺めていた。

 

「なーテレビつけていいよなー?」

 

「いいですよー」

 

「うん、わかったー」

 

そんなやり取りをして、恋は惟神テレビをつける。

 

今は某受信料を強制徴収する悪の組織もとい公共放送であるNHKが、教育テレビの方で20年以上前に放映した、とあるおとぎ話の主役少女を現実世界の少年少女が助けに行く物語がやっていた。

 

OPで昭和の名曲のカバーが流れる中、恋は食事ができるのをじっと待っていた。

 

「だいじょぶです?もっとおしゃべりしてもいいのですよ?」

 

「ん、ああ……まあ、あのクソおふくろが珍しく飯作ってる時に話しかけるとぶん殴られたからさ。つい癖で」

 

「おもぉぉい!なんでそんな重い過去さらっというんですかぁぁ!?」

 

とんでもない過去をなんでもないことのように言う恋に、岬は溶いた卵に味の素を振りながら叫んだ。

 

そう、彼女はネグレクトの末にアイドル事務所に売られ、さらに事務所が関係ないところで脂ギッシュおっさんに売られそうになったガチの被虐待児なのであった。

 

「……そういえばそうだった。あたい、だいぶその辺感覚麻痺してると思う?」

 

「思いますですよ……とりあえず、そのアニメの感想でも語り合いましょうです。安心してほしいですよ。あたしはもう視聴済みなのです」

 

そう言いながら、岬は心の底から思った―――

 

―――この子を放っておいて、芸能界のあれやこれやに揉まれておとなになったら、間違いなく子供を知らずに虐待してしまう母親になってしまう、と。

 

被虐待児の過去を持つ親であっても、確実にそうなるとは言えないだろう。

 

むしろ逆に厚く愛を注ぐ親になる人もいるだろう。

 

だが、目の前の女の子はこのままでは―――仕事にかまけて子供を例のプロデューサーとかに預けてしまいかねない危うさを持っていると岬は実感した。

 

即ち、一ノ瀬家だけではなく、この水門家……否、自分が家族や気のおけない友人と過ごすことがどういうことなのかを教えなければいけない、という謎の使命感を感じてしまっていたのだ。

 

……彼女は体は幼女になってしまってはいるが、精神の本質はどこまでも39歳……否、もう四十路へと足を踏み入れたおばちゃんなのであった。

 

「恋ちゃん……さぁ、ニラ玉も出来ましたですし、ご飯食べながらアニメ見ましょうですよ!」

 

「おう!」

 

岬はご飯をよそいながら、小学校ではこの子に助けてもらっているのだから、外では彼女の助けになろうと決意した。

 

これはそんな何気ない一幕であったのだ。

 




ブラックリボン
・防御力30 状態異常全無効化 全属性防御+3
 黒の秘布と呼ばれる非常に魔力を賦与しやすい布で作られたリボン。
 ほぼすべての状態異常を無効化し、属性防御もきちんとしてくれる。
 また、鉄の鎧に匹敵する魔法障壁を展開するため、害意のある相手に
 攻撃されてもある程度防ぐことが可能。
 ミナが東方世界への旅で手に入れた。

フレーバーです。

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